ロールスロイス ▲大衆車とは価格も仕様も一線を画す。今回は、車好きなら一度は購入を夢見るようような高級車をご紹介

高級車とはどんな車? 憧れの高級車25モデルも厳選

新車価格が1000万円や2000万円を軽く超え、場合によっては5000万円以上だったりする高級車。どんな種類があって、その中古車はいくらぐらいで買えるものなのか?

高級車の魅力を改めて考えるとともに、憧れの高級車の中でも今購入すべき25モデルを厳選。より的を射た選出とするために、輸入中古車評論家を自称する筆者が「もしも宝くじ1等7億円にでも当選したなら」という仮定の元、真剣に考えてみた。
 

高級車▲新車価格2000万円を超えるような高級車のインテリアに使われているレザーやウッドは、いわゆる億ションに置かれているようなソファや家具などの質感ときわめて近い
 

目次

 

そもそも「高級車」とは?

まずは「そもそも高級車とは何か?」という定義の問題を片付けておかねばなるまい。結論からいうと、高級車の定義は――実は特にない。

例えば車両価格800万円の車は、筆者のようなド庶民からすれば間違いなく「高級車」だが、年収ウン億円の人には「お買い物に便利な実用車」に見えるはず。つまり「高級車」とは、あくまでも相対的な概念なのだ。

となれば日本の平均年収が高級車の定義を測る基準となるだろう。国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査(外部サイトに遷移します)」によると、令和4年における日本の平均給与が458万円。給与の階級別分布では「300万円超400万円以下」が16.5%と最多で、次いで「400万円超500万円以下」が15.3%と多くなっている。

これをふまえると500万円以上の車、例えばトヨタなら現行型のクラウンやアルファードなども十分に高級車の範疇と言える。そこに「憧れ」と付くなら「車両価格1000万円以上の車=高級車」とするのが適当であり、世間における大まかなコンセンサスとも一致するだろう。
 

 

高級車の魅力とは? 価格が高い理由も解説

高級車と一口に言っても、その個性は様々だ。しかし、少なくとも以下3点は多くの高級車に当てはまる特徴と言える。当たり前といえば当たり前の内容ではあるが、「高級車の世界観」を構成する要素にもなっているので、理解を深めるために改めて確認しておこう。

最高級素材をふんだんに用いた内外装
高級車の魅力として真っ先に思い浮かぶのは、洗練された内外装ではないだろうか。デザインは革新的であったり伝統的であったりするが、大衆車では使えない一級品の素材を採用。アルミ合金やカーボンファイバーなど軽量・高強度な素材をはじめ、高級な塗料やレザーなどを惜しげもなく使用している。

仕立ても熟練の職人が手作業で行うなど、“工芸品”と表現されるほど精緻をきわめている。装備も豪華絢爛だ。マッサージ機能や冷蔵庫などの快適装備に加え、アナログ時計やシガーケースなどブランドの世界観を表現する装備も用意される。さらに内外装のカラーや素材を自分好みにコーディネートできるのも、高級車ならではだ。
 

DB12▲ アストンマーティン DB12(初代・現行型)のインテリア。イギリスの老舗ブランドらしく、紳士的だが色気も感じさせる

余裕あふれる走行性能
高級車の象徴といえば、かつては大排気量エンジンだった。大きくて重たいボディを動かすのにパワーが必要なだけでなく、いかなる状況でも余裕を感じさせる力強さで高級感を演出してきた。しかし時を経て、現在では環境への配慮からパワートレインの電動化に乗り出している。

ただ、ハイブリッドやモーターを搭載しても、パワフル=高級感という方程式は変わらなかった。それどころか高級EVともなるとF1マシン並みの動力性能を備える。もちろんサスペンションやタイヤ、ブレーキなどにも最新技術が導入されており、驚異的なパフォーマンスを発揮。その圧倒的な走行性能は、今も高級車のアイデンティティとなっている。
 

MC20▲マセラティ MC20(初代・現行型)が搭載する3L V6ツインターボ。かつては高らかなエグゾーストノートが高級車らしさを表現していたが、現在では音質も音量もおとなしめに調整するケースも

世界中でステータスと化しているブランド力
世界中のセレブなどから愛されるブランド力の高さも高級車の特徴だ。メーカーの伝統やイメージ、車の希少性が付加価値となり、車両価格にも反映されている。簡単には手出しができない価格だからこそ、憧れが生まれ、さらならプレミア価格となっていく。時計やジュエリーなどと同様に、車も「高級がゆえに高価」となる傾向にあるのだ。

実際高級車を資産として購入するお金持ちも多く、高級車メーカーのコミュニティーに参加する資産家も少なくない。そのため、高級車を所有することは「経済的に成功している」ステータスに見なされ、イメージ向上も期待できる。例えば、高級車を仕事に活用すれば取引先や顧客に信頼感や安心感を与えることができるだろう。
 

ローマスパイダー▲例えばフェラーリは愛好家も多く、投資物件としても人気だ。写真はフェラーリ ローマスパイダー(初代・現行型)
 

高級車“だけ”を作っている自動車メーカーはどこ?

メルセデス・ベンツやBMW、アウディといった輸入車メーカーは基本的に「高級車を作っている自動車メーカー」とされている。

しかし例えばメルセデス・ベンツの場合、車両価格5600万円の「メルセデス・マイバッハ Sクラス」という車も作っているが、同時に484万円の「Aクラス」というモデルも作っているため、「高級車だけを作っているメーカー」というわけではない。そこについてはBMWやアウディにしても同様である。

一方で「高級車だけを作っている自動車メーカー」は世界を見渡すといくつかある。その中でも代表的なのは下記の3ブランドだろう。
 

【代表的な高級車メーカー】1.ブガッティ
1909年にイタリア・ミラノの芸術家一族であったエトーレ・ブガッティが設立。その後いろいろあって、現在はフォルクスワーゲングループ傘下となっているが、作っている車はすべてハイパーカー(スーパーカーをさらに上回るハイパーな性能と価格の車)の自動車メーカーだ。

2001年に発表されたヴェイロンは最高速度405kmを達成し、ギネスブックに「世界一速い市販車」として認定された。

ブガッティの新車は「金さえあれば誰でも買える」というものではなく、購入には代理店の審査が必要。審査に通ったうえで予約金を支払うと、ブガッティ本社から飛行機のファーストクラスのチケットが届く。そして本社で試乗を行い、自分好みの“世界に1台しかないブガッティ”をオーダーする――という仕組みなのだ。
 

ブガッティ▲400km/h以上の最高速度をマークするブガッティ ヴェイロン。その新車時価価格は1億円以上!

【代表的な高級車メーカー】2.ロールスロイス
1906年に英国で設立された、航空機用エンジンならびに高級乗用車を製造するメーカー。1970年代には航空部門と自動車部門が分離され、現在はBMW傘下の「ロールス・ロイス・モーター・カーズ」が、日本向け価格は5570万~6670万円となる4ドアセダンのファントムや、同じく日本向けの価格は3920万円となるSUVのカリナンなどを製造販売している。

ロールスロイスに関しては様々な“伝説”があり、最も有名なのは以下の話だろう。

ある大富豪がロールスロイスで砂漠を横断していたところ、車が故障してしまった。無線でロールスロイス社に連絡すると、すぐさま新車のロールスロイスがヘリコプターで輸送されてきた。無事帰宅した大富豪は、代金を支払うためにロールスロイス社に再び連絡した。すると同社のサービスセンターはこう答えたという。「……お客さま、何かのお間違いではないでしょうか? ロールスロイスの車は故障いたしません」

まぁこの話は事実ではなく、いわゆる都市伝説なのだが、こんな話も「ロールスロイスだったら……ありえるかも!」と思えてしまうのが、このブランドのすごいところだ。
 

ロールスロイス▲英国発祥の超名門であるロールスロイスが作っているゴースト ブラック バッジ

【代表的な高級車メーカー】3.フェラーリ
スーパーカーメーカーにはランボルギーニやマクラーレンなどが挙げられるが、中でも「特に代表的なブランド」といえば、やはりイタリアのフェラーリだろう。

元レーシングドライバー兼レーシングチームオーナーだったエンツォ・フェラーリが1947年に創設して以来、とにかく超高性能なスポーツカーのみを製造してきた。

様々な伝説的スーパーカーを多数作ってきたが、現在販売されている新車の価格は、例えばSF90スパイダーというプラグインハイブリッド車の場合で5856万円。F8トリブートというシンプルな(?)V8ガソリンエンジンを搭載するモデルでも、新車価格は3000万円を軽く超える。

そういった一般的な(?)フェラーリ車を新車として買うのもなかなか大変なわけだが、スペチアーレと呼ばれる、さらに超高性能な数量限定の記念モデルの新車は、普通は絶対に買うことができない。

仮に莫大なお金を持っていたとしても、もしもその人が“一見客”であったなら、絶対に売ってくれないのだ。過去に何台ものスペチアーレを購入した実績がある特別なお客だけに、「今度こういうのが出ますので、〇〇さまのために確保しておきました(もちろん買いますよね?)」的な連絡が届くのである。

つまりフェラーリのスペチアーレとは、「買う車」ではなく「買わせていただく車」なのだ。
 

フェラーリ▲こちらはフェラーリ F8トリブートというスーパーカー。新車の本体価格は約3300万円
 
 

憧れの高級車|スポーツカー編10モデル

いよいよ購入すべき憧れの高級車について考えていく。まずは「スポーツカー編」から。宝くじ1等7億円が当たったと“妄想”し、検討していこう。
 

 

1|ポルシェ 911カレラS(992型・現行型)
現行型ポルシェ 911カレラの高出力版

911▲通常の現行型ポルシェ 911カレラよりも65ps強力なエンジンを搭載する「ポルシェ 911カレラS」
 

言わずと知れた「普段づかいもできるスーパースポーツ」であるポルシェ 911。その現行型であり、「カレラS」は、素の「カレラ」が最高出力385psであるのに対し、450psまで強化された3L 水平対向6気筒ターボエンジンを搭載する上位グレード。

0-100km/h加速も「カレラ」の4.2秒に対して3.7秒であり、最高速度も――どこで出すかは完全にさておき――308km/hとなっている。
 

911▲インテリアは無駄な装飾はあまりない、「クールビューティな仕事場」といった雰囲気

普通はなかなか買える車ではないが、7億円の当選金という十分な原資があるので(?)、ハッキリ言って購入は楽勝である。「豪邸を建立した際に余ったお金で買える」ぐらいの水準でしかない。

