20セルシオが絶滅寸前! 2代目トヨタ セルシオの中古車流通量が50台に
2023/03/11
世界を震撼させた初代セルシオの正常進化モデル
クラウンを凌ぐ高級フラッグシップサルーンとして1989年に初代モデルが登場したセルシオは、クラウンのように(ほぼ)国内専売車ではなく、ワールドワイドに販売することを念頭に置いたモデルとなっており、日本国外では初代レクサス LSとして販売をスタートしました。
その完成度の高さは世界的に見ても群を抜いており、欧州の高級車メーカーもこぞって実験用にセルシオを購入し、研究を重ねたという逸話が残っているほど。
そんなセルシオは1994年10月にフルモデルチェンジを果たし、2代目へと進化。気づけばまもなく30年が経過するネオクラシックモデルの仲間入りということで、中古車としての掲載台数もジワジワと減少の一途をたどり、現在の流通量はわずか50台程度となっているのです。
そこで今回は、そんな希少車になりつつある2代目セルシオの概要と現在の中古車の状況をチェックしてみたいと思います。
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トヨタ セルシオ(2代目)×全国モデル概要:キープコンセプトで登場した2代目セルシオ
初代モデルの世界的な大ヒットを受けて1994年10月に登場した2代目セルシオは、初代のアイデンティティを大きく変えることなく、より“深化”させることを狙って開発されたモデルとなっていました。
そのため、エクステリアは初代と大差のない超キープコンセプトなものとなっており、ボディサイズも全長、全幅は初代と全く同じという念の入れようでした。
ただし、車格の割に狭いと評された室内空間は前後左右に拡大され、ホイールベースも先代よりも35mm延長することで後席のレッグスペースを大きく拡大するなど、ネガな部分は確実につぶしてきたのです。
搭載されるエンジンも、型式こそ初代と同じ1UZ-FE型のV8 4L DOHCエンジンですが、燃焼効率、吸気効率の向上に圧縮比アップ、フリクションロスの低減などの進化を果たし、+5ps/+1.0kg・mの出力向上を実現。
また、車両重量も先代よりも100kg以上の軽量化を実施した他、初代でやや不満の聞かれたブレーキ性能も、フロントにアルミ製の対向4ポッドキャリパーを奢り、ボディ剛性や静粛性もアップさせるなど、小さな見た目の変化に対してメカニズムは大幅に改良されていたのでした。
そして1997年7月にはマイナーチェンジを実施し、後期型へと移行。フルモデルチェンジ時にはほとんど手が加えられていなかったフロントマスクを大幅に変更し、グリルを独立させた他にヘッドライトやボンネット、フェンダーのラインまで変更される大掛かりなものとなっていました。
この後期型のフロントマスクは、のちに登場する3代目セルシオに似たものとなっており、初代から2代目へ、そして2代目から3代目へという変化を、マイナーチェンジを挟んで徐々に移行していったともいえるでしょう。
このマイナーチェンジでは外観の変更だけにとどまらず、エンジンには新たにVVT-iを採用して最高出力を280psへと向上させ、トランスミッションも4速から5速ATへと多段化。
さらに安全装備も強化され、6エアバッグやVSC(横滑り防止装置)、ブレーキアシストなども標準装備となり、レーダークルーズコントロールもオプションで用意されるようになりました。
グレード体系は初代と同じく下から「A仕様」、「B仕様」、「C仕様」の3グレードが用意され、C仕様のみエアサスペンションを採用する点も共通で、C仕様には後席のホスピタリティを向上させた「Fパッケージ装着車」も設定されていました。
また、1996年8月にはA仕様とB仕様に欧州仕様の足回りやブラックレザーのスポーティな内装(ブラックレザー以外のカラーもオプションで設定)などを装備した「eRバージョン」も設定され、人気を博しました。
中古車状況:最近台数は減少、平均価格は100万円近くにアップ
前述したように、すでにデビューから30年が経過しようとしている2代目セルシオ。3代目が登場したのが2000年のことですから、最終型であってもすでに20年以上が経過していることになります。
それだけに掲載台数は減少の一途をたどっており、2021年ごろには100台前後はコンスタントに存在していた物件数も今年の1月には73台まで落ち込み、執筆時点ではわずか49台となってしまっていました。
一方の価格は右肩上がりが上がってきており、2021年1月の時点で60万円台前半だった平均価格も、2023年1月には90万円台を突破しており、わずか2年で30万円ほどアップした計算になります。
これは年数が経過して、いわゆる激安といわれる物件が減ってきたことと、ネオクラシックの部類に足を踏み入れたことによって状態の良いものの価格が上昇に転じていることを表しているといえそうです。
実際、前期型の2代目セルシオは掲載台数の1割ほどと少なく、走行距離が10万kmを超える物件も掲載台数のおよそ1/5程度と低年式で過走行な物件はほとんど見られなくなってきているのが実情でした。
現状で高額な部類に入る物件は支払総額200万円前後のものが中心となりますが、この価格帯の物件も、エアロ、大径アルミ、ローダウンといった定番のカスタマイズ済車両だけでなく、フルノーマルで低走行な物件も増えてきており、今2代目セルシオを買おうとしているユーザー層の変化を感じることができます。
フルノーマルに近い物件は上級グレードのC仕様が中心となっており、余裕のあるオーナーが大切に維持管理してきたと思われるものが存在している一方で、スポーティなeRバージョン系は低走行かつフルノーマルに近い物件は執筆時点では見つかりませんでした。
このあたりのグレードはカスタマイズを好むユーザーに一時期人気があったためこのような状況になっていると思われ、状態の良い物件を見つけるには根気が必要になりそうです。
価格帯は最高値近辺で総額200万円超、走行距離が年式に比べて少なめの7万km未満の物件であれば総額120万~150万円程度の予算で狙うことができそうで、一時期に比べれば高値にシフトしている感もありますが、状態の良いフルノーマルに近い物件を狙うならラストチャンスといえるかもしれません。
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トヨタ セルシオ(2代目)×全国※記事内の情報は2023年3月8日時点のものです
自動車ライター
小鮒康一(フナタン)
スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。