1年で50万円以上ダウン! メルセデス・ベンツ CLSクラスシューティングブレークの中古車平均価格が過去最安値の約225万円に
カテゴリー: 特選車
タグ: メルセデス・ベンツ / CLSクラスシューティングブレーク / 伊達軍曹
2022/09/19
この品質と造形が「200万円ちょい」なら安いもの?
2012年から2018年の途中まで6月まで販売されていたメルセデス・ベンツ CLSクラスシューティングブレーク。流麗な4ドアクーペである2代目メルセデス・ベンツ CLSをベースとする、これまた流麗なステーションワゴンなわけですが、その中古車平均価格がこの1年間で50万円以上も下落しています。
昨年8月時点の平均価格は「ほぼ300万円」といえる281.3万円だったのですが、1年後の2022年8月は225.2万円まで下がってきているのです。
まだまだ“格安”と呼べる水準ではありませんが、「世界でもトップクラスの美しさを誇るラグジュアリーなステーションワゴンが200万円ちょい」というのは、なかなかステキな話であるように思えます。
なお、平均価格がこの1年大きく下がった理由は、特にネガティブな何かがあったわけではない模様。「元々の価格が高めな輸入車はちょっと古くなるだけで、中古車価格が大きく下がる場合が多いから」程度の理由であると考えられます。
そんなメルセデス・ベンツ CLSクラスシューティングブレークの中古車をもしも狙うとしたら、何年式のどんなグレードを選ぶのが正解なのでしょうか?
次章以降、もろもろチェックしてみることにいたしましょう。
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メルセデス・ベンツ CLSクラスシューティングブレーク(初代) × 全国モデル概要:先代Eクラスをベースとする美しきステーションワゴン
まずはメルセデス・ベンツ CLSクラスシューティングブレークのモデル概要について。
先ほど申し上げたとおりCLSクラスシューティングブレークとは、メルセデスの4ドアクーペである「CLS」をステーションワゴン化したモデル。より具体的には、2011年に発売された2代目のCLSが、CLSクラスシューティングブレークのベースです。新車として販売された期間は2012年10月から2018年6月でした。
なお、車名に「S」と入っているため、CLSおよびCLSクラスシューティングブレークは「メルセデス・ベンツ Sクラスがベース」と勘違いされがちですが、実際にベースとなったのはEクラスです。
エクステリアデザインは、4ドアクーペである2代目CLSのゆったりとした弧を描くルーフラインを後方まで引き伸ばし、トランクリッドの代わりにテールゲートを与えた――とでも説明すべき、かなり優雅なフォルムが採用されています。
ボディサイズは全長4960mm×全幅1880mm×全高1420mmで、もちろん大柄ではありますが、大きな車が増えた近年にあっては「極端にデカすぎる」というほどには感じないサイズ感だといえるでしょう。
運転席まわりのデザインは2代目CLSとおおむね共通ですが、後席はCLSの2人掛けから3人掛けに変更されており、その後方に広がる荷室の容量は5名乗車時で590L。後席を畳めば1550Lまで拡大可能です。
デビュー当初の搭載エンジンは最高出力306psの3.5L V6自然吸気と、同408psの4.7L V8ツインターボ、そして同524psの5.5L V8ツインターボという3種類。トランシミッションは7速ATが基本ですが、5.5L V8ツインターボの「CLS63 AMG」には7速の「AMGスピードシフトMCT」が搭載されました。
足回りはエンジンごとに異なり、3.5L V6自然吸気のリアはセルフレベリング機構付きエアサスペンションで、4.7L V8ツインターボは電子制御のAIRマティックサスペンション。5.5L V8ツインターボには「AMGライドコントロールスポーツサスペンション」が与えられています。
2014年10月にはマイナーチェンジが行われ、前走車や対向車を眩惑しない「マルチビームLEDヘッドライト」が標準装備になるとともに、一部グレードのATが9速に進化。またこのとき、3.5L V6自然吸気エンジンを搭載するCLS350シューティングブレークはカタログから消えました。
それに代わって2015年2月には最高出力333psの3.5L V6ツインターボを搭載する「CLS400シューティングブレーク」が新たなエントリーグレードとして追加され、同年4月には40.8kg・mというなかなかの最大トルクを発生する2.2L直4ディーゼルターボエンジンも追加。そして2018年6月まで販売が続けられた――というのが、メルセデス・ベンツ CLSクラスシューティングブレークの大まかなヒストリーです。
市場概況:流通量はやや少なめ。ボリュームゾーンは前期型のCLS350
2022年9月中旬現在、メルセデス・ベンツ CLSクラスシューティングブレークの中古車流通量は53台とやや希少で、モデル全体の中古車価格は総額150万~520万円といったところ。
