X3 ▲2004年に登場した初代BMW X3の新車価格は513万円~でしたが、直近は値上げに次ぐ値上げが行われ、気がついてみたら、新車価格は最安グレードでも790万円に。さすがにその値段はちょっと……ということで、現行型X3と同程度の満足感が得られて、なおかつ半額程度で買えてしまう高年式中古車を探してみることにしましょう!

けっこうな「高額車」になってしまった直近のBMW X3

様々な人気のSUVをラインナップしているBMWですが、日本の道路で使うのであれば「現行型X3のサイズ感と存在感」こそがベストかと思います。

しかし今、現行型X3の新車価格は改定に次ぐ改定が行われ、気がついてみれば「最安グレードでも新車価格790万円」という、けっこうな高額車になってしまいました。ちなみに一番高いやつは958万円です……。

お財布事情は人それぞれですが、「現行型X3は欲しいけど、さすがにそんなには出せないよ!」という人の方が、この金額を楽勝で拠出できる人よりは圧倒的に多いでしょう。ちなみに筆者も「そんなには出せないよ!」と思う人間の1人です。

しかし世の中には、現行型X3とおおむね同程度のサイズ感または存在感をもちながら、現行型X3の半額程度で、つまり総額350万~400万円ぐらいで狙えてしまう「高年式中古車のSUV」もたくさん存在しています。

この記事では、そんな「現行型BMW X3の約半値で、おおむね同程度の満足が得られるだろうSUV」5モデルをご紹介いたします。
 

X3▲とはいえ、これと似たような存在感と性能を「半額」で入手できてしまうSUVなど、本当に存在しているのでしょうか? まぁとにかく探してみることにしましょう!
 

X3の代わり①|プジョー 5008(2代目・後期型)
想定価格帯:総額340万~430万円

プジョー 5008▲現行型プジョー 5008。写真は2021年1月以降の後期型

プジョー 5008は、フランスのプジョーが作っている「まあまあ大きめ」くらいのサイズ感となる、3列7人乗りのSUV。2013年から2017年まで販売された初代モデルは、ちょっととぼけた雰囲気のミニバンでしたが、2017年9月に上陸した2代目となる現行型はシュッとしたデザインの7人乗りSUVに大変身し、2021年1月のマイナーチェンジで、さらなるイケメンに生まれ変わっています。

ボディサイズは全長4640mm × 全幅1840mm × 全高1650mmということで、現行型X3よりも8cm短く、5cm幅が狭いのですが、まぁおおむね同程度というか、日本で使う分にはむしろプジョー 5008ぐらいのサイズである方がちょうどいいかもしれません。

2021年1月のマイナーチェンジでは、フロントマスクが新世代プジョーに共通する「セイバー」と呼ばれる牙状のLEDデイタイムライトを採用するに至り、インテリアの「iコックピット」は、よりハイコントラストなディスプレイヘッドセットと8インチの高精細タッチスクリーンを搭載。センターコンソールにはスマートフォンの非接触充電スペースも用意されました。
 

5008▲現行型プジョー 5008後期型の運転席まわり。後期型ではシートのデザインも変更されている

先進運転支援システムもマイナーチェンジ時に強化され、「アクティブセーフティブレーキ」と「アクティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)」「レーンキープアシスト」「アクティブブラインドスポットモニターシステム」などは全車標準装備。新車登場時は「追加オプションは不要です!」的にアピールされていました。

パワーユニットは2L 直4ディーゼルターボと1.6L 直4ガソリンターボで、どちらも十分に力強いエンジンですが、現行型X3の対抗馬あるいは代替品として選ぶなら、X3と同じ400N・mの極太トルクを発生するディーゼルターボ版がいいでしょう。走行数千kmから2万km台までの物件を、総額400万円前後で見つけることができます。
 

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プジョー 5008(2代目)& 2021年1月~
 

X3の代わり②|DSオートモビル DS7クロスバック(初代)
想定価格帯:総額340万~420万円

DS7クロスバック▲DSオートモビルのフラッグシップSUVであるDS 7クロスバック

現行型プジョー 5008もかなりいい車だと思いますが、「現行型BMW X3の代わり」として選ぶSUVは「もう少しブランド物っぽいやつの方が……」と考える人も多いのかもしれません。

もしもそうであるなら、例えばDSオートモビルのDS7クロスバックでどうでしょうか?

