Aクラスセダン ▲車がなくても釣りに行くことはもちろん可能ですが、しかし車があった方が、より便利で快適な釣行が可能になることも間違いありません。であるならば、もしもこれから「釣り車」を買うとしたら、我々はどんなボディタイプのどんなモデルを選ぶべきなのでしょうか?

「釣りに向いている車」ってどんな車なんだ?

いきなりですが、釣りはいいモンです。釣れればもちろん楽しいですし、仮に坊主(まったく釣れないこと)だったとしても、なんだかんだで結論としては釣行そのものを楽しめたりもします。

で、釣りは「車」がなくたって始めることはできますが、車があった方が何倍も便利であることは間違いありません。

そして、極端な話をすればスーパーカーみたいな車で釣りに行くことも不可能ではないのですが、やっぱり「釣りに向いてる車」で釣行に出る方が、明らかに便利ではあります。そして釣果も、そういった車を使う場合の方が期待できるのかもしれません(もちろん釣りに向いてる車があれば必ず釣れる、ってモノでもないのですが……)。

ということで本稿では「釣り車を選ぶ際のポイント」と、「具体的な車種としては結局どれがオススメなのか?」ということを、ビシッと研究してまいりたいと思います。
 

目次

 

釣り車の選び方・ポイント

「釣り車」を選ぶ際は、そもそもどんな点を重視しながら探せば良いのでしょうか? あらためて、超基本的な部分から考えてみましょう。

■まずチェックすべきは「積載性」

携行するタックル(釣り具)の量や種類は釣り人によって様々ですが、結論としては、分割したとしてもけっこうな長さになるロッド(釣り竿)や、どうしたってそこそこかさばるクーラーボックスなどをスムーズに積み込み、なおかつ現場でそれらをスムーズに降ろせる車でなければ、釣り車としての用をなしません。

そのため、釣り車を探す際には「積載性」こそをまず第一にチェックするべきでしょう。

といっても「積める量が多ければ多いほどエライ!」というわけではありません。

トヨタ ハイエースのような「かなり積めるし、なんだったらさらに車中泊もできる」という車が、釣り車に向いているのは確かです。しかし「日帰りの、ちょい投げに近いレベルの釣りをのんびり楽しみたい」という人にとっては、ハイエースのような車は明らかにオーバースペックでしょう。

そのため、積載性を検討する際には以下の観点でチェックしてみることをオススメします。

・荷室は非独立式のつくりか?

セダンやクーペが用いている独立式トランクであっても、タックルを積むことはできます。しかし、独立式トランクは「その出し入れ」がちょっと面倒ですので、釣り車の荷室は、SUVやハッチバックなどが採用している「非独立式」である方が好ましいでしょう。
 

Aクラスセダン▲セダンのように固定のフタが付いている独立式のトランクルームではなく、ハッチバックやSUVのような「ハッチゲートの先に、室内直結の荷物置き場がある」というラゲージスペースをもつ車の方が、釣り車としては圧倒的に向いている

・車のサイズは「自分の釣行スタイル」に合っているか?

大きな車を買えばいいってものではありませんが、自分が使おうとしているロッドや道具が収まらないことには話になりません。自分の道具とスタイルに合った「車両としての適切なサイズ感」を見極めるようにしてください。
 

Aクラスセダン▲釣り車に必要なボディサイズは、釣りのスタイルによって変わってくる。大量のタックルは携行せずにソロで釣りをするのがメインであれば、スズキ ジムニーぐらいのサイズで十分な場合もある

■自分の釣行スタイルに合った「走破性」

エリア(管理釣り場)のみで釣りをする場合はその限りではありませんが、一般的には、そこそこのダートやデコボコした道を走ることもあるのが釣行というものです。特に渓流釣りをしたい場合には、舗装路を外れて渓流の比較的近くまで車で行く場合が多いため、ある程度以上の走破性は必須となります。

とはいえこれも荷室のサイズと同じで、「走破性は高けりゃ高いほどいい」というわけでもありません。

ハードコアな渓流を目指すならスズキ ジムニーぐらいの四駆性能がないとキツいかもしれませんが、「サーフでヒラメを狙いたい」みたいな場合は、何も砂浜を車で走るわけではありません。そのため「ちょっとデコボコしているかもしれない砂浜周辺の未舗装路」を普通に走れるぐらいの走破性でも十分なわけです。

ハードコアな世界を目指すならフルタイム4WD車またはパートタイム式4WD車がベストですが、そうでないならば「最低地上高がまあまあ高いFF車」でも十分です。ここはご自分の釣りスタイルに応じて柔軟に検討してください。
 

Aクラスセダン▲写真上の三菱 デリカミニの4WD車は「超本格的な4WDシステムを備えている車」というわけでもないが、釣り場の近くにあるちょっとしたダートを走る程度であれば、超本格的な4WDシステムは特に必要なかったりもする

■遠征の際に効いてくる「燃費性能」

世の中には「自宅のすぐ裏が釣りの穴場ポイント」みたいな人もいらっしゃるでしょうが、大抵の場合、車で1時間から3時間ほど走った先のポイントを目指すものでしょう。筆者の場合でいえば、都内から千葉の南房総まで行って釣りをするとなると、往復で200km以上は走ることになります。

となると、実燃費が3km/Lぐらいの極悪車で行くと破産してしまいますので、どうしたって「燃費のいい車を選ぶこと」が、釣り車選びにおいてはけっこう重要なポイントになります。

「リッター●km以上ならOK!」みたいな明確な基準は特にありませんが、まぁ心情的にはカタログ燃費が15km/L以上の車を選びたいところです。
 

 

釣り車として使いやすい人気のボディタイプは?

どんなボディタイプであっても釣り車として使えないことはありませんが、やはり「向き・不向き」はあります。釣りをする人の間では今、以下のボディタイプが人気を集めているようです。

■軽自動車

釣り車として意外と(?)人気なのが軽自動車です。セダンタイプと呼ばれているかなり小さな軽は、さすがに釣りにはあまり向いていません。しかし、ワンボックスタイプやSUVタイプ、あるいは軽スーパーハイトワゴンと呼ばれるタイプであれば、以下のようなメリットを享受できるでしょう。

・1人分のタックルなら十分積める

さすがに複数人数分のタックルを積むのはキツいですが、1人分であれば普通に十分です。また、その気になれば車中泊も可能です(※1人なら)。

・車幅が狭いゆえに現地での機動性に優れる。

幹線道路を外れて釣り場まで行く際には、けっこう狭い道を通ったりもします。そんなとき、車幅が広い車だと「側面をこすらないかな?」とか「ボディが木の枝に触れてキズが付かないかな?」などの心配がストレスになるものです。しかし、最大でも全幅1480mmでしかない軽自動車であれば、どんな道でもほぼノーストレスでスイスイ走っていけます。

