現行型セレナが200万円前半で狙えるってほんと!? ファミリーに大人気のミニバン、中古車状況やオススメの狙い方を解説
2025/11/03
 ▲大人気のミニバン 6代目セレナが、早くも「総額200万円台前半」から狙える状況になっています。とはいえお安い個体は買っても大丈夫なのか? 今オススメの狙い方を検討してみましょう!大注目ミニバンのお手頃価格化が進行中だが?
初代から受け継がれている「BIG」「EASY」「FUN」という基本コンセプトを見事にブラッシュアップさせつつ、新たに「CONNECT」というキーワードや、より上質でモダンな要素を取り入れたエクステリアデザインを採用した6代目 日産 セレナ。それは、5ナンバー級サイズの「使えて走れて美しい!」というニュアンスのミニバンを探している人であれば、誰もが注目すべき存在だといえます。
とはいえその新車価格は、売れ筋グレードの場合は300万円を軽く超えるわけですが、中古車であれば、総額200万円台前半からでも狙える状況になっています。そんな「200万円台前半の6代目セレナ」は、果たして本当に“買い”なのか? モデル概要の振り返りを含め、オススメの狙い方を検討してみることにしましょう。
 
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日産 セレナ(6代目)モデル概要:「BIG」「EASY」「FUN」を極めた5ナンバー級ミニバン
日産 セレナは、その初代モデルは1991年に登場した5ナンバー級サイズの人気ミニバンシリーズ。初代は「バネット」という古いタイプのキャブオーバー車から派生したモデルでしたが、2代目からは乗用タイプのワゴン専用車となり、乗用タイプのミニバンとして初めて両側スライドドアを採用したことなどから、一気に人気モデルとなっていきます。
そして「BIG」「EASY」「FUN」という、ファミリーミニバンにとって非常に重要な3つのキーワードを軸としながら進化を重ねたセレナは、2022年12月に直近のフルモデルチェンジを実施。現在販売されている6代目がニューモデルとして登場しました。
 
▲こちらが通算6代目となる6代目日産 セレナ
▲「ハイウェイスターV」と「ルキシオン」はいちおう3ナンバーサイズにはなったが、基本的には従来型から大きくなりすぎてはいない「扱いやすいサイズ感」が維持されている基本となるプラットフォームは前身の5代目セレナから踏襲していますが、セレナならではの「BIG」「EASY」「FUN」という基本コンセプトにはさらに磨きがかけられ、車内Wi-Fiや「乗る前エアコン」などに代表される「CONNECT」というキーワードも新たに採用されました。
ボディサイズは全長4690mm×全幅1695mm×全高1870mmという5ナンバー枠に収まる寸法が基本となりますが、需給グレードである「ハイウェイスターV」と「ルキシオン」は全長4765mm×全幅1715mmの3ナンバーサイズとなっています。
クラス最大級の広さを誇るキャビンは、従来型以上に運転席と助手席の間の移動がしやすくなった他、シートスライド機構を3列目にも標準で装備。そして3列目シート後端からバックドアまでの荷室長は、クラストップとなる342~462mm。フル乗車の状態でも、ゴルフバッグを縦積みで4個搭載可能です。
 
▲なかなかスマートなデザインの運転席まわり。ドライバー正面に「ひさし」なしで液晶メーターを設置し、そのうえでシームレスにセンターディスプレイをつなげている
▲キャビン内はこのようなイメージ。写真のグレードは1.4 e-POWER ハイウェイスターV日産の先進運転支援技術「プロパイロット」は全車標準装備で、最上位グレードである「e-POWERルキシオン」には、状況に応じてハンズオフ運転も可能になる「プロパイロット2.0」を標準装備。
パワーユニットは、最高出力150ps/最大トルク200N・mを発生する2L直4がソリエンジンの他、新開発の1.4リッター直3エンジンが発電を担い、最高出力163ps/最大トルク315N・mのモーターが駆動を担当する「e-POWER」の2種類をラインナップしています。
 
中古車状況:一時期の上昇トレンドは終わり、比較的手頃な水準で大量に流通中
6代目セレナの中古車平均支払総額は、2024年の秋口までは上昇トレンドが続いたものの、同年10月には“天井”となり下降トレンドに転換。直近の2~3ヵ月が再び微妙に上昇はしているものの、基本的にはおおむね350万~360万円付近の価格帯で推移しています。
▲2024年10月~2025年9月までの中古車平均支払総額の推移そして延べ掲載台数は、2024年前半こそ1000台強レベルにとどまっていましたが、同年後半からは明らかに増加。2025年に入ると安定的に2100台以上の延べ掲載台数を記録しており、きわめて比較検討しやす状況になっています。
▲2024年10月~2025年9月までの延べ掲載台数の推移そして直近の中古車平均支払総額は約380万円なわけですが、実際の市場では総額200万円台前半の物件も多数流通している模様。次章にて、そういった「お手頃価格の6代目セレナ」は買ってもOKな中古車なのかどうか、検討してみることにしましょう。
 
