フェラーリの維持費ってどれくらいかかるの? そんなリアルな疑問、専門店に聞いてきた!
2025/10/04

個体差はあるものの要所を押さえたメンテナンス次第
「自動車を愛好するすべての者」と書くと主語が大きすぎになってしまうが、自動車を愛好する「多くの者」にとっての憧れではある、フェラーリという車。しかしフェラーリは同時に、「その維持費はいくらぐらいになのか?」という部分が大いに気になってしまう存在でもある。
フェラーリの各モデルを「現実的なコスト」にて養っていくことは、果たして可能なのだろうか? フェラーリ用部品の卸会社としてスタートし、いつしか中部エリア最大級のフェラーリ専門店および専門ファクトリーとなっていった「T-WEST」の代表、小塚義巳さんに聞いた。

「『フェラーリの維持コストは実際のところ、いくらぐらいなのか?』というご質問はしばしば頂戴します。しかしそれにお答えするのは、あまりにもケースバイケースゆえに難しいというのが正直なところです」と、小塚さんは言う。
「例えば1990年代のモデルであっても、つまりF355や512TRなどであっても、整備の手がしっかり入っている個体であれば、せいぜいエンジンオイルとフィルターを定期交換するぐらいで普通に維持できてしまうケースもあります。しかしまったく手が入っていなかった個体の場合は、それこそ莫大な金額がかかってしまうこともある。それゆえ『いくらぐらい』という金額を、一般論として明示するのは困難なのです」
とはいえ、フェラーリのような車は「壊れるのはだいたいココ」と、おおむね決まっている。そのため、そういった箇所の部品が前オーナーによってしっかり交換されている個体であれば、その後どこか別の箇所が経年劣化で壊れるとしても、次回車検までの2年間ででかかるコストは「50万~100万円ぐらいで済むイメージでしょう」とも小塚さんは言う。
またT-WESTの場合はそもそも部品の卸会社であるため、フェラーリのメンテナンスを行う際の部品代は、一般価格と比べて2~3割は確実に安く済むとも言う。
そして488GTBなどの新しい世代については、「初期に発生したほとんどのトラブルは、正規ディーラーにてクレームとしてすでに解決されています。そのためあと5年ぐらいは、つまり2030年ぐらいまでは、さほどのお金をかけずに維持できることでしょう。もっとも、2030年以降については少々心配ですが」とのこと。


2年間で50万~100万円程度の整備費用は必要だが……
つまり結論としてはこういうことだ。
F355や512TRなどの1990年代系名車の場合は、整備の手がしっかり入ってきた個体だけを狙うようにする。そうでなければ458イタリアや488GTBなどの、比較的新しい世代を狙う。そうすればフェラーリであっても、いわゆる莫大な整備費用がかかることはほとんどない。しかしその場合でも2年間で50万~100万円ほどの整備費用は、どうしたって用意しておく必要がある――というのが、新旧フェラーリの維持費に関する実相であるようだ。
一般的なブランドの一般的なセダンやSUVなどを購入した場合、その個体が新車か、あるいはマトモな中古車であったならば、2年間で50万~100万円ものメンテナンス費用がかかる可能性はきわめて低い。その意味で、フェラーリの維持費は「やっぱり高い」ということになるのだろう。
しかしその一方で、一般的なブランドの一般的なセダンやSUVなどが、たかだか2~3年間ほどで100万円、200万円とリセール価格を大きく目減りさせていく場合も多いのに対し、フェラーリのそれはほぼ目減りしない。もちろんこれもケースバイケースではあるのだが、フェラーリという車は、購入価格とさほど変わらない価格で売却できることが多いものだ(時には、買った金額以上で売れる場合もある)。
そこを加味して考えるのであれば、コンディションの良いネオクラシック系または新しめな年式のフェラーリの維持費は「意外と安い」というか、「トータルコストは一般的な車種とおおむね同程度」と見ることもできるのだろう。

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