デメリットとしては「長距離を運転するのはちょっとキツい」というのがあるのですが、ターボ付きエンジン搭載車を選ぶようにすれば、長距離運転時のストレスは軽減されるでしょう。
 

Aクラスセダン▲写真上のような「背が高い軽自動車」は機動力も高く、実は釣りに向いている。また、エンジンを運転席の下に配置している軽バン(スズキ エブリイなど)もかなりオススメだ

■コンパクトカー

コンパクトカー(排気量1~1.5Lぐらいの小型ハッチバック)も、軽自動車と同じく、意外と釣りに向いています。といいますか、軽自動車の欠点(とはいえさすがに小さい/長距離を走るのはちょっとツラい)を解消したうえで、「小ぶりゆえに機動力バツグン」というメリットを享受できるのが、釣り車としてのコンパクトカーです。

こちらも「3人以上での釣行」や「大型&大量のタックルが必要となる釣り」には不向きですが、1~2人でごく普通の釣りを楽しみたいのであれば、割と普通に十分です。そして燃費も、ハイブリッド車であればかなり良好な場合が多いものです。
 

Aクラスセダン▲積めるタックルの量に限界はあるが、さほどたくさんのタックルを必要としない釣りをするのであれば、コンパクトカー(小型のハッチバック車)でも十分に釣り車として活躍できる

■SUV

後述するミニバン/ワンボックスカーと並んで、ボディタイプとしては「最強の釣り車」といえるのがSUVです。

コンパクトカーよりも大柄である場合が多いためタックルは積載しやすく、車中泊や、「朝マズメから夕マズメの間の仮眠」なども行いやすいはず。そして、最低地上高がそこそこ高いため、デコボコ道でも、下回りなどをぶつける心配をあまりしないで気楽に走ることができます。

特にデメリットはない「釣り車としてのSUV」ですが、強いて言うとすれば「ハイブリッドのコンパクトカーほどの燃費性能は期待できない」ということでしょうか。
 

Aクラスセダン▲十分な量のタックルを載せることができ、なおかつ最低地上高も高いため、ポイント付近のデコボコ道なども楽勝で走破できる場合が多いのが、写真のようなSUVタイプの車だ

■ミニバン・ワンボックスカー

先ほど挙げたSUVと並んで、ボディタイプとしては最強といえます。つまり「タックルがたくさん積める/その出し入れもしやすい/車中泊や仮眠もラクにできる/デコボコ道もまあまあイケる」ということです。

デメリットとしては「釣行スタイルによってはオーバースペックになる」ということと、箱型の大柄な車であるため「長距離高速走行が、流線型の車と比べれば得意ではない」ということ、そして「空気抵抗がデカくて車重もあるため、燃費はさほど伸びない」という点が挙げられます。
 

Aクラスセダン▲3列目シートを格納してしまえば、かなり大量のタックルを積むことも可能なミニバン。また釣りには付きものである「仮眠」や「車中泊」を行いやすいというメリットもある

■ステーションワゴン

ミニバンおよびSUVが主流となる前は、ステーションワゴンこそが「最強の釣り車」だったかもしれません。フラットで広い荷室はタックルの積載と出し入れが非常に便利で、走行性能的にはセダンとおおむね同等の高いレベルにあるため、行き帰りの運転もほぼノーストレスです。

デメリットとしては、最低地上高がさほど高くはないため、釣り場に近い場所のデコボコ道では下回りなどをちょっとぶつけてしまう心配もある――ということが考えられます。
 

Aクラスセダン▲最低地上高がさほど高くない点だけはややネックだが、積載量や出し入れの容易さはSUVやミニバンと同様で、空気抵抗が小さいフォルムゆえ、行き帰りの高速道路などでの運転はかなりラクなのがステーションワゴンの特徴だ
 

釣り車にオススメの軽自動車4選

 

スズキ ジムニー(4代目・現行型)

ジムニー▲超本格派の軽オフローダーだが、現行型はスタイリッシュでもあるということで大ヒット作となったスズキ ジムニー

「釣り車にオススメの軽自動車」といえば、真っ先に挙げられるのがこちらでしょう。山奥の発電所や豪雪地帯などで働く人々のために作られた軽オフローダーで、4代目(現行型)は2018年7月に発売されました。

「ジムニーで走って行けない場所はない」としばしば言われますが、これは本当にそのとおりかもしれません。悪路走破性はとにかくバツグンであり、車幅が狭い軽自動車ですから、木々が生い茂った狭い道などもスイスイ進んで行けます。

また、オンロード(舗装路)での乗り味も悪くありません。3代目までのジムニーは、悪路走破性能がバツグンな代わりに、オンロードでの走行性能にやや不満もありましたが、4代目はそこもおおむねOKです(オンロード専用車よりは若干劣りますが)。
 

ジムニー▲軽自動車規格ゆえ荷室は狭いが、ジムニーに乗っているたいていのアングラーは写真のように後席を倒しているので、荷室容量にさほどの不足はない

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三菱 デリカミニ(初代・現行型)

デリカミニ▲発売前から、その絶妙なビジュアルにより予約が殺到した三菱 デリカミニ

三菱 デリカミニは、2023年5月に発売されたSUVテイストを併せもった軽スーパーハイトワゴン。その絶妙に愛らしいビジュアルにより、現在大ヒット中です。

駆動方式は2WDと4WDがあり、4WDの方でも、スズキ ジムニーほどの圧倒的な悪路走破性能をもち合わせているわけではありません。そのため、ディープな渓流釣りをしたい人などにはあまりオススメできませんが、一般的な釣行、すなわち「主には舗装路を走っていき、現場近くでちょっとしたダートやデコボコ道も走る」という使い方であるならばデリカミニの4WDでも十分ですし、何なら2WDでも問題ないかもしれません。

また、全高1830mmという背の高い車であるため、市販のロッドホルダーを活用すれば、車内の天井近くのスペースを有効に活用することができます。ソロでの釣りであれば、車中泊や仮眠も普通に可能でしょう。
 

デリカミニ▲こちらも後席の背もたれを倒して使うようにすれば、ラゲージスペースは普通に広くなる

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スズキ ハスラー(2代目・現行型)

ハスラー▲2代目のハスラーとして2019年12月に登場した現行型スズキ ハスラー

いわゆるSUVタイプの軽乗用車です。全高1680mmということで、三菱 デリカミニほどの背の高さはないのですが、普通に1~2人分のタックルを積むには十分であり、なおかつ背が高すぎないゆえに空気抵抗が少なく、結果として長距離を走る際のストレスが少ないという美点もあります。

