新型が超話題で全然買えないランクル。いま中古で狙うなら2017年までのランドクルーザープラド!
2022/07/21
タフで日常使いも便利なプラドが200万円台から狙える
新車でも中古車でも、ランドクルーザープラド(以下、プラド)がこれほどまでに人気なのは本格四駆としての悪路走破性や耐久性とファミリーカーとしての使い勝手、そのバランスが抜群だからだろう。
もともとはヘビーデューティ系であるランドクルーザー70系のライト版として1990年に登場したプラドだが、代を重ねるごとに風格を増し、上位車種である100~200系に先んじる装備も積極的に採用された。
そんなプラドの現行型である4代目が登場したのは2009年。フルモデルチェンジのうわさも聞こえてくるが、人気は衰えることを知らない……どころか、ますます加熱するばかりだ。中古車市場でもプラドは人気であり、「年式や走行距離が多少進んでいても価格が下がりにくい車種」として知られている。
特に現行型のデザインとなった2017年9月に行われたマイナーチェンジ以降の後期型は、中古車でも支払総額300万円台後半~と新車との価格差が小さい。ならば、2017年以前の前・中期型プラドをターゲットにするのはいかがだろう? 250万円あたりから狙うことができ、しかも基本的な性能については後期型と大きな差がない。
現行型プラドの前・中期型は本当に買いなのか、じっくり検証していこう。
▼検索条件
ランドクルーザープラド(現行型)× 2009年9月~2017年8月生産モデル【ボディサイズ・デザイン・乗車定員】ファミリーカーとしての実力も十分!
プラド前・中期型のボディサイズを、BMW X5(現行型)、メルセデス・ベンツ GLE(現行型)と比べると下記のとおりとなっている。
プラド|全長:4760mm × 全幅:1885mm × 全高:1850~1900mm
X5|全長:4935mm × 全幅:2005mm × 全高:1730mm
GLE|全長:4950mm × 全幅:2020mm × 全高:1780mm
全高は高いが、全長、全幅で見ると比較的コンパクトなX3やGLCといった車種と、ミドルクラスSUVの中間的サイズ。全長については国産のマツダ CX-8より140mmも短く、全幅も三菱 アウトランダーに近い。
狭い路地裏などでは苦労する場面もあるかもしれないが、慣れてしまえば日常ユースでも全く問題ないはずだ。余裕をもって3列シートを配置することができ、かつ運転に苦労しない実用的なサイズなのである。
なお、乗車定員は各グレードに2-3-2の7人乗り仕様と2-3の5人乗り仕様を設定。最上級グレードの「TZ-G」のみ7人乗り仕様限定となる。セカンドシートにはスライド機構を装備。サードシートも座面から床面までの高さが十分に確保されており、エマージェンシーではない空間となっている。
デザインについては四駆らしいマッシブなものだが、プレミアムSUVとしての洗練さも手に入れたモデルだ。縦長スロットのフロントグリルとフェンダーに向かって伸びるヘッドライトなど、2代目、3代目から継承された意匠も取り入れられている。
2013年9月にはフロントグリルを大型化し、ヘッドライト形状を変更する大規模なマイナーチェンジを実施。上級グレードにはLEDヘッドライトが採用された。
フロントマスクの違いによって、2009年9月~2013年8月までのモデルを前期、2013年9月~2017年8月までのモデルを中期、それ以降のモデルを後期とすることが多い。
【走行性能】お買い得な直4ガソリンか、トルクのディーゼルか
プラドに設定されるパワーユニットは、下記の3種類。
・2.7L 直列4気筒 ガソリン:「TX」
・4L V型6気筒 ガソリン:「TX」「TZ」「TZ-G」
・2.8L 直列4気筒 ディーゼルターボ:「TX」「TZ-G」
2.7L 直4ガソリンはプラドの主力となるエンジンで、現在の中古車市場においても7割以上を占めている。車両重量2tを超える車体で最高出力120kW(163ps)・最大トルク246N・m(25.1kg・m)というスペックはデビュー当初やや物足りなく感じられたが、2015年6月にトランスミッションが4速→6速化され、格段にスムーズな印象となった。
4L V6ガソリンは最高出力203kW(276ps)とパワフルさが身上だったが、燃費は8.2km/L(10・15モード)といまひとつ。2015年6月にディーゼルと入れ替わる形で廃止され、現在の中古車市場にも10台ほどしか流通していない。
