【ベントレー最安モデル】現行車種で中古車価格が一番安い「ベンテイガ」とは? 実際いくらで狙える?
2023/01/14
ベントレーの乗り味はとろけるほど甘美だが、価格が……
仮に「世界一の“超高級車ブランド”はどれか?」という問いがあったとしても、物事の評価軸というのは本当に人それぞれであるため、きっと答えは出ないでしょう。
しかし、誰かが「ベントレーは世界トップクラスの超高級車ブランドである!」と言ったならば、特に異論は出ないと思われます。
ご承知のとおりベントレー・モーターズは、1918年に英国ロンドンで設立された自動車メーカー。戦前はル・マン24時間レースで5回の総合優勝を果たし、1931年に同じ英国のロールス・ロイスに買収されると、戦後は「ロールス・ロイスのオーナーカー版」として、世界中の運転好きなセレブリティに愛用されてきました。
現在はフォルクスワーゲン傘下の超高級ブランドとして、「コンチネンタルGT」や「フライングスパー」などの超が付く高級車を製造販売しています。
で、筆者は最近、取材でベントレーの「コンチネンタルGTC アズール」というモデルの広報用車両に触れる機会があったのですが、それはもうとろけてしまうほど「すべてが甘美!」と言える1台でした。
その結果として「……ぼく、コレ欲しい!」と思ったわけですが、当然ながら買えるはずがありません。
なぜならば、ベントレー コンチネンタルGTC アズールの新車本体価格は3689万円。オプション(というか注文装備)を付けた場合の総額がいくらになるかなんて想像もつきませんし、「じゃあ相対的にお安い、普通のコンチネンタルGTにするか」などと言っても、そちらも車両本体だけで2810万円です。
「新車が無理でも中古車ならば……!」と思ったとしても、それもなかなか難しい注文です。なぜならば、先ほど例に挙げた現行型コンチネンタルGTCの中古車平均価格は3183.2万円で(※2023年1月上旬現在。以下同)、4ドアセダンであるフライングスパーも、現行型は平均3133.2万円だからです。
しかし……そんな中でも唯一“庶民的”と言える(?)中古車平均価格をマークしている現行型世代のベントレーが、SUVの「ベンテイガ」です。
ベントレー ベンテイガの中古車平均価格は2023年1月上旬現在で1971.8万円。……もちろんかなりの高額であることに変わりはないのですが、「イッセンマンエン台」と聞くと、なんとなくイケそうな気もしてくるのが人体の不思議というものです。
とはいえ、それは日産 GT-R Track edition engineered by NISMO T-specの新車価格である「1788万1600円」よりも少々高いわけですが。
まぁいずれにせよ、現行型ベントレーの中では唯一の庶民派(?)であるベンテイガの中古車について、妄想じみた購入計画をちょっと考えてみることにしましょう。
▼検索条件
ベントレー ベンテイガ(現行型) × 全国パワーユニットは6L W12または4L V8のツインターボ
まずはベントレー ベンテイガのモデル概要をざっとおさらいいたします。
ベントレー ベンテイガは2015年のフランクフルトモーターショーで世界初公開され、日本では2016年12月頃からデリバリーが始まったベントレー初のSUV。
ボディサイズは、同じフォルクスワーゲングループの大型SUV「アウディ Q7」よりもさらに大きい全長5150mm×全幅1995mm×全高1755mmという堂々たるもので、当初用意されたエンジンは最高出力608ps/最大トルク900N・mの6L W12ツインターボ。トランスミッションは8速ATを、駆動方式にはフルタイム4WDが採用されています。メーカー発表値によれば0-100km/h加速は4.1秒で、最高速は301km/hに達するとのこと。
走行モードの切り替え機構は、標準搭載される「ドライブ・ダイナミック・モード」の他、オプションで「レスポンシブ・オフロード・セッティング」も用意。こちらの走行モードは最大8種類で、ドライバーはセンターコンソールのダイヤルを回すだけで最適な設定を選ぶことができます。
この他にも48Vのシステムを使った電子制御式ロールコントロール機構や、4段階に車高調整が可能なマルチモードエアサスペンション、可変レシオ機構付きの電動パワーステアリング等々、さすがに「高級装備の全部盛り」となっているのがベンテイガの特徴です。ちなみにデビュー当初の車両本体価格は2695万円でした。
