新車より300万円安い現行BMW 2シリーズグランツアラー「前期型」。150万円から狙える輸入車ミニバンは買いなのか? 検討してみた
カテゴリー: 特選車
タグ: BMW / ミニバン / クルマを選び始めた人向け / スタイリッシュ / 2シリーズグランツアラー / 伊達軍曹
2022/09/27
お手頃価格の前期型は本当にお買い得なのか?
BMW初の7人乗りMPV、2シリーズグランツアラーは、実用性が高いと同時に「いかにもBMWらしいシュアな走りも堪能できるミニバン」ということで人気を集めています。
とはいえさすがは輸入車だけあって、新車で買うとなると一番安いグレードでも車両価格だけで450万円。中古車も、2018年6月にマイナーチェンジを受けた直近の世代=後期型は総額250万円以上となるのが普通です。
しかし、同じ中古車でも「前期型」であれば、比較的低走行な物件でも総額150万円ぐらいから見つけることができるのです。
「総額150万円ぐらいから探せる前期型のBMW 2シリーズグランツアラー」とは、果たして“お買い得”なのでしょうか? それとも、やっぱり高いお金を出してでも後期型や新車を選ぶべきなのでしょうか?
次章以降、もろもろ検討してみることにいたしましょう。
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BMW 2シリーズグランツアラー(現行・前期型) × 全国ボディサイズ:国産ミニバンにはない独特なプロポーション
日本では2015年5月に発売されたBMW 2シリーズグランツアラーのボディサイズは、全長:4565mm × 全幅:1800mm × 全高:1645mm。これはなかなか特殊な寸法で、国産ミニバンでは類似するものがありません。
強いて表現するなら「トヨタ ノアやホンダ ステップバンなどの5ナンバー級ミニバンよりも車幅はひと回り広いが、長さと高さはひと回りコンパクト」といったところでしょうか。運転する際に車幅はちょっとだけ気になるかもしれませんが、全長は短めであるため、狭い道での取り回しは基本的にはラクな車です。
乗車定員は7名で、2列目シートは60:40の分割式。前後130mmのスライド機構が備わり、背もたれには40:20:40の独立フォールディング機能も備わっています。3列目シートは前方に倒すことでフロアに収納でき、その場合の荷室容量は560L。2列目シートの背もたれも倒すと最大1820Lまで拡大します。
全グレードが7人乗りですが、全長が短い車ゆえに3列目は「緊急用」という表現がふさわしい空間です。そのため、普段は「3列目シートをフロアに収納して荷室を広く使う」という使い方をするのがオススメとなります。
ちなみに、2018年6月以降の後期型はフロントシートの座面サイズが拡大されたことで、若干座り心地が向上しています。しかし、その他の部分は前期型と同じであるため、基本的には「大きな違いはない」という評価で間違いありません
エクステリアデザインは、カタマリ感の強い全体のフォルムにややツリ目のヘッドランプと、BMWの特徴である「キドニーグリル(左右対称のキドニー=腎臓のようなグリル)」を組み合わせているのが特徴です。
後期型では新デザインのキドニーグリルとLEDヘッドランプが採用され、フロントバンパーも大型のエアインテークを左右に配した新形状のものに変わったことで「よりダイナミックなイメージになった」とうたわれました。しかし、実際はさほど大きな変更ではなく、後期型の顔つきを見ても「前期型と……違うといえば違うかな?」ぐらいの印象になる場合が多いかと思います。
走行性能:218dは特に加速感も乗り心地も良好!
