BMWのMとは違う“絶妙”な味を堪能できるオススメの「BMWアルピナ」モデル5選【2025年最新版】
2025/09/07

2025年に幕を下ろすアルピナ社だが、その中古車は永久に(?)不滅だ
ご承知のとおり2025年をもって、独立したコンプリートカーメーカーとしてのアルピナは、その歴史に幕を下ろすことになる。2026年以降のアルピナ車は、例えばメルセデス・ベンツ社におけるメルセデスAMGのような「BMW社内のスポーティで高級な商品ブランド」へと、その本質が大幅に変更されるのだ。
2026年以降のアルピナと名の付くBMW車がどのようなモノになるのか、正確なところはわからない。だがおそらく今後のBMW製アルピナ車は、7シリーズや8シリーズ、あるいは大ぶりなSUVなどをベースとするモデル、つまりビジネス的な付加価値が高い車種のみとなり、小ぶりな3シリーズなどをベースとするモデルは作られないことになるだろう――といわれている。
その話の真偽は不明だが、仮に3シリーズベースの「新たなアルピナ B3」が登場したとしても、その中身とテイストは、アルピナ社がこれまで作ってきたモデルとはかなり異なるものになるはずだ。
しかし、中古車市場を通じてであればいつまでも、いや「いつまでも」は大げさかもしれないが、少なくともこの先5年や10年の間は確実に、我々は「これまでどおりのアルピナ車」を手に入れることができる。
ならば今、我々は具体的には「どのアルピナ」を、中古車市場から調達すべきなのだろうか?
次章以降、具体的に検討してみよう。
▼検索条件
BMWアルピナオススメのアルピナモデル①|B3 ビターボ リムジン アルラット(現行、G20型)
→想定予算:総額1000万~2000万円

極論をいえば「アルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン社が作ったアルピナモデルであれば、どれを選んでもOK!」ということにもなるのだが、中古車を買ううえでは流通量というのもひとつのポイントとなる。つまり、そもそも少量しか生産されていないアルピナモデルは、それぞれのモデルの中古車流通量もきわめて少ない場合が多い。そのため「買いたくても、モノがないから買えない」という状況がしばしば発生するのだ。
そんな中でも中古車の数が相対的に多いのがB3、つまりBMW 3シリーズをベースとするアルピナモデルだ。
2025年8月下旬現在、リムジン(セダン)だけでなくツーリングやカブリオレなども含めたB3シリーズ全体の流通量は約55台で、ディーゼルターボエンジンを搭載するD3なども含めて数えると、約85台の中古車が流通していることになる。
それらの中から、車としてのクオリティと中古車流通量の両面から見た場合に「特に優れている」と考えられるのは、現行(G20型)BMW 3シリーズをベースとする現行型B3 リムジン アルラットだろう。
パワーユニットは、BMW M3/M4にも搭載されたS58型3L直6ビターボ(ツインターボ)がベースで、数値としては最高出力462ps/最大トルク700N・mということになる(※2022年4月以降の後期型は同495ps/同730N・m)。
しかし、重要なのは数値ではなく「質感」だろう。タービンやクーリングシステム、エンジンマネジメントなどにアルピナ独自のチューニングが施された結果、低回転域ではひたすら上質な、しかし高回転域まで回すとひたすらに強烈な、だがそれでいて上品でもある炸裂感を堪能できるのが、このユニットの素晴らしいところだ。
同世代の同型車といえるD3リムジン(ディーゼルターボエンジン搭載モデル)ももちろん素敵ではあるのだが、せっかくアルピナモデルに乗るのなら、この究極のガソリンエンジンこそを味わうべきだろう。
そんな現行型B3 リムジン アルラットの中古車は2025年8月下旬現在で11台ほどが流通しており、中古車価格は総額1000万~2000万円といったところ。かなり高額であるのが中古車としては玉にキズだが、この価格を「さほど高くはない」と思える人には、ベスト・オブ・ベストな選択肢だと思われる。

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BMWアルピナ B3(現行、G20型)オススメのアルピナモデル②|B3 ビターボ リムジン(先代、F30型)
→想定予算:総額570万~720万円

クオリティの面でも流通量の面でも、ベスト・オブ・ベストは前述した現行型B3 リムジン アルラットだが、総額1000万~2000万円という中古車価格が購入のネックになる場合も多いだろう。正直筆者も、そんな大金を拠出することはできない。
そうなったときに注目されるのが、1つ前の世代である先代(F30型)B3ビターボ リムジンだ。
こちらは、日本では2012年1月に発売された先代(F30型)BMW 3シリーズをベースとするアルピナモデル。
パワーユニットはBMWの3L直噴直6「N55」をベースに、アルピナ独自の鋳造アルミ製クランクケースや鍛鋼製クランクシャフト等々を加えたもので、そのスペックは、同型エンジンを搭載するBMW 335iを大幅に上回る最高出力410ps/最大トルク600N・m。排気システムには、排気音の特性が変化するアクティブエグゾーストバルブ付きのアクラポビッチ製マフラーが採用されている。
その他、当然ながら足回りにもいわゆるアルピナマジックが適用されており、スプリングやスタビライザーは独自に最適化されている他、アダプティブスポーツサスペンションや電子制御式ダンパーも標準装備となる。
総合的な諸性能は(当然ながら)後継モデルである現行型B3ビターボ リムジン アルラットの方が上であると考えられるが、それはあくまでも「相対的には」であって、先代B3ビターボ リムジン単体で見れば、これもまた究極の3シリーズであることは間違いない。
そんな究極の先代3シリーズは現在、総額570万~720万円付近で11台ほどが流通中。後期型であるB3 Sビターボ リムジンの流通量は激少だが、前期型B3ビターボ リムジンであれば総額600万円前後の現実的なプライスゾーンにて、グッとくる1台が見つかるはずだ。

