BMW 3シリーズ(7代目)▲同社の中では最も小さいFR(フロントエンジン・フロントドライブ)セダンだが、それでも現行型(7代目)3シリーズの全長は4700mmを超え、全幅も1800mm超となる

現行型3シリーズもデビューから5年が経ち、中古車平均価格の下落が顕著に

円安の影響や、原料費の高騰、輸送コストの増加などを背景に、輸入車の値段が上がっている。BMWの中核モデルである現行型(7代目)3シリーズも例外ではなく、登場した2019年3月からの5年間で、一部改良やマイナーチェンジに合わせた価格の変更も含めると、すでに10回も改定が行われている。実に年2回のペースだ。

直近では2024年3月にも価格改定が行われており、エントリーグレードの318iで6万円、人気グレードの320i Mスポーツでは10万円ほど価格が高くなった。

一方で、中古車の平均価格は下がっている。しかも2023年以降は下落傾向が鮮明になっており、2022年の1年間の下落額は19.2万円だったが、2023の1年間では41.5万円も下落。2023年12月には400万円を切った。

そして、2024年に入っても引き続き下落は続き、3月には388.3万円まで落ちてきた。これは1年前の2023年3月と比べて31.2万円も安い。
 

BMW 3シリーズグラフ

下落の理由は中古車流通量の増加だろう。2022年初頭には月間延べ掲載台数が500~600台だったものが、2024年3月時点では848台と300台近く増えている。デビューから5年が経ち、2度目の車検のタイミングで手放す人が増えたため、流通量が増えたのかもしれない。

需要(ニーズ)と供給(流通量)のバランスで決まることが多い中古車価格だが、現行型3シリーズもしっかりとこれに当てはまっていると言えそうだ。

いずれにしても、今こそ3シリーズの中古車を手頃な価格で手に入れるチャンスだ。では、今中古で現行型3シリーズを狙うなら、どんなものを選べばいいのか? モデル概要を振り返りながら探っていこう。
 

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最新装備の充実ぶりが目をひくプレミアム・スポーツ・セダン

BMW 3シリーズ(7代目)▲同社の象徴でもあるキドニーグリルは、従来2つのパーツに分かれていたが、現行型(7代目)では1つのフレームで縁取られた

2019年3月に日本へ登場した現行型(7代目)BMW 3シリーズ。フロントにエンジンを置き後輪を駆動させる、セダンとしては王道のFR(フロントエンジン・フロントドライブ)レイアウトを採用している。操舵する車輪(前輪)と駆動させる車輪(後輪)が分かれて、前後重量配分を50:50にしやすいFRは、「駆けぬける歓び」を掲げるBMWお得意のレイアウトだ。
 

BMW 3シリーズ(7代目)▲旧型(6代目)に比べ全長は+70mmの4715mm、全幅は+25mmの1825mm

同社が「プレミアム・スポーツ・セダン」と呼ぶだけあり、最新機能が充実している。例えば3眼カメラを用いる先進運転支援機能「ドライビング・アシスト・プロフェッショナル」は同社として日本で初めての導入となり、一部グレードを除き全車に標準装備された。

このドライビング・アシスト・プロフェッショナルとは、ざっくりと言えば、高速道路では渋滞時を含めてドライバーがアクセル・ブレーキ操作をしなくても安心して走行でき、衝突被害軽減ブレーキも単に急ブレーキをかけるだけでなく、事故を回避するためのステアリング操作も自動で行ってくれるというものだ。

さらにデビュー約2ヵ月後の2019年5月からは、高速道路での渋滞時に手放し運転が可能になる「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」も装備されるようになった。

また、最新の音声認識機能「BMW インテリジェント・パーソナル・アシスタント」も全車標準装備された。AIを活用しているので、より自然な会話でエアコンの温度設定やカーナビの目的地設定などができる他、使用頻度に応じてドライバーの好みを勉強していくので、乗るほどに“自分専用のアシスタント”に育っていく。

オーディオやカーナビなどが操作できるインパネ中央のタッチ式のコントロールディスプレイは、機能によっては音声やジェスチャーで操作することもできる。もちろん、スマートフォンとの連動も容易だ。
 