総額1700万円から狙え、「走行距離数千kmのスポーツクロノパッケージ付き」も2000万円前後で見つけられる。
 

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ポルシェ 911(992型) × カレラS

【992型911 カレラS(PDK)の注目データ】
生産期間:2019年7月~
ボディサイズ:全長4519mm×全幅1852mm×全高1300mm
ホイールベース:2450mm
乗車定員:4名
パワーユニット:ガソリンターボ
排気量:2981cc
エンジン最高出力:450ps
エンジン最大トルク:530N・m
駆動方式:RR
新車時の車両価格帯:1666万~1951万円
中古車掲載台数:約35台
中古車の車両価格帯:1650万~2548万円
 

 

2|日産 NISSAN GT-R NISMO(R35型・現行型)
日本が誇る和製スーパーカーの、さらなる高性能バージョン

GT-R▲こちらが最高出力600psの3.8L V6ツインターボを搭載するNISSAN GT-R NISMO

NISSAN GT-Rそのものについては、さほど詳しくご説明するまでもあるまい。日産が誇る、いや日本が誇るスーパースポーツとして2007年12月に登場し、その後も度重なる改良を加えられながら、今なお進化し続けている“スーパーカー”だ。

とはいえ、初期のベースグレードは今や車両600万円ぐらいから見つかるわけだが、7億円が当たったからには、正直もっといいやつが欲しい。ならば、2014年2月に追加された高性能バージョン「NISMO」を狙いたいところだ。

パワーユニットは専用チューニングの3.8L V6ツインターボ。レース用車両である「GT-R NISMO GT3」にも使われている高効率大容量タービンや、気筒ごとに点火時期をコントロールする制御などにより、最高出力は素のグレードを50ps上回る600psをマーク。

サスペンションにも専用スプリングとビルシュタインのダンプトロニックダンパーを採用し、走行中に3パターンのサスペンションモードを選択できるようになっている。
 

GT-R▲NISSAN GT-R NISMOのインテリア(※写真は北米仕様のため左ハンドルですが、日本仕様は当然右ハンドルです)

そんなNISSAN GT-R NISMOを狙う場合のご予算は、総額で約1580万~3820万円といったところ。高いは高いが、「7億円」の現ナマがあれば何ら問題はないだろう。

もっと言ってしまえば総額3230万~6800万円ほどで、ピストンリングやバルブスプリング、コンロッド、クランクシャフトなどに高精度の重量バランス取りを行った「NISMOスペシャルエディション」を選んでもよいぐらいである。
 

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日産 NISSAN GT-R(R35型) × NISMO & プレミアムエディション Tスペック

【R35型NISSAN GT-R NISMOの注目データ】
生産期間:2014年2月~
ボディサイズ:全長4700mm×全幅1895mm×全高1370mm
ホイールベース:2780mm
乗車定員:4名
パワーユニット:ガソリンターボ
排気量:3799cc
エンジン最高出力:600ps
エンジン最大トルク:652N・m
駆動方式:4WD
新車時の車両価格帯:1501.5万~3061.3万円
中古車掲載台数:約70台
中古車の車両価格帯:1550万~6280万円
 

 

3|フェラーリ 458イタリア(初代)
電子制御でさらなる高みに到達したV8ミッドシップフェラーリ!

458イタリア▲それまでのV8ミッドシップフェラーリとは一線を画すデザインおよび機能となった458イタリア

NISMOを除く高年式のNISSAN GT-Rは普段づかいにも十分対応可能な乗り心地とボディ形状だが、その「普段づかいも十分イケる」という部分が、スーパースポーツとしての価値を逆に落としているという面もある。

もっとスペシャルな、他の車では絶対に真似できないような存在感を堪能したいのであれば、やはり選ぶべきはフェラーリだろう。その中でも2010年から2015年にかけて販売された458イタリアは、コンピューター制御を多用するようになったV8フェラーリの「最初の完成形」として、大いに注目したい1台だ。

ピニンファリーナが手がけた美しきボディのミッドに搭載されるのは、最高出力570psの4.5L V8 DOHC。7速DCTを介してベタ踏みすれば、0-100km/h加速3.4秒の超絶俊足が炸裂し、峠道でステアリングを切れば第2世代の磁性流体を採用しショックアブソーバーシステムと、電子制御ディファレンシャル「E-Diff 3」とトラクションコントロールシステム「F1-Trac」を統合制御するECUなどにより、ほとんどミズスマシのように(?)、曲がりすぎるほど曲がってくれる。
 

458イタリア▲まるでF1マシンのように(?)様々なスイッチ類が並ぶ458イタリアのコックピット

5000万円以上を拠出して、さらに超絶高性能な458スペチアーレを買うというのも悪くないが、素の458イタリアでも十分以上であろう。
 

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フェラーリ 458イタリア(初代)

【初代458イタリアの注目データ】
生産期間:2010年6月~2015年4月
ボディサイズ:全長4527mm×全幅1937mm×全高1213mm
ホイールベース:2650mm
乗車定員:2名
パワーユニット:ガソリン自然吸気エンジン
排気量:4499c
エンジン最高出力:570ps
エンジン最大トルク:540N・m
駆動方式:MR
新車時の車両価格帯:2830万円
中古車掲載台数:約50台
中古車の車両価格帯:1980万~3800万円
 

 

4|フェラーリ F355(初代)
「永遠の美声」が魅力の可憐な(?)V8ミッドシップフェラーリ

F355▲今なお中古車市場で絶大なる人気を誇っているフェラーリ F355

見事に統合された電子制御によって「ミズスマシのように曲がる」ようになった458イタリアも素敵だが、スポーツカーは、やはりもう少しアナログなニュアンスのほうが好ましい。そしてデザイン的にも、最近のスーパースポーツはちょっとアグレッシブすぎて――とおっしゃるのであれば、注目すべきはフェラーリ F355だろう。

1994年に誕生したV8ミッドシップフェラーリであるF355は、「フェラーリ」といえば誰もがイメージする美しくも可憐なフォルムを採用していた最後の世代。

そして最高出力380psを発生する3.5L V8自然吸気エンジンは、パワー的には今や特筆すべきものではないが、高音成分が響き渡る“音質”に関しては空前絶後。近年のフェラーリエンジンとはまったく異なる音質が、あなたの魂を震わせまくることは2000パーセント間違いない。
 

F355▲トランスミッションは6速MTの他にセミATもあるが、オススメは間違いなく6速MTのほうだ

以前は1300万円も出せばかなり状態の良い中古車が買えたものだが、その後の世界的な相場高騰で低走行MT車の価格は「2500万円以上」といったニュアンスに変化。しかも状態の良い中古車は数を減らし、見つけづらくなりつつある。

もし良好な物件を見つけたら金に糸目をつけずに手に入れるべきだ。そして十分なメンテナンスを施しながら保管して目で楽しみ、たまには乗って、その超美声を堪能したい。
 

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フェラーリ F355(初代)

【初代F355の注目データ】
生産期間:1994年1月~1999年9月
ボディサイズ:全長4250mm×全幅1900mm×全高1170mm
ホイールベース:2450mm
乗車定員:2名
パワーユニット:ガソリン自然吸気エンジン
排気量:3495cc
エンジン最高出力:380ps
エンジン最大トルク:359.9N・m
駆動方式:MR
新車時の車両価格帯:1550万~1735万円
中古車掲載台数:約25台
中古車の車両価格帯:1598万~3000万円
 

 

5|ランボルギーニ ウラカンEVO(初代・現行型)
5.2L V10エンジンを搭載する“ベビーランボ”

ウラカン▲V10エンジンにヒンジドアを合わせる「ランボルギーニ ウラカン」。その後期型が「ウラカンEVO」だ

かつては「イタリアンスーパースポーツを代表するブランドといえばフェラーリ」と決まっていたように思うが、近年は「ランボルギーニ」のほうが、インパクトの強さという面では上回っているのかもしれない。

まぁ「F」にするか「ランボ」にするかはお好み次第の問題であって、優劣うんぬんの話ではないのだが、もしもあなたが「買うならランボ!」と思っているなら、比較的手頃な(?)価格で狙えるのがV10エンジンを搭載する“ベビーランボ”であるところのランボルギーニ ウラカンだ。

とはいえ、7億円もの原資があれば今さら前期型であるLP610-4を買う意味もないような気はする。そのため、もしもウラカンを買うのであれば、後期型に相当する「ウラカンEVO」を選びたいところだ。

日本では2019年3月に発表された「ウラカンEVO」は、前期型のハイパフォーマンスグレードである「ウラカン ペルフォルマンテ」と同じ最高出力640psの5.2L V10エンジンを搭載し、後輪操舵とトルクベクタリングシステムを統合制御する「ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ・インテグラータ(LDVI)」も採用。0-100km/h加速は2.9秒で、最高速度は325km/h以上だ。
 

ウラカンEVO▲ウラカンEVOのコックピット。「ストラーダ」「スポーツ」「コルサ」という計3種類のドライブモードを選択できる

車両価格3100万~3700万円ほどで4WDのウラカンEVOを探すのが基本線になるが、「自分は後輪駆動にこだわりたい!」とおっしゃるのであれば、2020年1月に追加された2WDモデル「ウラカンEVO RWD」を探してみるのもよい。

カーセンサーでの掲載台数は約30台と少なめ。総額3000万~4000万円ほどで購入できる。2024年内で生産終了となるし、今のうちに乗っておくのも一興だろう。
 

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ランボルギーニ ウラカン(初代) × EVO & EVO RWD

【初代ウラカンEVOの注目データ】
生産期間:2019年3月~
ボディサイズ:全長4520mm×全幅1933mm×全高1165mm
ホイールベース:2620mm
乗車定員:2名
パワーユニット:ガソリン自然吸気エンジン
排気量:5204cc
エンジン最高出力:640ps
エンジン最大トルク:600N・m
駆動方式:MR/4WD
新車時の車両価格帯:3223.1万円
中古車掲載台数:約30台
中古車の車両価格帯:3000万~4780万円
 

 

6|マクラーレン 720S(初代)
これぞF1直系? とにかく速く走りたいなら最適な1台

720S▲こちらがマクラーレン 720S。新車時価格は3338万3000円~だった

ベビーランボもV8フェラーリももちろん素敵だが、もしも極論するのであれば、ランボルギーニとは「見せびらかすための車」であり、フェラーリとは「自宅ガレージの中で眺めるための車」であるという側面が、決してないわけではない。

