サンク ▲往年のルノー 5(サンク)がEVになって戻ってきた! というのはフレンチコンパクト愛好家にとって朗報ですが、日本に導入されるかどうかはまったくわからない――ということで、新型サンクの現地価格と同じぐらいの予算で狙える「代わりのイケてるヨーロピアンコンパクト」を探してみることにしましょう!

これは欲しいかも! でも、そもそも日本へ導入されるの?

フレンチコンパクトの名作であるルノー 5のコンセプトがEVになって現代によみがえった、ルノー 5 E-TECHエレクトリック。2024年に欧州で発表された同車は、このたび欧州カー・オブ・ザ・イヤー2025を受賞しました。

往年のルノー 5のイメージ(というか5ターボのイメージか?)を現代的な解釈で見事に昇華させたルノー 5 E-TECHエレクトリックの存在は、フレンチコンパクト愛好家のみならず大いに気になるところでしょう。

そしてルノー・ジャポンも日本への導入を検討しているようですが、あくまで「検討段階」とのこと。いつ日本で買えるのか、そもそも導入されるのかどうか、現段階ではまったくわかりません。
 

サンク▲助手席前方のダッシュボードやシートのサイドサポート部の形状などは「まんまシュペールサンク!」ということで、マニアは大興奮してしまうルノー 5 E-TECHエレクトリックだが、日本に導入されるかどうかはまだわからない……

導入されるかどうかまったくわからないモノをただただ待ち続けるのは、ストレスの源でしかありません。ということで、ルノー 5 E-TECHエレクトリックの現地価格(ベースモデルの場合で約400万円)と同じぐらいの価格で狙える、「ルノー 5 E-TECHエレクトリックの代わりになり得るモデル」を探してみることにしましょう。
 

 

ルノー 5 E-TECHエレクトリックの代わり①|ミニ ミニクーパー(4代目)
→想定予算:総額340万~480万円

元祖ルノー 5(または5ターボ)を現代の解釈でよみがえらせたEVがルノー 5 E-TECHエレクトリックであるならば、英国製の元祖ミニが現代の世によみがえった現行型ミニクーパーも、それと同種の存在だといえるでしょう。
 

サンク▲車名が「ミニクーパー」に変わり、EVも設定された4代目ミニ

ご承知のとおりドイツのBMWが2002年に復活させた「現代のミニ」は、2024年3月に発売された現行型(4代目)をもって車名を「ミニクーパー」へと変更。エンジン車の他にエレクトリック(EV)もラインナップするに至りました。

ボディサイズはルノー 5 E-TECHエレクトリックが全長3992mm×全幅1774mm×全高1498mmであるのに対し、ミニクーパーは「クーパーE」の場合で同3860mm×同1755m×同1460mmということで、おおむね同じぐらい。そしてパワーユニットの最高出力も184psですので、ルノー 5 E-TECHエレクトリックの150ps版より少々パワフルといったところです。
 

サンク▲新型ミニクーパーの運転席まわり。ミニの世界観は踏襲しつつ、今どきのシンプル系デザインに変更された

2025年2月現在、エンジン車を含むグレード別の中古車価格は以下のとおりです。

・クーパーE 3ドア(EV/184ps):総額340万~450万円
・クーパーSE 3ドア(EV/218ps):総額380万~490万円
・クーパーC 3ドア(1.5L 直3ターボ/156ps):総額350万~440万円
・クーパーS 3ドア(2L 直4ターボ/204ps):総額380万~470万円

「フレンチ」ではありませんが、「5 E-TECHエレクトリックの代わり」としては、いずれのグレードも素敵な選択肢であると思われます。
 

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ミニ ミニクーパー(4代目) × 全国
 

ルノー 5 E-TECHエレクトリックの代わり②|フィアット500e(初代)
→想定予算:総額280万~500万円

「往年の名作コンパクトがEVになってよみがえった」という意味では、イタリアのフィアット 500eもおおむね同種の存在といえます。
 

サンク▲こちらがフィアット 500のエレクトリック版であるフィアット 500e

1950年代から70年代にかけて大活躍したフィアット ヌオーヴァ500はご承知のとおり2008年、まずはエンジン車として現代の世に復活。そして2022年4月にはピュアEVの500eへと進化しました。

