見た目はそっくりな新旧ホンダ N-ONE。旧型は100万円近く平均価格が安くて魅力的だが、どんな人にオススメか?
2022/07/30
初代と現行型の間には100万円近い価格差が!
王道の軽自動車セダンスタイルである、ホンダ N-ONE。
旧型となる初代は、2012年11月に同社の往年の名車であるN360をオマージュしてデビューし、2020年11月に登場した2代目・現行型も初代の考え方を継承した。
その結果、この新旧N-ONEはぱっと見では区別がつきにくいほどにそっくりだ。
見た目はそっくりな両車だが、中古車平均価格は大きく異なる。
原稿執筆時(2022年7月26日)の平均価格は、初代が70.2万円であるのに対し、現行型は169.7万円と、実に100万円近い差がある。
もちろん「古いものは安く、新しいものは高い」といった、中古車では当たり前のことが起きているにすぎないとも考えられるだろう。
しかし、こんなに見た目がそっくりなのにここまで価格差が大きいと、1「安くて見た目もそっくりなら、正直旧型で良くないか?」と感じる人もいるはず。
そこで今回は、改めて初代と2代目の違いをチェックし、どんな人なら初代でも満足することができそうか(逆に現行型を買った方が良いのはどんな人か)考えてみよう。
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ホンダ N-ONE(初代)×全国新旧の大きな違いは「走行性能」と「安全性能」
結論から言えば、安心してロングドライブを楽しみたい人は現行型を、街乗りなどの短距離中心の乗り方が多いならば、100万円安い旧型をオススメする。
たとえ見た目があまり変わらなくても、メーカーは常に最新の技術で最も良い車を作ろうと努力を惜しまない。そのため、新型では特に「走行性能」と「安全性能」において旧型から大きく進化している。
それらの違いについて、下記でさらに詳しく見てみよう。
■大きな違い1:走行性能
乗り心地や乗ったときのしっかり感、ハンドル操作に対するスムーズな動きといった走行性能。それに大きく影響するのがプラットフォームと呼ばれる車の骨格部分だ。
現行型では、2017年にデビューした同じNシリーズの2代目(現行型)N-BOXと同じ、新世代のプラットフォームが採用された。
これにより乗り心地やしっかり感、ハンドルのスムーズな操作性、車内の静粛性などが高められている。
また、エンジンとCVTも新世代へと進化。燃費の数値こそ旧型の2014年5月以降のモデルが28.4km/Lなのに対し、新型が28.8km/L(いずれもノンターボの2WD車のJC08モード燃費)とあまり変わらないが、特にCVTの制御が新しくなり、アクセルレスポンスが良くなった。
さらに、下り坂などでのエンジンブレーキがよく利くようになったので、峠道などのアップダウンが激しい場面では現行型の方が安心して、しかも快適に走ることができる。
ただ、旧型にも当時の最先端技術が投入されている。走行性能が十分しっかりしていることは、試乗してみれば感じられるはずだ。
■大きな違い2:安全性能
現行型では、先進安全運転支援機能「ホンダセンシング」が全車標準装備されたことで、渋滞追従機能付きACCと車線維持支援システムが備わる。
これは、高速道路での渋滞時にアクセル操作をしなくて済み、車線をはみ出さないようステアリングを自動で操作してくれるもので、主に長距離を運転する際に恩恵を享受できる。
また、軽自動車としてはトップクラスの下記10個の安全機能が備わる。
・衝突被害軽減ブレーキ
・誤発進抑制機能(CVT車)
・歩行者事故低減ステアリング
・先行車発進お知らせ機能
・標識認識機能
・路外逸脱抑制機能
・渋滞追従機能付き(CVT車)ACC
・車線維持支援システム
・後方誤発進抑制機能(CVT車)
・ハイ/ロービーム自動切替
一方の旧型は、2014年5月から衝突被害軽減ブレーキが標準装備された(グレードの「G」はオプション)が、上記ホンダセンシングとの機能差は明らか。
安全機能の充実さを外せないのであれば、やはりオススメは新型となる。
このように、見た目は似ていても、新旧では主に「走行性能」と「安全性能」に大きな違いがある。
まとめると、“超”優れた走行性能が欲しく、もしものために最新の安全装備は欠かせない! という人であれば間違いなく100万円高くても現行型を選ぶのが正解と言える。
N-ONEをメインカーとして使い、高速道路や山道などもバンバン走って頻繁に遠出するような人だろうか。
一方で、普通に優れた走行性能があれば十分で、安全装備が少ないことも許容できる、それでいて初代の見た目でも全然問題ないという人にとっては、100万円安く買える初代はかなりお買い得度の高い狙い目となってくるだろう。
「遠出用にはもう1台メインカーがあり、普段は近場の買い物や通勤でちょい乗りするのがメイン」のような人にオススメできそうだ。
以上、初代と現行型で大きく異なる点を紹介したが、「自分は初代がよい!」と感じた人は、下記の旧型のモデル概要と中古車状況を参考に、自分に合った旧型を選んでほしい。
旧型のモデル概要と中古車状況は?
