「現行型メルセデス・ベンツ Eクラスが欲しいけど、高い!」とお嘆きなら、約400万円お安い「現行モデルの前期型中古車」に注目を
2022/09/10

新車は一番安いグレードでも800万円以上……
いきなりですが、メルセデス・ベンツ Eクラスというのは大変に素晴らしい乗用車です。 近年はひとつ下の「Cクラス」が見た目的にも中身的にもずいぶんと飛躍したため、「もはやEクラスは不要?」とも一瞬思うわけですが、やはりいざEに乗ってみると、「ううむ、やはりこちらの方がすべてにおいて“上”だな……」と痛感させられます。
まぁメーカー内のヒエラルキー的にCよりも“上”に位置するように作られているわけですから、それは当然のことなのですが、しかし現行型のメルセデス・ベンツ Eクラスは“上”なだけあって、新車で買うとなるとかなりお高い車です。
具体的には、いちばんお安い「E 200 Sports(BSG搭載モデル)」というやつでも車両価格は814万円。「ならば中古車でどうだ!」と思っても、2021年式以降の後期型中古車は軽く総額700万円以上です。
それゆえ「さすがにちょっと無理かも……」と諦めそうになってしまいますが、実はそこまで意気消沈する必要はありません。
なぜならば、同じ現行型メルセデス・ベンツ Eクラスであっても「前期型の中古車でOK!」と考えれば、総額300万円台の予算で、走行距離1万km台からせいぜい3万km台までの物件が普通に狙えてしまうからです。
ということで、本稿では「現行型メルセデス・ベンツ Eクラスの前期型の中古車」に的を絞り、その魅力や特徴、そして「中古車の狙い方」をじっくり考えてみたいと思います。

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メルセデス・ベンツ Eクラス(現行・前期型) × 全国モデル概要:Sクラス譲りの機能とデザインを備えるアッパーミドルセダン
まずは現行型メルセデス・ベンツ Eクラスという車の概要をざっくりおさらいしておきましょう。
通算5代目のEクラスとなる現行W213型が日本でデビューしたのは2016年7月。快適性や安全性を高める多数の新技術が導入された他、エクステリアには、現在まで続いている「メルセデス・ベンツの最新デザイン」を取り入れ、インテリアにはSクラス譲りの上質な素材とデザインを採用。
その他にも多数の新技術が導入されたことで、現行型Eクラスはそれまで以上にスタイリッシュで魅力あふれるプレミアムセダンになりました。
当初のパワーユニットは出力が異なる2種類の2L 直列4気筒ガソリンターボと3.5LのV6ガソリンターボ、そして新たに開発された2L 直列4気筒ディーゼルターボの計4種類。
「E200」には最高出力184ps、「E250」には同211psの2Lガソリンターボがそれぞれ搭載され、「E400」には同333psの3.5LのV6ターボが、そして「E220d」には最高出力195ps/最大トルク40.8kg・mの2L 直列4気筒ディーゼルターボが搭載されました。
トランスミッションは、全車「9G-TRONIC」という9速ATです。
足回りは、E200とE250には可変ダンピングシステム付きの「アジリティコントロールサスペンション」が採用され、E400は新開発の電子制御式エアサスペンション「エアボディコントロール」を初採用しています。
その後、本稿では割愛しますが「超ハイパフォーマンスなメルセデスAMGモデル各種」や「プラグインハイブリッド車」を追加し、一部仕様変更や装備変更、あるいはE200のエンジンを1.5L 直列4気筒ターボ+マイルドハイブリッドに変更するなどしつつ、2020年9月にマイナーチェンジを実施。
内外装デザインや装備類を変更し、メルセデスAMG E63 Sを除くすべてのガソリンエンジンがマイルドハイブリッド機構付きとなったこの世代が、俗に「後期型」と呼ばれ、現在も販売中です。



