新型メルセデス・ベンツ Aクラスの新車価格約500万円に絶望した人に贈る「半額で買えるプレミアムコンパクト、代わりにどうですか?」5選
カテゴリー: 特選車
タグ: スバル / メルセデス・ベンツ / BMW / アウディ / フォルクスワーゲン / ハッチバック / インプレッサスポーツ / ゴルフ / 1シリーズ / A3スポーツバック / Aクラス / 伊達軍曹
2023/11/01
さすがに総額500万円を超えると……
今年2月、現行型となる4代目メルセデス・ベンツ Aクラスがマイナーチェンジを受けました。今回のマイナーチェンジではフロントグリルやボンネット、前後バンパーやライト類のデザイン変更に加え、最新世代のインフォテインメントシステムや運転支援システムなどが採用されたわけですが――問題となるのは新たに設定された車両価格です。
2018年10月のデビュー当初は362万円という程よいプライスだった1.3Lガソリンターボ車の新車価格は498万円となり、2019年の導入当初は399万円だった2Lディーゼルターボ車の価格は、今回のマイナーチェンジで558万円に達してしまいました。
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メルセデス・ベンツ Aクラスセダン(4代目) × 2023年2月~
車に限らず、何事も原材料価格の高騰などで値段が上がっている昨今ですので、仕方ないといえば仕方ないのでしょう。しかしそれでも、「メルセデスとはいえ、コンパクトカーに総額500万円以上出すのはちょっと……」という気持ちが湧き上がるのを抑えられない人も多いでしょう。実は筆者も、そんな1人です。
「ならば!」ということで、マイナーチェンジ後の現行型メルセデス・ベンツ Aクラスを買う場合と比べておおむね半額で入手可能な、しかし“満足度”はおおむね同等だろうと考えられる5車種をピックアップしてみたいと思います。
候補①|メルセデス・ベンツ Aクラス(4代目・前期型)
予算イメージ:総額250万~290万円
最も手っ取り早いというか、合理的な選択は「マイナーチェンジ前の現行型Aクラスを中古車で買う」ということでしょう。
これであれば走行距離1万km台から2万km台までのA200d(2Lディーゼルターボエンジン搭載グレード)を、総額250万~290万円ぐらいのゾーンで見つけることができます。
直近のマイナーチェンジでエクステリアデザインはいろいろと変わったわけですが、その違いは「間違い探しレベル」と言うこともできるぐらいのものでしかありません。そのため前期型を選んだとしても、ビジュアル面での古さはさほど感じないでしょう。
そして最新型では対話型インフォテインメントシステム「MBUX」が最新バージョンに進化し、「MBUX AR(拡張現実)ナビゲーション」が採用されたのもトピックですが、このあたりは「絶対になくてはならないモノ」ではないため、あまり気にならない可能性が大です。
といいますか「新車のおおむね半額以下で低走行物件が買えてしまう」というドでかいメリットの前では、それらのデメリットは「割とささいな問題である」と言ってしまっていいでしょう。ちなみにパワートレインは、マイナーチェンジ後も特には変わっていません。
ただ、運転支援システムがセットになった「レーダーセーフティパッケージ」が標準装備になったのは2020年10月からですので、それ以前の中古車を探す場合には、同パッケージがオプションとして装着されているかどうかを確認する必要はあります。
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メルセデス・ベンツ Aクラスセダン(4代目) × 2018年10月~2023年1月候補②|BMW 1シリーズ(3代目)
予算イメージ:総額220万~270万円
「自分はどうしてもメルセデス以外は嫌なのだ!」という人にはオススメできませんが、そうでないのであれば、新型メルセデス・ベンツ Aクラスとおおむね同等の性能および存在感を有している、現行型となる3代目のBMW 1シリーズがオススメです。
こちらであれば走行距離1万km台から2万km台までの118i(1.5Lガソリンターボエンジン搭載グレード)または118d(2Lディーゼルターボエンジン搭載グレード)が、総額220万~270万円ほどで豊富に見つかることでしょう。
ボディサイズは現行型メルセデス・ベンツ Aクラスとおおむね同等で、エンジン出力もだいたい同じぐらい。そして乗り味やデザインの世界観は少し異なりますが(1シリーズの方が若干スポーティ寄り)、ここも巨視的に見れば「まぁだいたい同じ」と見ることはでき、最終的には「好みの問題」で片付けることができる領域です。
