マツダ ロードスター990Sを徹底解説! 他のND型との違いは? 魅力や中古車価格は?
2023/04/27
ロードスター990Sを徹底解説! どんなモデル? いくらで狙える?
マツダのコンパクトオープンカーである4代目・ND型ロードスターに「990S」が加えられたのは、2021年12月の一部改良時のこと。ロードスターの原点「軽いことによる楽しさ」を追求したモデルだ。
ベースとなっている4代目の最軽量グレード「S」と同じポイントは、1.5Lエンジン×6速MTのみというパワートレインや、車両重量990kgという点。逆に大きく異なるのは、バネ下の軽量化が図られているということだ。
この記事では、ND型ロードスターについて簡単に振り返るとともに、990Sがどんなモデルなのか、中古車状況はどうなっているのかを見ていこう。
そもそもNDロードスターってどんなモデル?
990Sがどんなモデルなのか見ていく前に、まずは4代目・ND型ロードスターの全体像について振り返ろう。
ND型ロードスターは、「人生を楽しもう-ジョイ・オブ・ザ・モーメント、ジョイ・オブ・ライフ」をコンセプトに開発された、2人乗りのオープンカーだ。
このコンセプトを実現するために「誰もが一瞬で心ときめくデザイン」「誰もが夢中になるドライビング体験」「誰もが開放的でリフレッシュできる気持ち良さ」が追求された。
具体的には、デザイン面では短くて低いフロントオーバーハングと、人を中心に配置したコンパクトなキャビンで作り出した美しいプロポーション、ワイド&ローなフォルムなどがある。
また、ドライビングの楽しさを生み出すためには、前後50:50の重量配分はもとより、重心を下げ、サスペンションを新たに設計して、他車にも搭載されている1.5Lエンジンもロードスター専用にセッティングされている。
さらに「リフレッシュできる気持ち良さ」では、五感を通じて心から解き放たれるように、オープン走行の気持ち良さに徹底的にこだわったという。
こうしたコンセプトの追求は2015年5月のデビュー以降も続き、度々一部改良やマイナーチェンジが施されている。
そして2021年12月の一部改良の時、新グレード「990S」を追加したというわけだ。しかも同時に、ロードスター全車に「キネマティック・ポスチャー・コントロール(KPC)」が採用された。これはリアルタイムのブレーキ制御技術を用いて、コーナリング時の旋回姿勢を安定させるというもの。
通常時はこれまでと変わらないロードスターらしい軽快な挙動を保ちつつ、ハードな走行になるほどKPCによって車体の浮き上がりが軽減され、車が地面に吸い付くように安定する。
しかも、そのために追加された装備は1つもない。つまりKPGによる重量増減は1グラムもないのだ。こうした改良も「いかにもロードスター」と言えるものだ。もちろん990SにもKPCが備わる。
【990Sのモデル概要】バネ下を軽量化し人馬一体感がアップ
ここからは990Sのポイントや、他のグレードと異なる点を見ていこう。
繰り返しにはなるが、990Sは2021年12月の一部改良のタイミングで追加された特別仕様車。最軽量グレードの「S」をベースに、専用のセッティングが施されており、新車価格は295.9万円(原稿執筆時)だ。
この990Sが他のグレードと異なる点は、大きく以下の3つだろう。
■バネ下を中心に軽量化を施し1tを切る車両重量を実現
■専用セッティング(ダンパー、コイルスプリング、パワステ、エンジン制御)が施される
■専用内外装(ブルー系)が採用される
そもそもロードスターの原点「軽いことによる楽しさ」は、当然ND型でも追求されている。例えばグローブボックスは省かれているし、給油口やトランクはレバー(オープナー)ではなく電磁式が採用されるなど、グラム単位の軽量化が図られている。
そんなND型ロードスターの中でも、1t切りを目標に開発された最軽量グレード「S」は、まさにロードスターを代表するグレードとも言える。
2021年12月の一部改良時で、Sは他のグレード(レース車両ベースのNR-Aを除く)と比べてクルーズコントロールなどの先進運転支援機能やアイドリングスツップ機構、7インチセンターディスプレイなどが省かれ、エアコンもフルオートではなくマニュアル式が採用されるなど、徹底的に軽量化が図られて990kgを死守している。
今回紹介する990Sは、このSの「バネ下」を軽量化した新グレードだ。バネ下とは、コイルスプリングやエアスプリング、リーフスプリングなどの「バネ」よりも下のこと。具体的にはキャリパーやローターといったブレーキ関係や、ホイール、タイヤなどを指す。
990Sでは、ブレーキにブレンボ社製ブレーキと、レイズ社製の鍛造16インチアルミホイールが採用されている。
ブレンボ社製ブレーキを装着することで車重は増えるのだが、4本で約3.2kg軽いレイズ社製ホイールが増量分を相殺し、990kgを維持しているのだ。
このバネ下が軽いとサスペンションが動きやすくなる。それは乗り心地の向上や、ドライバーの意に沿って車が姿勢をより変えやすくなることにつながる。
“わずかなこと”に思えるかもしれないが、これが「人馬一体」を具現化しているロードスターとなると、その効果が運転の楽しさにわかりやすく表れる。
それゆえ990Sは、ロードスターファンからの羨望を集め、自動車評論家からも高評価されているグレードなのだ。
乗り心地やハンドリング性能を向上させるバネ下の軽量化のメリットを引き出すため、各所に990S専用のセッティングが施された。
まずはバネ下軽量化に合わせ、ダンパーやコイルスプリングなどの足回りのセッティングが見直されている。
そして電動パワーステアリングやエンジン制御にも専用セッティングを施し、より軽やかで気持ちいい「人馬一体」感を引き出すことが目指されているのだ。
ボディカラーは他グレード同様、7色から選べるが、幌はダークブルー一色。この幌カラーは990Sと、990Sと同時に発売された特別仕様車「ネイビートップ」のみの仕様だ。
一方、内装も専用のものになっている。エアコンルーバーベゼルがブルー/ブラック、シートやドアトリムはブラックでまとめられている。
【990Sの中古車状況】他のグレードとの価格差はほぼない
原稿執筆時点でND型ロードスターの中古車掲載台数は約600台。そのうち990Sは約40台あり、車両本体価格の価格帯は約230万~320万円で、走行距離は5km~1.5万kmという状況だ。
▼検索条件
マツダ ロードスター(4代目・ND型)×990S×全国デビュー時の新車価格は289万3000円だったので、一見すると300万円超の中古車は割高に感じられるが、これらは社外パーツなどを備えた低走行車が多いため。
つまり、990Sの中古車は決してプレミアム価格になっているわけではなく、他グレードとの大差もなさそうだ。
約40台ある掲載台数の9割以上が、走行距離5000km未満と、ドアを開ければ新車の香りがしそうなものばかり。
また、他グレードが赤系(ソウルレッドクリスタルメタリックなど)のボディカラーの物件が多いのに対し、990Sはホワイトパール系(スノーフレイクホワイトパールマイカ)が多いのも特徴的だ。
新車は全グレードで納車時期が3~4ヵ月とアナウンスされている(マツダ公式HPより)が、ボディカラーなどの条件が合うのであれば、すぐに手に入れることができる中古車を狙ってみるのもありだろう。
▼検索条件
マツダ ロードスター(4代目・ND型)×990S×全国▼検索条件
マツダ ロードスター(4代目・ND型)×全国※記事内の情報は2023年4月20日時点のものです。
ライター
ぴえいる
『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。