つまり、両者は「純粋に“走るためのスーパーカー”ではない」ということだ(と言い切ってしまうのもちょっと違うわけだが、話を進めるため、あえて言い切らせていただく。すみません)。

で、もしもスーパーカーにおいて「走ること」を主眼に置きたいのであれば、選ぶベきは英国のマクラーレンしかあるまい。見栄えや音に関してはランボルギーニやフェラーリほどあか抜けてはいないが(すみません)、「速く正確に走る」という点においては、マクラーレンこそがおそらくは世界トップレベルだ。

 

720S▲カーボンとアルカンターラでまとめられたコックピット。メータークラスターは可倒式

720Sは、マクラーレンの中核である「スーパーシリーズ」の第2世代モデル。従来型である650S以上に軽量で、より速く、そしてより大幅な性能向上が実現されている。

ボディ構造はそれまで同様にカーボンファイバー製シャシーを採用しているが、720Sでは、さらに基盤となる新しいカーボンファイバー製の「タブ」に上部構造の「モノケージⅡ」を組み合わせることでフルカーボン骨格を実現。パワーユニットも新型となり、縦置きされる4L V8ツインターボエンジンは最高出力720psをマーク。0-100km/h加速は2.9秒で、最高速度は341km/hであるとのこと。

「7億円」を持つ車好きなら、ぜひとも狙いたい1台だ。
 

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マクラーレン 720S(初代)

【初代720Sの注目データ】
生産期間:2017年3月~2022年12月
ボディサイズ:全長4545mm×全幅1930mm×全高1195mm
ホイールベース:2670mm
乗車定員:2名
パワーユニット:ガソリンターボ
排気量:3994cc
エンジン最高出力:720ps
エンジン最大トルク:770N・m
駆動方式:MR
新車時の車両価格帯:3338.3万~3706.9万円
中古車掲載台数:約35台
中古車の車両価格帯:2250万~3580万円
 

 

7|ランボルギーニ アヴェンタドール(初代)
V型12気筒エンジンを搭載する「スーパーカー・オブ・スーパーカー」

アヴェンタドール▲写真は2017年4月に改良進化版として登場したアヴェンタドールS

先ほど「“走ること”を主眼に置きたいのであれば、選ぶベきは英国のマクラーレンだ」という意味のことを申し上げた。しかし冷静に考えてみれば、最高速度が341km/hにもなる車を買ったところで、公道ではその性能を試す場所はなく、サーキットでも、そこまでの超絶性能は持て余してしまうだろう。

となるとスーパースポーツの真の魅力とは、やはり「存在感」である――ということになるのかもしれない。

もしもそれが正解であった場合には、最強に近いのがコレ、ランボルギーニ アヴェンタドールである。

V10エンジン+ヒンジドアとなるランボルギーニ ウラカンと違い、こちらは正調の(?)V12エンジン+シザーズドア。……この組み合わせこそがやはり“スーパーカー”そのものであり、1970年代のカウンタックから続く“人類の夢”と言ってもいいはず。

最高出力700psの6.5L V12エンジンを搭載する初期モデル「LP700-4」は、車両3700万円付近から狙うこともできる。だが宝くじの当選効果により富裕層の仲間入りしているとするなら、2017年4月のマイナーチェンジで後期型となった「アヴェンタドールS」を買いたいところだ。

初期型より40ps増の最高出力740psとなった「アヴェンタドールS」はエクステリアデザインも改められ、性能うんぬんと同時に存在感も爆上がりした。そしてその中古車は総額5300万~6500万円となっている。
 

アヴェンタドール▲レザーとカーボンファイバーを贅沢に使用しているインテリア。デザイン自体は前期型とほぼ同様

もしもさらなる走行性能を追求したい場合は、2018年8月以降の「アヴェンタドールSVJ」が狙い目となり、その場合の中古車価格は総額8500万~9500万円が目安となる。

だが、まぁ5000万円台の「S」でも存在感的には十分ではないかとも思う。
 

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ランボルギーニ アヴェンタドール(初代)

【初代アヴェンタドールの注目データ】
生産期間:2011年9月~2022年9月
ボディサイズ:全長4780~4943mm×全幅2030~2098mm×全高1136mm
ホイールベース:2700mm
乗車定員:2名
パワーユニット:ガソリン自然吸気エンジン
排気量:6498cc
エンジン最高出力:700~780ps
エンジン最大トルク:690~720N・m
駆動方式:4WD
新車時の車両価格帯:4100.3万~5670.3万円
中古車掲載台数:約90台
中古車の車両価格帯:3098.9万~9970万円
 

 

8|フェラーリ SF90ストラダーレ(初代・現行型)
システム合計出力1000psのフェラーリ製プラグインハイブリッド車!

 SF90ストラダーレ▲最高出力780psの4L V8ツインターボエンジンと3基のモーターが組み合わされたフェラーリ SF90ストラダーレ

ランボルギーニ アヴェンタドールのV12エンジンが超絶素晴らしいことについては論をまたないが、とはいえ今どき「純ガソリンエンジン」というのも、21世紀を生きる人類としてちょっとどうなのか? という思いはある。

エコうんぬんもそうだが、「電気モーターのパワー」という魅力を知ってしまった今、「エレキの力が働いていない車はやや微妙」と思ってしまう自分もいるわけだ。

まぁこのあたりの感じ方は人それぞれだろうが、もしスーパースポーツの世界においても「電気モーターのパワー」を感じていたい――と思うのであれば、選ぶべきはフェラーリのプラグインハイブリッド車、SF90ストラダーレとなるだろう。

リアミッドの低い位置に搭載される最高出力780psの4L V8ツインターボエンジンは、3基のモーターと外部充電可能なバッテリーによるハイブリッドパワートレインを構成。システム合計出力は1000psで、最高速度340km/h、0-100km/h加速は2.5秒であるとのこと。

新形状のステアリングホイールにはタッチパッドが備わり、ステアリングから手を放さずに、コマンドの選択や実行を行うことが可能。機械式メーターに代わって搭載された16インチのフルデジタル曲面クラスターも、これまでのフェラーリ車にはなかった新デバイスである。
 

SF90ストラダーレ▲ダッシュボードやインストルメントパネルは専用設計。16インチのフルデジタル曲面クラスターもフェラーリとして初めて採用された

SF90ストラダーレ全体の価格帯は総額で約5250万~8000万円といったところで、よりスポーティな仕様となる「アセット フィオラノ」も同5000万円台で見つけられる。

若干高額にはなるが、“7億円所有者”なら垂直荷重を増加させる専用カーボンリアスポイラーや、専用アルミ製ダンパーとチタン製スプリング、専用カーボンインテリアパーツなどが装着されている「アセット フィオラノ」を探すべきだろう。当然である。
 

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フェラーリ SF90ストラダーレ(初代)

【初代SF90ストラダーレの注目データ】
生産期間:2019年10月~
ボディサイズ:全長4710mm×全幅1972mm×全高1186mm
ホイールベース:2650mm
乗車定員:2名
パワーユニット:プラグインハイブリッド(ガソリンターボ+電気モーター)
排気量:3989cc
エンジン最高出力:780ps
エンジン最大トルク:800N・m
モーター最高出力:前135ps×2/後204ps
モーター最大トルク:前85N・m×2/後266N・m
駆動方式:4WD
新車時の車両価格帯:5340万円
中古車掲載台数:約30台
中古車の車両価格帯:5230万~7950万円
 

 

9|フェラーリ 488ピスタ(初代・現行型)
中身はほぼレーシングカー? V8フェラーリのスペシャルモデル

488ピスタ▲ただでさえ高性能なフェラーリ 488GTBに、各種のさらなる超高性能を付帯させたスペシャルモデルとなる488ピスタ

前掲のプフラグインハイブリッド車、フェラーリ SF90ストラダーレは、この種のスーパースポーツとしては中古車の流通量が比較的多い。

流通量が多いというのは、物件を探すうえではありがたいことではある。だが裏を返せば、「プラグインハイブリッドのスーパースポーツを買ってはみたものの、いまひとつ満足できず、結局は早期に売却した人が多かった」という可能性もあるのだろう。

そのあたりの真偽のほどはわからないが、いずれにせよ「やはりスーパースポーツはガソリンエンジンを回してナンボ!」という部分は確実にあるはずだ。

であるならば、ここで本当に注目すべきはV8フェラーリのスペシャルモデルである488ピスタなのかもしれない。

360チャレンジ ストラダーレ、430スクーデリア、458スペチアーレの後継車となる488ピスタは、「プロでないドライバーがステアリングを握っても、様々な状況でレーシングカー並みの走りを堪能できる」というコンセプトで開発されたスーパースポーツ。

搭載エンジンは、488GTBに搭載される670psの3.9L V8ターボをベースに、ニッケル合金製エグゾーストマニホールドや軽量クランクシャフトおよびフライホイールなどの488チャレンジから採用された技術と、チタン製コンロッドなどの追加装備により、最高出力は720psまで高められ、すべての回転域で488GTBを上回るトルクを生み出している。

そしてSSC 6.0(サイド・スリップアングル・コントロール バージョン6.0)の中に含まれるFDE(フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー)は、フェラーリ自社製のソフトウエアを用いて、ブレーキキャリパーの制動圧を自動で調整するというもの。
 

488ピスタ▲フェラーリ 488ピスタの運転席まわり。多くの部分がアルカンターラで覆われている

……もはやすごすぎて、自分でも何を言っているのかちょっとわからなくなっているが、いずれにせよフェラーリ 488ピスタであれば、100年以上続いてきた「ガソリンエンジンを搭載する四輪車の最高峰」といった部分を、日々堪能できることだけは間違いない。

総額6500万円から中古車が見つかり、最高額の物件は約1億4500円となる。それでも7億円の当選者であれば、まだ5億円以上が残る計算である。……何の問題もあるまい。
 

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フェラーリ 488ピスタ(初代)

【初代488ピスタの注目データ】
生産期間:2018年2月~
ボディサイズ:全長4605mm×全幅1975mm×全高1206mm
ホイールベース:2650mm
乗車定員:2名
パワーユニット:ガソリンターボ
排気量:3902cc
エンジン最高出力:720ps
エンジン最大トルク:770N・m
駆動方式:MR
新車時の車両価格帯:3948万~4021.1万円
中古車掲載台数:約20台
中古車の車両価格帯:6500万~1億4500万円
 

 

10|BMW M4クーペ(2代目・現行型)
現実的にイケそうなのはコレか? BMW M社が仕上げた超絶スポーツクーペ!

