パレット▲ドアハンドルはもちろん、リモコンや車内からの操作でも開閉ができる電動スライドドアはとっても便利! 予算50万円以内で買うことができる軽自動車でも搭載車を探すことが可能だ

スライドドアに電動開閉機能はマストアイテム

子育て、買い物、レジャーなど、様々なシーンで便利に使えるスライドドア。2000年代に沸き起こったミニバンブームで多くの人がその利便性に気づき、現在では軽自動車選びでもスライドドアモデルが定番になっている。

そんなスライドドアの便利さを一層高めてくれるのが電動開閉機能。電動スライドドア(パワースライドドア)は多くの人が欲しいと思う人気装備なので、搭載される中古車は非搭載のものより一般的に相場が高めになってしまうのが実情だ。

しかし、少し古めの軽自動車に目を向けると、予算50万円以内で電動スライドドアを搭載した中古車が見つかるものもある。

低予算で電動スライドドアを搭載した軽自動車が欲しい人のために3モデルをピックアップしたので、モデル概要と気になる相場情報をチェックしてみよう。

パレット ▲子供を抱っこしているときや両手に買い物袋を持っているときなどに便利!

ちなみに電動スライドドアには、グレードにより両側とも電動式のものと、片側(助手席側)のみ電動になるものがある。助手席側のみ設定されたものもオプションで両側電動スライドドアにできるものもあった。人気は両側電動スライドドアだが、普段使いを考えれば助手席側のみ電動でも十分快適なカーライフになるはずだ。
 

 

スズキ パレット(初代)
軽ハイトワゴンで初めて両側電動スライドドアを搭載

パレット ▲スペーシアの前身モデルだったパレット。まだ片側スライドドアが主流だった時代に両側スライドドアを採用した

2008年1月に登場したスズキの軽ハイトワゴン。2013年3月のフルモデルチェンジでスペーシアという名称になり、現在発売されているスペーシアが2代目。つまりパレットはスペーシアの元祖といえるモデルだ。

外観は、すべてのピラーをブラックアウトして目立たなくすることで開放的なイメージを強調している。

スペーシアはホイールベースを2400mmに設定し、ルーフも長くすることで広大な室内空間を確保。室内長は2025mm、室内高は1365mmになる。

パレット ▲後部座席は左右独立リクライニング機構付き。シートをたたむとほぼフラットな空間が出現する

そんなパレット最大の特徴は、軽ハイトワゴンという当時新しかったカテゴリーで、初めて両側スライドドアを採用したこと。しかも、スライドドアのステップ高を340mmと低く設定し、小さな子供や年配の方でも乗り降りしやすい設計にしている。ライバルモデルのダイハツ タントが助手席側のみスライドドアだったので、両側スライドドアは大きなアドバンテージになった。

電動スライドドアが搭載されるグレードは以下のとおり。
■両側電動スライドドア
T、TS、SW TS、リミテッドII、SWリミテッドII、SW TS
■助手席側電動スライドドア
X、XS、SW XS、リミテッド、SWリミテッド、XSアイドリングストップ

パレット ▲エアコンの風を後部座席まで届けるアッパーベントを採用したインパネ

パレットの中古車は2040台ほど流通していて、価格帯は総額20万~100万円。このうち700台弱が総額50万円以内で購入可能だ。

総額50万円以内のパレットで両側電動スライドドアを搭載するものは約200台、助手席側電動スライドドアを搭載するものは70台ほど流通している。

この予算だと両側電動スライドドア搭載車の走行距離は10万kmを超えたものが中心になるが、人気のパレットSWやターボモデルで両側電動スライドドアが付いたものを見つけることも可能。助手席側電動スライドドアのXやXSなら走行8万km前後のものも見つかる。
 

▼検索条件

スズキ パレット(初代・両側電動スライドドアモデル)×総額50万円以内×全国

▼検索条件

スズキ パレット(初代・片側電動スライドドアモデル)×総額50万円以内×全国
 

ダイハツ タント(2代目)
大開口のミラクルオープンドアを搭載

タント ▲標準モデルはかわいい雰囲気のデザイン。スライドドアは助手席側に採用

スライドドアを搭載した軽ハイトワゴンブームの立役者となったのが、2007年12月に登場した2代目タントだ。初代も圧倒的な室内空間が支持されてヒットモデルとなったが、後席ドアは一般的なヒンジ式ドアだった。

2代目タントは運転席側のリアドアはヒンジ式だが、助手席側をスライドドアに。しかもスライドドアにピラーを内蔵し、スライドドアと助手席ドアを開けると1480mmの大開口部が出現する「ミラクルオープンドア」になっている。