BMW 3シリーズ(7代目)▲フラッグシップセダンの7シリーズ(当時の5代目)と同様、液晶ディスプレイに表示されるデジタルメーターと、インパネ中央にタッチ式の12.3インチディスプレイが全車に標準装備された
BMW 3シリーズ(7代目)▲フロントシートは、320i SEを除き電動シートとなり、シートヒーターも標準で備わる
BMW 3シリーズ(7代目)▲トランク容量は480L。320i SEを除きリアバンパー下に足を振ると開くことができる

エンジンのバリエーションが豊かなのも3シリーズの特徴。そのため中古車を選ぶ際はその変遷を抑えておきたい。

まずデビュー当時に用意されたのは、最高出力184psの2Lターボ(320i系)と、同じく2Lターボながら最高出力が258psまで高められた2Lターボ(330i系)の2種類。

さらに、2019年5月には2Lディーゼルツインターボ(320d系)と2Lターボ+モーターのプラグインハイブリッド(330e系)、3Lターボ(M340i系)が、2020年8月には最高出力156psの2Lターボ(318i系)が追加された。

なお、2Lディーゼルツインターボ(320d系)と3Lターボ(M340i系)には4WD(xDrive)が組み合わされる。

2022年9月にはマイナーチェンジが行われた。なお、このときエンジンラインナップの変更はなく、原稿執筆時点まで変わっていない。

マイナーチェンジではエクステリアデザインが変更され、よりシャープ&ワイドな印象になった。一方、インテリアではメーターパネルとコントロールディスプレイを一体化させたデザインに変更されている。

さらにシフトレバーが廃止され、代わりにトグルスイッチ式となったのも、マイナーチェンジのトピックだ。
 

BMW 3シリーズ(7代目)▲マイナーチェンジ後のエクステリアデザイン。デイタイムライトが入った最新のヘッドライトが採用され、同社伝統のキドニーグリル内にある縦バーが二重(ダブル)になった
BMW 3シリーズ(7代目)▲リアコンビネーションライトは前期型より細く水平になっている
BMW 3シリーズ(7代目)▲マイナーチェンジ後のインテリア。デザイン変更に伴い、コントロールディスプレイは14.9インチに拡大された。また、シフトレバーがなくなったので、代わりにステアリングのパドルシフトが全車標準装備となった

原稿執筆時点での掲載台数は約590台。中古車価格は約375万円で、平均走行距離は約2.2万kmと3万kmにも満たないといった状況だ。また、掲載台数の7割以上がディーラー車だというのも特徴の1つと言えるだろう。

この中から、オススメの現行型(7代目)3シリーズを検討してみよう。
 

 

オススメ1|とにかく安く3シリーズを手に入れたいなら「320i Mスポーツ」

BMW 3シリーズ(7代目)▲320i Mスポーツは専用のアルミホイール(写真はオプション)の他、Mスポーツサスペンションも備わる

とにかく現行型(7代目)3シリーズを安く手に入れたいなら、やはりデビュー時からラインナップされていたエントリーグレードの320i……なのだが、実は流通量がとても少ない。原稿執筆時点でカーセンサーには20台に満たない台数しかない。

それでも走行距離3万km未満でディーラー車でも総額約260万円から、1km未満のディーラー車でも総額約300万円から見つけられるのは、手頃な価格で現行型(7代目)に乗りたい人には魅力的だろう。労力を惜しまず手に入れたい人はぜひ探してみてもらいたい。
 

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とはいえ、もっと手軽に比べて選びたい、あるいは、できるだけ地元で見つけたいのであれば、やはり流通量の多い320i Mスポーツがオススメだ。

「プレミアム・スポーツ・セダン」の3シリーズゆえ、同社のスポーツ部門であるM社製の専用内外装パーツが備わる“Mスポーツ”は、どのエンジン搭載でも人気が高いのだ。

原稿執筆時点の掲載台数は、素の320iより圧倒的に多い約170台。現在の新車時の車両本体価格は686万円だが、走行距離3万km未満・2019年式のディーラー車でも総額約300万円、同1万km未満でも総額約350万円から探すことができる。