ガソリンターボ車もディーゼルターボ車も比較的手頃な価格帯で見つけることができますが、よりオススメなのは350N・mのビッグトルクを発生するディーゼルターボ車の118dでしょう。こちらの低走行物件も総額220万円付近から見つけることができますが、現行型1シリーズの場合、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)が標準装備となったのは2021年6月のことでした。
それ以前の世代を選ぶのであれば、カーセンサーnet上に「ACC」と記載されている個体を選ぶのがベターでしょう。その場合の中古車価格は「総額250万円~」というのが目安になります。
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BMW 1シリーズ(3代目)候補③|アウディ A3スポーツバック(3代目)
予算イメージ:総額260万~290万円
3代目となる現行型のアウディ A3スポーツバックも1シリーズと同様に「どうしてもメルセデスに乗りたい!」ということでさえなければ、大いにオススメできる1台です。
3代目のA3スポーツバックがデビューしたのは2021年5月と、わりと最近のこと。ボディサイズは新型のAクラスと比べて少しだけ短く、少しだけ幅広いというものですが、結論としては「だいたい同じぐらい」です。
パワーユニットは2種類で、30 TFSIは最高出力110psの1L 直3ガソリンターボエンジン+48Vマイルドハイブリッドシステムという組み合わせ。こちらの駆動方式はFFです。そして上級版である40 TFSIはフルタイム4WDで、パワーユニットは最高出力190psの2L 直4ガソリンターボエンジンです。
ただし、40 TFSIの方は中古車価格がまだけっこう高いため、「最新のAクラスの半額」で見つけることはできません。具体的には総額420万円~というイメージです。
最新のAクラスの半額でイケるのは30 TFSIで、こちらであれば総額260万~290万円あたりのゾーンで、走行距離1万km台から2万km台の物件が見つかるでしょう。
とはいえ、そこで問題視されるのは「1L 直3ガソリンターボエンジン+48Vマイルドハイブリッドだと、パフォーマンス的にショボいのではないか?」ということかもしれません。
しかし結論から申し上げると、30 TFSIのパフォーマンスは何ら問題ありません。いやもちろん、マイルドハイブリッド付きとはいえ「しょせんは1Lの直3ターボ」ですから、アクセルペダルを深く踏み込んで「ここ一発の加速!」みたいな走りをする際には、当然ながら力不足を感じることはあります。
しかしごく普通に浅めにアクセルを踏みながら、安全かつスムーズに走るような局面においては、このパワーユニットに“力不足”を感じることはほとんどないはず。そして「総額200万円台の予算で、これほど“いいモノ感”にあふれる車が買えるのか!」という感動の前では、ここ一発の加速時に若干のパワー不足を感じたとしても、全体としては特に不満は覚えないことでしょう。
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アウディ A3スポーツバック(3代目)候補④|スバル インプレッサスポーツ STIスポーツ(2代目)
予算イメージ:総額210万~280万円
国産車の中からでも「最新のメルセデス・ベンツ Aクラスに匹敵する1台」を見つけることは十分に可能です。その中のひとつがコレでしょう。スバル インプレッサとしては先代モデルに相当する2代目インプレッサスポーツのモデル末期付近に登場したSTIスポーツというグレードです。
2016年10月に登場した2代目スバル インプレッサスポーツは、Aクラスと同じ「Cセグメント」と呼ばれる車格グループに属する5ドアハッチバック。サイズは現行型Aクラスと比べて「少し長く、少し幅が狭い」といったニュアンスです。
パワーユニットは1.6Lまたは2Lのガソリン水平対向4気筒エンジンで、モデル末期近くには、2Lエンジンにマイルドハイブリッド機構を加えた「e-BOXER」というユニットも追加されました。
で、そんな2代目スバル インプレッサ スポーツのことを「Aクラスに匹敵する」と言ってしまうと、「いや、まさかそんな!」と思う人も多いかもしれません。しかし実際には、スバルグローバルプラットフォームという非常に優秀な車台を使用している2代目インプレッサスポーツの乗り味の良さは、現行型Aクラスにおおむね匹敵しています。
もちろんメルセデス・ベンツのような「重厚感」「上級感」のようなものはないのですが、「いい車を動かしている感」のような感触については、間違いなく匹敵しています。
しかし、2代目インプレッサスポーツの大きな弱点は、「内外装とも華に欠ける」ということでしょう。おしゃれで高級感があって、なおかつスポーティでもあるAクラスや1シリーズ、A3スポーツバックなどと比べてしまうと、そこがいささか(というか、かなり)弱いのです。
