スズキ エスクード ノマド(初代)▲発表からほどなくして受注停止となったスズキ ジムニーノマド(5ドア)だが、中古車で流通している!?

「ノマド」は家族で乗れる本格SUVに与えられる名称

ジムニーファンが待ちに待った5ドア版、ジムニーノマドが今年1月、ついに国内で発売された。ところが、発表からわずか数日で約5万台もの注文を受け、ほどなくしてオーダーストップに。 現在の受注量は月間販売目標台数のなんと40倍だ。

予定した生産体制のままなら、最初の受注分を作るだけでも3年以上かかることになる。販売再開時期は未定。仮に注文できるようになったとしても、納車までにはとてつもない時間がかかるだろう。
 

スズキ ジムニー ノマド(現行型) ▲ジムニーシエラの5ドア版として登場したジムニーノマド

間もなく、当初の発売予定日を迎える。万にひとつの可能性もないと思うが、念のため中古車市場に出ていないかチェックしておこう。試しにカーセンサーの検索窓で「ノマド」と入力してみると……。

なんと1台がヒット! もしかしたらお宝的大発見では、と期待してクリックしてみると、そこにはジムニーノマドと似ても似つかぬ車があった。これはかの懐かしき、初代エスクード5ドア版「ノマド」じゃないか!

何を隠そう、スズキの「ノマド」といえば、こちらがオリジン。なんでも「ジムニーノマド」という車名はスズキの鈴木俊宏社長自ら提案したそうで、かつてコンパクトSUVの裾野を広げる役割を果たした「エスクード ノマド」の偉業を再現してほしい、との思いを込めたものだとか。

エスクード ノマドが新車として発売されたのはもう35年も前のことだが、今思い返しても良い車だった。実は私も学生時代に乗っていました!

ということで、今記事では本家のノマドである「エスクード ノマド」の魅力を改めて振り返ってみたい。生産終了から30年近くたって、まさかこんな日が来るとは……。
 

スズキ エスクード ノマド(初代) ▲エスクード(初代)の端正なルックスは5ドアになっても破綻しなかった(写真は海外モデルの「ビターラ」)
 

モデル概要:オンもオフも走れて家族で乗れる、画期的なモデルだった

5ドアモデルに「ノマド」という名前を最初に使ったのは、1988年に登場した初代エスクード。この頃、人気の四駆といえばランクルやパジェロ、ジムニーなど、構造がジープ然とした本格的なものばかり。「SUV」という呼び方もまだ日本では定着していなかった時代だ。

そうした状況下で、「シティ・ランナバウト」をテーマに掲げたエスクード(初代)の登場は画期的だった。軽く手取り回しの良いボディ、従来の本格四駆とは明らかに異なる洗練されたルックス(あくまで当時の視点)は、当時の自動車界隈に一大センセーションを巻き起こした、と表現しても過言ではない。
 

スズキ エスクード(初代) ▲3ドアはハードトップの他、手動開閉式のソフトトップもあった

フロントサスにマクファーソン・ストラット式を採用したのも当時の四駆としては革新的で、実際に運転感覚も乗用車的だった。それでいてローレンジ付きトランスファーを備えているから、オフロードもちゃんと走れる。リアサスペンションは「センターAアーム」という独特の支持方法を採用したリジッド式コイルで、ストローク量が豊か。この「センターAアーム」は当時のレンジローバーにも採用されていたものだ。

エスクード(初代)のデビュー時はハードトップとソフトトップ(幌)、貨物車登録となるバン、いずれも3ドアのラインナップしかなかったが、ファミリー層からの要望やスキー・ブームの影響を受けて、1990年8月に5ドア版を追加。そのグレード名が「ノマド」だった。
 

スズキ エスクード ノマド(初代) ▲ボディサイズは全長:3975mm×全幅:1635mm×全高:1700mmと現代の5ナンバーSUVより、ひと回りコンパクト

「ノマド」とは英語で「遊牧民」の意味。定住地を持たず、自由に移動しながら生活している人たちのことで、最近では「ノマドワーカー」という言葉が注目されましたね。エスクード(初代)では新しい時代のファミリーSUVであることを、その言葉で表現したというわけ。

軽快さはほぼそのままに、格段に広い後席と荷室が備わったノマドは、エスクード(初代)の人気を爆発させた。後に登場するトヨタ RAV4や日産 エクストレイルにも大いに影響を与えたことは間違いない。
 