DS7クロスバックは、フランスのプレミアムブランドであるDSオートモビルのフラッグシップSUV。この車のテーマは「オートクチュールを連想させるような細部にわたるパリらしいこだわりのあつらえと、最新テクノロジーの融合」というもの。それだけを聞くと「ちょっと何を言ってるのかわからない……」という感じもしますが、実車を見れば一目瞭然。とにかくスーパーおしゃれなミドルサイズSUVです。

ボディサイズは全長4590mm × 全幅1895mm × 全高1635mmということで、長さ的には現行型X3より13cm短いのですが、車幅はおおむね同等であり、というかそもそもの「おしゃれ感」が強烈なSUVですので、全体としての存在感は現行型X3に勝るとも劣らず、といったニュアンスです。
 

Aクラスセダン▲インテリアは、素材やデザインの異なる3タイプを用意。フランスのモダニズムを表現したというレザー仕様の「リヴォリ・インテリア」は、「グランシック」グレードに標準設定される

パワーユニットはディーゼルターボとガソリンターボの2種類で、2L 直4ディーゼルターボエンジンは、現行型X3のxドライブ20dと同じ400N・mの最大トルクを発生。トランスミッションは全車、PSAグループとしては初の8速AT「EAT8PSA」です。

まぁ、ディーゼルターボモデルは流通量がやや少なめで、なおかつ中古車価格も若干高めであるため、実際には225ps/300N・mの1.6Lガソリンターボエンジンになるのかもしれませんが、そちらであっても力強さはおおむね十分です。走行距離1万km台ぐらいの物件が、総額380万円前後で見つかることでしょう。
 

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DSオートモビル DS7クロスバック(初代)
 

その3|トヨタ RAV4 オフロードパッケージII(4代目)
想定価格帯:総額370万~420万円

トヨタ RAV4 オフロードパッケージII(現行型)▲現行型トヨタ RAV4の特別仕様車である「オフロードパッケージII」

国産車勢であっても、現行型X3の存在感や諸性能に十分対抗できるSUVはたくさんあるはずです。そのひとつが、国内では4代目となる現行型トヨタ RAV4の特別仕様車「オフロードパッケージII」です。

現行型トヨタ RAV4自体は、ご承知のとおり非常にナイスなSUVです。ボディサイズは全長4610mm × 全幅1865mm × 全高1735mmということで、現行型X3よりもほんの少々小ぶりですが、むしろこのぐらいのサイズ感こそが、日本では「迫力と扱いやすさが両立している寸法」だといえるでしょう。

そして現行型RAV4の中でも「アドベンチャー」というグレードは、これまたご承知のとおり、走行状況に応じて後輪へのトルク伝達を左右独立で制御する「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を搭載するとともに、専用フロントマスクでオフロードイメージを強めた人気グレードです。

で、ここで推したい「オフロードパッケージII」は、アドベンチャーをベースに作られた特別仕様車です。
 

トヨタ RAV4 オフロードパッケージII(現行型)▲レッドのステッチが印象的なオフロードパッケージIIの専用インテリア

2020年10月に発売された「オフロードパッケージ」は、ディーラーオプションの専用クロスバーを装着可能なブリッジ型ルーフレールを装備し、専用サスペンションと18インチのオールテレインタイヤによって、ベース車より10mm高い210mmの最低地上高を確保。さらにはマットブラック塗装が施されたアルミホイールもオフロードパッケージ専用でした。

インテリアは専用合皮のシートやインパネ、ドアトリムショルダーなどに赤のステッチを採用し、ボディカラーは特別色である「スーパーホワイトII」に「グレーメタリック」「アティチュードブラックマイカ」を加えた全3色でした。

そして「オフロードパッケージII」は、2022年10月の一部改良時に登場した“続編”のような特別仕様車。ベース車の一部改良によりToyota Safety Senseの内容などが向上するとともに、専用の2トーン外板色をオプション設定。フロントバンパーやドアミラーなどには、塗料を塗り重ねて凹凸を作り出した「GORI GORI BLACK塗装」が施されています。

このオフロードパッケージIIであれば、現行型X3に勝るとも劣らぬ存在感を味わえることでしょう。流通量は少なめですが、走行距離数十km程度の未使用車を総額390万円前後で見つけることができます。
 

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トヨタ RAV4(4代目) × アドベンチャー オフロード パッケージⅡ
 

その4|ホンダ ZR-V(初代)
想定価格帯:総額330万~400万円

ホンダ ZR-V(初代)▲「異彩解放」「神経直結の走り」をテーマに開発されたホンダ ZR-V

ボディサイズ的には現行型X3よりも少し小さめになってしまうのですが、「走りの良さ」も含めたうえで全体の存在感というものを考えるなら、まったくもってX3に負けていないと思われるのがZR-Vです。