ボディサイズ:全長と全幅は新型トヨタ クラウンとほぼ同寸
それでは現行・前期型のEクラスの細部を順番に見てまいりましょう。まずはボディサイズと内外装デザインについて。
ボディサイズは全長:4930mm × 全幅:1850mm × 全高:1455mmで、全長と全幅は9月1日に発売された新型トヨタ クラウンとほぼ同じです(全高はEクラスの方が85mm低いのですが)。
ちなみに最小回転半径も新型クラウンと同じ5.4mということで、現行・前期型Eクラスは「立派なサイズ感ではあるが、デカすぎて邪魔くさいというほどではなく、メルセデスの伝統として“小回り性能”も高い」ということができるでしょう。
エクステリアデザインは現行型のSクラスに準じる「最新のメルセデスデザイン」にのっとったもので、「なめらかな高級感」とでも言うべきニュアンスが感じられるもの。
リアコンビランプには「天の川やジェットエンジンの輝きを思わせる」という触れ込みの「スターダストエフェクト」なる表面構造が新たに採用されました。



インテリアデザインもSクラスにおおむね準じていて、インパネまわりは高精細12.3インチワイドディスプレイを横方向に2枚つなげた「コックピットディスプレイ」を採用。
上質感とモダンな雰囲気を巧みに演出するとともに、スワイプ操作に正確に反応するタッチセンス機能付きのボタンにより、ほとんどの操作をステアリングから手を離すことなく行うことが可能になっています。
ちなみに2020年9月以降の後期型では、エクステリアデザインが「よりシャープでダイナミックな感じ」に改められると同時に、AR(拡張現実)を使ったナビゲーションシステムなども追加されています。
走行性能:最量販グレードの走りはきわめて軽快
現行・前期型Eクラスの中古車で最も流通量が豊富なのは「E200 アバンギャルド スポーツ」。これは最高出力184psの2L 直列4気筒ガソリンターボを搭載したうえで、19インチのAMG 5ツインスポーク アルミホイールを履いているグレードです。
これの走りについては、「スポーティ」という表現が一番しっくりくると思われます。
全長5m近い大柄なボディではあるのですが、身のこなしは、もしかすると同じエンジンを積む同世代のCクラス以上に軽快。超低速域での乗り心地は19インチホイールのせいで「硬い」と感じますが、40km/hを超えるぐらいからは「アジリティコントロールサスペンション」という可変ダンピングコントロール付きダンパーが、路面からのショックを見事に吸収してくれます。
そのうえで「4気筒エンジンだから鼻先が軽い」ということもあって、E200 アバンギャルド スポーツは半端ないボディと足回りの一体感を伴いながら、高速道路のカーブや山坂道を軽快に駆け抜けてくれるのです。

前期型のE200は、Eクラスでありながら「最高出力が184psでしかない」という部分に不安を覚える人もいるかもしれません。確かにターボ付きとはいえ2Lの4気筒ですので、ものすごくパワフルなわけではありませんし、昔のEクラスの6気筒エンジン搭載車のような“重厚感”はあまり感じません。
しかし、この2Lターボエンジンは1200rpmというかなり低い回転域から、30.6kgmというなかなかのビッグトルクを発生するエンジンでもあります。そのため、普通に公道を走るうえでの“速さ”は十分と感じられますし、5種類のドライビングモードを備える「ダイナミックセレクト」をSportまたはSport+にすれば、どことなく軽量スポーツカーにも近い走りを堪能することも可能です(ただしその分、乗り心地は硬くなりますが)。
個人的には184psの前期型E200の動力性能でも十分と思っていますが、物足りなさを覚えそうな人は、同じ2L 直列4気筒ターボながら最高出力211psにセッティングされている「E250」を選ぶか、同333psの3.5L V6ターボを搭載する「E400」を選べば大満足できることでしょう。こちらの中古車も、それなり以上の数が流通しています。
なお、2019年3月以降のE200が搭載するエンジンは1.5L 直列4気筒ターボにベルトスタータージェネレーター(BSG)と48V電気システムを加えたマイルドハイブリッドシステムに変更されています。
先進機能・安全装備:上級モデルだけあってさすがに充実
現行・前期型のEクラスはプレミアムブランドのプレミアムなアッパーミドルサルーンですので、当然ながら安全装備や運転支援システムの類は大いに充実しています。
最廉価グレードだったE200 アバンギャルドでも、ありとあらゆる先進安全装備を包括する「レーダーセーフティパッケージ」は標準で、360°カメラシステムや、ほぼ自動で駐車してくれるパーキングパイロット(縦列・並列駐車)も標準装備。
E200 アバンギャルド スポーツ以上では、ステレオマルチパーパスカメラが1秒間に約100回、前方の交通状況を検知し、片側84個のハイパフォーマンスLEDを瞬時に個別制御する「マルチビームLEDヘッドライト」と、走行状況に応じて最適なライト機能を自動で選択する「LEDインテリジェントライトシステム」も標準装備となります。