これをもう少し細かく分解すると、下記のとおりとなります。
【年式別流通量と中古車価格】
●2012年式|5台|総額180万~270万円
●2013年式|28台|総額140万~450万円
●2014年式|6台|総額200万~280万円
●2015年式|11台|総額240万~440万円
●2016年式|3台|総額360万~520万円
●2017年式|0台|――――
●2018年式|0台|――――
【グレード別流通量と中古車価格】
●CLS350系(3.5L V6自然吸気)|36台|総額140万~280万円
●CLS550系(4.7L V8ツインターボ)|2台|総額320万~440万円
●CLS400(3.5L V6ツインターボ)|4台|総額280万~520万円
●CLS220系(2.2L直4ディーゼルターボ)|9台|総額250万~390万円
●CLS63 AMG(5.5L V8ツインターボ)|1台|総額450万円
メルセデス・ベンツ CLSクラスシューティングブレークはモデル全体でも50台ちょっとしか流通していないレアものであるため、各年式や各グレードの中古車がそれぞれ遍在しているということはないようです。
年式でいうと初期年式またはマイナーチェンジ直後の年式に集中しており、グレード別では「比較的お手頃なCLS350系」に集中している様子が見て取れます。
以上のデータを踏まえて「具体的には“どれ”がオススメなのか?」という点について考えてみましょう。
狙い方1:お安く狙うなら総額200万円台前半のCLS350を!
まず「なるべく手頃な総額でCLSクラスシューティングブレークを入手したい」と考える場合は、総額200万~250万円付近のレンジに位置する2012~2014年式のCLS350シューティングブレークで決まりでしょう。この条件であれば、走行5万km以内の個体を見つけることができます。
もちろん中古車のコンディションというのは「走行距離」だけで判断できるものではありません。しかし車というのはおおむね走行8万kmから10万kmにかけてのタイミングで、様々な消耗部品の交換タイミングを迎える場合が多いものです。
で、CLSクラスシューティングブレークのように新車時価格が高額だった車は「消耗部品の値段もけっこう高い」というのがお約束です。そのため、CLSクラスシューティングブレークの場合はやはり「なるべく走行距離短めの物件に狙いを定める」というのが得策となるでしょう。
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メルセデス・ベンツ CLSクラスシューティングブレーク CLS350(初代) × 全国狙い方2:ディーゼルにこだわるなら狙い目は総額320万~390万円付近のCLS220系
「3.5LのV6自然吸気エンジンも悪かないけど、やっぱり自分は極太トルクなディーゼルターボエンジンがいい!」と考えるのであれば、狙い目は総額320万~390万円付近のレンジで少数ながら流通している「走行5万km以内のCLS220系(マイナーチェンジ後に登場したディーゼルターボエンジン搭載グレード)」ということになります。
これまた走行距離だけで物事を区切るのはいささかナンセンスではあるのですが、やはりCLS350のケースで述べたとおり、消耗部品交換タイミングのことを考えると「5万km以下」をひとつの目安とするのが正解というか王道となるはずです。
ちなみに走行距離多めなCLS220でもOKであれば、総額250万円付近から探すことも可能です。その場合はメンテナンス履歴を精査し、必要な消耗部品交換がすでにされていて、なおかつ内外装コンディションが悪くないように思える個体であるならば、意外とお値打ちかもしれません。
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メルセデス・ベンツ CLSクラスシューティングブレーク CLS220(初代) × 全国メルセデス・ベンツ CLSクラスシューティングブレークは流通量がやや少ないため、「これぞ!」という1台を見つけるのに少し苦労する可能性もあります。
しかしその分だけ「他人とカブることがほとんどない」という美点があり、なおかつ「美しく個性的なフォルムでありながら、実用的なステーションワゴンとしても普通に使える」というストロングポイントも有しているのです。
個性的でレアな輸入ワゴンを比較的手頃な予算で手に入れたいと考えるのであれば、メルセデス・ベンツ CLSクラスシューティングブレークは今、なかなかの注目株であるといえるでしょう。
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メルセデス・ベンツ CLSクラスシューティングブレーク(初代) × 全国自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。