しかし、2020年10月に追加されたSTIスポーツというグレードであれば、まずまずの「華」と「スポーティな雰囲気」を味わうことができます。
ダークメタリックの18インチアルミホイールやブラックのエクステリアパーツは、この地味な車を「程よく精悍な感じ」に見せることに貢献しており、ブラックを基調としたインテリアも、レッドのステッチやピアノブラックのパネルなどを効果的に用いることで、「1クラス上」という印象に仕上がっています。
また、STIスポーツのために専用開発されたショーワ製のフロントダンパー「SFRD(Sensitive Frequency Response Damper=周波数応答型ダンパー)」と、専用チューニングが施されあたリアダンパーもかなりいい仕事をしますので、乗り味はきわめて上質です。
いわゆる“ブランド”を追い求めたい人には、あまり向かないかもしれません。しかしそこにこだわらないのであれば、走行距離数千kmから1万km台の物件を総額220万~280万円ほどで入手できるインプレッサスポーツ STIスポーツは、大いにオススメしたい選択肢です。
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スバル インプレッサスポーツ(2代目) × STIスポーツ候補⑤|フォルクスワーゲン ゴルフ(8代目)
予算イメージ:総額250万~290万円
ボディサイズは最新のAクラスよりも少し小さく(全長が13cmほど短い)、ブランドとしての押し出し感のようなものも、メルセデスと比べてしまうといささか劣るでしょう。しかし、そこがまったく(またはほとんど)気にならないのであれば、8代目となる現行型フォルクスワーゲン ゴルフの低走行物件は、「最新型Aクラスの半値で狙える選択肢」として大注目に値します。
フォルクスワーゲン ゴルフは、もはや詳しくご説明するまでもない「実用ハッチバックの世界的規範」であり、通算8代目となる現行型は2021年6月に発売されました。
インテリアは全車にデジタルメータークラスター「Digital Cockpit Pro」を採用し、タッチ式のインフォテインメントディスプレイも配置。常時モバイルネットワークに接続可能なディスプレイオーディオ「Ready 2 Discover」が標準装着となります。
パワーユニットは、48Vマイルドハイブリッドシステムを1L 直3ターボエンジン(最高出力110ps)または1.5L 直4ターボエンジン(同150ps)と組み合わせたタイプ。どちらのエンジンも、トランスミッションは7速DCTです。
運転支援システムは、いわゆる自動ブレーキである「Front Assist」やアダプティブクルーズコントロール(ACC)、レーンキープアシストシステム、後退時警告・衝突軽減ブレーキなどを全車に標準搭載。ACCとレーンアシストを組み合わせ、0~210km/hの範囲でアクセルとブレーキ、ステアリング操作をサポートする「Travel Assist」も全車標準装備となっています。
そんな現行型フォルクスワーゲン ゴルフは、いざ実際に走らせても当然なかなか素晴らしいのですが、「最新型メルセデス・ベンツ Aクラスの半額ぐらい」の予算で買えるのは1.5L+48VマイルドハイブリッドのeTSIスタイル、またはeTSI Rラインではなく、小さな1L 3気筒エンジンに48Vマイルドハイブリッド機構を組み合わせたeTSIアクティブになります。これなら走行距離が数千kmから1万km台までの物件を、総額250万~290万円ぐらいで見つけることができるでしょう。
その際に不安視されるのは、「1L 直3ガソリンターボエンジン+48Vマイルドハイブリッドだと、パフォーマンス的にショボいのでは?」ということかもしれません。
……今、あえてアウディ A3スポーツバックの項で書いたものとほぼ同じ文章を使った理由は、結局のところゴルフの1L版においても「1Lターボ+48Vで大丈夫なのか?」という疑問に対する答えはまったく同じだからです。
すなわち、「ここ一発の加速!」という局面では力不足を感じることもありますが、その他の一般的なシーンにおいては「普通に力強く、スムーズである」という感触を堪能できるということです。
唯一の懸念点は「いわゆる“ベンツ”や“ビーエム”のようなブランド性や、わかりやすい高級感には欠ける」ということでしょう。ここについてはご本人がどう感じるかだけが重要であって、第三者である筆者から申し上げることは特にありません。
しかし、もしもあえて言うのであれば「今どきそんな部分にこだわるのも、ちょっと古いのでは?」ということになるでしょうか。……本当に余計なお世話であり、恐縮ではあるのですが。
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フォルクスワーゲン ゴルフ (8代目)自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。