 M4クーペ▲BMWのモータースポーツ部門を担当していた「BMW M社」が、現行型4シリーズをベースに作り上げた超快速マシンが、こちらのM4クーペ コンペティションだ

「もしも7億円の宝くじに当選したとしたら?」との前提に基づいて妄想を重ねているうちに、すっかり「本当に当選した!」という気分になってしまった筆者である。そして冷静になって考え直してみると、もちろん当選などしておらず、手元には少々の額の現金しかない。

……この状況で8000万円のフェラーリ 488ピスタを買うなど狂気の沙汰であり、実際に買えるスポーツカーは「最高でも、せいぜい車両価格1000万円くらい」といったところになるだろう。

おおむね1000万円を予算上限として改めて、冷静に考えてみると――狙い目となるのは現行型BMW M4クーペになるだろうか? ご承知のとおり現行型BMW 4シリーズクーペをベースに、BMW M社がサーキットで培った技術を投入して作られたハイパフォーマンスモデルである。

現行型である2代目のデビュー当初は、巨大化されたキドニーグリルにかなりの違和感を覚えたが、今となっては気にならないというか、むしろ素敵なデザインであるようにも思えてきている。
 

M4クーペ▲BMW M4クーペ コンペティションの運転席まわり。8速ATのシフトスケジュールは「ドライブロジック」機能によって3段階に変えることが可能

搭載エンジンはいずれも3L 直6ツインターボで、ベースグレードは最高出力480ps、「コンペティション」および「コンペティション トラックパッケージ」には同510psの仕様が搭載されている。組み合わされるトランスミッションは、ベースグレードのみ6速MTで、その他のグレードは8速スポーツATである。

ボディやドライブトレインを構成するパーツにアルミニウムを多用することで軽量化が追求され、足回りには「Mアダプティブサスペンション」を標準装備。耐熱・耐フェード性能に優れた大径ディスクローターなどからなる「6ポッドMコンパウンドブレーキ」を標準装備するが、オプションとして、より耐摩耗性能と耐熱性能を高めた「Mカーボンセラミックブレーキ」を装着している中古車も流通している。

まぁ普通に公道で乗る分にはMカーボンセラミックブレーキ付きでなくても何ら問題はない。いずれにせよ総額950万円付近で買う走行距離2万km前後の現行型BMW M4クーペ コンペティションこそが、よく考えれば7億円は当たっていない筆者にとっての「現実的なイチ推しモデル」ということになるのだろう。
 

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BMW M4クーペ(2代目)

【2代目M4クーペの注目データ】
生産期間:2021年1月~
ボディサイズ:全長4805mm×全幅1885~1920mm×全高1385~1400mm
ホイールベース:2855mm
乗車定員:2~4名
パワーユニット:ガソリンターボ
排気量:2992cc
エンジン最高出力:480~550ps
エンジン最大トルク:550~650N・m
WLTCモード燃費:9.8~10.1km/L
駆動方式:FR/4WD
新車時の車両価格帯:1298万~2196万円
中古車掲載台数:約50台
中古車の車両価格帯:878万~2500万円
 

 

憧れの高級車|セダン編5モデル

続いて憧れの高級車、4枚ドアの「セダン編」である。
 

 

1|レクサス IS 500 Fスポーツパフォーマンス ファースト エディション(2代目・現行型)
超快感な5L V8自然吸気エンジンを搭載する豪快スポーツセダン

IS▲500台限定で抽選販売されたものの、あっという間に完売となったレクサス IS 500 Fスポーツ パフォーマンス

レクサス IS 500 Fスポーツ パフォーマンスは、最高出力481psの5L V8自然吸気エンジンを搭載する超ハイパフォーマンスセダン。その国内導入に先立って2022年8月、500台限定で抽選販売された特別仕様車が「500 Fスポーツ パフォーマンス ファースト エディション」だ。

この5L V8エンジン自体がかなり伸びやかかつ強烈なわけだが、それに加えて、V8エンジンの存在を感じさせるフロントフードや専用のブラックキャリパー、4連マフラーなどで力強さと迫力を際立たせているのが、500 Fスポーツ パフォーマンスの特徴のひとつ。さらには、エンジンに合わせて減衰力可変ダンパー(AVS)や電動パワーステアリング(EPS)のチューニングも変更されている。
 

IS▲500 Fスポーツ パフォーマンスのコックピット。デザイン的には「質実剛健なスポーツセダン」といったニュアンスが強い

そんな500 Fスポーツ パフォーマンスの限定車である「ファースト エディション」は、用意された500台が秒で(?)完売となってしまい、全国のスポーツセダン好きを落胆させたわけだが、中古車市場をのぞいてみれば、まだまだ購入可能だ。

走行距離1万kmの物件が総額810万円以上から見つかる。中には若干プレミア価格となっている物件もあるが、原資が7億円もあるため、気にせず素晴らしい国産スポーツセダンをただただ購入するのみである。
 

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レクサス IS(2代目) × 500 Fスポーツ パフォーマンス ファースト エディション

【2代目IS 500 Fスポーツパフォーマンス ファースト エディションの注目データ】
生産期間:2022年8月~
ボディサイズ:全長4760mm×全幅1840mm×全高1435mm
ホイールベース:2800mm
乗車定員:5名
パワーユニット:ガソリン自然吸気エンジン
排気量:4968cc
エンジン最高出力:481ps
エンジン最大トルク:535N・m
WLTCモード燃費:9km/L
駆動方式:FR
新車時の車両価格帯:900万円
中古車掲載台数:約15台
中古車の車両価格帯:790.8万~970万円
 

 

2|メルセデスAMG Cクラス(2代目・現行型)
F1由来のターボチャージャーを採用した爆速セダン!

IS▲こちらが現行型メルセデスAMG Cクラス C43 4マチック。2022年秋に発売され、現時点では中古車の流通量は少なめだ

レクサス IS 500 Fスポーツパフォーマンスのファースト エディションも素敵なスポーツセダンではあるが、このクラスになると「どちらかといえば、国産車より輸入車のほうが好きだ」という人も多いに違いない。

そんな場合には、IS 500 Fスポーツパフォーマンス ファーストエディションの中古車(未使用車)とおおむね同じぐらいの車両価格となるメルセデスAMG Cクラスがオススメとなる。

搭載エンジン「M139」はダウンサイジングされた2L 直4ターボだが、AMGの伝統にのっとってOne man, One engine(1基のエンジンの組み立て作業すべてを、1人の熟練マイスターが行う)で組み立てられたそれは、3L V6ツインターボだった先代型より18ps増強された最高出力408psを発生。

そしてこのM139エンジンに搭載されるターボチャージャーは、量産車用としては世界初となる「エレクトリックエグゾーストガスターボチャージャー」を採用している。

メルセデスがF1で磨き上げてきたこの技術は、ターボチャージャーの軸に組み込んだ電気モーターで直接ターボを駆動することで、全域においてターボラグのないレスポンスの良さと、低回転域での高トルク化が図られるというものだ。
 

C43▲ドライバーの正面には、ダッシュボードから浮かんでいるような形で12.3インチのコックピットディスプレイが配置されている

さらに2023年9月には2Lターボエンジンと電気モーターのハイブリッドシステムを搭載する「AMG C63 S Eパフォーマンス」を追加。システム全体の最大出力は680ps、最大トルクは1020N・mで、0-100km/h加速は3.4秒という瞬足ぶりだ。

いずれにもトルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチを用いた9速の「AMGスピードシフトMCT」が採用され、他の車ではなかなか味わえない超絶フィーリングを堪能できる。

エグゾーストサウンドをセンサーで拾い、室内のスピーカーで再生する「AMGリアルパフォーマンスサウンド」の音質も、ハッキリいってクセになる味わいだ。
 

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メルセデスAMG Cクラス(2代目)

【2代目Cクラス(メルセデスAMG)の注目データ】
生産期間:2022年10月~
ボディサイズ:全長4705~4835mm×全幅1810~1900mm×全高1435~1455mm
ホイールベース:2840mm
乗車定員:5名
パワーユニット:ハイブリッド/プラグインハイブリッド(ガソリンターボ+電気モーター) 
排気量:1991cc
エンジン最高出力:408~476ps
エンジン最大トルク:500~545N・m
モーター最高出力:10~150kW(13.6~203.9ps)
モーター最大トルク:58~320N・m
WLTCモード燃費:10.2~11.1km/L
駆動方式:4WD
新車時の車両価格帯:1116万~1835万円
中古車掲載台数:約15台
中古車の車両価格帯:798万~1377万円
 

 

3|メルセデス・ベンツ Sクラス(7代目・現行型)
これぞ「毎日使える超高級セダン」のど真ん中!