ボディサイズは全長3630mm×全幅1685mm×全高1530mmと、エンジン車であるフィアット 500と比べるといくぶん大きめですが、ルノー 5 E-TECHエレクトリックよりは若干小ぶり。パワーユニットは最高出力118ps/最大トルク220N・mのモーターおよび容量42kWhの駆動用バッテリーですので、5 E-TECHエレクトリックの120ps版におおむね相当します。

また、一充電あたりの航続可能距離(WLTCモード)は335kmですので、これも5 E-TECHエレクトリックとだいたい同じといっていいでしょう。
 

サンク▲ボディサイズもエンジン車の500とは異なる500eだが、インパネまわりのデザインもまったく異なっている。シフト操作はダッシュボード中央のスイッチで行う

フィアット 500eの、2025年2月現在の中古車価格は以下のとおりです。

・ポップ(ベースグレード):総額280万~350万円
・アイコン(上級グレード):総額300万~500万円

ベースグレードである「ポップ」は装備内容に若干不満があるかもしれませんが、LEDヘッドライトとオートハイビーム、17インチアルミホイール、レザーシート、シートヒーター、アダプティブクルーズコントロールなどが標準となる「アイコン」であれば十分、ルノー 5 E-TECHエレクトリックの代わりとして機能するはずです。
 

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ルノー 5 E-TECHエレクトリックの代わり③|プジョー 208(2代目)またはe-208(初代)
→想定予算:総額180万~470万円

シュペールサンク(1984年に発売された2代目ルノー 5)の時代はプジョー 205が、サンクのライバルというか競合車種でした。そして2025年の今、当時のライバルはプジョー 208またはe-208へと変貌しています。
 

サンク▲一世を風靡したプジョー 205 GTIの末裔といえる現行型プジョー 208。2024年10月にはフロントマスクのデザインが変更された

2020年7月に上陸したプジョー 208シリーズは、最新世代のプラットフォーム「CMP (Common Modular Platform) 」を採用した全長4095mm×全幅1745mm×全高1445mmのBセグメントハッチバック。「セイバー」と呼ばれる牙のようなデイタイムランニングライトもかなり特徴的です。

ガソリン車である「アリュール」と「スタイル」「GTライン」は最高出力100Pps/最大トルク205N・mの1.2L 直3ターボエンジンを搭載。

そして同時に登場したエレクトリックモデルe-208は、フロントに同136ps/同260N・mのモーターを搭載。2.6L 自然吸気エンジン並みの大トルクを生かした刺激的な走りを堪能できます。リチウムイオンバッテリーの容量は50kWhで、一充電航続距離は欧州WLTPモードで340kmです
 

サンク▲現行型プジョー 208の運転席まわり。2022年3月以降、エンジン車の8速ATのシフトセレクターは写真のタイプからトグルスイッチ式に変更されている

2025年2月現在、プジョー 208およびe-208の中古車価格は、おおむね以下のとおりです。

【208】
・アリュール:総額180万~320万円
・スタイル:総額200万円(※流通量希少)
・GTライン:総額180万~280万円
・GT(※2021年にGTラインから車名変更):総額210万~310万円

【e-208】
・アリュール:総額230万~350万円
・GTライン:総額190万~220万円(※流通量希少)
・GT(※2021年にGTラインから車名変更):総額220万~470万円

エンジン車でもエレクトリックでも、とにかくプジョーの新世代プラットフォームは出来が良く、その走行フィールはかなりのモノです。運転愛好家である場合が多いフレンチコンパクトファンの琴線に必ずや触れるはずですので、ぜひご注目ください。
 

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ルノー 5 E-TECHエレクトリックの代わり④|ルノー ルーテシアのE-TECHハイブリッド(5代目)
→想定予算:総額180万~470万円

プジョー 205の末裔が208であるならば、「5」の末裔は現行型ルノー ルーテシア(本国名クリオ)だといえるでしょう。

とはいえ当初導入されたエンジン車は、あくまでも「5 E-TECHエレクトリックの代わり」として見た場合には若干の“今さら感”もあるため、ここは2022年6月に追加されたハイブリッドモデルが適任かもしれません。
 

