TOYOTA GAZOO Racing



オートポリスでSUPER GTの第7戦が行われ、立川祐路/石浦宏明組ZENT CERUMO RC F 38号車が4位フィニッシュ。タイトル争いに踏みとどまり、ランキング3位で最終戦へ臨むこととなった。GT300クラスではピットスタートとなった嵯峨宏紀/中山雄一組TOYOTA PRIUS apr GT 31号車が4位まで追い上げたものの接触で後退。13位に終わった。

SUPER GT第7戦「SUPER GT in KYUSHU 300km」が10月31日(土)、11月1日(日)の両日、大分県日田市上津江町に位置するオートポリスで開催された。

シーズン全8戦で争われるSUPER GTも残り2戦となった。昨年は第3戦として初夏に開催されたオートポリス戦だが、今年は2年ぶりに、最終戦のひとつ前のレースとして開催される。

タイトル争いはまだ全く予断を許さない混戦模様。特に、その時点での獲得ポイントによるウェイトハンデ制が採られているSUPER GTでは、前戦までは獲得ポイント×2kgのウェイトが搭載されたが、最終戦のひとつ前、つまり今大会は、獲得ポイント×1kgとウェイトが半減される。タイトルを争い、多くのポイントを獲得してきたことでウェイトハンデに苦しんできたランキング上位のチームにとっては巻き返しのチャンスであり、ノーハンデとなる最終戦へ向け、戦いは更に激しさを増す。

LEXUS RC F勢は、立川祐路/石浦宏明組ZENT CERUMO RC F 38号車が首位と6ポイント差。伊藤大輔/ジェームス・ロシター組PETRONAS TOM'S RC F 36号車が首位と8ポイント差で追う。若手コンビのアンドレア・カルダレッリ/平川亮組KeePer TOM'S RC F 37号車も首位と15ポイント差と、逆転を狙える位置につけている。最終戦でのタイトル争いに残るためにも、非常に重要な一戦となった。

GT300クラスでは、嵯峨宏紀/中山雄一組TOYOTA PRIUS apr GT 31号車が10月初旬にオートポリスで行われたタイヤテストでコースレコードを上回りトップタイムと好調ぶりを披露。タイトル争いでは首位と25ポイント差と、やや厳しいポイント差と言えるが、残り2戦両方を制しての逆転タイトル獲得を目指し、必勝態勢で挑んだ。

◆予選◆

10月31日(土)、秋晴れのオートポリスは気温12度、路面温度25度と過ごしやすい気候の下、午後1時半からノックアウト方式の予選が実施された。

GT500クラスのQ1セッション(15分)では、各車序盤はピットに待機し、残り時間が8分を切ったあたりから次々にコースイン。伊藤の駆る36号車、石浦の駆る38号車がまず好タイムをマーク。その後ライバルにタイムを更新されるも、Q2進出を決めた。また、関口雄飛がQ1を担当したWedsSport ADVAN RC F 19号車が好走を見せ、LEXUS RC F勢最上位となる4番手につけた。

一方、大嶋和也のENEOS SUSTINA RC F 6号車はアタックラップで前走車に阻まれる形となりタイムをロス。6号車は僅か100分の6秒届かず、9番手でQ2進出を逃すこととなってしまった。朝の公式練習で2番手タイムをマークするなど速さを見せていた37号車も同様に前走車に引っかかり15番手。

ヘイキ・コバライネンがドライブしたDENSO KOBELCO SARD RC F 39号車はアタック中、2コーナーで僅かにコースアウト。このタイムロスもありQ2進出ならず14番手。LEXUS RC F勢は3台がQ1敗退となり、決勝での巻き返しを図ることとなった。

この予選Q1では、上位13台がこれまでのコースレコードを更新した。

予選Q2(12分)も残り時間8分ほどで各車コースへ。GTでの通算最多ポールポジション記録を持ち、オートポリスでも最多の5回ポールポジションを獲得している立川の38号車が、重いウェイトハンデをはねのけ、Q1のトップタイムも上回る1分33秒フラットという好タイムをマーク。しかし、僅かにライバルに上回られ、ポールポジション獲得はならず。それでも最前列2番手グリッドから決勝をスタートすることとなった。

脇阪寿一がQ2を担当した19号車が6番手、ロシターの36号車は7番手グリッド。

GT300クラスでは、朝の公式練習走行でトップタイムをマークした31号車が好走。Q1セッションを担当した中山雄一は、朝のタイムを更に更新、大きくコースレコードを塗り替え、トップでQ2に進出。

予選Q2でも、嵯峨がドライブする31号車がトップグリッドを争う展開に。しかし、僅か1000分の1秒、0.001秒届かず、ポールポジション獲得はならず。最前列2番手グリッドから決勝に臨むこととなった。