多くの人にとって「マイカー」が憧れだった1960年代に、大ヒットしたのがホンダのN360。
この名車をオマージュし、「日本の新しいベーシックカー」を標榜して2012年11月に誕生したのが初代(旧型)N-ONEだ。
プラットフォームは先に登場していた同じNシリーズの初代(旧型)N-BOXと同じ。フロントグリルなどデザインはN360をモチーフにしている。
搭載されたエンジンは660ccのノンターボとターボの2種類で、これにCVTが組み合わされた。一部グレードを除き、駆動方式は2WDと4WDがある。
デビュー時のJC08モード燃費は27.0km/Lで、2014年5月の改良では28.4km/Lまで向上。当時のクラストップレベルの低燃費を誇っていた(数値はいずれもノンターボの2WD車)。
デビュー時のグレード構成は価格が安い順にG、ツアラー、プレミアム、プレミアムツアラーの4種類。
ツアラーとプレミアムツアラーはターボ車となり、それぞれに上級仕様のLパッケージが設定されていた。
2014年5月には一部改良が行われ、ノンターボが27.0→28.4km/Lに、ターボが23.2→25.4km/Lと燃費が向上した(いずれも2WD車のJC08モード燃費)。併せて上級仕様を示す「Lパッケージ」が「Aパッケージ」に名称変更されている。
2015年7月にマイナーチェンジが行われたが、デザインはほぼ同じままで、立体駐車場に収まりやすい全高の「ローダウン」が用意された。同モデルの全高は他より65mm低い1545mmだ。
これによりグレード構成が整理され、G/Gローダウンベーシック/G Lパッケージ/Gローダウン/ツアラー/プレミアム/プレミアムツアラー/プレミアムツアラーローダウンとなった。
さらにスポーティなグレード「モデューロX」も加えられた。ターボエンジンにパドルシフト付きのCVTが組み合わされている。
2017年12月には遮音性能の向上とともに、グレード構成が大きく見直された。新しいグレード構成は手頃な価格順にスタンダード、セレクト、プレミアム、RSの4種類。RSはターボ車のみで、他のグレードでも「スタンダードツアラー」という具合に、名称に「ツアラー」が付くモデルがターボ車となった。
初代N-ONEは、原稿執筆時点で約2400台もの物件が見つかり、流通量はかなり豊富と言える。
中古車平均価格は前述のとおり約70万円で、支払総額約30万円くらいから狙うことができる。
また、生産終了から3年ほどしか経っていないため、平均走行距離は約5.8万kmと少なめで、まだまだ良コンディションの中古車を狙いやすい。
走行距離5万km以下・修復歴なしで絞っても約1000台が対象となり、同条件では最も手頃な価格だったグレード「G」を中心に支払総額50万円以下の物件も結構ヒットする。
なお、ターボ車とノンターボ車の割合は約2:8で、ノンターボ車の方が圧倒的に多い。価格はターボ車の方がノンターボ車に比べ1~2割ほど高そうだ。
2014年5月以降のモデルでは衝突被害軽減ブレーキが搭載されたが、台数は約400台程度まで少なくなる。それでも、まだまだ十分な台数と言えるので、気になる人は積極的にチェックを。走行距離5万km以下の修復歴なし物件が、支払総額約70万円くらいから見つかる。
かなり安く狙うことができる旧型モデルだが、現行型との違いを理解したうえで魅力を感じた人は、ぜひ一度チェックしてみることをオススメしたい。
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ホンダ N-ONE(初代)×全国ライター
ぴえいる
『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。