Sクラス▲十分以上なサイズと諸性能、そして十分以上の存在感を備えているメルセデス・ベンツ Sクラス。その最新世代がこちらだ

前掲のメルセデスAMG C43 4マチックがかなり素晴らしいスポーツセダンであることは間違いないが、ある種の人は「しょせんはCクラス」的に感じてしまうのかもしれない。

個人的にはCクラスぐらいのサイズ感が日本の道には合っていると思うが、もしもそうは思わないのであれば、マイバッハを除けばメルセデス・ベンツのトップレンジとなるSクラスの現行型に、ぜひとも乗っていただきたい。

2021年1月に登場した7代目となる現行型メルセデス・ベンツ Sクラスに、当初用意されたパワーユニットは2種類。「S400 d」には330psの最高出力と700N・mの最大トルクを発生する3L 直6ディーゼルターボエンジンが搭載され、「S500」は最高出力435psの3L 直6ガソリンターボエンジンと48V電気システムの組み合わせ。

同年9月には、最高出力503psの4L V8ツインターボエンジンに48Vマイルドハイブリッドシステム組み合わせた「S580」も追加されている。トランスミッションはいずれも9速ATの「9Gトロニック」だ。

 

Sクラス▲現行型メルセデス・ベンツ Sクラスのコックピット。運転席と助手席の間には、センターコンソールとシームレスにつながったデザインの12.8インチ有機ELメディアディスプレイが装備されている

予防安全・運転支援システムが既存のシステムから大幅にアップデートされたというのもあるが、「とにかくラクに、とにかく安全に、しかし速く走ることができる」という意味では、現行型のメルセデス・ベンツ Sクラスことが――世界一であるかどうかは知らないが、間違いなく「世界トップレベル」であることは疑いようがない。

「7億円を持つ男または女」が普段づかいする車として、これ以上適切なものはなかなかないだろう。
 

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メルセデス・ベンツ S(7代目)

【7代目Sクラス(メルセデス・ベンツ)の注目データ】
生産期間:2021年1月~
ボディサイズ:全長5180~5320mm×全幅1920~1930mm×全高1505mm
ホイールベース:3105~3215mm
乗車定員:5名
パワーユニット:ディーゼルターボ/ハイブリッド(ガソリンターボ)
排気量:2924~3982cc
エンジン最高出力:330~503ps
エンジン最大トルク:520~700N・m
モーター最高出力:15~16kW(20.4~21.8ps)
モーター最大トルク:180~250N・m
WLTCモード燃費:8.7~13.7km/L
駆動方式:4WD
新車時の車両価格帯:1293万~2407.4万円
中古車掲載台数:310台
中古車の車両価格帯:781.9万~1898万円
 

 

4|ベントレー フライングスパー(2代目・現行型)
W12エンジンも選べる超絶ラグジュアリーセダンの決定版

フライングスパー▲きわめて静かになめらかに走らせることも、そしてスポーツカー並みのペースで走らせることもできる、ベントレー フライングスパー

前項にて「7億円を持つ男または女が普段づかいする車として、現行型メルセデス・ベンツ Sクラス以上に適切なものはなかなかない」という意味のことを申し上げた。

大変なミステイクをおかしてしまったことをお詫び申し上げる。「ベントレー」の存在をすっかり忘れていたのだ。7億円を持つ男または女が普段づかいする車としては、なんとも断言はできない問題だが、メルセデス・ベンツ Sクラスよりもベントレー フライングスパーのほうが適切である可能性は否定できない。

ベントレーは1918年に英国で設立された高性能スポーツカーメーカー。1931年にはロールスロイス社に買収され、以降は「ロールスロイスのオーナーカー版」的な姉妹車を作り続けた。しかし現在はフォルクスワーゲン傘下となり、独自の超ハイパフォーマンス&超ラグジュアリーなスポーツサルーンを作り続けている。

で、現行型のフライングスパーは、2019年12月に上陸した同社のフラッグシップセダン。当初のパワーユニットは最高出力635psの6L W12気筒ツインターボで、組み合わされるトランスミッションはデュアルクラッチ式の8速AT。駆動方式は4WDのみだ。超ラグジュアリーなサルーンではあるが、0-100km/hの加速タイムは3.8秒と、並のスポーツカーよりも速い。
 

フライングスパー▲写真でもそのスーパーラグジュアリーな世界観は伝わると思うが、実際のそれは、上質すぎるほど上質なレザーとウッドがもたらす高級感により、思わずむせ返ってしまいそうになるほどだ

2021年の途中には最高出力550psの4L V8ツインターボエンジンが追加され、2022年後半にはシステム最高出力544psのプラグインハイブリッドモデルも登場している。

現行型フライングスパー全体の中古車価格帯は総額で約2200万~3360万円といったところだが、パワーユニット別の相場はおおむね下記のとおりだ。

●6L W12:約2200万~3360万円
●4L V8ツインターボ:約2200万~3300万円
●プラグインハイブリッド:執筆時点で中古車掲載なし

6L W12と4L V8ツインターボ搭載車で、中古車における価格差はあまり見られない。どちらを選んでも良いとは思うが、せっかくなので2024年4月に生産が終わった6L W12エンジンを味わっておくべきだろう。
 

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ベントレー フライングスパー(2代目)

【2代目フライングスパーの注目データ】
生産期間:2019年12月~
ボディサイズ:全長5316~5325mm×全幅1990~2013mm×全高1483~1490mm
ホイールベース:3194~3195mm
乗車定員:4~5名
パワーユニット:ガソリン自然吸気エンジン/ガソリンターボ/プラグインハイブリッド(ガソリンターボ+電気モーター)
排気量:2900~5950cc
エンジン最高出力:416~635ps
エンジン最大トルク:550~900N・m
モーター最高出力:136ps(100kW)
モーター最大トルク:400N・m
駆動方式:4WD
新車時の車両価格帯:2256.1万~3680万円
中古車掲載台数:約30台
中古車の車両価格帯:2165万~3300万円
 

 

5|BMW 8シリーズグランクーペ(初代・現行型)
もしかしたら本当に手が届くかもしれない(?) 洒落者4ドアクーペ

8シリーズグランクーペ▲こちらがBMW 8シリーズの4ドアクーペ版である8シリーズグランクーペ

前項にて「我々富裕層は、ささいな価格の違いに基づいてグレード選択を行うべきではない」という旨を書いたが、よく考えたら筆者はまだ宝くじに当選していなかったので“富裕層”ではなかった。

であるならば、約3000万円も出してベントレー フライングスパーを買うなど愚の骨頂。というか資金不足のため、買うこと自体がままならないはず。

ぎりぎりイケそうな価格である700万~1000万円ぐらいにてBMW 8シリーズグランクーペの良質物件を探すのが最適解なのかもしれない。

8シリーズグランクーペは、「クーペ」「カブリオレ」に続く第3のボディタイプとして2019年10月に追加された、いわゆる4ドアクーペ。純粋なセダンではないが、まあセダンみたいなモノであるとは断言できる。
 

8シリーズグランクーペ▲トランスミッションは8速AT。写真ではわかりづらいが、クリスタルガラス製シフトセレクターの内部には「8」のロゴが浮かび上がっている

当初の主なグレード構成は、最高出力530psの4.4L V8ガソリンツインターボエンジンを搭載する「M850i xドライブ」と、同319psの3L 直6ディーゼルターボエンジンを積む「840d xドライブ」、3L直6ガソリンターボエンジンの「840i」の3種類。

2022年3月にマイナーチェンジが行われ、内外装デザインが少々変更された。

V8ガソリンツインターボの「M850i xドライブ」を狙うとなると総額850万円以上となる場合が多い。しかし、840i系と840d系で良しとするのであれば、走行距離1万km台の物件でも同800万円以下で探すことができる。

高額宝くじ当選の夢から覚めた筆者としては、このあたりのゾーンで「なるべくいい感じの中古車」を、地道にコツコツ探していきたいと考えている。
 

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BMW 8シリーズグランクーペ(初代)

【初代8シリーズグランクーペの注目データ】
生産期間:2019年10月~
ボディサイズ:全長5085mm×全幅1930mm×全高1405mm
ホイールベース:3025mm
乗車定員:5名
パワーユニット:ガソリンターボ/ディーゼルターボ
排気量:2992~4394cc
エンジン最高出力:320~530ps
エンジン最大トルク:500~750N・m
WLTCモード燃費:8.1~12.3km/L
駆動方式:FR/4WD
新車時の車両価格帯:1152万~2150万円
中古車掲載台数:約85台
中古車の車両価格帯:525万~4949万円
 

 

憧れの高級車|SUV編5モデル

次に今一番人気のジャンルである「SUV編」だ。最近はSUVの高級車も増え、選び応えも増している。
 

 

1|トヨタ ランドクルーザー300(初代・現行型)
日本を、いや世界を代表する超本格オフローダー

ランドクルーザー300▲発売と同時に大量のオーダーが入り、現在は注文停止状態となっている現行型トヨタ ランドクルーザー300。写真はスポーツグレードである「GRスポーツ」

2021年8月に発売されるやいなや大人気となり、「納車は4~5年待ち」という状態になってしまい、直近では注文することもできなくなってしまった、ランクル300こと現行型トヨタ ランドクルーザー300。

庶民の皆さんは「ランクル300が買えない!」「自分が最初期に注文したやつの納車はいつになるんだ!」「早く生産再開してくれ!」等々と騒いでらっしゃるわけだが、宝くじ1等7億円が当たっていればランドクルーザー300が欲しいなら、涼しい顔して「中古車」を買うのみである。

そう。中古車市場には、かなりの即納プレミアム価格が上乗せされてはいるものの、走行距離数千kmから1万km台ぐらいのランドクルーザー300がたくさんあるのだ。
 

ランドクルーザー300▲ランドクルーザー GRスポーツのコックピットはおおむねこのような世界観

原稿執筆時点の平均車両価格は1120万円で、一時期よりはプレミア価格も落ち着いている。しかし新車価格が510万~800万円の車であったことを思えば、業腹でないといえば嘘になる。できればそんなモノは支払いたくないのは当然だ。

だがそこでいちいちカリカリ怒るべきではない。7億円ホルダーなら何も言わずにサッと1100万円ぐらいを支払って、ササッと走行距離5000kmぐらいのランドクルーザー300 GRスポーツを手に入れる。そしてサササ~ッと毎日の生活を充実させれば、それでいいのである。
 

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トヨタ ランドクルーザー300(初代)

【初代ランドクルーザー300の注目データ】
生産期間:2021年8月~
ボディサイズ:全長4950~4985mm×全幅1980~1990mm×全高1925mm
ホイールベース:2850mm
乗車定員:5~7名
パワーユニット:ガソリンターボ/ディーゼルターボ
排気量:3345~3444cc
エンジン最高出力:309~415ps
エンジン最大トルク:650~700N・m
WLTCモード燃費:7.9~9.7km/L
駆動方式:4WD
新車時の車両価格帯:510万~800万円
中古車掲載台数:約315台
中古車の車両価格帯:784.7万~1950万円
 

 

2|メルセデス・ベンツ Gクラス 350d ヘリテージエディション/デジーノ マヌファクトゥーア エディション(初代)
先代となった今も存在感はまったく色あせない「元軍用車」

Gクラス▲こちらが先代メルセデス・ベンツ Gクラス。写真は2018年4月に発売された日本限定の特別仕様車「G350d ヘリテージエディション」

トヨタ ランドクルーザー300もかなり素敵な車だが、プレミアムSUVの世界ではメルセデス・ベンツ Gクラスこそが決定版なのかもしれない。そして手元に7億円がある今となっては、やはり“決定版”こそを入手したいものである。

