トヨタ クラウンクロスオーバー(現行型)▲腰高なフォルムとツートーンカラーが新鮮な新型クラウンクロスオーバー。全車ハイブリッド、フルタイム4WDを採用する

クラウン初のSUV。新型トヨタ クラウンクロスオーバー

1950年代から連なるクラウンの歴史において、2022年に行われた16代目へのフルモデルチェンジはこれまでとは一線を画すものとなった。

従来の枠組みから飛び出し、「セダン」とハッチバック型の「スポーツ」「クロスオーバー」、SUVスタイルの「エステート」という4タイプもの斬新なボディバリエーションを取り揃えるに至ったのだ。
 

クラウンクロスオーバー(現行型) ▲2022年7月に発表されたクラウンクロスオーバー

2022年9月、他モデルに先駆けて受注スタートしたのがSUVテイストの「クロスオーバー」である。大きくイメージが変わった外観、ハイブリッドのみ、しかもエンジン横置きとなったパワートレインの構成などに衝撃を受けた人は多いだろう。

しかし、新型コロナの感染拡大や半導体不足の影響で、デリバリーは当初の予定より大幅に遅れており、多くのグレードで生産が2023年の春以降という状況になっている(※2023年2月20日現在、公式サイトの情報による)。

数はわずかながら中古車市場にも流通し始めたので、「新車が納車されるまで待っていられない!」という人は中古車を狙ってみるのも一案だろう。

この記事ではクラウンクロスオーバーの概要や中古車市場の現況について解説する。
 

クラウンクロスオーバー(現行型) ▲リアオーバーハングが長く、リアウインドウが傾斜した独特のスタイル。クロスオーバーとなったことで、運転席からの視界も良くなった

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【ボディサイズ】従来型より居住空間が格段に広い

クラウンといえば国産セダン最大級のボディサイズを思い浮かべるが、クロスオーバーとなった新型については競合他車に比べて決して大きいわけではいない。全長:4930mm × 全幅:1840mm × 全高:1540mmという寸法は国産SUVの中でミドルサイズに相当する。

全長こそかなり長めであるものの、全幅では日産 エクストレイルやスバル フォレスター、マツダ CX-5と同等。トヨタ ハリアーより幅狭というサイズ感だ。

最小回転半径についても5.4mと国産ミドルクラスSUV同等。路地裏であっても取り回しに困ることは少ないだろう。
 

クラウンクロスオーバー(現行型) ▲フロントノーズの短さが際立つボディサイド。面の抑揚で躍動感、質感を表現したドアの造形も印象的だ

実はホイールベースが先代セダンより70mmも短くなっているが、全長を約20mm伸ばしたこと、エンジンを横置きにしたことの好影響で居住空間は格段に広くなっている。特に後席の広さは特筆すべき点で、ヒップポイントが上がったおかげで乗降もしやすくなった。
 

“クラウンクロスオーバー(現行型)” ▲新型クラウンクロスオーバーの前席。「RS」グレード以外はファブリック+合皮の組み合わせ
“クラウンクロスオーバー(現行型)” ▲新型クラウンクロスオーバーの後席。一部グレードのオプション設定以外ではリクライニングができない仕様だ

なお、トランクルームは車室と壁で隔てられた構造。この点もクラウンクロスオーバーのユニークなところだろう。

ただし、容量は450Lやや小さめ。その代わりにトランクスルーが設けられ、長尺物を積めるようになっている。
 

クラウンクロスオーバー
 

【デザイン】伝統を打ち破る斬新さ

キャビンと荷室が連なり、緩やかな稜線を描くファストバック的スタイルが特徴のクラウンクロスオーバー。伝統的な大型フロントグリルはなくなり、薄型のヘッドライトと薄型のグリルが横一直線につながる精悍なフロントマスクとなった。

何といっても印象的なのは、ボンネットとヘッドライト上端、バンパー開口部とルーフがブラックとなるツートーンカラーが設定されたことだろう。ルーフ色をボディと別色に塗り分けるのはオシャレな欧州車でお馴染みの手法だが、ボンネットまでとは大胆。かなりスポーティな印象を受ける。
 

クラウンクロスオーバー

インテリアは、メーターと大型ディスプレイ、操作スイッチが水平方向に並ぶ、オーソドックスなデザイン。エアコン操作をタッチパネルではなく、スイッチとして残すなど操作性が最優先されている。

