NA型ユーノス ロードスターに10年乗ったオーナーが語る正直レビュー! 弱点は? 壊れやすいの?
2023/07/23
「ちょっと乗ってみるか」で気づけば10年目! 中古のユーノス ロードスターのホントのところ
車好きの多くが一度は乗ってみたいと考えるオープンカー。もちろん筆者もその中のひとりであり、20代前半のころに中古のユーノス ロードスターを購入しようと販売店へ赴き、試乗までした経験がありました。
そのときは残念ながら購入には至りませんでしたが、軽快に走る感覚は今でも鮮明に思いだせるほど印象的で、いつか乗ってみたいという気持ちは常に心のどこかにあり続けたのでした。
そんな気持ちを抱えつつ、今から10年前に知人が乗っているロードスターを処分するという話が舞い込んできました。
聞けば、普通に売却しても二束三文にしかならないから部品をばらしてネットオークションで売るというので、軽い気持ちで丸車で買い取ったのが現在の愛車です。
そこから気づけば10年が経ち、いろいろな出来事がありました。今回はそんな筆者とロードスターの10年を振り返り、今からロードスターを乗ろうと考えている人へのお手伝いができればと筆を取った次第であります。
10年前に購入したのはこんなロードスター
今では状態の良い物件ではそれなりに高値となっているユーノス ロードスターではありますが、10年前はちょうど底値の時代。
知人のロードスターは当時走行8万km台、機関は好調ながら、塗装はくたびれ、シートや幌にはほつれや破れがあるというお疲れモードであったため、通常の買取店ではほとんど値段が付かない状態でした。
そこで部品でばらしてこのくらいになればいいかな~と知人が思う金額で、車体丸ごと購入したのが事の始まりです。
この車両は、マイナーチェンジで1.8Lエンジンが搭載されたばかりの1993年式、VスペシャルIIというグレードで、新車当時は最上級グレードでしたが、当時はただのくたびれた中古車という扱いでした。
当時は軽い気持ちで購入したロードスターではありましたが、コツコツとメンテナンスやカスタマイズを続けていくうちに今ではすっかりハマってしまい、手放すことができない1台となったのです。
気になる「弱点」や「壊れやすさ」は?
そんなロードスターではありますが、最終型であってもすでに25年が経過していて、クラシックカーに片足を突っ込んでいる状態の年式であるため、メンテナンスフリーで乗り続けられる車両ではありません。
幸いにも筆者のロードスターは路上で止まってしまうようなトラブルには見舞われていませんが、10年の間には修理や部品交換が必要な状況になったこともありました。
その中でも特に大掛かりだったものをご紹介します。
オイル漏れ修理
これはロードスター特有というよりは、年数の経過した車両の宿命とも言えるものです。
エンジンやトランスミッションを構成する部品を組みつけるときに、密閉性を高めてオイル漏れを防ぐ「ガスケット」や「オイルシール」というものが存在するのですが、これが経年劣化やエンジンの熱などの影響によって硬化・劣化し、本来の機密性を保持できなくなってオイルがにじみ出てしまうというもの。
ガスケットやオイルシールは値段も安く、数百~数千円で新品が入手できるのですが、問題は交換作業。
エンジン上部のシリンダーヘッドカバーのガスケットであれば比較的容易に交換ができるために、作業工賃は数千円程度で済みますが、リア側のクランクオイルシールなどは、いったんトランスミッションを降ろしてフライホイールを外さなければアクセスできないため、工賃だけで4万円前後(筆者の当時の価格)かかってしまうのです。
筆者の場合は、トランスミッション内部のレリーズベアリングという回転系の部品も経年劣化で異音が発生していたため、リア側のクランクオイルシールを交換するついでにレリーズベアリングの他、クラッチ板などのトランスミッションまわりの消耗品も同時交換することで、のちの作業で工賃が重複することを回避しました(それでも8万円くらいかかりましたが)。
このように、「どうせ〇〇の作業もするなら、こっちも同時にやった方がいいよ」など、アドバイスをしてくれる、相談できるショップや工場を見つけるのもロードスターを快調に維持する秘訣と言えるかもしれません。
なお、筆者のロードスターはシリンダーヘッドカバーガスケット、前後クランクオイルシール、オイルパンのガスケットを交換済みですが、そろそろ2周目が来てもおかしくないタイミングとなっており、一度交換したから未来永劫安心というワケではないことも、肝に銘じておきたいところでしょう。
ラジエター交換
