ランドクルーザー70▲古き良き本格四駆の伝統を忠実に守るランクル70。日本再再導入が決まっても中古車市場での人気は相変わらず高い

ランクル70にはずっと変わらない価値がある

新型ランドクルーザー250の発表と同時に、ランドクルーザー70(以下、ランクル70)の日本再再導入が決まったニュースはファンを大いに喜ばせた。

基本設計は共通ながら、リニューアルされるフロントまわりのデザイン、新たなディーゼルエンジンの搭載など、期待できる内容だ。

しかし、生産開始予定は今年冬。注文殺到することは間違いなく、納車待ち期間が長くなることはほぼ確定と思っていいだろう。

それなら価格がリーズナブルで、納車待ち期間が短い中古車のランクル70に目を向けてみるのはどうか? 中古車市場には年式や仕様、価格の異なる多くの物件が流通している。

この記事ではこれまでに国内で販売されたランクル70について振り返りながら、オススメの中古車を紹介していきたい。

ランドクルーザー70 ▲今冬から日本で再再販売されるランクル70は、初期のデザインを思わせる丸型ヘッドライトが採用される模様(写真はコンセプトモデル)
 

ランドクルーザー70とはどんな車?

ランドクルーザー70(以下、ランクル70)は世界でも最高レベルのオフロード性能をもつ本格クロカン四駆だ。

デビューしたのはなんと1984年。「ランドクルーザー」という名前を世に知らしめたランクル40の後継車種として誕生した。

2004年7月をもって国内での継続販売はいったん終了したが、約40年たった今も海外では現行車として販売され続けている。

 ランドクルーザー70 ▲オフロード走破性能の高さは、数ある四駆の中でも随一だ

強固なラダーフレーム構造の車体に、大きな荷重にも耐えうる前後リジッド式アクスル、伝統的なパートタイム式4WD、減速比の大きな副変速機など、悪路走破を至上命題とした基本構造は誕生から現在まで変わっていない。

 

ランドクルーザー70のパワートレイン/グレードの差異

ショート(ソフトトップ&ハードトップ)、ミドル、セミロング、ロング、ピックアップ、キャブシャシーと多彩なボディバリエーションをもつのも特徴のひとつで、用途に合わせて様々な仕様に架装されてきた生粋のワークホースである。

日本で正規販売されたランクル70に搭載されたエンジン、グレードは下記のとおり。

【グレード】
●STD(~1993年12月):必要最小限の装備内容となる廉価グレード。2ドア・ショートの幌&ハードトップ、セミロングに設定。搭載されたエンジンは3.4L 直4ディーゼル(~1989年12月)、3.5L 直5ディーゼル(1990年1月~)
●LX:標準幅の上級グレード。2ドア・ショートのハードトップ、セミロングに設定。搭載されたエンジンは3.4L 直4ディーゼル(~1989年12月)、3.5L 直5ディーゼル(1990年1月~)
●ZX(1990年1月~2004年7月):オーバーフェンダーが付く最上級グレード。エンジンは4.2L 直6ディーゼル。ミドルのFRPトップ、セミロングに設定。搭載されたエンジンは4.2L 直6ディーゼル

 ランドクルーザー70 ▲国内でガソリンエンジンが搭載されたのは、2014年の再販モデルのみ

【エンジン】
●3.4L 直4ディーゼル(~1989年12月):最高出力94ps/3500rpm・最大トルク22.5kg・m/2000rpm
●3.5L 直5ディーゼル(1990年1月~1993年12月):最高出力115ps/4000rpm・最大トルク23.5kg・m/2600rpm
●4.2L 直6ディーゼル(1990年1月~2004年7月):最高出力135ps/4000rpm・最大トルク28.5kg・m/2200rpm
●4.0L V6ガソリン(2014年8月~2015年6月):最高出力231ps/5200rpm・最大トルク36.7kg・m/3800rpm

ランドクルーザー70 ▲最上級グレードであっても、インテリアの仕様はごく簡素だ。写真は1999年マイナーチェンジ時のもの

ワークホースゆえに仕様の違いはたくさんあっても、グレードによる装備の差別化は限られていた

最上級グレードであってもドアパネルの一部に鉄板むき出しの箇所があったりし、現代のSUVと比べて決して豪華とは言えない。あくまで機能最優先の作りだ。

 

