アルファード ▲新車の納期がちょっと大変なことになっている新型トヨタ アルファードとヴェルファイアですが、中古車マーケットでは即納も可能な中古車が少数ながら流通しています。それらの中古車を、けっこうなプレミアム価格がのっかっていることを承知で買うべきなのかどうか、考えてみました!

即納可能な中古の新型アルヴェル、買うや買わざるや?

2023年6月21日、ついに4代目トヨタ アルファードおよび3代目ヴェルファイアが発売された……のはいいとして、これから新車を注文しても、納車がいつになるかはまったくわからない状況だ。

メーカー公式サイトを見ても、工場出荷時期目処は「詳しくは販売店にお問い合わせください」としか書かれておらず、いざ販売店に問い合わせても「私どもも、実はまったく読めない状況でして……」的な返答しか返ってこない。とにかく今、現行型“アルヴェル”の納期は「ひたすら長い」と考えておくのが正解なのだろう。

しかしそんな中、中古車市場では――わずかな数ではあるが――現行型アルファードおよびヴェルファイアの中古車が流通し始めている。

それらは例によって新車価格よりもずいぶん高い値付けがされているわけだが、「とりあえず今、そこに“買えるアルヴェル”がある」ということだけは間違いない。

……それらの「今すぐ買える現行型トヨタ アルファードおよびヴェルファイアの中古車」について、我々はどう考えるべきなのだろうか?

次章以降、詳しく見ていくことにしよう。
 

Aクラスセダン▲こちらは新型アルファード。相変わらず迫力のあるフロントマスクには「上質感」のようなものも見事に加わり、そのデザイン完成度はきわめて高いといえる。これが「即納」でイケるなら、手を出したい気持ちもあるのだが……

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トヨタ アルファード(4代目) & ヴェルファイア(3代目) × 全国
 

1.新型アルファード/ヴェルファイアはどんなモデル?

まずは新型トヨタ アルファードおよびヴェルファイアのモデル概要をざっとおさらいする。

トヨタ アルファードは2002年に登場したトヨタのLサイズミニバンで、今回の新型は4代目にあたる世代。一方のヴェルファイアは、アルファードが2代目へとフルモデルチェンジされた際に登場した姉妹車で、今回のモデルが3代目となる。

代々のアルファードが「上質感」を志向しているのに対し、歴代ヴェルファイアでは「力強さ」「押し出し感」などが重視されてきた。

しかし、今回のモデルチェンジでは、ヴェルファイアに独自のサスペンションチューニングやボディ補強を施すとともに、純ガソリン車にはターボエンジンを搭載。ヴェルファイアの立ち位置は「よりスポーティな“運転する喜び”を高めたモデル」へと変化している。
 

アルファード▲こちらが新型トヨタ アルファード。写真のグレードはエグゼクティブラウンジで、ボディカラーはプレシャスレオブロンド
ヴェルファイア▲で、こちらが新型トヨタ ヴェルファイア。写真のグレードは2.4Lターボエンジンを搭載するZプレミア

ボディサイズは両車とも全長4995mm × 全幅1850mmだが、全高はアルファードが1935mmでヴェルファイアは1945mm。プラットフォームはクラウン クロスオーバーにも用いられた「GA-K」をミニバン向けに最適化したものだ。

サスペンションは前がマクファーソンストラット、後ろがダブルウイッシュボーンで、「アルファードZ」以外には、振動の周波数に応じて減衰力を変化させる「周波数感応型ショックアブソーバー」が装着される。

パワートレインは全部で4種類。まずはアルファードとヴェルファイアの双方に、2.5Lエンジンをベースとしたシステム最高出力250psのハイブリッドシステムが設定されている。

しかし、純ガソリン車のパワートレインはモデルによって異なる。アルファードは最高出力182psの2.5L 自然吸気エンジン+CVTだが、ヴェルファイアは同279psの2.4L 直4ターボ+8速ATという組み合わせだ。

予防安全・運転支援システムは両モデルとも当然ながら充実しており、最新世代の優秀な機能の多くが全車標準装備となっている。
 

アルファード▲新型アルファード エグゼクティブラウンジの運転席まわり。木目の部分には「UZURAMOKU」というリアルウッドが使われている
アルファード▲新型アルファード エグゼクティブラウンジの1列目および2列目シート。写真の内装色はニュートラルベージュ
ヴェルファイア▲新型ヴェルファイア エグゼクティブラウンジの運転席まわり。ウッド部分は、写真のエグゼクティブラウンジは屋久杉のうずら杢をモチーフとした「UZURAMOKU」で、Zプレミアには「DARK BROWN(木目調)」が使用される
ヴェルファイア▲新型ヴェルファイア エグゼクティブラウンジのインテリア。内装のカラーは写真の「ブラック」の他、新車では「サンセットブラウン」という新色をオーダーすることもできる
 

2.新型アルファードとヴェルファイアの新車価格

それぞれのグレードラインナップと新車価格は下記のとおりだ。

【アルファード】
・Z(2.5Lガソリン自然吸気/2WD)|540万円
・Z(2.5Lガソリン自然吸気/4WD)|559万8000円
・Z(ハイブリッド/2WD)|620万円
・Z(ハイブリッド/E-Four)|642万円
・エグゼクティブラウンジ(ハイブリッド/2WD)|850万円
・エグゼクティブラウンジ(ハイブリッド/E-Four)|872万円

【ヴェルファイア】
・Zプレミア(2.4Lガソリンターボ/2WD)|655万円
・Zプレミア(2.4Lガソリンターボ/4WD)|674万8000円
・Zプレミア(ハイブリッド/2WD)|690万円
・Zプレミア(ハイブリッド/E-Four)|712万円
・エグゼクティブラウンジ(ハイブリッド/2WD)|870万円
・エグゼクティブラウンジ(ハイブリッド車/E-Four)|892万円

 

 

3.中古車で買える新型アルファードは何台あって、いくらで売ってる?