2023年4月に発売となったホンダ ZR-Vは、同社のCR-Vとヴェゼルの間ぐらいのポジションとなるミドルサイズのSUV。ボディサイズは全長4570mm × 全幅1840mm × 全高1620mmですので、前述のとおり現行型X3よりは小さいのですが、だからといって「コンパクトである」というほどでもないサイズ感です。

「異彩解放」を開発コンセプトとしたSUVだけあって、ちょっとユニークなエクテリアデザインは好みが分かれるところかもしれません。しかし、これのハイブリッドモデル(e:HEV)の走りはきわめて痛快かつ爽快です。ZR-Vのe:HEV車に一度乗ってしまうと他のSUVには乗れなくなるというか、こう言ってしまうとBMWファンの人は不愉快に感じるかもしれませんが、「コレがあればBMWはいらない!」とすら思える部分もあるのです。
 

ZR-V▲上級グレード「e:HEV Z」のインパネまわり。基本的なデザインは現行型シビックに準じているが、各部の仕立てはシビックよりワンランク上のニュアンスが感じられる。ボリューミーなソフトパッドが多用されているのも印象的

さすがに内装の質感などはX3の方が上ですが、ZR-Vのインテリアもけっこう頑張ってはいるため、輸入車の内装に慣れている人でも、これであれば違和感なく過ごせるはず。そして最新の「ホンダ センシング」も全車標準装備です。

中古車の価格は、上級グレードである「e:HEV Z」の未使用車が総額390万円前後というイメージ。いや、中身のすごさから考えると本当に「お買い得なSUV」であるといえます。
 

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ホンダ ZR-V(初代)
 

その5|BMW 3シリーズ ツーリング(G21型)
想定価格帯:総額390万~450万円

 BMW 3シリーズ ツーリング(G21型)▲こちらが現行型BMW 3シリーズ ツーリング。写真は前期型

ここまではSUVタイプに限定して「現行型X3の代わりになり得る車」を探してまいりました。しかしよく考えてみると、何もSUVに限定する必要はまったくないわけです。我々が求めているのは、要するに「イメージと走りとデザインが良くて、人も荷物も普通以上に収容できる車」なわけですから、例えばステーションワゴンだって、現行型X3の代わりを務めるには十分なはずなのです。

……そう考えたときにがぜん光ってくるのが、X3と同じメーカーが作っているステーションワゴン、BMW 3シリーズツーリングでしょう。

現行型となるG21型と呼ばれる3シリーズツーリングはあまりにもメジャーな車であるため、過剰なご説明は不要でしょう。日本では2019年9月に販売開始となった、現行型3シリーズをベースとするステーションワゴンです。

搭載エンジンはいろいろありますが、現行型X3 xドライブ20dと同じ2L ディーゼルターボエンジンも、当然ながらラインナップしています。

そして現行型3シリーズツーリングの5名乗車時の荷室容量は500Lですので、現行型X3との差はわずか50L。大ざっぱに考えるなら「だいたい同じぐらい」ともいえるでしょう。そして現行型X3では2021年10月のマイナーチェンジ時に採用されたハンズオフ運転機能も、3シリーズツーリングは最初期から搭載しています。

しかし、それでいて中古車価格は相対的にお安いというのが、3シリーズツーリングのいいところです。
 

 BMW 3シリーズ ツーリング(G21型)▲10.25インチのインフォメーションディスプレイと12.3インチのフルデジタルメーターパネルで構成される「BMWライブコックピット」を採用

2022年9月以降の内外装デザインが少々変更された世代はさすがにまだ高く、一番安い部類でも総額590万円以上です。しかしそれ以前の世代でもOKと考えるなら、走行距離1万km台の320d Mスポーツを総額400万円前後で普通に見つけることができます。

「流行りのSUVではない」という部分に、もしかしたら抵抗を覚えるかもしれません。しかしSUVという乗り物があまりにも流行りすぎている今、オーソドックスなステーションワゴンの方がむしろ個性的に見える可能性もあるわけです。

3シリーズツーリングの中古車は、そこも含めてぜひご検討いただきたい、オススメの選択肢なのです。
 

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BMW 3シリーズツーリング(G21型)
文/伊達軍曹 写真/尾形和美、BMW、ステランティス、トヨタ、ホンダ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。

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