中古車のオススメ①:総額200万円台前半で内装の状態が良好な2.0 ハイウェイスターV
2025年10月下旬現在、総額200万円台前半の予算で狙うことができる6代目セレナの数は約30台。そのすべてがe-POWERではなくガソリンエンジン車で、グレードとしては上級グレードである「ハイウェイスターV」が約7割を占めています。そしてそんな総額200万円台前半のハイウェイスターVの年式は、2年落ちとなる「2023年式」である場合がほとんどで、走行距離としては4万kmから6万kmぐらいが中心になります。
つまり、整理すると「総額200万円台前半で買える6代目セレナ=2年落ちのわりには走行距離がやや多い、ガソリン車のハイウェイスターV」ということです。
 
▲こちらが2L直4ガソリンエンジンを搭載するハイウェイスターVそしてそういったハイウェイスターVは買いか否かと問われたら、答えは「個体による」および「パワーユニットの好みによる」という2つになります。
まず「個体による」という部分から考えますと、ミニバンの年間走行距離というのは一般的に0.8万~1万kmぐらいが平均ですので、2年間で4万~6万km、つまり年間2万~3万kmというのは明らかに「ちょっと走りすぎ」です。
しかし、中古車の走行距離というのは「短いから◯、長いから×」と単純に断言できるものでもありません。
自宅の近くなどで2年間、ちょこちょこと頻繁に走ったり止まったりを繰り返したことで走行2万kmに達した個体より、ある程度の長距離をまとめてガツンと走る機会が多く、その結果として2年間で4万kmや6万kmに達した個体の方が、内装のコンディションもエンジンの吹け上がりも良好である、なんていうケースはけっこうあるものです。
とはいえ、例えば2年間で4万kmや6万kmの距離を、車内に飲み物や食べ物を盛大にこぼしながら走り、キャンプ道具なども雑に積み込んでいたミニバンのコンディションは、やっぱりイマイチだったりもするので、本当に「一概には言えない」のです。
 
▲走行距離は中古車のコンディションを測る重要な目安のひとつではあるが、必ずしも「絶対」ではないのが難しいところそのため総額200万円台前半のハイウェイスターVを狙う場合は、それが「丁寧に扱われながら、愛されながら4万~6万kmを走破した個体」なのか、はたまた「荒っぽく雑に、単なる道具として酷使された個体」なのかを、主には内装コンディションの良し悪しを手がかりに判別してみることが重要になります。
そこそこ長い距離を走っているわりに、妙に内装がキレイで変な臭いも染み付いていない個体であれば、総額200万円台前半のやや過走行なハイウェイスターVであっても、けっこう満足できる買い物になる可能性は高いはずです。
 
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日産 セレナ(6代目) × 支払総額250万円未満
▲通常の使用に伴う内装の劣化についてはとやかく言うべきではないが、あまりにも極端に劣化しているものや、異臭が染み付いている物件は敬遠するべきだろうそしてもうひとつの「パワーユニットの好みによる」という点について言いますと、前述したとおり、この予算帯ではe-POWERを選ぶのは無理で、選べるユニットは2L直4ガソリンエンジンのみになります。6代目日産 セレナの場合はどう考えてもe-POWERの方が活発に、楽しく余裕をもって走らせることができますし、WLTCモード燃費もe-POWERの方がリッターあたり6kmほど良好です。
もしもあなたが、そのあたりをどうしても気にしてしまう性分でしたら、総額200万円台前半の2.0 ハイウェイスターVはあまりマッチしないでしょう。その場合は総額300万円~を目安に、e-POWERを搭載する「1.4 e-POWER ハイウェイスターV」を探すべきです。
しかし、もしもあなたが「ミニバンの走りはそんなに活発じゃなくてもOKだし、燃費の差も、そもそもの中古車価格が安いことでペイできるし」と考えることができるのであれば、総額200万円台前半の状態良好な2.0 ハイウェイスターVは、なかなか悪くない選択肢となるでしょう。
 
▲車にとって走行性能はもちろん大切な部分だが、ことミニバンに関しては、そこだけにとらわれるべきではないのも事実。「自分と家族にとってのベスト」を総合的に判断したい中古車のオススメ②:総額300万円台前半の1.4 e-POWER ハイウェイスターV
6代目日産 セレナは約1300台が流通していますが、そのうちの約6割が、シリーズハイブリッドという方式の電動車である「e-POWER」です。そして流通しているe-POWER車の7割近くが、上級グレードである「1.4 e-POWER ハイウェイスターV」という状況になっています。
 