ちなみにハスラーのターボ付きエンジン搭載グレードにはACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール=高速道路で前方を走っている車を自動的に追従してくれる装置)も付いているため、高速道路をさほど疲れることなく走ることができます。

後席の背面とラゲージフロアは汚れや水分を拭き取りやすい素材であるため、釣りをした後のウェーダーなどを載せて汚れても、簡単にお手入れ可能。また、簡単に取り外せて、丸ごと洗うこともできる「防汚タイプ ラゲッジアンダーボックス」も標準装備です。
 

ハスラー▲写真のギアは釣り用というよりはキャンプ用のものだが、「遊べる軽」を標榜しているハスラーだけあって、この種のアクセサリーは豊富に用意されている

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ホンダ N-BOX+(初代)

Nbox▲通常のN-BOXよりも荷室が広くなるように設計されているホンダ N-BOX+。写真は上級ラインであるN-BOX+カスタム

ホンダ N-BOXは「日本で一番売れてる車」と言っても過言ではない軽スーパーハイトワゴン。その初代モデルの派生車種として2012年7月に登場したのが「ホンダ N-BOX+」です。

N-BOX+の全長と全幅は初代N-BOXと同一で、全幅もN-BOX+の方が1cm高いだけですが、荷室のつくりは大きく異なっています。

荷室の奥行きは初代N-BOXの約1.5倍に相当する630mmで、3枚のボードで構成されるフロア部分は、ボードの配置を変えることで様々なアレンジが可能。積載するタックルの高さに柔軟に対応することもできますし、後席のダイブダウンと併せてフラットなスペースを作り出すことも可能。さらに「ベッドモード」にすれば、足を伸ばして快適に寝られるだけのスペースを作ることも可能です。

釣り車として軽自動車を使う場合は、「後席を後席として普通に使う機会」はほとんどないはず。であるならば、最初から後席&荷室を「使い倒すための場所」として割り切って設計しているホンダ N-BOX+は、アングラー(釣り人)にとってはかなりナイスな選択肢となるはずです。
 

Nbox▲後席のヘッドレストをはずしてダイブダウンさせ、マルチボード(大)を下段に、マルチボード(小) をその前方に装着すれば、長さ1380mmの低くフラットな荷室が完成する

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釣り車にオススメのコンパクトカー4選

 

日産 ノート(3代目・現行型)

ノート▲こちらが2020年12月に発売された3代目日産 ノート

3代目日産 ノートは、日産がe-POWERと呼んでいるハイブリッドシステム(エンジンは発電に徹し、そこで作った電気で動くモーターが車を駆動させる方式)を採用しているコンパクトカー。走りはとても活発で、内外装デザインもコンパクトカーとしてはかなりしゃれています。

2代目ノートと比べて荷室容量自体は増えているのですが、車の全長と荷室の奥行きが少し短くなった関係で、タックルをガンガン積めるというタイプの車ではありませんし、車中泊もちょっと難しいでしょう(不可能ではありませんが)。

しかし、1人か2人で日帰り釣行に出るには十分な積載性は備えており、車中泊はともかく「仮眠」は普通に可能です。

3代目日産 ノートの「釣り車としての魅力」は、前述の活発なe-POWERによりストレスなく長距離高速走行ができるということと、それでいて燃費は良好であるということ(2WD車のWLTCモード燃費は28.4km/L)。さらに、日産自慢の運転支援システム「プロパイロット」が付いている中古車であれば、行き帰りの高速道路における運転はかなりラクになります。

また、本格的な2モーター式4WDを採用している「ノート X FOUR」であれば、釣り場へ行く途中の砂利が浮いているような道も、安心して走っていくことが可能です。
 

Aクラスセダン▲インテリアのデザインと質感は、コンパクトカーの一般的な水準を大きく超えるおしゃれっぷり。走りもなかなかイイ車であるため、行き帰りの運転もストレスを感じずに行えるはず

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トヨタ アクア(2代目・現行型)

アクア▲2021年7月に登場した2代目のトヨタ アクア

2代目トヨタ アクアは全長4050mm×全幅1695mm×全高1485mmの、ハイブリッド専用となるトヨタのコンパクトカー。最高出力91psの1.5Lエンジンに、同80psのモーターを組み合わせています。

2代目アクアの「釣り車としての特徴」は、前述した3代目日産 ノートとおおむね同じであるといえるでしょう。すなわち、大量のタックルを載せられるわけではないが、1~2名分であれば普通に十分であり、走りが良くて、なおかつ燃費も良いということです。

大きな違いは――というか、アクアの方がよりいっそう優れている点は「燃費」でしょう。

3代目日産 ノート2WD車の28.4km/LというWLTCモード燃費もかなりのモノではあるのですが、2代目トヨタ アクアのそれは「33.6km/L」という驚異的な数字です。実燃費は乗り方次第ですので、カタログどおりの数値になるとは限りませんが、カタログ値に近い数字であれば普通に叩き出せてしまうのが2代目アクアのすごいところです。

走りの気持ちよさは3代目日産 ノートの方が上だと個人的には思いますが、経済性(燃費)を重視したいなら、選ぶべきはこちらでしょう。
 

アクア▲写真の状態での荷室容量は291Lだが、デッキボードを下段にしたまま後席を格納すれば、荷室容量は704Lまで拡大される(※4WD車の場合は618L)

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スズキ ソリオ(4代目・現行型)

ソリオ▲従来型と比べて後部居住空間と荷室が広くなった4代目スズキ ソリオ

スズキ ソリオは「トールワゴン」と呼ばれるタイプのコンパクトカー。ちょっとミニバン的なフォルムの中に2列5人乗りのシートと、そこそこ広い荷室を備えています。

4代目スズキ ソリオの美点はいろいろとあります。まずは走りの安定性が非常に高いため、行き帰りの長距離運転も、コンパクトカーでありながら「疲れ知らず」なニュアンスで行うことができます。

そしてソリオは5ナンバーサイズの車なのですが、全幅は5ナンバー枠いっぱいではなく、あえて1645mmという、そこそこ狭い車幅に抑えられています。そのため前述した釣り場近くの細い道を走る際も、ボディのサイドをこすってしまう心配がかなり減少します。で、それでいて室内と荷室はけっこう広いというのも、4代目スズキ ソリオの美点です。

WLTCモード燃費は、マイルドハイブリッドのFF車の場合は19.6km/Lで、ストロングハイブリッドのFF車は22.3km/L。いずれも「超絶良好!」というほどではありませんが、「まずまず良好」ということができる数値です。
 