駆動方式はFF(前輪駆動)が基本で、途中から一部グレードにフルタイム4WDのxDriveというシステムが追加されました。
搭載エンジンはいずれも直噴ターボのガソリンエンジンが2種類とディーゼルエンジンが1種類。「218i」に搭載されるのは最高出力136psの1.5L 直3ターボで、トランスミッションは6速AT。上級の「220i」は最高出力192psの2L 直4ターボを搭載し、そこに8速ATを組み合わせています。
「218d」に搭載されるのは、最高出力は150psとほどほどですが、3.5L級の自然吸気エンジンとほぼ同等となる33.7kg・mのビッグトルクを発生する2Lの直4ディーゼルターボエンジンです。こちらにも220i同様の8速ATが組み合わされています。
ガソリンターボの218iと220iの走りもなかなかのものですが、トルクフルなディーゼルターボエンジンを搭載する218dの走行フィールは特に良好です。わずか1750rpmという「アイドリングに毛が生えた程度」の回転数からビッグな最大トルクが発生する関係で、ドライバーはまるで“高級車”のようにシームレスでスムーズな加速を堪能することができるのです。
また、比較的長いホイールベースとまあまあ思い車両重量のおかげか、乗り心地にも「落ち着き」のようなものが感じられます。
2018年6月のマイナーチェンジは、デザインは小変更を受けたものの「エンジン」と「足回り」は特に変更されなかったため、その意味では「前期型でぜんぜん十分」と言うことができるでしょう。
ただし2018年のマイナーチェンジ時に、218iのトランスミッションは6速ATから「7速DCT」に変更されました。DCTというのは、ご存じのとおり「MTを自動化した変速機」とでも言うべき機構です。2ペダル式ですが「中身的にはMT」であるため、ダイレクトでスピーディな変速が可能になるわけです。
とはいえ、「2シリーズグランツアラーのようなミニバンに、果たしてDCTが必要なのか?」 と問われたなら、答えは「微妙……」というニュアンスになるはず。そのため、218iのトランスミッションに関しても「前期型の6速ATで普通に十分」であると考えられます。
先進機能・安全装備:基本的な装備は普通に充実
BMW 2シリーズグランツアラーの先進安全装備は、前期型であっても普通に充実しています。
衝突回避・被害軽減ブレーキや前車接近警告機能などからなる「ドライビング・アシスト」と、ミニバンを後進させる際にうれしい「リア・ビュー・カメラ(予想進路表示機能付き)」は全車標準装備。
パッケージオプションである「アドバンスド・アクティブ・セーフティ・パッケージ」装着済みの中古車であれば、「アダプティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)」と「BMWヘッドアップディスプレイ」も付いています。
中古車のオススメ:総額100万円台後半の218iか、200万円台前半の218d
BMW 2シリーズグランツアラーの中古車を「とにかく手頃な予算で入手したい!」と考える場合には、総額150万~180万円付近の218i(1.5L 直3ガソリンターボ搭載グレード)がオススメとなります。
年式的には2015~2016年式になるでしょう。
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BMW 2シリーズグランツアラー(現行・前期型) × 218i2Lの直4ガソリンターボを搭載する220iや、トルクフルな2Lディーゼルターボを積む218dと比べてしまうと、走りにやや物足りない部分を感じるかもしれない1.5L直3ターボの218iではあります。
しかし「それ単体」で考えるなら特に不足はなく、「3列シートのMPVでかっ飛ばしたい」と考える人も少ないでしょう。そのため、購入後に1.5Lガソリンターボエンジンに対する大きな不満を覚えることはまずないはず。
また装備内容も、上位グレードと比べて極端に劣っているということはありません。その中でもより装備レベルにこだわりたい場合は、標準の218iではなく「218i ラグジュアリー」または「218i Mスポーツ」を探してみてください。
▼検索条件
BMW 2シリーズグランツアラー(現行・前期型) × 218i ラグジュアリー &218i Mスポーツとはいえ、「せっかくBMWの車に乗るなら、もう少しエンジンの性能がいいやつに乗りたい」と考える人も少なくないでしょう。
その場合には、総額200万~250万円付近のレンジで「218d」または「218d ラグジュアリー」および「218d Mスポーツ」を探すのが得策となります。
▼検索条件
BMW 2シリーズグランツアラー(現行・前期型) × 218d & 218d ラグジュアリー218dは、「走行性能」のコーナーでも激賞した素晴らしいディーゼルターボエンジンを搭載するグレード。実質的な走行性能においても、そして心理的な充足感みたいな部分においても、大いに満足できること間違いなしの1台です。
その走行距離1万km台から4万km台までの物件が、総額200万円台前半という「国産コンパクトカーを新車で買うのと同じぐらいの予算」でイケるのですから、これはもう注目するほかない選択肢なわけです。
218dの場合、スタンダード(標準モデル)のホイール径は16インチで、ラグジュアリーとMスポーツは17インチとなります。そしてMスポーツはオプションだった18インチホイールを装着している中古車もあり、またMスポーツは全車に「Mサスペンション」が搭載されています。
スポーティなビジュアル全般もカッコいいMスポーツですが、やや硬めの乗り味がこの車にふさわしいかどうかはまた別問題です。そのためMスポーツだけにこだわるのではなく、標準とラグジュアリーを含めた「すべての218d」をまずは検討対象にしてみることをオススメいたします。
いずれにしましても前期型のBMW 2シリーズグランツアラーは、総額150万~250万円付近の現実的な予算レンジで探せる車としては飛び抜けて「実用性とファン・トゥ・ドライブ性」が両立されている1台だと言えます。
「楽しく走れるミニバン」を探している人は、この機会にぜひご注目ください。
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BMW 2シリーズグランツアラー(現行・前期型) × 全国自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。