新型フェアレディZの受注再開を待ち疲れた“Z難民”に贈る「代わりにコレどうですか?」5選
カテゴリー: 特選車
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2023/06/11
フェアレディZの新車は注文一時停止中で、中古車価格も爆上がり中
古典的スポーツカーの美しさと、現代のセンスおよびテクノロジーが見事に融合している現行型フェアレディZ。……それはもうとてつもなく「欲しい! 買いたい!」と思うわけですが、実際はなかなかそうもいきません。
新車の注文は一時停止中(※2023年6月8日現在、公式サイトの情報による)であり、いつになったらオーダー可能となるのか、そしてデリバリーはいつになるのか、さっぱり見当がつかない状況。
「ならば中古車で!」と思っても、新車が手に入らないものですから中古車価格が爆騰し、新車価格646万2500円の「バージョンST」が総額880万~1000万円ぐらいになってしまっています。そしてそもそも流通量も少ないため、ちょっとどうにもなりません。
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日産 フェアレディZ(RZ34型)……となればもう「現行型フェアレディZと同等または同等以上の何かを、フェアレディZの新車を買うのと同程度の予算で見つけ、それをとっとと買う!」ということしか、人生の限られた時間を有効に使う術はないのかもしれません。
ということで、ここでは「現行型フェアレディZの新車と同じぐらいの値段で買える、Zの代わりになり得るモデル」を、ちょっと真剣に探してみたいと思います。
候補1:トヨタ スープラ(3代目)
現行型フェアレディZの代わりに乗る1台としてまずまず納得感があるのは、2019年5月に登場した現行型トヨタ スープラでしょう。
エクステリアデザインのテイストはZとずいぶん異なりますが、「2シーターの新世代高性能スポーツクーペである」という点においては同じであり、ボディサイズもおおむね同一です。
●フェアレディZ(RZ34型):全長:4380mm × 全幅:1845mm × 全高:1315mm
●スープラ(3代目):全長:4380mm × 全幅:1865mm × 全高:1295mm
スープラの方がいささかワイド&ローではありますが、全長はまったく同じです。そして両者のパワートレインは、「似ているような、似てないような……」という感じでしょうか。
●フェアレディZ(RZ34型):3L V6ツインターボ/最高出力405ps/最大トルク475N・m/6速MTまたは9速AT
●スープラ RZ(~2020年4月):3L 直6ツインターボ/最高出力340ps/最大トルク500N・m/6速MTまたは8速AT
●スープラ RZ(2020年4月~):3L 直6ツインターボ/最高出力387ps/最大トルク500N・m/6速MTまたは8速AT
スープラは前期型も後期型も最高出力はフェアレディZより少々低めですが、最大トルクはむしろフェアレディZ以上です。「合わせて考えればだいたい同じようなもの」と言ってもいいかもしれません。
そして肝心かなめの中古車価格は2023年6月中旬現在、おおむね下記のとおりとなっています。
●スープラ SZ:総額400万~600万円
●スープラ SZ-R:総額460万~660万円
●スープラ RZ:総額530万~750万円
現行型フェアレディZの新車を買うとなると、グレードにもよりますがおおむね総額600万~700万円ぐらいになりますので、上記のSZとSZ-Rは「けっこう安い!」と感じるかもしれません。
がしかし、スープラのSZとSZ-Rは最高出力197~258psの2L 直4ターボエンジンを搭載するグレードですので、3L V6ツインターボである現行型フェアレディZとはいささか毛色が異なります。
そのため、実際に「Zの代わり」になり得るのは3L 直6ツインターボの「RZ」であり、こちらは高いモノですと総額700万円以上になります。しかし一般的な中古車であれば、走行距離1万km台の物件を総額550万~680万円ぐらいのレンジで見つけることが可能です。
デザインの違いや走行性能およびフィーリングの違いはもちろんありますが、「Zの代わり」としては悪くないチョイスと言えるでしょう。
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トヨタ スープラ(3代目)候補2:ポルシェ 718ケイマン(初代)
現行型フェアレディZの存在感とパフォーマンスに対抗しうる存在としては、ポルシェの現行世代ミッドシップ2シーターである718ケイマンも当てはまります。