たった走行距離1万km未満で新車のほぼ半値から狙えるのだから、お買い得感は十分あるだろう。
 

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オススメ2|ディーゼルグレード狙いなら「320d xDrive Mスポーツ」

BMW 3シリーズ(7代目)▲320dに搭載された 2LディーゼルツインターボはBMWとして初採用という、最新エンジンだ

車好き、中でも走ることが好きな人にとって燃料費高騰が続く昨今は、我慢の日々が続いているが、2Lディーゼルツインターボを搭載する320d xDrive Mスポーツなら、燃料費を抑えやすく、かつ気持ちよく走り回ることができるだろう。

そもそもガソリンよりも安い軽油を用いて燃費もよいディーゼルエンジンだが、特に同社の2Lディーゼルツインターボは、トルクが太く低速域からアクセルペダルにリニアに反応し、アクセルをひと踏みしたときの加速力も格別だ。そして、ディーゼルの割には気持ちよく回るため、ガソリン派でも十分満足できる可能性が高い。

また、備わる4WD(xDrive)は悪路走破のためというより、四輪で路面を蹴る方がより速く安全に走れる、という考えのもの。まさに、“Mスポーツ”を冠するにふさわしいグレードと言えるだろう。

原稿執筆時点でカーセンサーの掲載台数は約160台と、上記320i Mスポーツに次ぐ多さだから比較して選びやすい。現在の新車時の車両本体価格は728万円だが、走行距離3万km未満・2019年式のディーラー車なら総額約340万円と約半額から、同1万km未満でも総額約390万円から探すことができお買い得感が高い。
 

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BMW 3シリーズ(7代目・現行型)×320d xDrive Mスポーツ×全国
 

ちなみにハイパフォーマンスモデルの「M340i xDrive」の状況は?

BMW 3シリーズ(7代目)▲最高出力387ps、最大トルク500N・mを発揮する3Lの直列6気筒ターボを搭載するM340i xDrive。0-100km/h加速は4.4秒

駆けぬける歓びを味わえるBMW、中でも中核モデルであり、2代目(E30型)をベースにしたM3が、Mモデルのアイコン的存在になっている3シリーズなら、やはり“Mパフォーマンス”を検討したいと思う人も多いはず。

ご承知のとおり、現在BMWのモータースポーツ部門を担うM社は、先のM3に代表される「Mモデル」に加え、「Mパフォーマンス」「Mスポーツ」という3種類の“M”を開発している。

3つの“M”はそれぞれ特徴があり、ざっくり言えば、サーキット走行も視野に入れてチューニングされた最強マシンが「Mモデル」、エンジンのパワーアップとそれに見合うシャシーに仕上げられたモデルが「Mパフォーマンス」、同社のモータースポーツの知見を生かしたエアロパーツなどの内外装品を備えた「Mスポーツ」、といったところ。

M340i xDriveはこのうちのMパフォーマンスにあたり、サーキットまでいかなくても、スポーツ走行は楽しみたいという人にピッタリなモデルと言えるだろう。しかもM340i xDriveは、現行型(7代目)3シリーズで唯一の直列6気筒エンジンを搭載するモデルでもある。

BMWファンならば、気持ちよく回る様がしばしば「シルキーシックス」と評される同社の“直6”に、一度と言わず何度でも乗ってみたいのではないだろうか。

そんなM340i xDriveだが、ハイパフォーマンスモデルということもあり、現在の新車時の車両本体価格は1086万円となかなか手が届きにくい価格。

しかし、中古車ならばしっかりと値落ちは進んでおり、原稿執筆時点で走行距離3万km未満・2019年式のディーラー車が総額約550万円から見つけることができる。

そして、掲載台数も40台ほどあり(これは素の320iよりも多い)そこそこ選べるといった状況ゆえ、ぜひ中古車も検討してみることをオススメしたい。
 

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BMW 3シリーズ(7代目・現行型)×全国

※記事内の情報は2024年5月8日時点のものです。

文/ぴえいる、写真/BMW、篠原晃一

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。先日、中古車のホンダeも加わった。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。