インパネとドアのラインを連続させ、乗員をバスタブのように包み込む演出も。内装、シートなどインテリアの随所から上質感が感じられる空間はクラウンの伝統だ。
 

クラウンクロスオーバー(現行型) ▲インテリアは「全席特等席」というコンセプトで作られた。安らぎを感じる空間だ
 

【パワートレイン/グレード】2種類のハイブリッドを用意

“クラウンクロスオーバー(現行型)” ▲エンジンの駆動力をモーターに直結する「デュアルブーストハイブリッド」のパワートレイン。モーター出力制御によってFRのような挙動を生み出すこともできる

全車フルタイム4WD、ハイブリッドとしたうえで、2.5Lガソリンエンジン+前後モーターの「E-Four(シリーズパラレルハイブリッド)」と、2.4Lガソリンターボエンジン+前後モーターの「デュアルブーストハイブリッド」という2種類のパワートレインが用意される。
 

クラウンクロスオーバー(現行型) ▲2種類のパワートレインはいずれもハイブリッド

前者はプリウスやアルファードなどトヨタの他車種も多く採用してきた実績のあるパワーユニット。後者はエンジンからの出力をフロントモーターにつなぎ、ダイレクトな加速感を実現する新世代のパワーユニットである。

グレード構成は下記のとおり。
・「X」:2.5L ガソリンエンジン+前後モーター搭載のベーシックグレード。モノトーンカラーのみ。新車時価格は435万円~。
・「G」:2.5L ガソリンエンジン+前後モーターの上級グレード。ドライブレコーダーなどが装備される「アドバンスド」、本革シート、ブラインドスポットモニターなどが装備される「レザーパッケージ」、「アドバンスド レザーパッケージ」の設定あり。新車時価格は475万円~。
・「RS」:2.4L ガソリンターボエンジン+前後モーターの最上級グレード。ヘッドアップディスプレイ、ドアイージークローザーなどが装備される「アドバンスド」の設定あり。新車時価格は605万円~。

「X」「G」は高級車としての落ち着き、安心感を演出した仕様、「RS」はスポーティさと高級感を強調した仕様と理解することができる。
 

 

【安全装備】全グレード共通の基本装備が充実

“クラウンクロスオーバー(現行型)” ▲紛れもない高級車であるクラウンクロスオーバーだが、標準装備内容は厳選されており、グレード間で差別化されている。本革シートとなるのは「G レザーパッケージ」と「RS」のみだ

最新の先進予防安全機能である「Toyota Safty Sense」を全車標準装備。前車追従機能付きのレーダークルーズコントロールも含まれている。トヨタの上級モデルらしい充実ぶりだ。

その一方で、緊急時操舵支援やレーンチェンジアシスト、リモコンを押すだけで自動的に駐車してくれる高度駐車支援などプラスアルファの機能は「RS」グレードへのオプション設定にとどまっている。これらの機能が欲しい人は、中古車を選ぶときに装備の有無を確認する必要があるだろう。
 

 

【中古車で買えるモデル】上位グレードに人気が集中

クラウンクロスオーバー(現行型) ▲中古車のオトク感が出始めるのは、これからが本番というところ。現在は新車に近いコンディションの物件がほとんどだ

クラウンクロスオーバーの中古車流通量は80台前後。デリバリーが開始されたのはまだ最近なので、流通量の少なさは致し方ないところだろう。

グレード構成は「G」と「RS」がおよそ半々というところ。両グレードとも、ほとんどの物件が「アドバンスド」もしくは「アドバンスドレザーパッケージ(「G」のみ)で、上位グレードに人気が集中している。ちなみに、「X」は今のところ流通していない。

価格の一例を挙げると、「G アドバンスド」の2023年式・走行距離10km未満というほぼ新車に近いコンディションの物件で総額530万円。

「RSアドバンスド」の場合で総額700万円~。同グレードの新車時価格+諸費用よりも若干安いか、というところだ。

ただ、新車は納期が大幅に遅れているので、新型クラウンクロスオーバーをすぐに入手できる中古車のメリットは大きいだろう。
 

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※記事内の情報は2023年2月15日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/篠原晃一、トヨタ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。