日本では2016年4月に受注スタートとなった718ケイマンおよび718ケイマン Sは、2Lまたは2.5Lの直4ターボエンジンをミッドに搭載するモデルですので、「3L V6ツインターボを搭載する現行型Zの代わり」としては、表面的にはいささか物足りなく見えるかもしれません。
しかし実際に乗ってみれば、直4ターボの718ケイマンも十分以上に速い、楽しい、そして剛性感と上質感がやたらと高い1台であることを思い知らされるはずです。
特に最高出力300psの2Lターボを積む718ケイマンではなく、同350psの2.5Lターボを搭載する718ケイマン Sであれば、「ポルシェである!」ということの存在感とも併せ、十分に「Zの代わり」が務まると予想されます。
本当は最高出力400psの4L 自然吸気エンジンを搭載する「718ケイマン GTS 4.0」を推したいところですが、そちらは中古車でも総額1200万円以上と超絶高額。しかし「718ケイマン」であれば、走行距離1万km台までの物件を総額690万円から見つけることができます。
よりハイパワーな「718ケイマン S」はフェアレディZの新車を買うよりも少々高くなってしまいますが、“ちょい足し”といえる総額750万円から、走行距離2万km台の良質物件が見つかるでしょう。ちなみにボディサイズも、当然少しは異なりますが、現行型フェアレディZとおおむね同じぐらいです。
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ポルシェ 718ケイマン(初代)候補3:シボレー カマロ(6代目)
歴代の日産 フェアレディZは日本国内のカーガイから猛烈に愛されてきた車であると同時に、北米の車好き各位からも「Z-car(ズィーカー)」と呼ばれ愛好されてきたモデルです。といいますか、フェアレディZのパフォーマンスやパッケージングを含む全体的なテイストは「どこか北米っぽい」と言うこともできるでしょう。
であるならば、「現行型フェアレディZの代わり」になる選択肢は当然ながら、北米のスポーツモデルからも選ばれなくてはなりません。
そして「Zの代わり」としての北米代表選手は、やはり現行型シボレー カマロということになるでしょうか。
通算6代目となる現行型カマロは、2017年7月に上陸したスポーツクーペ。ボディサイズは全長:4780mm × 全幅:1900mm × 全高:1340mmですので、現行型フェアレディZよりもいくぶん大柄になりますが(特に全長はZより40cm長い)、まぁ日本で使ううえではギリギリ「だいたい同じようなもの」と言い張ることはできるでしょう。
パワーユニットは、ベースグレードに相当する「LT-RS」は最高出力279psの2L 直4ターボですので、同405psの3L V6ツインターボを積む現行型フェアレディZとは性能もニュアンスも大きく異なります。
しかし、最高出力461psの6.2L V8 OHVを搭載する「SS」であれば、エンジン方式自体はフェアレディZと異なりますが、パフォーマンスと存在感において「お釣りがくる」と言えます。まあ6.2Lなので自動車税は高くなりますが、そこは目をつぶるしかありません。
そんなシボレー カマロ SSは2018年11月のマイナーチェンジで、トランスミッションが8速ATからパドルシフト付き10速ATに進化し、発進時のエンジン回転数やリアタイヤのスリップ率を選択できる「カスタムローンチコントロール」なども標準装備になりました。
2023年6月中旬現在、6.2L V8 OHVを搭載する現行型シボレー カマロの中古車価格はおおむね下記のとおりです。
●2017年式:総額580万~670万円
●2018年式:総額580万~690万円
●2019年式:総額650万~730万円
●2020年式:総額670万~740万円
●2021年式:総額680万~740万円
●2022年式:総額700万~840万円
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シボレー カマロ(6代目)候補4:シボレー コルベット(8代目)
現行型シボレー カマロの6.2Lモデルは「現行型フェアレディZの代わり」として十分以上に機能すると思っていますが、「全体的な存在感」のような部分において少し弱いような気もいたします。
であるならばカマロではなく、アメリカンスポーツクーペの最高峰であるシボレー コルベットを選ぶのが正解なのかもしれません。