2017年5月には、標準モデルの装備を一部変更して廉価な設定にした(といっても十分以上に豪華な)「ベンテイガ オニキス エディション」を追加。さらに2018年5月には最高出力550psの4L V8ツインターボを搭載する「ベンテイガV8」を追加設定し、2019年5月には最高出力635psのハイパフォーマンス版W12ツインターボを積む「ベンテイガ スピード」が20台限定で導入されました。
2020年8月にはマイナーチェンジを行い、内外装デザインを小変更するとともに、基本となるエンジンを6L W12ツインターボから4L V8ツインターボに変更。そしてその後、W12ツインターボの高出力版である「スピード」が復活し、スポーティな仕様の「ベンテイガS」が追加され、2021年11月にはプラグインハイブリッドモデルが導入され――というのが、やや駆け足になってしまい恐縮ではありますが、ベントレー ベンテイガの日本市場における大まかなヒストリーです。
あ、そういえば2022年途中には、ロングホイールベース版である「ベンテイガ EWB(Extended Wheel Base)」も追加されています。
狙い目は総額1600万~2000万円付近の前期型か
それではいよいよベントレー ベンテイガの「中古車事情」を見てみることにしましょう。
2023年1月上旬現在、ベンテイガの中古車流通量は92台と、この種の車としてはなかなか豊富。価格的には「支払総額1400万~3400万円」といったイメージで分布しています。
グレード別の流通台数は、前期型の標準グレードだった6L W12ツインターボ搭載車が31台で、2018年5月から現在に至るまで販売されている4L V8ツインターボ搭載の「V8」が56台。この2グレードが流通の大半を担っており、高出力版の「スピード」とプラグインハイブリッドの「ハイブリッド」はかなり希少。そして廉価グレードである「オニキス エディション」は流通量ゼロという状況です。
ということは、(妄想ですが)検討すべき対象は6L W12ツインターボの「ベンテイガ」と4L V8ツインターボの「V8」の2択になるでしょう。
両グレードの上の方(支払総額が高い方)を見ますと、マイナーチェンジ後の後期型(2021~2022年式)が総額3200万円とかでたくさん並んでいますが、そんな価格の車は、筆者にとっては「妄想もできないほど縁遠い存在」といえますので、ここはいさぎよく前期型に絞って探すことにします。
すると、なんとなく狙い目に思えてくるのは以下の2グループであることがわかりました。
●グループ1:2016~2017年式の6L W12ツインターボ
●グループ2:2018~2019年式の4L V8ツインターボ
グループ1であれば総額1600万~1900万円ぐらいで、グループ2であれば総額1700万~2000万円ぐらいで、走行距離が比較的短めのベンテイガを狙えるようです。間をとって(?)どちらも仮に「総額1800万円」の物件であるとするならば、ローンシミュレーションは下記のとおりとなるでしょう。
・車両価格:1800万円(支払総額)
・頭金:1000万円
・ローン対象額:800万円
・金利:1.9%(付き合いのある銀行などの低金利ローンを利用)
・支払回数:72回(元利均等返済)
・月々支払額:11万7653円
……実際の筆者は車の頭金に1000万円もぶっ込むことはできませんが、そこはまあ妄想ということでご勘弁ください。とはいえ世の中には、今乗っている高年式高級車を売却するなり、所有する山を売るなりして1000万円程度のキャッシュをさらっと用意できる人もいらっしゃるはず。ベントレー ベンテイガとは、基本的にはそういった方々のための車です。
で、1000万円の頭金を入れたうえで低金利のローンを銀行かどこかで獲得できたとしたら、72回払いの場合の月々の支払額は11万7653円。……これは、筆者でも超絶節約生活を心がければ(ギリギリ)支払えなくはない金額ですので、ある種の属性の人にとっては楽勝な支払額かもしれません。
ということで、ベントレーの現行型コンチネンタルGTCあたりを買うのは中古車であってもちょっと難しい部分がありますが、「前期型のベンテイガ」であれば、意外と現実的な(?)ファイナンスプランで入手できることが数字によって判明しました。
ごく一部の方のご参考になったならば幸いです……。
▼検索条件
ベントレー ベンテイガ(現行型) × 全国自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。