ランドクルーザー70の年式による違い

長い歴史の中では細かな変更が数多く実施されてきたランドクルーザー70。中古車を選ぶときに注目したいマイナーチェンジの差異は以下のとおりだ。

●1990年1月:「STD」、「LX」グレードのエンジンを3.4L 直4ディーゼルから3.5L 直5ディーゼルへと変更。4.2L 直6ディーゼルを搭載する「ZX」グレードを追加
●1991年8月:「ZX」グレードに4速AT車を追加
●1995年1月:フロントグリルのデザインを変更
●1999年8月:フロントサスペンションをリーフスプリングからコイルスプリングに変更。フロントグリルをメッキ処理されたタイプに変更。

 ランドクルーザー70 ▲こちらは3.4L 直4ディーゼルが搭載されていた、ごく初期のランクル70・ショート。デビュー当時は一層シンプルな外観デザインだった

上記の中でも特に注目したいのは、1998年8月のサスペンション変更だ。フロントサスがコイル化されたことで、オンロードでの操縦性が格段に良くなった。また、このタイミングで4.2L 直6ディーゼル車のトランスミッションも変更され、普段使いしやすい乗り味になっている。

前述のとおり2004年7月に継続販売は終了したが、その後10年を経て2014年8月~2015年6月に期間限定で再販された。従来の丸型ヘッドライトから異型ヘッドライトへと変更され、エンジンも4.0L V6ガソリンを搭載。セミロングの「バン」に加え、これまで海外仕様にしか存在しなかった「ピックアップ」も導入する、という意欲的な内容だった。

ランドクルーザー70 ▲中古車市場に流通している再販モデルのピックアップはごくわずかだ
ランドクルーザー70 ▲こちらは再販モデルのインテリア。継続販売時のデザインに比べて幾分丸みを帯び、現代風となった
 

ランクル70のオススメの買い方①|コンディションを重視したいなら

ランドクルーザー70 ▲生産から10年ほどしか経過していない再販モデルなら、消耗品の寿命などを考えても安心

コンディションの良いランクル70に乗りたいなら、再販モデルの「バン」を狙うのが順当だ。中古車市場には再販モデルだけで80台近い物件が流通している。

価格のボリュームゾーンは総額360万~450万円。新車時価格が360万円、初度登録から8~9年経過しているモデルとしては高めだが、人気の高さや耐久性の高さ、希少価値を考えると仕方ないところ。ただし、物件によって価格はかなり異なっており、総額300万円台前半で買える物件も少なくない。

中古車市場に流通している再販モデルの多くは走行距離7万km未満。並外れた耐久性をもつランクル70としては、これからが本番、というところだろう。再販モデルはガソリン車だけに燃費性能はいまひとつ(JC08モードで6.6km/L)だが、静粛性には優れており、普段使いでも快適だ。

なお、「バン」がほとんどで「ピックアップ」はごく限られた台数しか流通していない。

▼検索条件

トヨタ ランドクルーザー70(初代) × 2014年8月~2015年6月
 

ランクル70のオススメの買い方②|無骨さを手頃な価格で楽しみたいなら

ランドクルーザー70 ▲1998年8月以降のモデルではフロントグリルがメッキの3本仕様になっている

ランクル70本来の無骨さを味わいたい、できるだけリーズナブルな価格で手に入れたいなら、1999年8月以降の「ZX」グレードがオススメ。それ以前に生産されていたフロント・リーフサス時代のランクル70は乗り心地などがマニア向けだからだ。

また、同じディーゼルエンジンでも「ZX」に搭載されていた4.2L 直6ディーゼル(1HZ型)は名機といわれており、低速での粘り強さ、トルクの太さで定評がある。

「ZX」は2種類のホイールベースが用意されていたが、ファミリーカーとしても使いたいならセミロング、オフロードでガンガン遊びたいならミドルのFRPトップ、という選び方で良いだろう。

継続販売されていた時代のランクル70は中古車市場に約190台流通しており、その半数以上が「ZX」グレードとなっている。価格帯は総額220万~750万円まで、走行距離やコンディション、仕様によって様々。一例を挙げると、1999年式、走行距離11.5万kmの「ZX FRPトップ」で総額400万円。

走行距離10万kmオーバーと聞くと一般的な車ならそろそろ寿命かな、と思うかもしれないが、適切にメンテされてきた物件ならエンジンやトランスミッション、サスペンションといった機関部品については全く心配ない。ちょうど脂が乗ってきた頃と思って良いだろう。

ただし、シート、ステアリング、ゴムなどの消耗部品は年式や走行距離相応にくたびれているはずなので、購入予算にはメンテ費用も含み入れておきたい。

▼検索条件

トヨタ ランドクルーザー70 × 1999年8月以降

※記事内の情報は2023年8月25日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/トヨタ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。