そう考えたときにまず候補となるのは、2018年5月まで販売されていた先代のメルセデス・ベンツ Gクラスであろう。といっても古い年式の中古車はプレミアム感にはいささか欠けるため、我々富裕層が狙うべきは末期の人気グレードである「G350d」だろう。最高出力211ps、最大トルク540N・mの3L V6ディーゼルターボエンジンを搭載するナイスなグレードである。

当初は「G350 Blue TEC」と名乗っていたこちらのグレードだが、2016年1月のマイナーチェンジで名称を「G350d」に変更し、内外装デザインも変更。そして2017年11月には「デジーノ マヌファクトゥーア エディション」という素敵な特別仕様車が、さらに2018年4月には「ヘリテージ エディション」という、これまた素敵な色使いの特別仕様車がリリースされた。
 

Gクラス▲こちらが「G350d デジーノ マヌファクトゥーア エディション」
Gクラス▲「designoブラックレザーシート」や「designoピアノラッカーウッドインテリアトリム」など、上質感を高める特別装備が与えられた「G350d ヘリテージエディション」のインテリア

我々7億円ホルダーがあえて先代のGクラスを買うとしたら、選ぶべきはこの2つのどちらかだろう。

中古車価格帯は総額で約808万~1770万円と、かなり“お手頃”である。
 

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メルセデス・ベンツ Gクラス(初代) × 350d ヘリテージエディション & デジーノ マヌファクトゥーア エディション

【初代Gクラス G350d ヘリテージエディション/デジーノ マヌファクトゥーア エディションの注目データ】
生産期間:2017年11月~2018年5月
ボディサイズ:全長4575mm×全幅1860mm×全高1970mm
ホイールベース:2850mm
乗車定員:5名
パワーユニット:ディーゼルターボ
排気量:2986cc
エンジン最高出力:245ps
エンジン最大トルク:600N・m
駆動方式:4WD
新車時の車両価格帯:1190万~1269万円
中古車掲載台数:約20台
中古車の車両価格帯:794.5万~1749.9万円
 

 

3|メルセデス・ベンツ Gクラス(2代目・現行型)
最強レベルの走破性、そして最高レベルの“存在感”

Gクラス▲現行型メルセデス・ベンツ Gクラス。写真は2022年7月に発売されたメルセデスAMG G63の限定車である「マグノ ヒーロー エディション」

デザイン的には先代Gクラスのほうがシブいと個人的には思うわけだが、よく考えてみれば7億円ホルダーが今さら“先代”を買う必要はないのかもしれない。デザインはさておき、乗りやすさ・運転しやすさに関しては現行型Gクラスのほうが上であり、いわゆる世間体みたいなものも、現行型のほうが当然ながら上なのだろう。

そんな現行型メルセデス・ベンツ Gクラスの新車は現在、トヨタ ランドクルーザー300の新車とある意味同様に「注文することすら困難な状態」になってしまっているわけだが、これまたランクル300と同様に、中古車市場にはたくさんの超低走行物件が普通に流通している。

これもランクル300の中古車と同様に“即納プレミアム価格”になっているわけだが、そんなささいな問題は資産が億をゆうに超える富裕層にとっては知ったことではないだろう。

総額1700万~1900万円あたりのゾーンに走行距離1万km台の「G350d AMGライン」が豊富にそろっているため、それをサクッと買えばいいような気はするが、ここはひとつもう少々の予算をプラスして、メルセデスAMGの「G63」を選んでもいいのかも。

メルセデスAMG「G63」は、4L V8のバンク間に2つのタービンを並列配置するM177型ツインターボエンジンが585psの最高出力を発生させる、過激なバージョンの現行型Gクラス。一般的にはさておき、7億円ホルダーの愛車としては誠に妥当であるはずだ。
 

Gクラス▲ダイヤモンドステッチ入りのナッパレザーシートや、運転席・助手席のリラクゼーション機能およびシートベンチレーターなどが備わるメルセデスAMG「G63 マグノ ヒーローエディション」の車内

通常のG63であれば総額2100万~2400万円付近でも相当いいモノを探せるが、総額2500万円以上を拠出すればおしゃれな「マヌファクトゥーア エディション」が。

さらに総額2900万円以上でもOKなら、2022年7月に発売されたマットカラー+ブラックアクセントがカッコいい「マグノ ヒーロー エディション」を見つけることもできる。
 

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メルセデス・ベンツ Gクラス(2代目) & メルセデスAMG Gクラス(2代目)

【2代目Gクラスの注目データ】
生産期間:2018年6月~
ボディサイズ:全長4575~4873mm×全幅1860~1985mm×全高1966~1985mm
ホイールベース:2890mm
乗車定員:5名
パワーユニット:ガソリンターボ/ディーゼルターボ
排気量:2924~3982cc
エンジン最高出力:245~585ps
エンジン最大トルク:600~850N・m
WLTCモード燃費:6.5~9.9km/L
駆動方式:4WD
新車時の車両価格帯:1080万~3200万円
中古車掲載台数:約600台
中古車の車両価格帯:718万~1億7000万円
 

 

4|ロールスロイス カリナン(初代・現行型)
あの「ロールスロイス」が初めて作ったSUV!

カリナン▲こちらがロールスロイス カリナン。基本的には富裕層が舗装路を走るために購入する車だが、その気になれば悪路もガンガン走破することができる

現行型メルセデス・ベンツ Gクラスのマグノ ヒーロー エディションあたりを買えばすべてOKだろうと思っていたが、よく考えてみると「メルセデス・ベンツ」というのは高級車だけを作っているわけではなく、Aクラスなどのちょっとお安い車も作っているメーカーだ。

それゆえもしかしたら7億円ホルダーが乗る車としては、若干ふさわしくないイメージもあるのかもしれない。

「高級車だけを作っている自動車メーカー」といえば、代表的なのは英国のロールスロイスであり、そのロールスロイスが2018年9月から製造販売しているのが、超絶ラグジュアリーSUVであるカリナンである。……これこそが、私たちには最高にふさわしいSUVなのだろう。

ロールスロイスとしては初のSUVであるカリナンが搭載するパワーユニットは、最高出力571ps/最大トルク850N・mの6.75L 12気筒ツインターボエンジン。空車重量2660kgの重量級ボディを、電子制御リミッターが利く250km/hまで軽々と加速させるという。

ロールスロイス初の4WDであり、足回りにはエアサスペンションを採用。センターコンソールの走行モードセレクターを操作することで、あらゆる道に対応できるそうで、最大渡河水深は540mm。……このSUVで渡河するサムライは世界でもほとんどいないとは思うが、ただただ超絶ラグジュアリーなだけでなく「真のオフロード性能」もちゃんと用意しているという点が、英国の名門の“プライド”なのだろう。
 

カリナン▲左右対称なデザインが採用されたカリナンのインパネまわり。中央のモニターには、ロールスロイス初のタッチパネルが採用された

中古車の流通量はさすがに少なめだが、総額で約4100万円からいちおう見つけることが可能だ。

総額6000万円以上を出すつもりがあるなら、600psの最上位グレードである「ブラックバッジ」も狙える。
 

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ロールスロイス カリナン(初代) & ブラックバッジカリナン(初代)

【初代カリナン/初代ブラックバッジカリナンの注目データ】
生産期間:2018年9月~
ボディサイズ:全長5340mm×全幅2000mm×全高1835mm
ホイールベース:3295m
乗車定員:4~5名
パワーユニット:ガソリンターボ
排気量:6748cc
エンジン最高出力:571~600ps
エンジン最大トルク:850~900N・m
駆動方式:4WD
新車時の車両価格帯:3894.5万~4530万円
中古車掲載台数:約40台
中古車の車両価格帯:4063万~6700万円
 

 

5|ポルシェ マカン(初代後期型・現行型)
ぜひ「後期型」を手に入れたいコンパクトな(?)ポルシェ製SUV

マカン▲2021年7月に、エンジンをパワーアップするとともに内外装デザインなども変更したポルシェ マカン。写真はその世代のベースグレードで、ボディカラーは「マイアミブルー」という希少人気色

SUV編においても7億円が当たったとの妄想が加速してしまい、『車両5500万円以上出すつもりがあるなら、ロールスロイス カリナンの「ブラックバッジ」を購入することもできるだろう』などと、かなり痛いことを言ってしまった。実際の筆者は7億円に当選などしておらず、財布の中には8000円しか入っていない。

となれば「高級SUV」を買うとしても、車両価格で1000万円ぐらいがギリギリの上限か。そのぐらいなら本当にギリギリ、ローンでなんとなる可能性はワンチャンある。

予算上限1000万円でなるべく素敵なプレミアムSUVを探すとしたら――最右翼となるのはポルシェ マカンだろうか。

ご承知のとおりマカンはポルシェのコンパクトSUVだが、「コンパクト」というのは「ポルシェの基準では」であって、日本では「普通にやや大きめなSUV」であると言っていい。

そんなポルシェ マカンは、前期型の中古車であれば総額200万円台から見つけることもできるわけだが、「高級車感」があるという意味では、2021年7月に受注開始となったマイナーチェンジ後の世代を狙いたいところだ。

このマイナーチェンジでは、トップモデルとなる「マカンGTS」の2.9L V6ツインターボが従来型を60ps上回る最高出力440psになると同時に、「マカンS」の2.9L V6ツインターボは26ps増の同380psに、ベースグレードである「マカン」に積まれる新開発の2L 直4ターボは13psアップの最高出力265psになった。

そして、すべてのエンジンに7速DCT「PDK」と「ポルシェトラクションマネジメント(PTM)4WDシステム」が組み合わされ、「ポルシェアクティブサスペンションマネジメント(PASM)」もマカンSおよびマカンGTSに標準装備され、マカンにはオプション設定されるようになっている。

その他もろもろの改変とともに、前後のエクステリアデザインやインテリアデザインの一部も変更され、より“高級SUV”らしくなったのが、この世代のポルシェ マカンだと言える。
 

マカン▲2021年7月以降のインテリアには、タッチパネル式のセンターコンソールや、コンパクトになったシフトレバー、新デザインの「マルチファンクションGTスポーツステアリングホイール」などが採用された

とはいえ、2.9L V6ツインターボの「マカンS」または「マカンGTS」を買うとなると、この世代は総額で1000万円付近から探せるようになる。しかし「ぜいたくは敵だ!」ということで2L 直4ターボのベースグレードを選ぶようにすれば、2021年7月以降の世代であっても総額880万~930万円ぐらいで、低走行車を見つけることができるはず。

