メルセデス・ベンツ GLCが欲しいなら、新車時より300万円以上安い前期型を要チェック!
2022/07/31
総額300万円台半ばでイケるGLCって、正直どうなんだ?
日本では2016年2月に発売されたメルセデス・ベンツ GLCは、そのスタイリッシュでスポーティないでたちと、「日本の道で使うにはジャストなサイズ!」ということで大いに売れているミドルサイズのSUVです。
ただし、さすがはメルセデス・ベンツのSUVだけあって、新車で買うとなると一番安いグレードでも乗り出し価格は800万円超ですし、中古車でも1年落ちぐらいの物件だと軽く700万円を超えます。
しかし、2019年10月に行われたマイナーチェンジを受ける前の世代、すなわち前期型と俗に呼ばれている2016年2月から2019年9月までの中古車であれば、「総額300万円ちょい」ぐらいの手頃な予算で探せることをご存じでしょうか?
とはいえ、「安いモノにはなにかしら“理由”がある」とも言われているのがこの世の中。……総額300万円台前半から狙える「前期型のメルセデス・ベンツ GLC」は買ってもOKなのか、それとも「やめといた方がいい」と言える選択肢なのか? 次章以降、もろもろ検討してまいります。
▼検索条件
メルセデス・ベンツ GLC(現行型・前期) × 全国ボディサイズ:「ちょうどいいサイズ感」+「最新のデザイン」という組み合わせ
まずは、前期型メルセデス・ベンツ GLCのボディサイズやデザインを見てみましょう。
GLCの前身であるGLKクラスが直線基調のエクステリアデザインを採用していたのに対し、2016年2月登場のGLCは優美な曲面を特徴とする最新のメルセデスデザイン
その分だけGLKより若干大きく見えるのですが、実際ボディサイズもGLKクラスと比べて長さが110mm、幅が50mm拡大されて全長:4660mm × 全幅:1890mmとなっています。しかし、全高はGLKクラスより25mm低い1645mmに抑えられたことで、よりスポーティなフォルムに仕上がっています。
全長に加えてホイールベース(前後の車軸間の距離)も伸びたため、車室内は全体的に広くなり、特に後席の足元スペースは前身よりも57mmも拡大されています。そして荷室容量もGLKクラスより100L広い550Lで、後席を倒せば最大1600Lまで拡大可能です。
ちなみに2019年10月以降の後期型は、ボディサイズは前期型と同じですが、前後バンパーやフロントグリル、ヘッドランプ、テールランプなどのデザインが変更されました。
バンパーのデザインはさほど変わったようにも見えませんが、前後のランプ類のデザインはそこそこ大きく変わっています。また、車内のダッシュボード上部に設置されるディスプレイのサイズも、後期型では8.4インチから10.25インチにワイド化されています。
走行性能:ディーゼルターボエンジンはかなり力強い
お次は、前期型GLCに搭載されたエンジンについて。
2016年2月のデビュー時に用意されたエンジンは最高出力211psの2L 直4ガソリンターボで、これが「250 4マチック」および「250 4マチック スポーツ」という前期型の中心的なグレードに搭載された主力エンジンです。
続いて同年9月には最高出力367psのかなり強力な3L V6ツインターボエンジンが「メルセデスAMG GLC 43 4マチック」というちょっとスーパーなモデルに搭載され、同時に2Lターボエンジンに電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッド車も追加されましたが、こちらはやや特殊なグレードであるため、今回のお話の中では、2018年1月に追加されたGLC 63系と併せて割愛させていただきます。
2017年2月には、250系と同じ2L 直4ガソリンターボながら最高出力を184psに抑えた「200」ならびに「200 スポーツ」というエントリーグレードを追加。こちらの駆動方式は、これ以外のすべてのGLCがフルタイム4WDであるのに対し、こちらの200系だけはFR(後輪駆動)です。
そして同じく2017年2月に追加されたのが、最高出力170ps/最大トルク40.8kgmを発生する2.2L 直4ディーゼルターボエンジンを搭載する「220 d 4マチック」および「220 d 4マチック スポーツ」です。こちらのエンジンは、ディーゼルならではの燃費の良さと、低回転域から中回転域まで続く「鬼のような力強さ」が特徴となります。
ちなみに2019年10月以降の後期型では、前期型の主力エンジンだった2L 直4ガソリンターボの最高出力が211psから258psとなって、車名も「300」系に変更。そしてディーゼルターボエンジンの排気量も、2.2Lから2Lに変更されています。
先進機能・安全装備:ひと通りの先進安全装備は全車標準装備
さすがはメルセデスというか何というか、前期型GLCは各種の安全装備や機能装備も普通以上に充実しています。
安全装備に関しては、ステアリングアシスト機能付きのレーダークルーズコントロールシステム「ディストロニック・プラス」や、歩行者検知機能の付いたブレーキアシスト「BASプラス」および自動ブレーキシステム「PRE-SAFEブレーキ」、追突を警告する「リアCPA」、自動ハイビーム機能を備えた「LEDインテリジェントライトシステム」などは全車標準装着。