ソリオ▲後席は足元空間がかなり広い。荷室の床下には、2WD車の場合はサブトランクが用意されていて、4WD車では「ラゲージアンダーボックス」が備わっている

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日産 キューブ(3代目)

キューブ▲基本的には超スクエアなフォルムでありながら、エッジ部分には絶妙な丸みをもたせている3代目日産 キューブ

日産 キューブは「スペース重視」をコンセプトに作られたトールワゴン。絶妙にカワイイ感じの外観デザインと併せ、人それぞれの個性を生かせる車内の大空間で人気を集めた1台です。

ここで紹介するのは2008年から2020年まで販売された3代目の日産 キューブで、大ヒット作となった2代目の基本コンセプトを踏襲しつつ、基本性能と使い勝手にさらなる磨きをかけた世代です。搭載エンジンは最高出力109psの1.5L直4で、走りはハッキリ言って「ごく普通」という感じでしかありませんが、釣り車として使うにあたっての不足はありません。

この車の魅力は、その車名どおりキューブ(立方体)的な全体のフォルムにあるでしょう。それによりコンパクトカーでありながら車内は広く、十分な量のタックルを載せることも可能。そして身長170cmぐらいまでの人であれば、シートアレンジにより身体を伸ばして寝ることもできます。

また日産 キューブは、妙に座り心地がいいフカフカのシートも大きな魅力です。
 

キューブ▲シンプルなつくりのシートではあるのだが、これが妙に座り心地がいい。荷室は狭いが、後席を前方に20cmスライドさせればルアーボックスなどは普通に載せることができ、後席を倒してしまえば、当然ながら荷室空間はなかなか広大になる

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釣り車にオススメのSUV4選

 

スバル フォレスター(5代目・現行型)

フォレスター▲通算5代目となるスバル フォレスター。駆動レイアウトはシンメトリカルAWD

「理想的な釣り車」のひとつに挙げられるのがこちらです。スバル フォレスターは、スバルが1990年代から作り続けている中型サイズのSUV。駆動方式はすべてフルタイム4WDで、現行型(5代目)は2018年7月に発売されました。

現行型スバル フォレスターの何が理想的かといえば、まずは「行き帰りの運転が非常にラク」というのがあります。パワーユニットは2.5L自然吸気と、2Lエンジンにモーターを組み合わせたe-BOXER、そして1.8Lターボが用意されていますが、そのどれもが実用域での力強さに優れるナイスなユニットです。

そして、そんなパワーユニットが載る新世代の優秀なプラットフォームと「アイサイト」のおかげで、高速道路などを使っての長距離移動は「ほぼ疲れ知らず」と言っていいでしょう。

さらには、これまた優秀な、本格クロカン四駆にも匹敵する性能をもつフルタイム4WD機構により、荒れたデコボコ道でも何の苦もなく走破していきます。で、車内と荷室はタックルの積載にも車中泊にも、あるいは釣りの途中の仮眠にも十分な広さを備えていながら、ボディサイズは全長4640mm×全幅1815mm×全高1715mmと、狭めの道でもまあまあスイスイ走っていける寸法である――ということで、かなり「理想的」なのです。
 

フォレスター▲後席使用時の荷室容量は509~520L。床下には、かさばる小物や汚れたタックルなどをすっきり収納できる「カーゴフロアマルチボックス」が備わっている

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三菱 アウトランダー(3代目・現行型)

アウトランダー▲ツインモーター式の4WDプラグインハイブリッド車である現行型三菱 アウトランダー

前述の現行型スバル フォレスターより若干大柄にはなりますが、現行型三菱 アウトランダーもまた、釣り車としての理想的な資質を備えている1台です。

新開発のプラットフォームと組み合わされるボディのサイズは全長4710mm×全幅1860mm×全高1745mm。スバル フォレスターよりは狭い道を走るのが少しだけ苦手かもしれませんが、「居住性の意味でもタックルを積む意味でも、このぐらいの大きさがあった方が好ましい」というアングラーも多いでしょう。

パワートレインは、前後に2つのモーターを搭載するツインモーター4WDのプラグインハイブリッドシステムで、力強さは十分以上。プラグインハイブリッドですので、エンジンを使わずモーターのみでも83~87kmの距離を走ることが可能です(WLTCモード値)。

「S-AWC」という車両運動統合制御システムを用いている4WD機構もきわめて先進的で、路面状況や運転スタイルに応じてパワートレインなどの制御を切り替えるドライブモードセレクターには7種類の走行モードを用意し、あらゆる天候や路面状況において安全・安心で快適な走りが可能になっています。
 

アウトランダー▲2列目シートを起こしている状態でもスーツケース3個を収容可能。2列目を折りたたんだ場合の荷室長は最大2040mmに達する

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ボルボ XC40(初代・現行型)

XC40▲こちらが2018年から販売されているボルボ XC40

人によっては「しゃれた輸入SUVで釣りに行きたい」とも考えるでしょう。とはいえ輸入SUVはかなり高額になってしまう場合が多いのですが、スウェーデンの「ボルボ XC40」であれば、総額200万円台後半ぐらいの予算でも、なかなかのコンディションの1台を見つけることができます。

ボルボ XC40は、2018年3月に上陸したボルボのコンパクトSUV。コンパクトといっても「欧州目線でいうとコンパクト」ということですので、日本目線でいうなら、全長4425mm×全幅1875mm×全高1660mmのボディは「ミドルサイズに近いコンパクトサイズ」ということになるでしょう。よほど長さのあるモノでさえなければ、ボルボ XC40の荷室と車室は普通に十分な量のタックルを積載することができます。

現在、ボルボ車のパワーユニットはすべて電動化されているのですが、電動パワーユニットを搭載する世代の中古車価格はまだちょっと高めで、具体的には総額330万円以上が中心となっています。

それを選んでもいいのですが、もうちょっと価格を抑えたい場合は、最高出力190psの2Lエンジンを搭載する4WD車である「T4 AWD モメンタム」または「T4 AWD Rデザイン」がオススメとなります。これであれば、まずまず好条件な1台が総額270万円前後で見つかりますし、走行性能も十分以上です。
 

XC40▲後席を起こした状態での荷室容量は460L。後席を倒せば、荷室長はおおむね1800mmになる

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トヨタ ランドクルーザー200(初代)

ランクル▲現在販売中のトップ・オブ・ランドクルーザーである「ランドクルーザー300」の1つ前の世代に相当するトヨタ ランドクルーザー200。写真はマイナーチェンジ後の後期型

狭い道を分け入るように走っていった先にある、秘密のポイントを目指す――みたいな釣行には大柄なボディサイズゆえにやや不向きですが、そういったポイントへは行かないのであれば、ランドクルーザー200こと先代のトヨタ ランドクルーザーは“最強”と言っても過言ではない存在です。