2015年6月に追加された2.8L 直4ディーゼルターボは文句なしに力強く、静粛性や燃費性能にも優れたエンジン。1600rpmの低回転から450N·m(45.9 kg·m)という強大なトルクを発生する。現在の欧州製プレミアムSUVに搭載される最新ディーゼルと比べると刺激は少ないが、オンロードでもオフロードでも必要十分な動力性能だ。
ラダーフレーム構造のボディ、リジッド式のリアサスペンションといった本格四駆伝統の構造を堅持するプラド。大らかなロールと路面からの入力をソフトにいなす乗り味は、多くの人にとって安心できるものだろう。
悪路走破性能についてはいまさら述べるまでもなく、国産SUV最強レベルと言っていい実力だ。上級グレードには、路面に応じて走行モードを任意に切り替えられる「マルチテレインセレクト」、極低速での一定速度走行が可能な「クロールコントロール」といったハイテクデバイスもオプション設定された。
一方で、ロールを抑制するスタビライザーの動きを路面状況に応じて制御するKDSS(キネティックダイナミックサスペンションシステム)、リア電子制御式エアサスペンションが装備された車両は、乗り心地もハンドリングも別もの。
KDSSについては3代目まで機械式だったが、現行型では電気式アキュムレーターを採用して乗り心地が格段に良くなっている。KDSSは「TZ」「TZ-G」に、リア電子制御式エアサスペンションは「TZ-G」に標準装備となっている。
【機能・安全性能】先進的な装備はほとんどオプション
チルト&テレスコピックステアリングや左右独立温度調整式エアコンなど基本的な装備は充実しているが、ハイテク系快適装備は必要最小限。このあたりは2009年に登場した車種だけに仕方のないところだろう。
「TX Lパッケージ」「TZ-G」などの上級グレードでは温熱シートや電動シート、電動格納式サードシートなどが標準となる。クルーズコントロールも同様だが、現代的な前車追従機能付きのクルーズコントロールは最上級グレードだけに設定されるオプションだ。
現行型プラドではミリ波レーダー方式の衝突被害軽減ブレーキ(プリクラッシュセーフティシステム)が初めて採用されたが、これも「TZ-G」だけに採用されるオプションとなっていた。先進的な衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」が標準装備されたのは後期型になってからだ。
【オススメの中古車】支払総額200万円以下の物件も
中古でも値下がりしにくいイメージのあるプラドだが、前期(2009年9月~2013年8月)のガソリン車なら支払総額250万円以下から狙える。
▼検索条件
ランドクルーザープラド(現行型)× 2009年9月~2017年8月生産モデル × 総額250万円以下その年式ともなると走行距離10万kmを超えている物件も珍しくないが、国産車随一の耐久性を誇るランクルだけに、適切なメンテナンスが施されてきた物件ならば、まだまだ長く乗ることができるだろう。
予算200万円台でオススメのグレードは、クルーズコントロール(追従機能はなし)や本革・電動温熱シート、電動格納式サードシートなどが装備された「TX Lパッケージ」。少しだけ予算をアップして300万円前後とすれば、2015年6月マイナーチェンジ以降の8速ATも狙える。
▼検索条件
ランドクルーザープラド(現行型)× 2009年9月~2017年8月生産モデル × 「TX Lパッケージ」「オフロードをガンガン走りたい」「普段のドライブでもゆとりが欲しい」というなら、トルクも燃費も文句なしのディーゼルが断然オススメ。ディーゼル車のみアクティブトラクションコントロールやダウンヒルアシストコントロールが装備されており、悪路走破性においてもガソリン車より有利だからだ。支払総額の目安は310万~520万円。
▼検索条件
ランドクルーザープラド(現行型)× 2009年9月~2017年8月生産モデル ×ディーゼル流通台数はかなり少ないが、KDSSやエアサスペンションが装備される最上級グレードの「TZ-G」なら、ワンランク上の走りが堪能できる。こちらの価格帯は410万~490万円だ。なお、安全性を重視するならオプションの「プリクラッシュセーフティシステム」が装備された物件を選びたいところ。
ちなみに、現在流通している物件での装着率は3割程度となっている。
▼検索条件
ランドクルーザープラド(現行型)× 2009年9月~2017年8月生産モデル × 「TZ-G」▼検索条件
ランドクルーザープラド(現行型)× 2009年9月~2017年8月生産モデル※記事内の情報は2022年7月14日時点のものです。
自動車ライター
田端邦彦
自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。