アルト ▲予算50万円で狙う軽自動車のMTモデルなら、気軽にMTライフをスタートできます!

本格的なスポーツモデルじゃなくてもMTだったら楽しめる!

今ではすっかり絶滅危惧種となってしまった3ペダルのMT車。確かに2ペダルの車はラクチンですし、最近のモデルでは変速スピードやスムーズさも優秀で、燃費性能もMT車を上回るものが多くなっているのは揺るがない事実です。

とはいえ自らクラッチペダルを踏み込み、ギアレバーを操作して車を走らせる歓びは他に代えがたいものがあるというのもまた事実。

「でもMTのスポーツカーは高いからなあ……」や「セカンドカーとして欲しいからあまり予算はかけられない……」とお嘆きのアナタ。何もMTの歓びを享受できるのはスポーツカーだけではありません。

レンタカーやホームセンターの運搬用車両として軽トラックや軽バンのMTを運転したことがある人ならお分かりいただけるかと思いますが、普通の軽自動車であってもMT車であるというだけで、何倍も車を走らせることが楽しく感じられてしまうのです。

ということで、今回は比較的安価で購入でき、維持費も安く、狭い道でもスイスイ走れてしまうお値打ちな軽自動車のMT車を5台ピックアップしてご紹介したいと思います。

必要な予算は50万円以内でOK! 安かろう悪かろうではなく、走行距離5万km以下かつ修復歴ナシの個体が狙えるモデルを厳選しました!
 

 

スズキ アルト(7代目)

アルト ▲丸みを帯びたボディが特徴的な7代目アルト

まずご紹介するのは、元祖軽ベーシックカーのスズキ アルトです。アルトのMT車というと、ホットモデルのアルトワークスが真っ先に思い浮かびますが、ここで紹介するのは7代目モデル。

この世代のアルトにはターボエンジンを搭載したホットなグレードは存在せず、3ドアボディもラインナップされていなかったため、やや人気薄の世代となっています。

しかし、700kg台前半という軽量ボディによってキビキビとした走りが愉しめるだけでなく、丸みを帯びたボディスタイルや紡錘形のヘッドライトなどは今見ても古さを感じさせないデザインとなっており、安っぽさを感じさせない点も魅力的です。
 

アルト ▲こちらはATモデルの内装
アルト ▲搭載されるK6A NAエンジンは54psを発生

そんな7台目アルト、走行距離5万km未満、修復歴ナシかつ総額50万円以下で狙える物件は、およそ50台。最も安価な部類では総額20万円台から存在しています。

グレードは乗用モデルの「F」か、商用モデルの「VP」が中心となりますが、価格差はほとんどなし。維持費では商用モデルのVPがやや安くなりますが、ほぼ直角のリアシートやパワーウインドウが備わらないなどのデメリットもあるため、使い方によって選びたいところです。
 

▼検索条件

スズキ アルト(7代目・MTモデル)×総額50万円以下×走行距離5万㎞以下×修復歴ナシ×全国
 

ダイハツ ミラ(7代目)

ミラ ▲2006年から2018年まで生産されたロングセラーモデル

アルトの最大のライバルであるミラも、安価でMTを狙うことができるモデルのひとつ。残念ながら2018年をもっていったんその歴史に終止符を打つこととなりましたが、その名前は今でもミライースやミラトコットなど派生車種に受け継がれています。

ここで紹介するミラは、最終型となった7代目モデル。この世代のミラには当初「カスタムRS」というターボエンジンを搭載したグレードも存在していましたが、MT車の設定がなかったため、アルトと同じくMT車はすべてNAエンジンとなります。

ミラにもアルトと同じく乗用モデルと商用モデルが存在していますが、大きな違いとして乗用モデルが5ドア、商用モデルが3ドアのボディをもっていたという点。開口部の少ない3ドアボディはボディ剛性が高く、軽自動車の耐久レースのベース車としても人気の高い1台となっているのです。
 

ミラ ▲こちらはATモデルの内装

そんなミラの走行距離5万km未満、修復歴ナシかつ総額50万円以下で狙える物件は、およそ60台。こちらも安価なものは総額20万円台から見つけることができますが、手頃な物件は5ドアの乗用モデルがやや大勢といったところ。

ただ、バンモデルもチラホラ存在しているので、目的に合わせて選ぶこともできそうです。
 

▼検索条件

ダイハツ ミラ(7代目・MTモデル)×総額50万円以下×走行距離5万㎞以下×修復歴ナシ×全国
 

ダイハツ エッセ(初代)

エッセ ▲キュートな見た目とは裏腹に走らせても楽しいモデルだ

続いてご紹介するのはダイハツ エッセ。こちらは前述の7代目ミラをベースとし、シンプルでありながらデザイン性ももち合わせた雑貨感の強いモデルとして誕生した1台です。

そのため、過度な装飾などは備わらないものの、あえて内装をフルトリムとせずに外板色を見せるデザインとなっていたり、シンプルなセンターメーターを採用したりと、ちょっと古い欧州の実用車的な雰囲気をもった仕上がりとなっているのが特徴でした。
 