初期型の搭載エンジンは最高出力288psの4.7L V8で、2012年1月からは同318psの新しい4.6L V8に変更。その際、トランスミッションも5速ATから6速ATに進化しました。その後、二度のマイナーチェンジを経て2021年8月まで販売されたランドクルーザー200は、とにかく豪快に、またはとにかく快適に走ることができる車です。もともとは世界中の荒れ地などで使うために設計されたのがランドクルーザーという車ですから、悪路走破性能も「バツグン!」と言って間違いありません。

そういった美点に加えて、釣り車としてのランドクルーザー200の美点は「とにかく車内が広い!」ということでしょう。

全長4950mm×全幅1980mm×全高1870mmのボディは、前述のとおり狭い場所ではやや持て余すこともあるのですが、その分だけ、大量のタックルを荷室に積んでもまだ後席は余裕で座れますし、その気になれば最大8人の釣り人が、1台のランクル200に乗ることもできます(※8人で釣りに行くことがあるかどうかはわかりませんが……)。

いずれにせよ、この大きさが問題にならないのであれば、トヨタ ランドクルーザー200はきわめて便利で快適な、そしてどんな場所でも安心して走っていける釣り車であるといえます。
 

ランクル▲とにかくラグジュアリーな雰囲気が濃厚なランドクルーザー200の車内。ハイソでセレブなアングラー(?)を目指すなら、選ぶべきはコレだろう

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釣り車にオススメのミニバン4選

 

三菱 デリカ D:5(初代・現行型)

デリカ▲ミニバンながらSUV並みの悪路走破性能をもつ三菱 デリカD:5。写真はビッグマイナーチェンジ後の後期型で、これ以前の世代のフロントマスクはもっとシンプルな雰囲気

ミニバンタイプの車を釣りに使いたいのであれば、とりあえずコレが最強でしょう。三菱が2007年から販売を続けている、SUVに迫る悪路走破性を備えた3列シート車です。

デコボコ道においても十分な走破性を発揮する対地障害角と最低地上高(210mm)が確保されているため、FF車であっても「悪路を走る釣り車」として十分な活躍ができますが、きわめて優秀な電子制御4WDシステムを採用している4WD車であれば、誇張抜きで「ミニバンでありながら、SUV的な走りもできる1台である」と評価することができます。

そしてミドルサイズのミニバンですので、タックルを積むスペースや車中泊をするスペースなどに不満があるはずもなく、釣りのポイントまで舗装路を走っている際の安定性や快適性などにも何ら問題はありません。

釣り人やキャンパーなどから愛され続けている三菱 デリカD:5ですが、確かに、愛されるだけの確かな資質を備えている1台だといえるでしょう。
 

デリカ▲室内長は3020mm。2列目および3列目シートをたためば、ほぼ完全フラットで広大な空間を作ることができる

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トヨタ ハイエースバン(5代目・現行型)

ハイエース▲「バンの王様」と評しても決して大げさではない、トヨタ ハイエースバン

三菱 デリカD:5も「最強の釣りミニバン」と評して間違いないと思いますが、「最強の中の最強」は、やっぱりコレなのかもしれません。言わずと知れた箱型の商用バンである「トヨタ ハイエースバン」です。

商用バンといっても走行時の快適性や安定性などは十分であり、それより何より、とにかく長くて四角いボディであるため、一般的な長さのロッドを分割することなく、リールやラインなどをセット済みの状態で車内に積むことができます。また、当然ながらタックル類は積み放題(?)ですし、タックルを大量に積んでも後席に普通に座れますし、当然ながら車中泊も楽勝です。

このように「最強!」なハイエースバンなわけですが、唯一の欠点というか微妙な点は、「……そもそも自分に、ここまで巨大でハイスペックな釣り車が必要なのか?」と悩んでしまう点です。

ここばっかりは人それぞれなので、筆者からは何も言えませんが、「このスペックが必要である!」と感じるアングラーにとっては、まさに最強な釣り車となることでしょう。
 

ハイエース▲全長がかなり長い車だが、運転席より前がきわめて短いため、狭い道でもギリギリまで安心して寄せていくことができる。その結果、長い割にはけっこう小回りが利く

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日産 キャラバン(5代目・現行型)

キャラバン▲こちらが日産 キャラバンの現行型

日産 キャラバンは、トヨタ ハイエースバンとよく似た特徴をもつ日産のバンです。現在販売されている5代目のキャラバンは2012年に「日産 NV350キャラバン」という車名で登場しましたが、2021年10月のマイナーチェンジ時に「日産 キャラバン」という伝統的な車名に戻りました。搭載エンジンは2.4Lディーゼルターボまたは2Lおよび2.5Lのガソリン自然吸気です。

車としての個性や特徴はトヨタ ハイエースバンとおおむね同じであり、諸性能や使い勝手も――なんだかんだでハイエースバンの方が優れていると評価する人も多いのですが、巨視的に見れば「だいたい同じぐらい」と言っていいでしょう。

大きく違うのは中古車価格です。

トヨタ ハイエースバンはきわめて人気が高いため、市場原理により、どうしたって中古車価格は高めになります。しかし、日産 キャラバン(およびNV350キャラバン)の人気はそこまでではないため、類似するグレードの同等条件車同士で比べた場合、日産キャラバンの方が数万円から数十万円は安くなる場合が多いものです。

釣り車としてのデキに大差があるわけではありませんので、コスパ重視でいきたい各位は、トヨタ ハイエースバンだけではなく日産 キャラバンにも注目してみることをオススメします。
 

キャラバン▲トヨタ ハイエースと同様に、キャラバンの荷室も様々なアレンジが可能だ

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ダイハツ アトレー7(初代)

アトレー▲軽バンであるダイハツアトレーを少し大きくし、1.3Lエンジンと3列シートを採用したダイハツ アトレー7

ここまで紹介してきた3車種のミニバンはどれもステキな釣り車候補ですが、中には「そこまで大きくて立派なミニバンではなく、もっとシンプルで小さめな箱型車を釣りに使いたい」という人もいらっしゃるでしょう。

そんな場合にオススメとなるのが、2000年から2004年まで販売された「ダイハツ アトレー7」です。ボディサイズは、同時期のアトレーより37cm長く、4cm幅広いという全長3765mm×全幅1515mm×1895mm。大きい車ではないというか、むしろ「小さな車」というべきサイズ感ですが、ソロで釣りに打ち込むのであれば、このぐらいのサイズである方が好ましい場合は多いかもしれません。