SYNTIUM LMcorsa RC F GT3 60号車は26番手グリッドとなった。

◆決勝◆

11月1日(日)空は雲が覆い、夕方から雨の予報もあるものの路面はドライ。気温14度、路面温度17度と肌寒いコンディションで午後2時に白バイ、パトカーの先導の下パレードラップが開始。フォーメーションラップに続き、66周で競われる決勝レースのスタートが切られた。

最前列2番手スタートの38号車立川は、好スタートでポールポジションの車両に並びかけるも逆転には至らず。後方では6番手、7番手スタートの19号車と36号車がひとつずつポジションアップ。更にロシターの36号車は8周目、関口の19号車は11周目に前走車をかわし、それぞれ4位、5位へ。

38号車の立川は序盤2位をキープし、上位3台は僅差でのバトルを展開。周回遅れが現れ始めると、これをかいくぐりながらの争いは更に激化した。

20周目過ぎには、3位の車両の猛追を受け、2位争いがテール・トゥ・ノーズに。巧みなライン取りで2位を守り続けていた38号車立川だったが、24周目、第2ヘアピンで痛恨のコースオフ。すぐにコースには復帰したが、3位へと順位を落としてしまった。

25周を過ぎたあたりから軽い雨が降り始め、各チームピットタイミングに悩むこととなったが、結局路面を濡らすまでには到らず。レース中盤を過ぎると上位勢もドライバー交代、給油とタイヤ交換のためにピットへ。38号車よりも2周早くピットインしていた36号車が、ピット終了時点で38号車をかわし3位に浮上。

しかし、ドライバー交代した38号車の石浦がハイペースで猛追。ピットアウト直後には10秒近くあった36号車との差を一気に詰め、48周目にはテール・トゥ・ノーズに。逆に、伊藤の36号車はタイヤのピックアップ現象(タイヤカスなどを拾ってグリップが低下する)に見舞われペースダウン。50周目、周回遅れのGT300車両を上手く使った38号車石浦が36号車伊藤をかわし、3位に浮上した。

表彰台圏内に入り、更に上位を目指し追い上げを続けた38号車石浦だったが、終盤はタイヤの摩耗に苦しむことに。また、残りが8周ほどとなったところで再び雨が降り始め、スピンやコースアウト車両も発生。

38号車は、猛烈な勢いで追い上げてきた後続車両との3位争いとなり、石浦は懸命にこれを抑え続けたが、残り2周のストレートでテール・トゥ・ノーズとなり1コーナーでサイド・バイ・サイドに。並んだまま2台は2コーナー、3コーナーへと進入していったが、惜しくも立ち上がりでかわされ、38号車は4位へ後退。

一方、6位を走行し、激しいバトルを繰り広げていた脇阪寿一の19号車は、ファイナルラップの1コーナーでコースオフ。

38号車は4位でチェッカー。36号車が5位。6号車が8位、19号車はファイナルラップでコースオフも9位フィニッシュとなり、開幕からの連続入賞記録を継続した。

この結果、38号車の立川と石浦はドライバーズランキングで3位へ。首位との差は13ポイントと開いたが、逆転タイトルの可能性を残して最終戦に臨むこととなった。

GT300クラスでは、最前列2番手グリッドを獲得していた31号車が、スタート直前に駆動系のトラブルに見舞われ、ピットスタートに。最後尾26位からの追い上げを強いられた31号車だったが、前半を担当した嵯峨はプリウスの速さを活かし、みるみるポジションアップ。11周目には14位へ。

中盤に入り、各車ピット作業を行っていく中、31号車は29周目にピットインし、中山雄一へとドライバー交代。ほぼ全車がピットを終えた40周目過ぎには8位まで順位を上げていた31号車は、中山雄一が更に前走車をかわしていき、残り10周の時点では4位へ浮上。表彰台を賭けてのバトルを繰り広げた。

しかし、この激しいバトルの中、31号車は痛恨の接触。車体左後部にダメージを負い、変形した部品がタイヤに当たったままの状態となってしまったため、残り7周にして予定外のピットインを強いられ、31号車は16位まで後退してしまった。

その後、追い上げたが、31号車は13位フィニッシュとなった。

予選26番手からのスタートとなったSYNTIUM LMcorsa RC F GT3 60号車は粘り強く走り抜き、10位フィニッシュ。開幕戦以来となるポイント獲得を果たした。

LEXUS GAZOO Racing、TOYOTA GAZOO Racingへのご声援、ありがとうございました。次戦も応援の程よろしくお願いいたします。

ZENT CERUMO RC F 38号車 ドライバー 立川祐路:

チャンピオンシップを考えると、ランキングトップのクルマや横にいるライバルに負ける訳には行かなかったので、序盤からかなり無理をするレベルで懸命に走った。その為、スピンを喫し順位を落としてしまったが、気持ちを保って戦い続けた。結果的に、ライバルが上位フィニッシュしたことでポイント差が広がり、最終戦に向けて厳しい展開となってしまった。最終戦はとにかく勝つことだけを考えて攻めるレースをしたい。