新車の工場出荷時期目処が不明となっている2023年9月下旬現在、新型トヨタ アルファードの中古車は全国で13台が流通している。その内訳は下記のとおりだ。

●Z(ガソリン/2WD)|5台|総額980万~1290万円
●Z(ガソリン/4WD)|1台|総額962万円
●Z(ハイブリッド/2WD)|4台|総額1250万~1400万円
●Z(ハイブリッド/E-Four)|3台|総額1200万~1500万円
●エグゼクティブラウンジ(ハイブリッド/2WD)|0台
●エグゼクティブラウンジ(ハイブリッド/E-Four)|0台

……やはり高い。グレードや仕様によって具体的な価格は異なるが、あえて超ざっくりまとめるなら「ガソリン車が1100万円ぐらいで、ハイブリッド車が1300万円ぐらい」というのが、現在流通している新型トヨタ アルファードの平均的な中古車価格といえるだろうか。ちなみに中古車といっても、その多くは走行距離が数十kmレベルの未使用車だが。

Zハイブリッド2WDの新車本体価格が620万円なので、少々のオプション装備代と諸費用を加えた「本来の乗り出し価格」は、おおむね700万円といったところか。しかしそれを“即納中古車”で手に入れようとすると、1300万円ぐらいになってしまうわけだ。倍近くである。

はっきり言って「クッソ高えな……」と思う感情を止めることはできないし、実際、高い。何考えてんだコラ! とも思う。

だが、物事というのは何だって「考え方次第」である。
 

Aクラスセダン▲即納中古車を買おうとすると、支払総額は軽く1000万円を超える場合が多い新型アルファードだが、「考え方次第」というのはどういうことか?
 

現行型トヨタ アルファードという車がすさまじく出来の良い工業製品であり、エクステリアおよびインテリアのセンスについても一目置かざるを得ない、「これからのニッポンを代表する高級サルーン」であることは間違いない。現行型アルファードは、もはやミニバンうんぬんを超えた存在なのだ。

そんな存在を、ほとんどの人が長期にわたって指をくわえて待つほかない状況の中、サッと即納で手に入れるための対価としての総額約1000万~1500万円は、決して「高すぎる」ということもないのかもしれない。

いや明らかに高いし、「マジかよ!」とも思うわけだが、モノの値段というのは、本質的には作り手ではなく“市場”が決めるものだ。市場すなわちユーザーが、もしもその価格を「妥当である」と感じるならば、その価格は妥当であり、正しい値付けなのだ。それがマーケットというものである。
 

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4.新型ヴェルファイアの中古車状況は?

アルファードの姉妹車でありつつ、これまでよりもスポーティな立ち位置となった新型トヨタ ヴェルファイアの、2023年9月下旬現在の中古車状況は下記のとおりだ。

■流通台数:9台

●Zプレミア(ガソリン/2WD)|2台|総額1290万~1300万円
●Zプレミア(ガソリン/4WD)|1台|総額1250万円
●Zプレミア(ハイブリッド/2WD)|2台|総額1199万~1220万円
●Zプレミア(ハイブリッド/E-Four)|3台|総額1317万~1727万円
●エグゼクティブラウンジ(ハイブリッド/2WD)|1台|価格応談
●エグゼクティブラウンジ(ハイブリッド/E-Four)|0台

新車価格からしてアルファードより高めに設定されているヴェルファイアは、アルファードと比べて流通量はやや少なめで、中古車価格はやや高い。即納中古車の価格感は「ガソリン車が1300万円ぐらいで、ハイブリッド車は1200万~1400万円ぐらい」といったイメージだろうか。

こちらも、新車を普通に買うとすればオプション代と諸費用込みで(エグゼクティブラウンジ以外は)750万円ぐらいで収まるはずなので、アルファードの場合と同様に「クッソ高え!」「ビックリ即納プレミアム価格!」という内心の思いを、完全に抑え込むことはできない。

しかし、これもまた同様に「考え方次第」であるというか、マーケット次第である。
 

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ヴェルファイア▲アルファードよりも新車価格がやや高い分だけ、即納中古車の価格も高めである場合が多い新型ヴェルファイア。だが「市場がその価格を求めた」ということなのか?

もしも1300万円前後の価格でも新型ヴェルファイアの即納中古車がバンバン飛ぶように売れるのであれば、「その値付けは正しかった」ということになり、そうでなければ「販売店の値付けが間違っていた」ということになる。

さて、今のアルヴェル中古車の値付けは正しかったのか、そうでもなかったのか?

答えは……おおむね数ヵ月もすればおのずと明らかになるだろう。
 

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文/伊達軍曹 写真/トヨタ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。