エッセ ▲シンプルながら実用的なインテリア

プラットフォームやパワートレインは7代目ミラと共通であるため、走りのポテンシャルもほぼ同一となっていますが、そのデザイン性の高さからエッセの方が総じて高めとなっており、走行距離5万km未満、修復歴ナシかつ総額50万円以下で狙える物件はわずか10台ほど。

エアロパーツで武装した「カスタム」はこの価格帯では狙うことができない状態となっていますが、カスタム系であっても走りに関わる部分はベース車と変わらないので、価格重視で選ぶなら「D」や「エコ」で十分と言えそうです。
 

エッセ ▲ダイハツ車専門のトータルチューニングブランド「D-SPORT」からも、吸排気系をはじめ足回りやボディ補強パーツなど様々なアフターパーツがリリースされている(写真提供:D-SPORT)

▼検索条件

ダイハツ エッセ(初代・MTモデル)×総額50万円以下×走行距離5万㎞以下×修復歴ナシ×全国
 

三菱 eKワゴン(2代目)

eKワゴン ▲ファミリー色の強いモデルですがMTモデルも存在します

現在は現行モデルとなる4代目が販売中の三菱のトール軽ワゴンのeKワゴン。現行モデルにはMT車はラインナップされていないものの、2代目モデルまではMT車もラインナップされていました。ただし、ターボエンジンを搭載する「eKスポーツ」には設定がなく、こちらもNAエンジンのみの設定となります。

この2代目eKワゴンはスクエアなボディが特徴的で見切りの良さ、運転のしやすさが美点のひとつ。プレーンなデザインをまとっているため、長く付き合うことができそうな点も魅力と言えるでしょう。
 

eKワゴン ▲MTの場合は前列のシートがセパレートタイプになります
eKワゴン ▲搭載される3気筒SOHCエンジンの3G83は50psを発生

そんなeKワゴンには左リアドアがスライドドアとなった仕様も存在していましたが、MT車の設定があるのは通常の5ドアモデルのみ。実用車ということもあってMT車の物件数は少なめで全体でも40台ほど。走行距離5万km未満、修復歴ナシかつ総額50万円以下で絞ると約10台となってしまいます。

ただ、やや穴場的な車種ということもあって走行距離2万km未満の低走行物件もこの価格帯に入っており、状態の良い車両を安価で購入したいという人にとっては狙い目の車種とも言えそうです。
 

▼検索条件

三菱 eKワゴン(2代目・MTモデル)×総額50万円以下×走行距離5万㎞以下×修復歴ナシ×全国
 

スズキ Kei(初代)

Kei ▲クロスオーバー的な姿ながらもターボエンジン+MTの設定を有する

今でこそ人気の軽クロスオーバーですが、その元祖とも言えるのが1998年に登場したスズキ Keiでしょう。プラットフォームこそワゴンRなどと共通のものを使用していますが、最低地上高を高めた車高と樹脂の(一部グレードではカラード)フェンダーアーチモールを備えたスタイルはまさにクロスオーバーSUVそのもの。

車両としても2009年まで販売していたロングセラーモデルということで、中古車物件が豊富にあるのも魅力のひとつです。

また、ツインカムターボエンジンを搭載したホットモデルの「ワークス」や「スポーツ」といったグレードも存在し、5速MTが用意されていた点も今回紹介したモデルの中では特徴的なポイントとなっています。
 

Kei ▲こちらがワークスグレードのKei

ですが、総額50万円以内で狙えるワークスのMT車はほぼすべてが10万kmオーバーとなっているため、万人にオススメしづらいというのが正直なところ。

一方、ワークス以外のターボエンジンを搭載したモデルであれば、総額50万円以内かつ走行距離5万km未満という条件でも狙うことができる物件は存在しています。

ただし、2001年11月の一部改良以前のSOHCターボモデルはタイミングベルトを使用するF6A型(それ以降はタイミングチェーン式のK6A型、最高出力60ps)が搭載されているので、ベルトの劣化状況や交換履歴などには注意が必要です。
 

Kei ▲ラゲージスペースの使い勝手も良好

▼検索条件

スズキ Kei(初代・MTモデル)×総額50万円以下×走行距離5万㎞以下×修復歴ナシ×全国

今回は、手頃な価格で狙うことができる軽のMTモデルをご紹介しましたが、スポーツモデルにこだわらなければ意外にも安価に低走行物件を手に入れることができるということがお分かりいただけたのではないでしょうか?

軽自動車は、同じメーカーであれば部品を共有している部分も多く、新品はもちろん中古部品やリビルト品も豊富に存在しているため、安く長く楽しむことができる環境が揃っているのも魅力のひとつ。

また、軽自動車をベースにカスタムをしているユーザーも意外と多いので、アフターパーツも存在しているため、より自分好みの1台を作り上げやすいというのも特徴と言えます。もちろん維持費も普通車よりも安価となるので、セカンドカーとして購入するのも大いにアリな選択肢です!!
 

文/小鮒康一 写真/尾形和美、篠原晃一、ダイハツ、D-SPORT、スズキ、三菱
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。