ZENT CERUMO RC F 38号車 ドライバー 石浦宏明:

中盤、雨が降り始め、先がどうなるか読めなかったので、立川さんは硬いタイヤを履いていたこともあり、ピットタイミングを引っ張った。自分が交代した時点では、36号車に先行されていたが、こちらのペースが良く順位を取り戻せた。タイヤの選択が上手く行ったと思っていたのだが、終盤なぜか徐々にペースが落ちてしまった。雨が強くなったこともあり、最後は全然ペースの違うライバルに抜かれてしまった。今回、自分たちの中では攻めた結果で、出来る限りのことはしたつもりだ。しかし、チャンピオンシップを考えると厳しい結果となってしまったので、最終戦は何も考えず、また今年はまだ優勝がないので、勝ちに行きたい。

第7戦 リザルト

GT500クラス

順位:No.:車名:ドライバー名:周回:所要時間/差:グリッド:WH
1:1:MOTUL AUTECH GT-R:松田 次生/ロニー・クインタレッリ:65:1:50'42.495:3:44
2:12:カルソニック IMPUL GT-R:安田 裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ:65:0.348:1:51
3:17:KEIHIN NSX CONCEPT-GT:塚越 広大/武藤 英紀:65:14.056:8:25
4:38:ZENT CERUMO RC F:立川 祐路/石浦 宏明:65:16.235:2:45
5:36:PETRONAS TOM'S RC F:伊藤 大輔/ジェームス・ロシター:65:31.049:7:43
6:46:S Road MOLA GT-R:本山 哲/柳田 真孝:65:41.666:10:45
7:15:ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT:小暮 卓史/オリバー・ターベイ:65:49.28:12:18
8:6:ENEOS SUSTINA RC F:大嶋 和也/国本 雄資:65:55.011:9:27
9:19:WedsSport ADVAN RC F:脇阪 寿一/関口 雄飛:64:1Lap:6:24
10:64:Epson NSX CONCEPT-GT:中嶋 大祐/ベルトラン・バゲット:64:1Lap:5:3
12:37:KeePer TOM'S RC F:アンドレア・カルダレッリ/平川 亮:64:1Lap:15:36
13:39:DENSO KOBELCO SARD RC F:平手 晃平/ヘイキ・コバライネン:64:1Lap:14:18
WH ウェイトハンデ(kg)

GT300クラス

順位:No.:車名:ドライバー名:周回:所要時間/差:グリッド:WH
1:3:B-MAX NDDP GT-R:星野 一樹/高星 明誠:60:1:51'17.185:8:41
2:10:GAINER TANAX GT-R:アンドレ・クート/千代 勝正:60:3.628:14:74
3:7;Studie BMW Z4:ヨルグ・ミューラー/荒 聖治:60:45.102:12:34
4:77:ケーズフロンティア Direction 458:横溝 直輝/峰尾 恭輔:60:55.281:15:3
5:21:Audi R8 LMS ultra:リチャード・ライアン/藤井 誠暢:60:56.394:7:19
6:55:ARTA CR-Z GT:高木 真一/小林 崇志:60:1'05.335:3:36
7:0:グッドスマイル 初音ミク SLS:谷口 信輝/片岡 龍也:60:1'14.750:5:16
8:33:Excellence Porsche:坂本 祐也/山下 健太:59:1Lap:19:3
9:20:UPGARAGE BANDOH 86:中山 友貴/井出 有治:59:1Lap: :
10:60:SYNTIUM LMcorsa RC F GT3:飯田 章/吉本 大樹:59:1Lap:26:1
13:31:TOYOTA PRIUS apr GT:嵯峨 宏紀/中山 雄一 59:1Lap:2:49
WH ウェイトハンデ(kg)

ドライバーズポイント(GT500)

順位:No.:ドライバー名:ポイント
1:12:安田 裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ:66
2:1:松田 次生/ロニー・クインタレッリ:64
3:38:立川 祐路/石浦 宏明:53
5:36:伊藤 大輔/ジェームス・ロシター:49
7:37:アンドレア・カルダレッリ/平川 亮:36
10:6:大嶋 和也/国本 雄資:30
11:19:脇阪 寿一/関口 雄飛:26
13:39:平手 晃平/ヘイキ・コバライネン:18
ポイントランキングは手元計算による暫定

チームポイント(GT500)

順位:No.:チーム名:ポイント
1:12:TEAM IMPUL:85
2:1:NISMO:82
3:36:LEXUS TEAM PETRONAS TOM'S:66
5:38:LEXUS TEAM ZENT CERUMO:66
7:37:LEXUS TEAM KeePer TOM'S:52
9:6:LEXUS TEAM LeMans ENEOS:44
10:19:LEXUS TEAM WedsSport BANDOH:44
13:39:LEXUS TEAM SARD:32
ポイントランキングは手元計算による暫定