シビック ▲今回はグランドシビックにフォーカスします! 中古車流通量は減り、まさに絶滅寸前

シビック=ホットハッチというイメージを植え付けた4代目シビック

シビックといえば、“タイプR”を筆頭にスポーツイメージの強い車種であることは間違いないでしょう。近年のモデルは大型化が進み、過去のシビックとは異なるキャラクターとなりつつあるのも事実ですが、ベースグレードにも3ペダルMTを用意するなど、スポーティなイメージは不変です。

そんなシビックのスポーティなイメージは、モータースポーツに参戦していたことで初代から併せもってはいましたが、それを確固たるものとしたのが、今回ご紹介する4代目シビック、通称グランドシビックではないでしょうか。

特に1989年9月のマイナーチェンジで新たに設定された「SiR」グレードには、NAエンジンながらリッター100馬力を達成したB16A型VTECエンジンを搭載したことで、確固たる地位を築きました。

そんな4代目シビックではありますが、気づけばデビューから35年以上が経過してれっきとした旧車となり、中古車の掲載台数もグッと減少しています。

そこで今回は、絶滅寸前になってきた4代目シビックをチェックしてみたいと思います。
 

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【モデル概要】プラットフォームを一新し、大きく飛躍した4代目の“グランドシビック”

1987年9月に登場した4代目シビックは、エクステリアのデザインこそヒット作となった先代型の面影を残していたものの、プラットフォームを一新して登場。

特に足回りは先代の前ストラット、後トーションバーからスポーツカーに多く採用される四輪ダブルウィッシュボーン式となり、長めにとられたホイールベースとも相まって、車格以上に安定感とスポーティさを併せもつ走り味をもったモデルに進化していました。

ボディバリエーションは、先代同様最もスポーティなキャラクターをもつ3ドアハッチバックとフォーマルな4ドアセダン、そして背の高いキャビンに5ドアハッチバックのボディを合わせたシャトルと、その商用モデルであるプロの4種類というのは不変でした。
 

シビック ▲ハッチバックは荷物もたくさん積めます
シビック ▲左がセダンで右がシャトルです

搭載されるエンジンはハッチバックとプロには1.3LのD13B型が、それ以外の仕様には1.5LのD15B型と、1.6LのZC型を設定。ハッチバックの「Si」には130psを発生するDOHCのZC型が奢られています。

そして1989年9月のマイナーチェンジ時には、前述のようにリッター100psを達成した160psを発生する1.6LのB16A型VTECエンジンを採用。残念ながら3ドアハッチバックモデルにのみの搭載となりましたが、同じタイミングでセダンにDOHCのZC型エンジンを搭載する「Si」グレードが新設されました。
 

シビック ▲こちらがB16A型VTECエンジンです

その後、1991年9月には5代目となる通称スポーツシビックが登場し、ハッチバックとセダンはモデルチェンジを果たしますが、シャトルとプロは4代目を継続販売。1994年7月にはシャトルにカンガルーバーやフォグランプを備え、RVテイストをプラスした「ビーグル」を追加しています。

このようにエントリーモデルとしてはもちろん、スポーティなハッチバックとして、そして実用的なセダンとして、さらにアクティブに使えるトールワゴンとして愛された4代目シビックでしたが、気づけばすべてのボディタイプを合わせても中古車が30台ほどという状況に陥っているようです。
 

 

【中古車状況】新車価格を上回るプレミア価格

気づけばデビューから35年以上が経過してしまった4代目シビック。中古車としてはハッチバックが17台、セダンが4台、そして長く販売されていたシャトルでも10台と、すべて合わせても30台ほどと絶滅寸前。

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ハッチバックの価格帯は128万~365.8万円、平均価格が286.9万円と、すっかり新車価格を上回るものとなっていました。

やはり人気なのはB16A型VTECエンジンを搭載するSiR系で、安いものでも250万円台~となっており、最高額の物件ももちろんSiR系となっています。
 

シビック ▲こちらは人気のSiR系グレード

スポーツイメージの強いハッチバックだけに、ほとんどの車両がローダウンとアルミホイールが装着されており、SiR系はロールケージや内装レスのレースカーのようなチューニングが施されたものもあるほどで、フルノーマル低走行物件は執筆時点では掲載されていない状態でした。

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続いてセダンですが、こちらの価格帯は85万~178万円、平均価格は163.9万円とハッチバックに比べるとだいぶ安い印象ですが、プレミア価格化しているのは変わりありません。

セダンは4台すべてがスタンダードな1.5Lモデルとなっていますが、フルノーマルの1台を除き、USテイストのスタンス系カスタムが施されており、ペタペタの車高とツラツラのホイールという仕様になっていました。

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最後のシャトルは価格帯が100万~145万円、平均価格は122.2万円と4代目シビックシリーズの中では最も安価なものとなっていました(ただし、もちろんこちらもプレミア価格)。

こちらもセダンと同じくスタンス系カスタムが施された物件がほとんどで、ノーマル風なのはビーグルが2台掲載されていたのみとなっていました。

ただ、こちらは5代目シビックが登場した以降の1991年より新しい年式の物件が多く、状態の良さにこだわるのであればシャトル系が狙い目と言えるかもしれません。

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ちなみに先代にあたるワンダーシビックですが、こちらはもっと絶滅危惧種。ハッチバックの3台のみが流通しており、うち2台は応談ですが、もう1台は総額278万円のプライスが付けられています。ワンダーシビック同様貴重なモデルですので、狙う場合は中古車情報を細かくチェックした方がいいでしょう。
 

シビック ▲左がセダンで右がスポーティなハッチバック

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今回はすっかり懐かしい存在になりつつある4代目シビックの中古車をチェックしてみましたが、すでに旧車と呼べる年式になっていることもあり、どんなに安い物件でも総額100万円以上の予算がないと狙うことも難しい状況となっていました。

特にB16A型VTECエンジンを搭載した仕様は高値安定で、VTECターボエンジンを搭載した現行型に匹敵する価格のものも珍しくなくなっています。

ただ、この年式のシビックはすでにほとんどの部品がメーカーからの供給が終了しており、いくら状態の良い中古車を購入したとしても維持管理に苦労が付きまとうのは間違いありません。

これはシビックに限らず旧車全般に言えることですが、こういった車両を検討する場合は、購入後のメンテナンスも含めて検討したいところですね。
 

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※記事内の情報は2023年5月8日時点のものです

文/小鮒康一 写真/ホンダ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。

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