軽自動車のアトレーと違って、いちおう7人乗れるということで「アトレー7」という車名になったわけですが、もちろん7名乗車で釣りに行くのではなく、アトレー以上の余裕がある後席および荷室スペースを、うまい具合に活用して使うのがこの車の本懐です。

1.3Lエンジンの最高出力は前期型が90psで、後期型でも92psですので、お世辞にも「速い車」ではありません。しかし、積載力はバツグンで、3mの長尺物も斜めにすればそのまま載せられますし、車中泊も余裕でこなせるはずです。
 

アトレー▲4速ATはコラムシフトのため、左右のウオークスルーが可能。2列目シートは最大480mmスライドできる。デュアルエアコンを標準装備(CLを除く)。セカンドシートの天井にも操作パネルと吹き出し口が設定された

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釣り車にオススメのステーションワゴン4選

 

スバル レガシィアウトバック(4代目・現行型)

レガシイ▲SUVならぬSUW(スポーツ・ユーティリティ・ワゴン)を自称する現行型スバル レガシィアウトバック

スバル レガシィアウトバックは、一般的なステーションワゴンである「レガシィツーリングワゴン」の車高と最低地上高を上げたSUW(スポーツ・ユーティリティ・ワゴン)として、当初は北米市場に投入されたモデルです。1995年に日本に導入された際には「レガシィ グランドワゴン」という車名を名乗っていて、その後「レガシィ ランカスター」を経て、2006年途中から「レガシィアウトバック」という車名になりました。

現在販売されているのは2021年10月に登場した4代目で、ボディサイズは全長4870mm×全幅1875mm×全高1675mmと、なかなか大ぶり。パワーユニットは最高出力177psの1.8L水平対向4気筒ターボで、駆動方式はフルタイム4WD。ボディ形状はステーションワゴン的ですが、最低地上高は215mmとかなり高めに設定されているため、デコボコ道や大きな石などがゴロゴロ転がっているような道でも、楽勝で入っていくことが可能です。

荷室の容量はサブトランクも含めて561Lで、ロッドなどの長尺物を搭載する際には6:4可倒式リアシートを倒せば、さらに広大となる空間を利用することができます。また、ディーラーオプションである「カーゴトレーマット」が付いている中古車であれば、水や泥などで汚れたタックルも、割と気にすることなく荷室に放り込むことができます。

たたずまいも良く、積載力も十分以上で、悪路に強く、なおかつオンロードにおいても「スバルグローバルプラットフォーム」と「アイサイト」によるきわめて上質でストレスフリーな長距離高速走行が可能となる現行型スバル レガシィアウトバックは、ステーションワゴンタイプの中では、やはりイチ推しとして挙げたい釣り車候補です。

 

レガシイ▲後席を起こしている状態でも荷室フロア長は1086mmときわめて長く、後席をたためば1677mmにもなる

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トヨタ カローラツーリング ハイブリッド(初代・現行型)

カローラ▲それまでの「カローラフィールダー」に代わって登場したトヨタ カローラツーリング(※カローラフィールダーも継続販売中ではあるが)

現行型スバル レガシィアウトバックは本当に優秀な車ですが、釣り車として使うには「ちょっと大きすぎる」「ちょっと高級感が強すぎる」という難点もあるかもしれません。またWLTCモード燃費も13.0km/Lと、さほど良いわけではありません。

そのあたりをネックに感じる釣り人がステーションワゴンを探すとしたら、オススメは「トヨタ カローラツーリング」ということになるでしょう。

カローラツーリングは、現行カローラシリーズのステーションワゴン版として2019年9月に登場したモデル。ボディサイズは全長4495mm×全幅1745mm×全高1460mという“ちょうどいい塩梅”で、ラゲージスペースはさほど広くはありませんが、床面の高さを2段階で調整できるため、釣り車としての使い勝手はまずまず良好です。というかリアシートを倒してしまえば、広大な空間を「釣り用」として活用することができます。

何種類かのパワーユニットが用意されているカローラツーリングですが、釣り人が選ぶべきグレードは、最高出力98psの1.8Lエンジンに同72psのモーターを組み合わせたハイブリッド車の、E-Fourという名称の4WD車でしょう。

ガソリンエンジン車だとWLTCモード燃費は14.6~15.8km/Lとなり、それはそれで悪くはないのですが、ハイブリッド車であれば、4WDであっても24.4~26.8km/Lというなかなかの低燃費ぶりを発揮できます。これによって変わってくる燃料代は、遠出をすることも多いアングラーにとっては無視できない金額であるはず。

そして、最高出力7.2psの小さなものではありますが、後輪にも駆動用モーターを搭載している4WD車(E-Four)であれば、ポイント近くの泥道なども比較的安心して走っていけます。全体としてやや小ぶりではありますが、それでも特に問題ないのであれば、ハイブリッドで4WDのトヨタ カローラツーリングは釣り人にとっての良き相棒となることでしょう。
 

カローラ▲シンプルな上質感が感じられるカローラツーリングの運転席まわり。走行フィールもなかなかのもの

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フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアント(3代目・現行型)

ゴルフヴァリアント▲ゴルフ8こと8代目フォルクスワーゲン ゴルフのステーションワゴン版である「ゴルフヴァリアント」

同じステーションワゴンでも「輸入車」にしたい場合は、コレが推奨株です。2021年7月に上陸した、8代目フォルクスワーゲン ゴルフのステーションワゴン版です。

こちらの釣り車としての個性と特徴は、前述したトヨタ カローラツーリングとちょっと似ているかもしれません。すなわち全長4640mm×全幅1790mm×全高1485mmと、さほど大ぶりなステーションワゴンではないのですが、普通にタックルを積む分には十分であり、なおかつ燃費も(カローラツーリング ハイブリッドほどではないが、輸入車としては)まあまあ良好である、ということです。

そして、高出力110psの1L直3ターボまたは同150psの1.5L直4ターボに48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせたパワートレインはなかなか強力で、いわゆる走りの楽しさや高速安定性などはカローラツーリングを上回るでしょう。ただ、カローラシリーズと違って残念ながら4WDの設定はありません。
 

ゴルフヴァリアント▲荷室容量は5名乗車時でも611L。このクラスとしてはかなり優秀だが、床下にサブトランクではなくスペアタイヤが収まっているのは少々惜しい

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ホンダ シャトル(初代)

シャトル▲やや背が高いステーションワゴンである「ホンダ シャトル」

ホンダ シャトルは、先代ホンダ フィットのプラットフォームをベースに開発された5ナンバーサイズのコンパクトワゴン。「ステーションワゴン」というよりは「ステーションワゴンとトールワゴンの中間的な存在」と言えそうなフォルムですが、トヨタ カローラツーリングと比べて85mm高い1545mmという全高が、車内スペースを有効に使い切りたいアングラーの味方になってくれます。