日本では2019年12月の東京オートサロン2020で初公開された現行型シボレー コルベットは、エンジン方式こそ伝統的な6.2L V8 OHVですが、ミッドシップレイアウトに変更されたということもあって、性能と存在感はほぼほぼスーパーカー。「Zの代わりとして不足なし!」と言える1台ですが、その分だけお値段も高く、一番安い中古車でも支払総額は1400万円を超えてしまいます。
となれば、現実的には先代=8代目のシボレー コルベットを選ぶというのが現実的な選択肢になるでしょう。
こちらはミッドシップではなく伝統的なFRレイアウトですが、直接燃料噴射システムや無段階可変バルブタイミング機構などを備えた新開発のLT1型6.2L V8 OHVエンジンは、高性能DOHCエンジン並みによく回ります。
初期モデルの場合、ベースグレードの最高出力は460psで、高性能モデルの「Z51」は466ps。途中追加されたスーパーチャージャー付きの「Z06」は、なんと659ps/881N・mの馬鹿力(?)が炸裂します。相手にとって不足なしです。
ボディサイズは全長:4510mm × 全幅:1880mm × 全高:1230mmと、現行型フェアレディZよりも少し長く、少し幅広い程度で(全高はずいぶん低いですが)、中古車価格も下記のとおり「手頃と言えなくもない」といったニュアンス。
先代モデルにはなりますし、いささか高めのお値段にはなりますが、「北米最高峰に乗る!」という意味ではナイスな選択肢かと思われます。
●2014年式:総額750万~920万円
●2015年式:総額720万~940万円
●2016年式:総額900万~1050万円
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シボレー コルベット(8代目)候補5:ポルシェ 911カレラ(997型)
ここまで計4車種の「現行型フェアレディZの代わりになり得るモデル」を挙げてきました。どれもそれなりにイイとは思うのですが、正直、完全にしっくりとはきていない気もしています。
どうにもしっくりこない理由は、フェアレディZという車が「デザインと性能だけの車」ではないからでしょう。
歴史の積み重ねだけがもたらすことのできる「唯一無二の存在感」こそが日産 フェアレディZという車の本質的な魅力なのだとしたら、「少しカタチが似ている」とか「サイズや性能が近い」というだけでは、どうしたって“代わり”にはなり得ないのです。
であるならば、存在感には存在感をぶつけるしかないでしょう。つまり、1960年代から連綿と作り続けられているポルシェ 911というスポーツカー界の“王将”を、Zの代わりとするのです。FRで2シーターのフェアレディZに対してポルシェ 911はRRの2+2ですので、パッケージ的にはまったく違うのですが、「存在感と歴史性」において911はZにまったく引けを取らないというか、むしろ“上”と考えていいでしょう。
どの世代のポルシェ 911を選んでも良いと思いますが、「現行型Zと価格が近い」という意味では、2004年8月から2011年11月まで販売された2世代前の911である997型がちょうどいいはず。日産 フェアレディZの新車を買うのと同じ総額600万~700万円の予算を投じれば、重要なマイナーチェンジを受けた後期型の911 カレラ PDKが購入可能です。
2008年7月のマイナーチェンジでATがトルコン式のティプトロニックSから7速DCTの「PDK」に変更されたわけですが、それに加えて「インターミディエイトシャフトのベアリング」も破損しづらくなりました。さらにはエンジンの4・5・6番シリンダーに局所的なホットスポットが発生し、シリンダーに傷が入ってしまうという、997型前期モデルのごく一部で発生した問題も、マイナーチェンジ後は起きにくくなっています。
そんな後期モデルの997型ポルシェ 911カレラを購入し、「ポルシェ 911でしか味わうことのできない“あの感触”」を日々堪能していれば――いつしか、現行型フェアレディZが買えなかったという事実と悔しさを忘れてしまうかもしれません。
まぁ「絶対に忘れる!」と断言はできませんが、その可能性は大いにあります。それぐらい、ポルシェ 911カレラの乗り味と存在感は“特別”なのです。
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ポルシェ 911(997型)※記事内の情報は2023年6月5日現在のものです。
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。
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