・英調査会社LMC Automotiveが発表した2015年2月のグローバル・ライトビークル(乗用車・小型商用車を指す。中大型商用車を除く)販売は、少しスローダウンして季節調整済み年率換算販売が8,790万台/年となった。前年同月比では0.6%増にとどまり、2013年半ば以来の低い成長率となった。
・西欧の販売は改善を続け、米国と中国も好調を維持した。しかしながら、東欧と南米の販売は1年前のレベルと比べて大きく低下している。


グローバル・ライトビークル販売


北米

米国ライトビークル販売は、2月も前年同月比5.4%増と好調な販売を維持した。大寒波、インセンティブの低下、輸入車に影響を与えた西海岸での港湾ストがあったにもかかわらず、消費者は改善している経済、低金利と組み合された長期ローンなどによって、ショールームに引き寄せられ自動車を購入している。
2月のカナダのライトビークル販売は、前年同月比3.1%増の約10.9万台を販売、2008年以来最高の販売となった。季節調整済み年率換算販売も約180万台/年となっている。

欧州

2月の西欧市場は前年同月比で8%近い増加となった。すべての主要市場で販売が増加、特にスペインとイタリアの好調さが目立った。最近の販売結果は消費者心理の改善を反映したものであり、低い水準からではあるが、今年西欧地域が2年連続で堅調な増加となるという予測を裏付けるものである。
東欧の販売は前年同月比で20.2%減と厳しく状況になっているが、ロシア市場の崩壊が東欧地域販売減少の原因である。ロシアの季節調整済み年率換算の販売は170万台/年まで下がっているが、継続する値上げ、いくつかのモデルの販売休止、全般的に不振である経済などから、更なる販売の落ち込みが起こる可能性が高い。

中国

中国市場は2月も好調な販売を維持した。速報値によれば、春節の休みを勘案した季節調整済み年率換算販売は2,460万台/年となり、下方修正した1月の季節調整済み年率換算販売の2,480万台/年から少しだけ減少した。中国の新年のお祝い気分は、前年同月比で10%近い増加となった好調な乗用車販売に貢献したが、減速しつつある経済は小型商用車販売を前年同月比で25%減へと落ち込ませた。
今後の中国の販売見通しは次第に不透明なものになりつつある。政府は2015年の経済成長目標を低めの「約7%」に設定している一方で、デフレ・トレンドと戦うために緩和した金融政策をとり続けている。上向きの消費者心理とは対照的に、公式な製造業の購買担当者景況指数(PMI)は50を下回るまで下落している。このことは好調な乗用車販売と小型商用車販売の不振がこれからも続くことを暗示している。

アジア(中国以外)

日本の2月販売は、季節調整済み年率換算販売が比較的高い500万台/年となり、1月とほぼ同じ結果となった。価格に敏感な日本の消費者が2015年4月に予定されている軽自動車への増税前に駆け込み需要が発生する可能性もある。しかしながら、この軽自動車への増税は大変小さいものであると見込まれている。なお、軽自動車は日本のライトビークル販売の40%を占めている。
韓国では、1~2月の季節調整済み年率換算販売は平均すると170万台/年と好調であった。しかしこのような好調な販売ペースは、製造と輸出部門の不振、雇用の成長減速、高い家計債務により、持続できないと予想される。

南米

ブラジル市場は、カーニバル休みで2月の季節調整済み年率換算販売は270万台/年へ急落した。最近の燃料・食料・バス料金などの値上げと金利引き上げの政府決定は、消費者心理を冷え込ませ、自動車購入に悪影響を与えた。
アルゼンチン市場は、悪化しつつある経済に挑戦するかのように1月の販売急落の後、2月の季節調整済み年率換算販売は56.7万台/年と上昇した。しかしながら、悪化しつつある労働市場とインフレの蔓延は消費者の購買力を低下させており、不調な自動車市場は全体的には変わっていない。


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【LMC Automotive Ltd.について】
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野 の生産・販売予測サービスを専門的に提供する調査・コンサルティング会社。英国オックスフォードに本社を置き、自動車メーカー、部品メーカーを中心に金融 機関、政府機関含め、世界の500を超える顧客に幅広く予測サービスを提供している。海外拠点はデトロイト、上海、バンコク、フランクフルト、パリ。自動 車台数予測に加え、個別の調査・コンサルタント業務も提供している。

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