中古車のオススメ:総額300万円台のE200か、総額380万~400万円台半ばのE250またはE220d
以上のとおりの特徴と魅力を備える現行・前期型のEクラスの中古車は、高いものだと総額640万円以上の物件もけっこう多いのですが、そこまでの予算を出すとなると「いっそ新車を……」との思いが脳裏をよぎりますので、ここはやはり「総額300万円台から、せいぜい400万円台の予算で収める」という姿勢が重要となります。
「なるべく安価に、しかしいいモノを買いたい」と考えるのであれば、2016~2017年式のE200 アバンギャルドまたはE200 アバンギャルド スポーツを、総額330万~390万円付近のレンジで探してみるのが得策です。
走行距離2万km台から3万km台までの、まずまず好条件な1台を容易に見つけることができるでしょう。
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メルセデス・ベンツ Eクラス(現行・前期型) × E200 アバンギャルド & E200 アバンギャルド スポーツ

E200 アバンギャルドとE200 アバンギャルド スポーツの最大の違いは、アバンギャルドが通常デザインの17インチホイールを履いているのに対し、アバンギャルド スポーツは19インチのAMGホイールを履いているということです。
19インチのAMG 5スポークの方がビジュアル的には断然カッコいいのですが、乗り味的には17インチの方がソフトで好ましいとも考えられます。
このあたりは難しい問題なのですが、「アバンギャルド スポーツではステアリングもAMGスポーツステアリングになる」「アバンギャルドにはパノラミックスライディングルーフは装着不可だった」等々の細かい部分も見ながら、各自のお好みで決めていただくほかないでしょう。
総額380万~460万円付近の予算を見込むことができるのであれば、オススメはE200よりもパワフルな2L 直列4気筒ガソリンターボを積むE250 アバンギャルド スポーツか、トルクフルな2Lディーゼルターボエンジンを搭載するE220d アバンギャルド。または、E220d アバンギャルド スポーツでしょう。
この予算帯であれば、2016~2017年式で走行距離2万km台から3万km台のこれらグレードを普通に見つけることができます。
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メルセデス・ベンツ Eクラス(現行・前期型) × E250 アバンギャルド スポーツ & E220d アバンギャルド & E220d アバンギャルド スポーツ
ガソリンエンジンのE250は、19インチのAMGホイールを履く「アバンギャルド スポーツ」のモノグレードですが、ディーゼルエンジンであるE220dは、E200の場合と同様に「17インチのアバンギャルドか、それとも19インチのアバンギャルド スポーツか?」という点で悩むことになります。
まぁ現実的にはアバンギャルドの流通量は少なめであるため、「ほぼ自動的にアバンギャルド スポーツで決まり」ということになるかもしれませんが、ディーゼルターボエンジン+乗り心地の良い17インチホイールというのもかなりナイスな組み合わせですので、がんばってE220d アバンギャルドを探してみるのもオススメです。
いずれにしても現行・前期型のEクラスは、総額300万円台から400万円台という「新車の人気国産SUVを買うのと似たような予算」で買えてしまう、世界レベルのプレミアムなアッパーミドルサルーンです。
中古車というものにもしも抵抗がないのであれば、ぜひ一度真剣に検討してみることを強くオススメいたします。
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メルセデス・ベンツ Eクラス(現行・前期型) × 全国
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。
この記事で紹介している物件
メルセデス・ベンツ
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Eクラス E220d アバンギャルド スポーツ ディーゼルターボ レーダーセーフティPKG 純正ナビ フルセグTV 全方位カメラシステム ハーフレザー シートヒーター パワーシート マルチビームLEDヘッドライト 19インチAW キーレスゴー アンビエントライト パナメリカーナグリル ETC
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Eクラス E220d アバンギャルド スポーツ ディーゼルターボ レーダーセーフティP・レザーパッケージ・AMGスタイリングP・ナビTV・Burmesterサウンド・全周囲カメラ・CarPlay・Bluetooth・キーレスゴー・LEDライト・AMG19インチAW・ETC
本体価格219.9万円
支払総額236.4万円