荷室容量は床上が540Lで床下が30Lというほどほどのレベルですが、後席を折りたためば最大で1147Lまで拡大可能です。そして左右の後席をただポンと倒すだけでに荷室長さは174cmになりますので、一般的な身長の人であれば、ただマットを敷くだけで快適なベッドスペースが誕生します。身長174cm以上の人でも、斜めに寝れば194cmまで許容となりますし、助手席を一番前までスライドさせれば、身長2mぐらいの人でも身体をまっすぐにして寝ることができます。

車内で寝る話ばかりをしてしまいましたが、足回りに高剛性のハブベアリングを使用していることもあって、乗り心地や操縦安定性は及第点以上。1.5Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド車であれば、パワフルであると同時に、4WD車であっても20.4~22.0km/LのWLTCモード燃費をマークします。
 

シャトル▲通常時の荷室容量は570Lで、後席を倒せば1141Lに拡大され、床面は奥行き約184cmとなる。後席のシートバックに設けられている「マルチユースバスケット」は、ルアーボックスとしても使えるかも

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【教えて、ルアマガ編集部! 釣り車に必要なカーグッズ】

釣りメディア「ルアーマガジン」編集部がセレクトした釣車にオススメのカーグッズをご紹介! 実際にカーセンサー編集部の社用車に取り付けて、釣り車仕様にしてみました。

カーセンサー社用車▲今回釣車仕様にしたのは、カーセンサー編集部の社用車・三菱 デリカ D:5

やっぱりあると便利! ロッドホルダー

ロッドホルダーは、釣りに使うロッド=釣竿を固定しておくもの。つまり、竿が倒れたりゴロゴロ動いたりしないようにしっかりと固定して、目的地まで安全に運搬するためのロッド置き場です。

[PROX] ピタッと! マルチハンガー
価格:741円×2

カーセンサー社用車▲吸盤付きで、壁や窓に貼り付けられるタイプのロッドホルダー

吸盤付きで、車内の壁や窓に2個取り付けてロッドホルダーになるのはもちろん、クーラーボックスに取り付けて竿掛けにしたり、ウエア干しのフックにしたりと様々なフィッシングシーンでマルチに使えます。

また、ネジなどのわずらわしい取り付けがなく、設置・取り外しが簡単なのも嬉しいところ。

カーセンサー社用車▲車の外側にも使用できるので、釣りで濡れたウエアを乾かすときにも便利




[ルアマガ] シートロッドホルダー
価格:4,378円

カーセンサー社用車▲デリカは車内が広いのでロッドが縦置き可能!

少ないタックルで気軽に車で釣りに出かけたいライトゲーマーに向けたロッドホルダーとして開発されたこの商品。シートの背面に設置するタイプで、ヘッドレストとシートにベルトで固定して使用します。

最大3本分のロッドをリールを付けたままホールド可能。また、空いているポケットには、小物を収納しておくことが可能です。シンプルな構造ですので、一般的な車にほぼ装着できますよ。



[Ja-Do] ツイストバンジー
価格:1,518円

カーセンサー社用車

アウトドアでよく用いられているバンジーコードを、釣り用にチューンしたアイテム。120cm前後が主流の中で200cmまで延長しています。

車内のアシストグリップ間を渡せば 簡易のロッドホルダー・ウエアホルダーとして使うことができます。



整理整頓して釣りの準備もスムーズに! 収納グッズ

ルアーや餌、クーラーボックスなど、どんな釣りでも道具はかさばるもの。そんな釣具たちをまとめて収納できる便利グッズが車内にあると、釣行自体がさらに気持ちのいいものになるでしょう。

[SLP WORKS] 折りたたみコンテナ
価格:7,700円

カーセンサー社用車▲インシュロックを使用することでフタをロックすることができる

50.4リットルと大容量ながら、折りたためば全高95mmとかなりコンパクトになる収納BOX。釣具の収納はもちろん、カーグッズの収納など様々なシーンで活躍してくれるアイテムです。



[アマゾンベーシック] 3段スチールラック
価格:2,726円

カーセンサー社用車

スチールラックを設置すれば、ラゲージスペースをさらに有効活用できるでしょう。前述のコンテナとの相性も非常にナイスです。



ニオイも汚れもシャットアウト! 防水シートカバー

釣りという行為自体が水辺で行うものですので、服や靴が水・泥にさらされることは当たり前のように起こります。まして屋外で行うことがほとんどですので、雨に降られることも付きものです。

そんな環境の中で釣りをした後、愛車に乗り込むのはどうしても気が引けるものですが、そんなときに活躍してくれるのが防水シートカバー。水や泥から車内を守ってくれるだけでなく、厄介な魚の生臭さ移りを防いでくれる効果もあります。

[Foxfire] ウォータープルーフシートカバー
価格:7,473円

カーセンサー社用車

愛車のシートを濡らさず、ウェーダーやレインを着たまま移動できる防水シートカバー。見栄え的にも“釣り車感”がグッと増して、釣行時のテンションが上がる気がします。



夜間の釣りの準備に便利! ラゲージ用ライト

夜釣りで厄介なのが、糸を結んだり仕掛けを作る作業。手元はもちろん、たくさんの釣具を積んだラゲージ内が全く見えない! なんてことも結構あります。

そんなときに活躍するのがポータブルで使えるライト。仕掛けのスムーズなセッティングや、道具の紛失を防いでくれますよ。

[Luminoodle] ポータブルLEDライト(1.5m)
価格:3,278円

カーセンサー社用車

ラゲージのシガーソケットから給電できるポータブルLEDライト。ロープ型なので、ラゲージ内の天井や壁に延ばして使うことができる優れものです。



ランガン派アングラーにオススメ! スマホスタンド&ケース

釣り場=ポイントは地図上で記されていない場所が多いため、詳細な地形と現在地がわかるWEBマップを見ながらの移動は当たり前。

ですので、車を運転しながらスマホ上でマップを見ることができるスマホスタンドは必須アイテムでしょう。そして、それに伴い消費されるバッテリーを充電できることも重要となります。

[PITAKA] MagEZ Car Mount Pro
価格: 6,499円

カーセンサー社用車

マグネットでスマホを固定し、さらにそのまま充電もできるスマホスタンド。同社の専用ケース「MagEZ Case Pro 3 iPhone 11用」を用意すれば、マグネット非対応のスマホでも使える優れものです。



 

【アングラーあるある!? 釣りにまつわる車のQ&A】

ルアマガ編集部の皆さんが感じた釣りにまつわる車の疑問に、カーセンサー編集部がお答えします!

Q.1 フォグランプって何のためにあってどんなときに必要?