▲e-POWERを搭載するセレナのなかで「上級グレード」に相当する1.4 e-POWER ハイウェイスターVそんな1.4 e-POWER ハイウェイスターVは総額290万~480万円付近の価格レンジで流通していますが、わざわざ400万円以上を出さずとも「総額310万~350万円ぐらい」にて、まずまず好条件な1台を見つけることは十分に可能です。
もちろん総額400万円以上を出して「フリップダウンモニター(後席専用モニター)付きの超低走行物件」を買うのもご自由ではあるのですが、「なるべくお得に狙う」という観点で考えるなら、「総額330万円前後で走行3万kmぐらいの物件」を探してみるのがベストでしょう。
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日産 セレナ(6代目) × 1.4 e-POWER ハイウェイスターV系 × 支払総額350万円未満あるいは、さすがに総額300万円台前半ではやや難しいのですが、総額360万~390万円ぐらいの予算感で、最上級グレードである「1.4 e-POWER ルキシオン」を狙ってみるのも面白い選択です。ルキシオンであれば、状況に応じてハンズオフ運転も可能になる「プロパイロット2.0」が標準装備となる他、他のグレードではオプション扱いとなる様々な装備もほぼ「全部盛り」となっています。
 
▲こちらが最上級グレードである1.4 e-POWER ルキシオン。ハンズオフ運転も可能なプロパイロット2.0の他、リモコン操作で車両の出し入れが可能となる「プロパイロットリモートパーキング」なども標準装備▼検索条件
日産 セレナ(6代目) × 1.4 e-POWER ルキシオン × 支払総額400万円未満中古車のオススメ③:スポーティなミニバンがお好きなら「AUTECH」系各種
6代目セレナにスポーティな装備やスポーティな走りを求めたい場合は、車名に「AUTECH」と付いているグレードか、または「1.4 e-POWER AUTECH スポーツスペック」を探すことになります。
 
▲こちらは、スポーツスペックを除く「車名にAUTECHと付いているグレード」「車名に『AUTECH』と付いている、スポーツスペックを除くグレード」は全部で6種類が存在しますが、こちらは「ハイウェイスターV」をベースに、AUTECH(日産のカスタムカー事業部)の特別で専用なインテリアやエクステリアパーツ、専用16インチホイールなどを加えたグレード。また、標準のハイウェイスターVではオプション設定となる「インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付き)」や「インテリジェント ルームミラー」が標準装備となるのも、スポーツスペックを除く「車名に『AUTECH』と付いているグレード」の特徴です。
 
▲AUTECH専用インテリアの他、インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付き)とインテリジェント ルームミラーも標準装備となっている
▲AUTECHの刺しゅうが入ったブラックレザレット(人工皮革)の専用シート一方の「1.4 e-POWER AUTECH スポーツスペック」は、1.4 e-POWER ハイウェイスターのボディやサスペンション、コンピューターとパワーステアリング特性までを見直し、ハンドリングや加速感などのチューニングも行ったグレード。そして専用の17インチタイヤ&ホイールを装着しているのも大きな特徴です。
 
▲こちらは「走り」にも徹底的にこだわった1.4 e-POWER AUTECH スポーツスペック
▲スポーツスペックの場合、足元は17インチのダークグラファイトフィニッシュアルミホイール+215/55ZR17のミシュラン パイロットスポーツ5という組み合わせになる
▲スプリングとショックアブソーバーは専用品。クロスバーとAUTECH専用チューニングが施された「パフォーマンスダンパー」も追加し、ボディの強化が図られているコンピューターや足回りは標準モデルと同一ながら、スポーティな専用内外装を採用した「車名に『AUTECH』と付いているグレード」は25台ほどが流通しており、その価格目安は総額320万~470万円といったところ。流通の中心となるグレードは「2.0 AUTECH」と「1.4 e-POWER AUTECH」で、ガソリンエンジンを搭載する前者は総額350万円前後にて、まずまず好条件な1台が見つかるでしょう。e-POWERを搭載する後者を探したい場合は、総額390万円前後がひとつの目安となります。
そして、見た目だけではなく「スポーティな走り」も求めたい人には2024年10月に追加された「1.4 e-POWER AUTECH スポーツスペック」が絶対のオススメとなるのですが、こちらは残念ながら2025年10月下旬現在3台掲載中で、走行距離の多い試乗車と2台の雹害車が総額405万円前後で流通しているのみです。
とはいえ、中古車が流通していること自体は間違いありませんので(※2025年10月下旬現在)、スポーツスペックに興味がある方はそれぞれの状態をご自身の目で確認しながら、本気で検討してみることをオススメいたします。
 
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日産 セレナ(6代目) × AUTECH系▼検索条件
日産 セレナ(6代目) × 1.4 e-POWER AUTECH スポーツスペック▼検索条件
日産 セレナ(6代目)
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。