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BMWアルピナ B3(先代、F30型)オススメのアルピナモデル③|B5 ビターボ リムジン アルラット(現行、G30型)
→想定予算:総額750万~1700万円

流通量がそれなりに確保されているゆえに、その中古車を狙うことができるもうひとつのアルピナモデルが、BMWの先代(G30型)5シリーズをベースに開発されたB5 ビターボ リムジン アルラットだ。
パワーユニットは、2025年1月にB8 GTが登場するまでは「アルピナ史上最強」だった最高出力608ps/最大トルク800N・mの4.4L V8ガソリンツインターボ。
車両重量1990kgとなる重量級リムジンであり、全長4960mmの大柄な車ではあるのだが、パワーとボディ剛性があまりにもハイレベルであるため、その重さと大きさをまったく感じさせないというのがこの車。ドイツのアウトバーンではポルシェ 911とまったく互角の走りができるが、911と大きく異なるのは、こちらは大人4人が快適に座りながら250km/hないし300km/hで巡航できるという点だ。
ちなみにこの車の最高巡航速度は330km/hで、それを可能にするための(揚力を抑えるための)フロント&リアスポイラーが装着されているわけだが、超絶強力な空力効果を発揮するスポイラーであるにもかかわらず、その見た目はあくまでもアンダーステートメント(控えめ)であるというのが、いかにもアルピナらしい部分である。
そんなG30型B5 ビターボリムジン アルラットの中古車は2025年8月下旬現在、平均価格約908万円にて7台ほどが流通中。マイナーチェンジを経た2020年6月以降の後期型は総額1300万円を軽く超えるが、前期型であれば、好条件な物件も総額800万円前後で検討できる。

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BMWアルピナ B5(現行、G30型)オススメのアルピナモデル④|B5 ビターボ リムジン(先代、F10型)
→想定予算:総額750万~1700万円

前述したG30型の1つ前の世代、すなわちF10型BMW 5シリーズをベースとするB5 ビターボ リムジンも、アルピナモデルとしてはそれなりの流通量が確保されている1台だ。
2010年7月に上陸したF10型アルピナ B5 ビターボ リムジンは、当時のBMW 550iが搭載した最高出力407psの4.4L V8ツインターボを同520psまでチューンしたパワーユニットを採用したスーパーセダン。
とはいえ常識的な速度で走らせる分には、最高出力520psのV8ツインターボエンジンに荒っぽいニュアンスや「いかにもターボエンジンっぽい感じ」は微塵もなく、むしろ大排気量自然吸気エンジンのようなスムーズさと心地よさを感じさせる。もちろんアクセルペダルを踏む足に少しだけ力を入れれば、ハイパワーターボ車ならではのとてつもない加速が開始されるわけだが。
これの前身であるE60型B5 Superchargeに採用されたスーパーチャージャーは、メンテナンスの面でいささか神経質な部分もあったが、こちらの4.4L V8ツインターボであれば、そういった心配もない。このモンスターは、ある意味安心して“飼う”ことができるのだ。
2025年8月下旬現在、F10型アルピナ B5 ビターボ リムジンの中古車は総額350万~550万円付近のレンジで6台ほどが流通中。総額500万円前後にて、悪くない1台が見つかるものと思われる。

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BMWアルピナ B5(先代、F10型)オススメのアルピナモデル⑤|B6 2.8/2リムジン(E36型)
→想定予算:不明

ここまでは「とりあえず買えること(それなりの数の中古車が流通していること)」を前提としながら、オススメのアルピナモデルを検討してきた。だが、ごく希にしか流通しないアルピナモデルの中にも、本気でオススメしたい1台はある。
それは「B6 2.8/2リムジン」という、1991年に登場した当時の3シリーズをベースとするアルピナモデルだ。
1991年に発売されたE36型BMW 3シリーズをベースとするアルピナモデルといえば、1993年に登場した「B3 3.0/1」または「B3 3.2」というモデルが最もメジャーな存在であり、今でもその中古車は数台が流通している。だが1993年以降のB3 3.0/1とB3 3.2は、さすがのアルピナ社も様々な合理化やコスト削減などを考えながら開発および製造されたモデルだった。
だが1991年に登場し、全世界でわずか181台だけが生産されたB6 2.8/2は、姿形こそ後のB3系とほぼ同じだが、中身はまったく異なっている。
エンジンのバランス取りは完璧に行われ、特別なビルシュタイン製ショックアブソーバーは1本ずつの細かな精度検査に合格したものだけが装着され、後のB3系では省略されたレカロ製の電動シートが純正装着され、そしてボディ各部は慎重かつ合理的に、手作業によって補強されている。
つまり、人々がイメージする「アルピナの工場で行われている製造工程」がリアルに行われていた時代の、おおむね最後の世代に属する1台が、B6 2.8/2リムジンなのだ。それゆえ――乗り比べてみれば誰でもわかるはずだが――後のB3 3.0/1やB3 3.2とは走行フィールはまったく異なっている。「これぞアルピナ!」としか言いようのないサムシングを感じさせてくれるのが、特に5MTのB6 2.8/2リムジンなのだ。
とはいえそんな超絶名車を手放す人は少なく、またそもそも全世界で181台しか製造されなかった希少車であるため、B6 2.8/2リムジンの良質な中古車は、市場にほとんど姿を現さない。
そんな「幻の深海生物」みたいな車をオススメするのも我ながらどうかと思うが、もしも良質なMT車のB6 2.8/2リムジンが市場に出てきたならば、ぜひとも迷わず即買いしていただきたいというのが、往年のアルピナモデルを愛する人々への筆者の心からの願いだ。

自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。
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