またエンジンまわりで言うと、ラジエターもそろそろ耐用年数が過ぎている場合が多い部分です。
本来は黒々としているラジエターの上部ですが、経年劣化が進むと茶色く変色してきて最終的には亀裂が入って冷却水が漏れだす恐れもあります。
また、冷却水の通り道となるホース類もゴム製であるため、こちらも経年劣化が発生するものとなっているので、定期的な交換が必要な部分となっており、特に気温の高い夏などはトラブルが発生しがちな部分となります。
筆者のロードスターもそうなる前に、社外の純正同等品に交換済みです。
詳細な金額は失念してしまいましたが、同クラスの車両の相場が7万円ほどのため、おそらくNAロードスターも同程度かかるはずです。
幌の交換
そしてオープンカーということで、気になる人が多いと思われる“幌”についてですが、前述したとおり筆者のロードスターも購入時から幌にほつれや破れが発生していました。
そもそもユーノス ロードスターの幌はビニール生地のものでしたので、紫外線などの影響で縮みなどは発生してしまうことは致し方なく、20年以上が経過していることも考えるとよほど保管環境が良くない限り劣化してしまうのは避けられません。
筆者のロードスターは今から5年前にマツダ純正のクロス(布)タイプの幌へ交換し、同時に雨の進入を防ぐウェザーストリップ類も交換し、当時の価格で25万円程度の出費となりました……。最近では部品の価格が上昇しているという話もあります。
ただ、幌に関しては純正品よりも低価格ながら高品質な社外品も多くリリースされており、純正にはないカラーや機能をもったものも存在しているため、そちらを選択するというのも大いにアリと言えるでしょう。
このように、基本的には丈夫といわれるロードスターは、確かに大きなトラブルもなく今まで動き続けてきてくれています。好調を維持するには、基本的なメンテナンスと定期的な消耗品の交換、そして怪しい部分があったら後回しにせずに早めに対処するというのが大切というのが、10年所有したうえでの実感です。
これから購入を検討している人へのアドバイス
筆者が購入したときよりも10年の時間が流れ、それだけ経年劣化が進み走行距離の延びた物件が増えていることは間違いないユーノス ロードスター。
正直、高額な車両を購入したからといってすべてが極上とは言えないものも少なくありません。
ただ幸いにもユーノス ロードスターについては、今でも走行にまつわる部品の多くがメーカーから供給されていますし、中古パーツも社外パーツも豊富にあるため、近い年式の国産車に比べると維持しやすい部類の車種であることは間違いないでしょう。
もし、今からユーノス ロードスターを購入するのであれば、年式や走行距離よりも重視したいのが、ボディの状況です。
ロードスターはリアのクオーターパネル(リアタイヤの前方)のあたりに幌から伝った水が通る水抜き穴が存在しているのですが、ここが長期間詰まったままになっていると水分がパネルの内側に溢れ出し、ボディパネルを内側から腐らせてしまうのです。
部品のトラブルであればその部品を交換すれば解決しますが、ボディそのものが腐食してしまうと部品交換とは桁違いの費用と時間がかかってしまうので、維持する難易度が一気に上がってしまいます。
そのため、中古でユーノス ロードスターを探すときは、ボディの状態を最優先で選ぶことをオススメします。
そして何より大切となるのが、購入後にメンテナンスを依頼できる信頼できるショップや工場を見つけるということ。
もちろんマツダのディーラーでも構いませんが、店舗によっては当時を知るメカニックがいない場合もあるため、できれば専門店などにお世話になるのがベストでしょう。とはいえ、あまり自宅から離れすぎていると定期的なメンテナンスで通うのも大変になってしまうため、まずは近場にあるところをチェックするのがオススメです。
今ではネットの口コミなども参考になりますが、人と人との付き合いとなるため一度実際に足を運んでみて、雰囲気を感じ取ってみるのもいいかもしれませんね。
あとはロードスターオーナー同士が交流するイベントやネットのコミュニティなども多く存在しますので、そういったところに参加してみるのもアリかと思います。
ということで、今からユーノス ロードスターを購入するのであれば、古い車であることを肝に銘じつつも、そこまで肩ひじ張ることなく、この楽しい泥沼に飛び込んでみてはいかがでしょうか。
▼検索条件
マツダ ロードスター(初代・NA型)×全国自動車ライター
小鮒康一(フナタン)
スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。