スズキ エスクード ノマド(初代) ▲トランスミッションは5速MTの他に4速ATも設定。ベルトラインが低く、視界の良さは抜群だった

デビュー当初に搭載されたエンジンは1.6L 自然吸気ガソリン。ちょうどノマドの追加前月に8バルブから16バルブへと改良されたばかりだった。パワフルとは言えないものの、1.2トン程度の車両重量には十分な動力性能だ。

1994年12月には2L V6ガソリンエンジン、2L ディーゼルターボエンジンを追加。さらに、1996年10月には2.5L V6ガソリンエンジンが追加(代わりに2Lガソリンを直4に変更)され、充実したパワーユニットのラインナップとなった。
 

スズキ エスクード ノマド(初代) ▲当時の本格四駆に比べて手頃な価格設定も、ノマドが人気となった理由だ(写真は海外モデルの「ビターラ」)

エスクード ノマドの魅力を改めて振り返ると、快適で小気味よいオンロードでの走りと本格的なオフロード性能が共存していることに尽きる。ノマドの登場後、5ドアのコンパクトSUVは雨後のたけのこのごとく増えたが、これほど高い悪路走破性を備えていたモデルは他になかった。

エスクード(初代)は日本だけでなく、欧州やアメリカでも人気を博したモデルで、デザインにはどこか異国の風味がある。当時はモダン、今見るとややレトロに感じる外観や内装も魅力のひとつだ。
 

 

中古車紹介:流通量はごく少数、手に入れるなら今がラストチャンスかも

期せずして「オンリーワンを探せ」コーナーになってしまったエクスード ノマド。その1台をじっくりチェックしてみよう。

当該物件は1995年式・走行距離15.5万kmの「2.0 ノマド ゴールドウィン リミテッド」。スズキが得意とする、スポーツウエアブランドとのコラボ特別仕様車だ!

ボディカラーは専用のダークブルーとゴールドのツートーン。フロントには立派なバンパーガードとフォグランプも装着されている。これも当時の流行を思い出させてくれる装備でナイスですね。
 

スズキ エスクード ノマド(初代) ▲写真は海外モデルの「ビターラ」だが、外観デザインは「ノマド」とほぼ一緒。コンパクトなサイズで欧州でも大人気だった

リアゲートには自慢気に「V6」のエンブレムが。1995年当時、コンパクトSUVにとってV6は贅沢なエンジンだった。モデル後期に登場した2.5L V6ガソリン車はフロントまわりのデザインも豪華になったが、個人的には前期~中期型のシンプルなデザインが好みだったりする。
 

▼検索条件

スズキ エスクード(初代) × ノマド系グレード × 全国

こうなると気になるのが、3ドア車を含めたエスクード(初代)の中古車はどうなっているのか、ということ。こちらも検索してみると、8台がヒット。

生産終了から30年近く経っているとはいえ、ちょっと寂しい状況、しかもほとんどは3ドア・ハードトップ車だ。

しかし、先述の「ノマド」以外に1台だけ5ドア車が混ざっていた!

実はエスクード(初代)の5ドア車、当初は「ノマド」というグレード名だったが、1996年10月~1997年10月の後期型に限り、「ノマド」という名称が使われなかった。ということで、エスクード(初代)の5ドア車を探す方は、モデル全体から検索し、ドア数の条件設定で「5ドア」を選ぶのが正解だ。
 

スズキ エスクード ノマド(初代) ▲海外ではまだまだ現役で走っている姿を多く見かける。構造がシンプルなので、トラブルも少なめだ

この年式になると、塗装や内装が少々傷んでいるのは仕方のないところ。最初から綺麗にレストアされた物件を探すも良し、自分でコツコツ修復するのもまた楽しいだろう。前述のとおり基本設計は頑丈なので、オイル交換、ドライブシャフトブーツ、オルタネーター、ウオーターポンプの交換など、定期的なメンテナンスが行われてきた物件なら、問題なく乗れる可能性が高い。

さてさて、もうひとつの「ノマド」に注目してみた今回の企画。ジムニー ノマドに食指が動いた方なら、エスクード(初代)ノマドに狙いをシフトしてみるのもアリかもよ?
 

▼検索条件

スズキ エスクード(初代) × 5ドア × 全国
文/田端邦彦 写真/尾形和美、スズキ
※記事内の情報は2025年3月18日時点のものです。
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。