「まずまず現実的だがプレミアムな選択肢」として、この世代のポルシェ マカン ベースグレードは個人的にも客観的にも、大いに注目したいセグメントである。
 

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ポルシェ マカン(初代後期型)

【初代マカン後期型の注目データ】
生産期間:2021年7月~
ボディサイズ:全長4726mm×全幅1922~1927mm×全高1596~1621mm
ホイールベース:2807mm
排気量:5名
パワーユニット:ガソリンターボ
排気量:1984~2894cc
エンジン最高出力:265~440ps
エンジン最大トルク:350~550N・m
WLTCモード燃費:10.1km/L
駆動方式:4WD
新車時の車両価格帯:616万~1295万円
中古車掲載台数:約75台
中古車の車両価格帯:658万~1530万円
 

 

憧れの高級車|BEV編5モデル

憧れの高級車、その最後を飾るのは「BEV(電気自動車)」編だ。これまでのボディタイプによるカテゴライズとは異なるが、多くのメーカーが注力しているジャンルだけに切り出して妄想していくことにする。
 

 

1|テスラ モデルS(初代・現行型)
最高出力1020馬力を記録する高級BEVの顔役

モデルS▲テスラが初めて自社で生産した車種であるモデルS。画像は現行の最新モデルで、Cd値が0.208と空力性能に優れている

高級BEVと聞いてテスラ モデルSを思い浮かべる人は決して少なくあるまい。テスラはご存じのとおりBEV専門メーカーの先駆けであり、ラグジュアリーさだけでなく先進性とワクワクも感じさせてくれる稀有なメーカーだ。

モデルSはそんなテスラの頂点に君臨する5ドアハッチバックセダンであり、発売から10年以上がたっても色褪せぬ存在感を発している。「走るiPhone」とも評される雰囲気は賛否が分かれるが、富裕層がiPhoneを持っていても違和感がないように、7億円ホルダーが乗っていてもしっくりくるはずだ。

日本では2013年に発売されて以来、幾度かの改良によって内外装もパワートレインもリファイン。そのためモデル展開は多様だが、最新モデルではデュアルモーターAWDの「モデルS」と、トライモーター仕様の「モデルSプラッド」 の2グレード構成となっている。

特筆すべきは動力性能だ。モデルSは最高出力が670hp(679ps)で、0-100km/h加速が3.2秒。モデルSプラッドは最高出力が(1034ps)で、0-100km/h加速が2.1秒と、ガソリン/ディーゼル車では不可能な加速力を誇っている。

テスラ車の利点として、250 kWの専用急速充電施設「スーパーチャージャー」を利用できる点も挙げられる。日本の急速充電器は50kWが一般的であるため、単純計算で5倍の早さで充電できるのはうれしいところだ。
 

モデルS▲インパネ中央の17インチタッチスクリーンは2200×1300の高解像度。左右チルト機構を搭載し、応答性も高い

選びたいのは現行の2モデルだが、中古車台数は3台のみ。総額は1130万~1600万円なので、7億円を持つなら即決すべきだ。

しかし高額宝くじ当選の妄想から撤退して現実的に考えるなら、年式が古い中古車に目を向けるしかない。2014~2017年式あたりなら総額400万円以下でも手に入る物件があるため、まるで手が届かない車ではないだろう。

ちなみに、過去モデルは「P90D」と説明されているが、「P」は高性能版、「90」はバッテリー容量、「D」はデュアルモーターを意味する。85なら「バッテリー容量85kWのシングルモーター車」を示すので、覚えておくと良い。
 

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テスラ モデルS(初代)

【初代モデルSの注目データ】
生産期間:2013年~
ボディサイズ:全長4970mm×全幅1964mm×全高1445mm(2024年式)
ホイールベース:2960mm(2024年式)
乗車定員:5名(2024年式)
パワーユニット:電気モーター(2024年式)
モーター最高出力: 679~1034ps(2024年式)
モーター最大トルク:メーカー非公開
駆動方式:4WD(2024年式)
新車時の車両価格帯:1266.9万~1566.9万円(2024年式)
中古車掲載台数:約45台
中古車の車両価格帯:150万~1580万円
 

 

2|メルセデス・ベンツ/メルセデスAMG EQS(初代・現行型)
ルックスからも走りからも未来感が漂う

EQS▲こちらはメルセデス・ベンツの初代EQS。弓をモチーフにしたフォルムで、5ドアハッチバックセダンながらクーペのようなシルエットとなっている

前掲のテスラ モデルSはとてつもなく洗練された車だが、やはりハイセンス系ガジェット的なテイストが気にならなくもない。

とは言ってもBEVを選ぶからには時代の最先端を味わいたい――そんな矛盾に対する100点の回答となるのがメルセデス・ベンツまたはメルセデスAMGのEQSだろう。

EQSは名前から想像できるとおり「BEVのSクラス」に相当するモデルだ。しかし、メルセデス初のBEV専用プラットフォームを採用しており、Sクラスは明確に差別化されている。

AMGでは前後輪にモーターを搭載し、最高出力658ps/最大トルク950N・mを発揮。ブーストのレーススタート機能を使用すれば同761ps/同1020N・mまで引き上げられる。しかし乗り味はナチュラルで、メルセデスらしい上質さにあふれている。

注目したいのはインテリアで、運転席から助手席までのインパネを覆う「MBUXハイパースクリーン」は実に近未来的。触感と力覚のフィードバック機能も搭載され、物理スイッチのように押したことがわかり、押す力に応じて応答が変化する。一方で、万が一の際には衝突の衝撃を変形して吸収するよう設計されており、安全性も確保されている。
 

EQS▲MBUXハイパースクリーンはAMGの「53 4マチックプラス」には標準装備。ベンツの「450プラス」ではオプション設定されている

中古車台数は合わせて約60台で、ベンツのEQSが45台と多い。車両平均価格もベンツが約970万円、AMGが約1313万円で、ベンツのほうが狙いやすくなっている。

EQSはメルセデス・マイバッハにも設定されているが、こちらはショーファーカー(誰かに運転してもらうための車)となる。7億円ホルダーとしてはお抱えの運転手を雇うのも良いが、憧れの高級車なら自分で車を運転したいため、ドライバーズカー寄りのベンツとAMGの2モデルを選出した。
 

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メルセデス・ベンツ EQS(初代) & メルセデスAMG EQS(初代)

【初代EQSの注目データ】
生産期間:2022年9月~
ボディサイズ:全長5225mm×全幅1925mm×全高1520mm
ホイールベース:3210mm
乗車定員:5名
パワーユニット:電気モーター
モーター最高出力:333~658ps
モーター最大トルク:568~950N・m
WLTCモード交流電力量消費率:182~221Wh/km
駆動方式:RWD/4WD
新車時の車両価格帯:1563万~2375万円
中古車掲載台数:約60台
中古車の車両価格帯:798万~1890万円
 

 

3|BMW iX(初代・現行型)
大型クルーザーのような快適な乗り心地

iX▲こちらがiX。カメラやレーダー、センサー類を内部に搭載するため、キドニーグリルは大型化されている

EQSはBEVとして非の打ちどころがないし、BEVらしい流線形なルックスも魅力的ではあるが、普段づかいに考えるならもう少しカジュアルさがあったほうが良いかもしれない。

となると、実用性的で街にも馴染むクロスオーバーSUVのBEVを候補とすべきではないか。……そう考え直してみると、BMW iXこそが選ぶべき高級車と思えてくる。

iXはBMWの電気自動車SUVラインナップにおけるフラッグシップだ。BEV専用のプラットフォームを採用し、前後にそれぞれモーター1機を搭載している。

加速もハンドリングも素直で、大柄なボディで力強く走り出すドライブフィールはクルーザーをほうふつとさせる優雅さだ。7億円ホルダーであるなら、猛スピードで走るよりドッシリと巡航するほうがサマになると言うものだろう。
 

iX▲iXのインテリアはモダンで、高級家具を思わせる仕立ての良さ。センターコンソールはフローティング式で、シフトセレクターや走行モードのセレクターが収まる

デビュー時のグレード構成は最高出力326psのモーターを搭載する「xドライブ40」と同523psの「xドライブ50」だったが、2022年5月に同540psを誇る「M60」が追加されている。

中古車台数は60台ほどだが、平均車両価格は約833万円で、総額600万円台の物件も発見できる。宝くじ1等当選の妄想から覚めても、ぎりぎり狙えるので安心して夢を見られるので安心だ。
 

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BMW iX(初代)

【初代iXの注目データ】
生産期間:2021年11月~
ボディサイズ:全長4955mm×全幅1965mm×全高1695mm
ホイールベース:3000mm
乗車定員:5名
パワーユニット:電気モーター
モーター最高出力:258~540ps
モーター最大トルク:290~1015N・m
WLTCモード交流電力量消費率:183~199Wh/km
駆動方式:4WD
新車時の車両価格帯:981万~1798万円
中古車掲載台数:約60台
中古車の車両価格帯:588万~1369.9万円
 

 

4|ポルシェ タイカン クロスツーリスモ(初代・現行型)
ポルシェの新提案である「CUV」第1弾モデル

タイカン クロスツーリスモ▲ロングノーズと流麗なルーフラインで、ポルシェらしいシルエットに仕上げられているタイカン クロスツーリスモ

7億円が当たった妄想の中、さらにiXに1年ほど乗った妄想を重ねた結果、「これはこれで素晴らしい選択だったが、もう少し攻めた車にするべきだったか」という気持ちが湧いてきた。

であるならば、車両本体価格が時価で約3億円を超えたリマック ネヴェーラあたりが有力か……とも思えたが、もっと身近に興味深い存在があった。ポルシェ タイカン クロスツーリスモだ。

素性を簡単に言うと、ポルシェ初のBEVであるタイカンのクロスオーバーSUVとなるが、ポルシェではCUV(クロスユーティリティビークル)の第1弾と表現。「ベース車のオンロード性能にオフロード性能を付け加えた新ジャンル」と位置づけているのだ。

このように説明しているからには、少なくともCUVを他モデルに展開していくことが予測される。それが今後定着していくかはさておき、記念すべき第1弾に乗るのは悪くないチョイスではなかろうか。
 

タイカン クロスツーリスモ▲コックピットとインパネのデザインはタイカンと変わらないが、ダッシュボードのクロックに「コンパスディスプレイ」がオプション設定されている点はユニークだ