A.視界確保のための補助灯。濃霧時などに活躍します

フォグランプはヘッドライトの補助としてバンパーに取り付けられているライトのことを指します。

名前のとおり、フォグ(霧)などが発生した際の視界確保のための補助灯として、また周囲に自分の存在をアピールして事故を防ぐ役割をもっています。ですが、近年ではヘッドライトの光源の技術が発達しHIDやLEDにすることで十分な明るさを得ることも可能です。

マイカーにフォグランプがない場合は、ヘッドライトの光源を明るいモノに交換してみるのもオススメですよ。

フォグランプ

Q.2 車内で仮眠する際、快適に眠るためのコツは?

A.フラット&ダークな寝床環境を!

快適な寝床の条件である“フラットかつ暗い環境”を車の中で作るには「凹凸ある座面」「360度ある窓ガラス」に対策をする必要があります。

まず、凹凸ある座面にはタオルやマットなどを使ってできるだけフラットにしましょう。快適性を求めるなら厚さ10cm以上のマットがオススメです。

そして、窓ガラスはプライバシー保護や光対策として、サンシェードを使ってカバーしましょう。また、DIYで市販の銀マットなどを窓に合わせて切り、カバーする方法などもあります。

カーセンサー社用車▲車中泊に適した荷室をもつ日産のNV200バネットバンは、オーテックから純正車中泊仕様「マルチベッド」が販売されている

Q.3 車のフロントマスクに虫がいっぱい付きます。予防法やいい掃除の仕方は?

A.手入れを楽にするボディコーティングがオススメ

残念ながら、走行中の虫が全く付かなくなるという予防策は難しいです。しかし、せめてもの予防としてオススメしたいのが「バグガード」というパーツ。これはボンネットの先端に取り付ける小型スポイラーのようなもので、空力特性を利用してフロントガラスに付く虫を軽減してくれます。

もうひとつオススメなのは虫が付いた後の手入れが楽になる対策。車にコーティングなど施工することで虫の汚れが落ちやすくなります。また、虫の死骸は酸性なので洗い流す際はアルカリ性の洗剤が効果的です。

Q.4 釣りをすると車内のニオイが気になります。対策方法ありませんか?

A.シートカバーの使用や重曹での洗浄がオススメ

まず、シートカバーなどを使用して洗いにくい部分に汚れが付かないようにするのがオススメです。

また、ニオイを取る方法としてオススメなのが重曹を使った掃除。重曹には消臭効果があるので、シートやフロアマットの上にパラパラとまいて1日ほどおいてみましょう。最後はハンディ掃除機などを使ってしっかりと吸い取るようにしてください。

最近の車には消臭効果がある空気清浄機機能を搭載しているモデルもあるので、車選びの際に確認するのもひとつです。

カーセンサー社用車

Q.5 河原や砂浜などでスタックした場合の脱出方法、準備しておいた方がいいモノは?

A.けん引ロープを準備しておき、周りに助けを求めよう

深い砂地などにスタックしてしまうと自力での脱出は困難です。また浅い場所の場合でも、慣れない人が自力で脱出を試みるのはさらなる事故の危険性が高くなります。

よって事前の対策はけん引ロープを常備し、もしもの時は四駆車に助けを求める。または、JAFなどのロードサービス に登録しておき利用するのがオススメです。

自力脱出の方法を心得たい人は下記リンクからカーセンサーの記事で詳細をチェック! 雪道が前提の解説ですが、基本の対応方法は変わりません。



 

【アングラーたちの釣り車は? インタビュー記事が盛りだくさん!】

カーセンサー編集部が過去に取材した、アングラーのインタビュー記事を一挙ご紹介! 超有名アングラーたちの釣車事情をのぞいちゃいましょう。

村田基×シボレー コルベット(7代目)

カーセンサー社用車

潮来釣具店の店主であり、釣り業界の王様として知られる超スーパーレジェンド・村田基さん。大の車好きとしても有名なミラクルジムの釣車事情に迫ります!



吉田撃×トヨタ ランドクルーザー200(初代)

カーセンサー社用車

ガンクラフトプロスタッフ・吉田撃さんの愛車はトヨタ ランドクルーザー200。常にハイテンションなエンターテイナーの、車に対する考えを聞いてきました!



吉田遊×トヨタ FJクルーザー(初代)

カーセンサー社用車

吉田撃さんの実兄であり、フィッシングアパレルブランド「SNIPEER」を手がける吉田遊。釣り業界の仕掛け人である彼の釣車とは!



岡田万里奈×三菱 デリカD:5(現行型)

カーセンサー社用車

人気女性アングラーのおかまりさんの釣車は、父から譲り受けた三菱 デリカD:5!ミニバン最強の釣車である理由を語ってくれました。



マルコス×トヨタ FJクルーザー(初代)

カーセンサー社用車

YouTubeチャンネル「マルコス 釣り名人への道」の登録者数68万人を超える、超人気怪魚ハンター・マルコスさん。愛車であるトヨタ FJクルーザーへの熱いこだわりとは!



久保田剛之×スズキ ジムニー(3代目)

カーセンサー社用車

釣り人・久保田剛之さんの釣車は軽オフローダーであるスズキ ジムニーの先代モデル。ランカーハンター、つまり「おおむね80cm以上のシーバスを仕留める男」として知られる彼の釣車と、こだわりのカスタム事情に迫る!



鈴木斉×トヨタ ハイエースバン(現行型)

カーセンサー社用車

繊細な渓流トラウトから豪快なオフショアキャスティングまでこなす鈴木 斉さん。彼の愛車であるトヨタ ハイエースバンが、釣車として最強・最適な理由を教えてくれました!



西村均×スバル インプレッサスポーツワゴン(2代目)

カーセンサー社用車

ベイトロッドメーカー「Fishman」のプロスタッフであり、釣魚の写真家でもある西村さんの釣車は、ラリーカーのようなチューニングが施された、2代目中期型のインプレッサスポーツワゴンWRX。さながら峠仕様の、変態的な釣車事情に迫ります!



山田ヒロヒト×スズキ エブリイ(2代目)

カーセンサー社用車

エギングを中心に様々な釣りを楽しむフリースタイルプロアングラー・山田ヒロヒトさん。エブリイのカスタムブランドのデモンストレーターを務める彼の、釣車やカスタムアイテムへのこだわりとは!



※記事内の情報は2023年11月22日時点のものです。

文/伊達軍曹、カーセンサー編集部 写真/Shutterstock、トヨタ、ホンダ、日産、スズキ、ダイハツ、スバル、三菱、ボルボ、フォルクスワーゲン、篠原晃一、柳田由人、阿部昌也、尾形和美、見城了、菊池貴之
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。

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