機能装備では、キーを身に着けているだけでドアの解錠/施錠ができる「キーレスゴー」や、買い物の際などに便利な「ハンズフリーアクセス(テールゲート自動開閉機能)」等々も、最廉価グレードであっても標準装備です。
2017年7月の一部仕様変更ではテレマティクスサービスの「Mercedes me connect」が採用され、事故検知時の24時間緊急通報サービスや、スマホの操作で車両ドアのロックとアンロックができる「リモートドアロック&アンロック」等々が利用可能になりました。
ちなみに、2019年10月以降の後期型ではインフォテインメントシステムはさらに進化し、Aクラスで初搭載された対話型インフォテインメントシステム「MBUX」が搭載され、運転支援システムも、現行型SクラスやEクラスと同等の最新バージョンに進化しています。
中古車のオススメ:格安派は250 4マチック スポーツ、さらにいいモノが欲しいなら220 d 4マチック スポーツ
以上のとおり、「そりゃ後期型の方がいろいろ充実しているのは当然だけど、前期型であっても不足や問題はまったくない」ということが、おおむねおわかりいただけたかと思います。
それでは最後、一番肝心な「で、具体的には何年式のどれを選ぶべきなの?」という部分の考察に進みましょう。
まず「できるだけ手頃な予算でGLCが欲しい!」と考えるのであれば、「250 4マチック スポーツ」を総額340万~380万円あたりのゾーンで探してみるのがベストでしょう。
この予算、この年式であれば、走行距離3万km台から4万km台ぐらいのまずまず好条件な1台を容易に見つけることができます。
▼検索条件
メルセデス・ベンツ GLC(現行型・前期) × 「250 4マチック スポーツ」「スポーツ」ではない素の「250 4マチック」であればさらに安価にイケますし、18インチタイヤ+ノーマルサスの乗り味もソフトめでイイのですが、素の「250」は中古車の流通量が少ないという難点があります。
また、「250」には「前席パワーシートがメモリー付きではない」「後席シートヒーターがない」「ギアをリバースに入れても左のドアミラーが下を向かない」等々のメルセデスらしからぬポイントも散見されます。
そのため、ここはやはり「250 4マチック スポーツを総額300万円台の半ばぐらいで探す」というのが、お手頃予算派にとってはベストアンサーになるはずなのです。
お次、「もう少し予算を足しても構わないので、とにかく“いいGLC”を、まあまあお手頃な予算で手に入れたい」と考えるなら、2.2Lのディーゼルターボエンジンを搭載した「220 d 4マチック スポーツ」を、総額410万~470万円あたりのゾーンで探すことをオススメします。
▼検索条件
メルセデス・ベンツ GLC(現行型・前期) × 「220 d 4マチック スポーツ」ガソリンの2Lターボエンジンを搭載する「250 4マチック スポーツ」もぜんぜん悪くないのですが、超トルクフルなディーゼルターボの力強さはやはり別格です。
また、ディーゼルエンジンというと「まったりした何か」をご想像するかもしれませんが、「220 d 4マチック スポーツ」の乗り味やパワー感は「かなりスポーティ!」と言えるもので、どちらかというとポルシェ カイエンのような「スーパーSUVスポーツ」的なノリに近いものがあります。
こちらも、18インチホイール+ノーマルサスとなる素の「220 d 4マチック」でもOKなのですが、素のディーゼルターボはいかんせん流通量が少なめです。そのため、ここもやはりスポーティな上級グレードである「220 d 4マチック スポーツ」を選ぶしかないのが現状です。
なお、こちらも流通量は少ないのですが、「250 4マチック スポーツ(本革仕様)」というグレードを総額440万~470万円付近で狙ってみるのも面白いはずです。
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メルセデス・ベンツ GLC(現行型・前期) × 「250 4マチック スポーツ(本革仕様)」こちらは車名どおりの本革シートが標準装備となる他、「パノラミックスライディングルーフ」と「Burmesterサラウンドシステム」も標準装着されていますので、多少値は張りますが、購入後の満足度は高まることが予想されます。
いずれにせよメルセデス・ベンツ GLCの前期型中古車は、人気モデルの比較的高年式な中古車だけに「爆安」ということは決してありませんが、あくまで現実的な予算で「あのメルセデス・ベンツの最新世代に属するプレミアムSUVが入手できる!」という選択肢ではあります。
国産SUVとはひと味もふた味も違うSUVをお望みの方には、ぜひともさらなるチェックを進めてみることをオススメいたします。
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メルセデス・ベンツ GLC(現行型・前期) × 全国自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。