ただ、タイカン クロスツーリスモ自体はとがっているどころかオーラウンダーな車である。タイカンより後席の頭上を拡大し、4ドアから5ドアに変更して利便性も向上。荷室容量は後席を倒せば1212Lまで拡大でき、積載性も十分以上だろう。

最低地上高は20mm、オプションのオフロードデザインパッケージ装着車なら30mmも高められている。加えて、クロスツーリスモ独自の「グラベルモード」をセレクトすると、最低地上高がさらに30mm上がって、サスペンションやトラクションなどもオフロード仕様に切り替わる。

ボクサーエンジンやRRレイアウトにこだわらず、新時代のポルシェを楽しんでみるのも面白いし、中古車の車両平均価格が約1241万円とタイカンより安いのもポイントだろう。
 

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ポルシェ タイカン クロスツーリスモ(初代)

【初代タイカン クロスツーリスモの注目データ】
生産期間:2021年3月~
ボディサイズ:全長4974mm×全幅1967mm×全高1409mm
ホイールベース:2904mm
乗車定員:4~5名
パワーユニット:電気モーター
モーター最高出力:380~625ps
モーター最大トルク:500~1050N・m
WLTCモード交流電力量消費率:220~228Wh/km
駆動方式:4WD
新車時の車両価格帯:1309万~2113万円
中古車掲載台数:約30台
中古車の車両価格帯:968万~2118万円
 

 

5|ロールスロイス スペクター(初代・現行型)
電気モーターで「魔法のじゅうたん」がさらに進化

スペクター▲ロールスロイス史上最も低いCd値0.25を達成したスペクター。ステレンススチール製のフロントグリルや23インチの大経ホイールも目を引く

タイカン クロスツーリスモで今購入すべき高級BEVは決定しかけたが、やはりロールスロイスは検討せずに終わることはできない。

スペクターはロールスロイス初のBEVである2ドアクーペ。内装の質感は極上で、「魔法のじゅうたん」と評される乗り心地も健在だ。

ボディではオール・アルミニウムのスペースフレーム「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」を採用し、実に堅牢。搭載するモーターは最高出力584ps/最大トルク900N・mとパワフルで、全長5475mmで車重2.9tの巨体をこともなげに動かす。

一定以上に車体が傾かないよう自動調整する「プラナー・サスペンション・システム」が採用され、ロールロイス特有のフラットライドを実現。静粛性も考慮しており、ロードノイズや風切り音などを極限まで低減している。

プライベートジェットさながらの快適性であり、高級BEVの中でも最高峰のラグジュアリーさを備えている。
 

スペクター▲クラフトマンシップによって作り込まれた室内。オープンポアの化粧板も熟練の職人が膨大な時間をかけて仕上げている

中古車台数は3台で、車両価格はいずれも7000万円オーバーとなっている。

ロールスロイスは仕様を細かくカスタマイズできるため、新車で買いたい人も多いだろう。しかし、中古車なら納車待ちをせずに済むので、条件にあえば購入するのも一案だ。時は金なりというが、7億円を持っているなら、金よりも時のほうが貴重だからだ。
 

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ロールスロイス スペクター(初代)
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【初代スペクターの注目データ】
生産期間:2023年7月~
ボディサイズ:全長5475mm×全幅2017mm×全高1573mm
ホイールベース:3210mm
乗車定員:4名
パワーユニット:電気モーター
モーター最高出力:584ps
モーター最大トルク:900N・m
駆動方式:4WD
新車時の車両価格帯:4800万円
中古車掲載台数:約5台
中古車の車両価格帯:7420万~7500万円
 

 

中古車で高級車を購入するのもアリ!

ここまで中古での高級車の購入も視野に入れながら今買いたいモデルを紹介してきたが、そもそも「高級車を中古で買うのってどうなの?」と感じていた人もいるかもしれない。

結論から言うと中古で高級車を買うのは、選択肢を広げる賢い手段だと言える。そう考える理由と合わせて、中古車で購入する際のポイントを解説していこう。

中古車価格がかなり安くなる車種もある
中古車の価格は需要と供給によって決まる。それは高級車といっても例外ではなく、かなりリーズナブルとなる車種も少なくない。

中でも高級セダンは、その傾向が強い。セダンを求める層が「最新であること」を好むためか型落ちしたり、ビッグマイナーチェンジしたりすると一気に中古車価格が下落する。相場が5%下がった場合であっても、新車時価格が2000万円なら100万円も安くなる。もちろん車種によって状況は異なるが、中古の高級車には相当の“うまみ”があると言える。

なお、嗜好性の高いスポーツカーや需要の根強いクロスカントリーSUVは、中古車価格が高値で安定する傾向にあり、プレミア価格となる車種も多い。ただ、高値を維持し続けている車種は、リセールバリューが期待できる証しでもある。もちろん高額であることに変わりはないが、購入価格の額面から想像されるより最終的なコストはオトクとなるだろう。
 

A8▲人気メーカーのアウディが誇るフラッグシップセダン・A8(4代目・現行型)でも低年式モデルなら総額500万円以下で狙える

新車では入手不可能な車種も購入できる
高級車では限定車をよく設定しているし、そもそも車種自体が限定生産なこともある。すでに生産が終了された希少価値の高いモデルも中古でなら手に入る。かつて憧れた車が選択肢となるのはたまらないだろう。

特にクラシカルな車が好みなら、高級車メーカーは有力な選択肢となり得る。「フェラーリ・クラシケ」や「ランボルギーニ・ポロストリコ」など、クラシックカー部門を設立するメーカーがあり、手厚いアフターケアが期待できるからだ。
 

ブガッティ▲例えば1974年に登場したランボルギーニ初の市販モデル「カウンタックLP400」だってレストアしてくれる

高品質な認定中古車プログラムが用意されている
高級車でも大衆車と同様に認定中古車プログラムが用意されている。メーカーによる厳しい点検に合格した車両しか認定中古車とは認められないし、充実した保証も付帯される。

自動車に限らず、高級ブランドであればあるほどブランド価値を毀損する商品には厳しいもの。高級車メーカーの認定中古車ともなれば、最高品質の中古車であることに疑いようがない。
 

ウルス▲ランボルギーニでは「セレツィオーネ・ランボルギーニ・サーティファイド・プレオウンド」という認定中古車制度を展開。写真はランボルギーニ ウルス(初代・現行型)のマイナーチェンジ前モデル

高級車は維持費も高額になりやすい
うまくいけばお手頃価格で高級車を購入できるかもしれないが、高級車は維持費も高級である点は念頭に入れておきたい。高級車の部品は高価だし、工賃も大衆車と比べたら高額な傾向にある。

また、車両重量や排気量が大きい車種が多く、自動車税や自動車重量税も高めだし、自動車保険も大衆車より高くなりやすい。総じて維持費がかかることは事前に留意しておきたい。
 

 

1000万円超! 中古車の人気高級車ランキングTOP10

最後に、中古車の平均価格が1000万円を超える人気ランキングを紹介する。カーセンサー独自のデータを用いた2024年の最新ランキングであり、中古車での購入を検討していない人にとっても興味深いランキングだろう。
 

順位 メーカー モデル名 世代 中古車の
平均車両価格
1位 ポルシェ 911 991型 1400万円
2位 ポルシェ 911 992型 2440万円
3位 ランドローバー ディフェンダー 3代目 1000万円
4位 メルセデスAMG Gクラス 2代目 2690万円
5位 ポルシェ 718ケイマン 初代 1160万円
6位 メルセデスAMG GT 4ドアクーペ 初代 1130万円
7位 ランボルギーニ ウラカン 初代 3850万円
8位 メルセデスAMG SLクラス 2代目 1290万円
9位 ランボルギーニ ウルス 初代 3860万円
10位 ポルシェ カイエンクーペ 初代 1400万円
順位 メーカー モデル名 世代 中古車の平均車両価格
1位 ポルシェ 911 991型 1400万円
2位 ポルシェ 911 992型 2440万円
3位 ランドローバー ディフェンダー 3代目 1000万円
4位 メルセデスAMG Gクラス 2代目 2690万円
5位 ポルシェ 718ケイマン 初代 1160万円
6位 メルセデスAMG GT 4ドアクーペ 初代 1130万円
7位 ランボルギーニ ウラカン 初代 3850万円
8位 メルセデスAMG SLクラス 2代目 1290万円
9位 ランボルギーニ ウルス 初代 3860万円
10位 ポルシェ カイエンクーペ 初代 1400万円
 

今一番高い「中古の高級車」は?

最後に2024年8月中旬現在、カーセンサーに掲載されている中で「一番高級(高額)」な中古車を参考までに見ておこう。最も高級な物件は2015年式ポルシェ 918スパイダー。掲載台数は1台で、車両価格は2億7500万円となっている。
 

918スパイダー▲918スパイダーのエクステリアにはカレラGTやレースカーの917の要素が盛り込まれている

こちらは2010年のジュネーブショーで公開したコンセプトカーを市販化した、2シータープラグインハイブリッドスポーツだ。918台の限定生産で、2011年5月に受注が開始。2015年6月まで生産されていた。

モノコックフレームにカーボンファイバー強化プラスチックを採用。搭載するパワーユニットはV8エンジンと前後2つのモーターで、トランスミッションはツインクラッチの7速PDKが組み合わされる。

駆動はエンジンが後輪、2つのモーターが前後輪を駆動する4WDシステム。エンジンとモーターの総合出力は887psに達し、0-100km/h加速は2.6秒を記録している(ヴァイザッハパッケージ装着車)。

デビュー当時の価格は68万4800ユーロ。当時の円ユーロレートで8000万円以上であったが、早々に日本割り当て分は完売した。

なお、2015年式の918スパイダーをローンで買う人もいないとは思うが、念のためローンシミュレーションをしてみた。諸費用は現金支払いで、車両価格分を金利1.9%、120回均等払いとする場合の支払金は「初回252万6792円/2回目以降251万8000円(分割払い手数料2716万8792円)」であった。

……毎月の支払額だけで新車のトヨタ アクアが買える。
 

※記事内の情報は2024年8月10日現在のものです。
文/伊達軍曹 写真/ロールスロイス、ブガッティ、フェラーリ、マクラーレン、ポルシェ、日産、ランボルギーニ、BMW、トヨタ、メルセデス・ベンツ、ベントレー、レクサス、アウディ、テスラ、アストンマーチン、マセラティ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。

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