タント ▲ピラーをスライドドアに内蔵することで大開口部を実現したミラクルオープンドア

このドアの利便性を享受するためには車の左側にスペースが必要だが、助手席まで開けると乗り降りが普通のスライドドア以上に楽だし、チャイルドシートに子供を乗せる際もピラーがじゃまにならないのでとても便利。

室内長は2160mmと当時の軽自動車で最大スペースが確保された。室内高は1355mmになる。助手席には280mmのスライド機構を与えられているので、助手席を一番前までスライドさせれば後部座席でオムツ替えなども楽にできる。上級グレードの後部座席にはティッシュやタオルなどをしまっておけるオーバーヘッドコンソールが装備される。

タント ▲かわいらしいイメージのタントの他、高級感が与えられたタントカスタムも用意。この角度から運転席後ろがヒンジ式ドアなのがわかる

電動スライドドアが搭載されるグレードは以下のとおり(すべて助手席側)。
■タント
Xリミテッド、Xリミテッドスペシャル、ワンダフルセレクション、G(2010年9月~)
■タントカスタム
カスタムXリミテッド、カスタムRS、カスタムVセレクションターボ、カスタムX(2010年9月~)

2代目タントの中古車は4100台ほど流通していて、価格帯は総額20万~120万円。総額50万円以内で買える中古車は1900台以上ある。

このうち電動ミラクルオープンドアを搭載した中古車は1200台ほど見つかった。

2代目タントは、運転席リア側がヒンジ式のため両側電動スライドドアモデルが存在しないので、電動スライドドア搭載車の中からデザインや装備が気に入ったもの選べばいいので、他のモデルほど悩む必要はないはず。

ちなみに、総額50万円付近で走行8万km未満のXリミテッドやカスタムXリミテッド、後期型のGなどが見つかる。総額30万円まで予算を落とすなら走行10万kmを超えたものになる。
 

▼検索条件

ダイハツ タント(2代目・片側電動スライドドアモデル)×総額50万円以内×全国
 

三菱 eKワゴン(2代目)
ヒンジ式ドアに加え、助手席側電動スライドドア搭載車を設定

eKワゴン ▲現行型は全高が1650mmあり、ワゴンRなどと同じトールワゴンと呼ばれる。初代と2代目は全高を1550mmに抑えている

2006年9月にデビューした2代目eKワゴンは、非常に特殊なモデルだったといってもいいだろう。

1550mmの高さ制限がある立体駐車場にギリギリ入ることができる全高に抑えたセミトールワゴンというカテゴリーで(現在ではこの呼び名は使われなくなった)、後部座席のドアに一般的なヒンジ式と、助手席側スライドドア(運転席側はヒンジ式)を備えたグレードが用意されるという、非常に凝ったつくりをしていたのだ。

eKワゴン ▲スライドドア開口部は幅530mm、高さ1005mm。セミトールワゴンとしては十分な広さだ

実は、軽乗用車で電動スライドドアを採用したのはこのeKワゴンが初。スライドドアを採用したのは子供会でのお母さんへのアンケート調査、スーパーマーケットの駐車場での行動観察、子供を対象にしたクリニック調査などから生まれたアイデアだという。

他にも、インパネ中央下と助手席背もたれ背面にフックやプチゴミ箱など様々なユーティリティアイテムを自由に取り付け、移動、交換できるマルチポジションユーティリティを全グレード標準装備。これも調査から生まれたアイデアだ。

トランスミッションはMは3ATと5MT、MSは3AT、GとGSは4ATになる。

電動スライドドアが搭載されるグレードは以下のとおり(すべて助手席側)。
MS、GS、MSブルームエディション、マーブルエディション、MSマーブルエディション、GSマーブルエディション

eKワゴン ▲2代目はシフトノブがコラム式からインパネシフトになり操作性が向上した

2代目eKワゴンの中古車は600台弱流通していて、価格帯は総額10万~70万円。総額50万円以内で買える中古車は550台弱見つかった。

このうち、助手席側電動スライドドアを搭載した中古車は120台弱。eKワゴンは量販グレードがヒンジ式ドアだったので、電動スライドドア搭載車の流通量は少なめになる。

総額50万円付近には走行7万kmのGSグレードが多い。中にはこの年式で走行5万km未満というものもあった。

総額30万円付近には3ATのMSグレードが多め。もちろんMSグレードも悪くはないが、普段使いの快適性を考えると4ATのGSグレードを探したいところだ。
 

▼検索条件

三菱 eKワゴン(2代目・片側電動スライドドアモデル)×総額50万円以内×全国

※記事内の情報は2022年10月10日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/スズキ、ダイハツ、三菱

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL