トヨタ クラウンアスリート ▲ほぼ日本国内専売車種でありながら、欧州のスポーツセダンのようなスタイリッシュさを纏った12代目クラウンのアスリートグレード

多くを一新した新世代の“ゼロ”クラウン

先日、16代目となる新型モデルが登場したことでも話題となったクラウンは、言わずと知れたトヨタを代表するフラッグシップカーのひとつ。

新型モデルも大きくスタイルを変えたことで注目を集めていますが、2003年に登場した12代目モデルも同様にこれまでのクラウンとは異なるキャラクターをもって登場した1台だったのです。

メーカー自ら「ゼロクラウン」と呼称したように、クラウンとして新たなスタートを切ることとなった12代目モデルは、プラットフォームやサスペンションを一新し、それまでクラウンのメインストリームを担ってきた直列6気筒エンジンをV型6気筒エンジンへと改めた革新的なモデルでした。
 

トヨタ クラウンアスリート ▲長らくクラウンの心臓部となってきた直列6気筒からV型6気筒へと一新されたのもこの世代のクラウンの特徴

またエクステリアデザインも、それまでのコンサバティブなものから一転、スポーティで流麗なものとなったことで、ユーザーの若返りを図っていたのです。

グレード体系は先代と同じくラグジュアリーかつフォーマルな「ロイヤル」系と、スポーティな「アスリート」系の2本柱となっています。

そして、スポーティな内外装をもつアスリート系はいまだに高い人気を誇っていますが、現在では非常に買いやすい価格帯、具体的には50万円以下から狙うことができるようになっており、特に若いユーザーを中心に注目が集まっているようです。
 

トヨタ クラウンアスリート ▲人気のクラウンアスリートがかなりお手頃価格になってきた!

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トヨタ クラウンアスリート(12代目) ×全国

平均価格が50万円を切ってきた12代目クラウンアスリート

では、もう少し詳しくこの12代目クラウンアスリートの中古車状況を見てみましょう。

執筆時点(2022年7月27日)での12代目クラウンアスリートの掲載台数は240台以上と比較的豊富で、中古車平均価格は49.3万円と50万円を切るリーズナブルさとなっています。

また、30万~60万円という比較的お手頃な価格帯に掲載台数の7割が集中しているので、総額50万円くらいで狙うことも十分可能と言えるでしょう。

ただし、生産終了から15年近くたっているため、走行距離が10万kmオーバーの物件が多いのはやむを得ないところです。

しかし、10万km以下の物件も決して少ないというわけではなく、意外にも低走行な物件も十分に射程圏内となっています。
 

12代目クラウンアスリートってどんな車?

では、改めて12代目クラウンアスリートはどんな車だったのか、振り返ってみることにしましょう。

2003年12月に登場した12代目クラウンアスリートは、スポーツサスペンションや18インチアルミホイールを標準装備とし、従来までのゆったりしたクラウンの走りとは異なるスポーティなハンドリングが楽しめるスポーツセダンへと変貌を遂げました。

搭載されるエンジンは、デビュー当初V6の2.5L(215ps)と3L(256ps)の2種類が用意され、2.5Lには5速、3Lには6速のオートマチックトランスミッションが組み合わされておりました。

また、アスリート系には当初FRのみしか設定されていなかったのもスポーツセダンらしいところです。(2004年9月には2.5L 4WDが追加)

内装もスポーティでクールな印象の黒系でまとめられ、今見ても十分に高級感が漂うものとなっています。
 

トヨタ クラウンアスリート ▲アスリートの専用装備の数々によって、スポーツセダンらしい走りも楽しむことができる
トヨタ クラウンアスリート ▲ベージュ系のロイヤル系に対し、アスリート系は黒系のクールでスポーティな内装となる

そして、2005年10月にはマイナーチェンジが実施され後期型となりました。

アスリートの3Lは3.5Lへと排気量がアップされ、出力も315psへと大きく向上、2.5LのFRモデルもATが6速へと多段化がなされました。

グレード体系はシンプルで、ベースグレードと上級仕様の「Gパッケージ」の2種類が基本。

Gパッケージには本革シートが標準装備となり、リアシートにシートヒーターやパワーシートがプラスされるものですが、本革シートは劣化が進んでいるとみすぼらしいものとなってしまうため、購入時の状態チェックは欠かせないところでしょう。
 

トヨタ クラウンアスリート ▲高級感がウリの本革シートだが、手入れがおろそかだった車両だと逆にみすぼらしい状態となっていることもあるため、要チェックだ

総額50万円で狙うなら、「前期型」を中心に

総額50万円の予算で狙うとなると、2003年12月~2004年7月生産の前期型が中心となります。

この条件では全体の1/10程度の台数になってしまいますが、中には走行距離5万~6万km台と年式を考えるとだいぶ低走行の物件が見つかることもあり、なかなか魅力的だといえそうです。
 

トヨタ クラウンアスリート ▲後期型に拘らなければ、50万円の予算で低走行な物件も十分狙うことができる

また、カスタム需要も多いクラウンアスリートではありますが、この価格帯の掲載物件の多くはフルノーマル状態に近いものが中心。

しかし、手頃な物件を手に入れて浮いた予算で自分好みのカスタムを行う、という楽しみ方もできそうです。

ただし、人気装備のサンルーフや本革シート付きの物件が少なくなってしまうのはやむを得ないところでしょう。
 

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トヨタ クラウンアスリート(12代目) ×総額50万円以下×前期型×全国

総額100万円までアップできるなら、後期型の「ヤネ・カワ・マルチ」も

予算を100万円まで増額することができるなら、現在掲載されている物件の8~9割は射程圏内となります。

そのため、アルミホイール、ローダウン、エアロパーツでビシっと決まったコンプリートカー的な物件も手の届く範囲となり、かなり幅広い車両の中から自分好みの1台を見つけることができるでしょう。

また、純正マルチナビに加え、本革シートやサンルーフといったVIPセダンとして人気のアイテム「ヤネ・カワ・マルチ」を備えた物件はもちろん、2005年10月~2008年1月生産の後期型も十分に手が届く範囲となります。
 

トヨタ クラウンアスリート ▲100万円の予算があれば、フルノーマルの状態の良いものから、一通りカスタマイズがされた決まりモノまで幅広く狙うことができる

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トヨタ クラウンアスリート(12代目) ×総額100万円以下×後期型×サンルーフ装着車×本革シート×純正ナビ×全国

このように充実した装備と高い走行性能を両立したゼロクラウンは、現代でも通用する性能を持ち合わせながらも買いやすい金額となってきており、狙い目モデルのひとつと言えそうです。

ただし、年式が比較的古めとなってしまうこともあり、実車確認や過去のメンテナンス状況チェックなどは必ず行うことをオススメします。

また、手厚い保証が付くメーカー系販売店の認定中古車は価格帯問わず非常に少ないので、そのような物件を探す場合はある程度根気が必要となってくるでしょう。

なお、実は最近ハイパワーな3.5Lエンジンを搭載したモデルにマニュアルトランスミッションを換装し、新たなドリフトマシンのベースとするムーブメントが起こりつつあり、ゼロクラウンも注目が集まり始めています。

今後価格が上がる可能性はゼロではないため、早めに行動した方がいいかもしれません。
 

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トヨタ クラウンアスリート(12代目) ×全国
文/小鮒康一 写真/トヨタ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。