サンク▲こちらが現行型ルノー ルーテシアのE-TECHハイブリッド

2022年6月に追加設定されたルーテシアE-TECHハイブリッドは、全長4075mm×全幅1725mm×全高1470mmのフルハイブリッド車。システムはルノーが「F1で培った」とうたう独自のもので、最高出力91ps/最大トルク144N・mの1.6L 直4自然吸気エンジンに、同49ps/同205N・mの駆動用モーターおよび同20ps/同50N・mのスターター兼ジェネレーターと、これらを結ぶ「電子制御ドグクラッチマルチモードAT」および容量1.2kWhのリチウムイオンバッテリーという構成。

WLTCモード燃費値は、輸入車としてはトップクラスといえる25.2km/Lです。
 

サンク▲インテリアのデザインは正直、地味といえば地味。しかしこの地味さもルノーというブランドの一側面であり、これはこれで独特な味わいが感じられる

そんな現行型ルノー ルーテシアのハイブリッド車は2025年2月現在、おおむね下記の価格にて流通しています。

・E-TECHハイブリッド:総額240万~320万円
・E-TECHフルハイブリッド(※2023年1月に車名変更):総額260万~350万円
・E-TECHエンジニアード(※特別仕様車):総額320万円

いずれのグレードも中古車流通量がかなり少ないのがネックではありますが、ルノー独自のハイブリッドシステムによるシームレスで力強い走りとトップクラスの燃費性能は、この車の大きな魅力。

5 E-TECHエレクトリックと比べるとデザイン的な面白みにはやや欠けるかもしれませんが、車としての機能および味わいにおいては十分“代わり”になり得る1台です。
 

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ルノー 5 E-TECHエレクトリックの代わり⑤|ホンダ Honda e(初代)
→想定予算:総額260万~450万円

ここまでは欧州車ばかりを想定しながら「ルノー 5 E-TECHエレクトリックの代わり」について検討してまいりました。しかし冷静に考えてみたところ、すぐ足元にある国産車の中にも、ルノー 5 E-TECHエレクトリックに勝るとも劣らぬ「デザインの良さ」と「素晴らしい走り」が見事に同居しているEVがあることを思い出しました。

それは、2020年10月から2024年1月まで生産されたHonda eです。
 

サンク▲こちらがHonda e。どことなくではあるが、1972年に発売された初代ホンダ シビックを思わせる

Honda eは、名車といえる初代ホンダ シビックを現代的に昇華させたようなデザインをまとった、全長3895mm×全幅1750mm×全高1510mmのハッチバック型EV。

ホンダはこれを「航続距離は短めだが、その代わり軽快で痛快な走りが堪能できる都市型EV」として2020年にリリースしました。しかしWLTCモードで259kmという一充電航続距離はさすがに短すぎたのか、残念ながらヒットには至らず、2024年1月にはあえなく生産終了となりました。

しかし最高出力154ps/最大トルク315N・mのモーターを、EVとしては軽量な車体のリアに搭載し、そして後輪を駆動させることで生まれたドライビングプレジャーというか痛快感および軽快感は半端ではありません。また内外装デザインも、初代シビックのオマージュと思われるテイストながら、単なる懐古趣味には終わっていない、「現代の目線と志」が感じられる好ましきものです。

とはいえ「航続距離が短い」という難点はあるのですが、ホンダが意識したとおりの「ご近所スペシャル」として使うのであれば、十分以上に「ルノー 5 E-TECHエレクトリックの代わり」として機能するでしょう。
 

サンク▲木目調の装飾と、ダッシュボード全面に備えられたディスプレイが特徴的なHonda eのインテリア

そんなHonda eの、2025年2月現在の中古車価格は以下のとおりです。

・ベースモデル:総額240万~330万円
・アドバンス:総額240万~450万円

上級グレードである「アドバンス」でも総額280万円前後でかなり好条件な1台が見つかるはずです。この種の「デザイン性と走りに優れるコンパクトカー」がお好きであれば、ぜひチェックしてみることをオススメいたします。
 

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文/伊達軍曹 写真/ルノー、ミニ、ステランティス、ホンダ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。