現行型のミニが欲しいなら、新車より200万円以上安い“前期型”を要チェック!
2022/07/17
前期型の中古車なら総額100万円ちょいから低走行物件が狙える
ポップでかわいい「ミニ」を、街で見かけない日はないようにも思います。
実際ミニはとってもよく売れていて、日本自動車輸入組合が発表している「外国メーカー車モデル別新車登録台数ランキング」によれば、ミニは2016年から2021年まで6年連続でトップに輝いています。
そんなミニを「欲しい!」と思うわけですが、新車で買うとなるとミニはけっこう高くて、いちばんベーシックなONEというグレードでも乗り出し価格は300万円を軽く超えますし、人気の高いクーパーSというグレードだと総額400万円を超えることになります。
そのため「欲しいけど……ちょっと買えないかも」となる場合も多いかと推測しますが、現行型ミニの「前期型中古車」であれば、新車よりも200万円以上お安い予算で狙えることをご存じでしょうか?
具体的にはおおむね総額120万円ぐらいから、走行距離2万~3万km台ぐらいの現行型ミニが買えてしまうのです。
本稿ではそんな「現行型ミニの前期型中古車」について、そのモデル概要と「本当にお買い得なのか?」という点について、じっくり考えてみます。
【現行型ミニとは?】小ぶりな3ドアと実用性に優れる5ドアをラインナップ
まずは「現行ミニ前期型」のモデル概要についてご説明します。
ミニというのはもともと英国製の小型車でしたが、1990年代にドイツのBMWがミニに関するすべての権利を取得し、2002年に「(BMW製の)初代ミニ」が誕生しました。
現在販売されているミニは2014年4月に発売された3代目で、3ドア版のボディサイズは2代目よりも95mm長く40mm幅広な、全長3835mm×全幅1725mm×全高1430mm。これは国産の売れ筋コンパクトカーであるトヨタ ヤリスと比べて「ちょっと短くて、ちょっと幅が広い」といったサイズ感です。
当初は3ドア版のみだった現行型ミニですが、2014年12月には便利な5ドア版を追加。こちらのボディサイズは全長4000mm×全幅1725mm×全高1445mmで、3ドア版と車幅は同じですが、全長が16.5cm長くなり、全高は1.5cmだけ高くなっています。乗車定員は、3ドア版は4名なのですが、5ドア版は一般的な5名です。
エクステリアデザインは、2002年に発売された初代からずっとキープコンセプトと言えるものですが、3代目の現行型ミニはフロントグリルを縦方向に拡大した他、後方に向かってなだらかに下がるルーフラインや、より寝かされたバックガラスの角度などにより、2代目まで以上にスポーティで軽快な印象に変わっています。
インテリアは、随所に用いられた円形のデザインエレメントや「トグルスイッチ」といったミニならではの特徴は踏襲しつつ、各部のデザインや装備を一新。速度計をステアリングコラムの上に移し、これまでセンターメーターがあった場所にはセンターディスプレイを装備しました。またエンジンの始動と停止も、センターコンソールのトグルスイッチで行うように変わっています。
ちなみに、現行型のミニは2018年5月のマイナーチェンジで「後期型」と呼ばれる世代に少々変わったのですが、その後期型のデザインも基本的にはキープコンセプト。デザインの変更点はMINIのロゴが新しくなったことと、LEDのデイライトランニングライトを搭載したこと。そしてリアコンビネーションランプに「ユニオンジャックのデザイン」を採り入れ、インテリアパネルにもユニオンジャックのモチーフを採り入れた程度です。
【グレード構成】ベーシックな「ワン」からスポーティな「クーパーS」までの幅広い
お次は現行ミニ前期型のグレード構成と、それぞれの特徴について。
グレードは超大きく分けると「3ドアと5ドア」に二分されるわけですが、それぞれの中で以下のように分かれています。
【ミニ3ドア】
・「ワン」|最高出力102psの1.2L 直3ターボエンジンを搭載するベーシックなグレード。2代目までの「ワン」はやや非力でしたが、新エンジンになった3代目の「ワン」はまずまず普通に活発に走ることができます。トランスミッションは6速ATと6速MT。
・「クーパー」|中間グレード。2代目のクーパーは1.6Lの自然吸気エンジンでしたが、3代目は最高出力136psの新しい1.5L 直3ターボエンジンに変わり、2代目の「クーパーS」(最上級グレード)に匹敵するほどのパンチ力を得ています。こちらもトランスミッションは6速ATと6速MTです。
・「クーパーS」|最高出力192psという強力な2L 直4ターボエンジンを搭載する最上級グレード。ちょっとぜいたくなほどのパワーとトルクを味わうことができる1台で、「とにかく速い車が好き!」という人にオススメのミニです。トランスミッションは、こちらも6速ATと6速MTが用意されました。
・「クーパーD」|2016年4月に追加された、最高出力116psの1.5L 直3ディーゼルターボエンジンを搭載するグレード。ディーゼルエンジンですが音や振動は小さめで、低速トルクは十分以上。ただ、高回転域ではやや物足りなさもあります。こちらのトランスミッションは6速ATのみ。
・「クーパーSD」|同じく2016年4月に追加された、最高出力170psのパワフルな2L 直4ディーゼルターボエンジンを搭載するグレード。36.7kg・mという最大トルクは、3.5Lクラスのガソリン車におおむね相当します。「ディーゼルのホットハッチ」とでも呼ぶべきグレードですが、こちらのトランスミッションも6速ATのみです。
【ミニ5ドア】
・「クーパー」|3ドアのクーパーと同じ最高出力136psの1.5L 直3ターボエンジンを搭載。3ドアより大きく重いのですが、ほぼ同じ程度の活発さで走ります。トランスミッションは6速ATのみ。
・「クーパーS」|こちらも3ドアの「クーパーS」と同じエンジンで、同じように強烈な走りを堪能できます。
・「クーパーD」|エンジンもトランスミッションも、3ドアの「クーパーD」と同一です。
・「クーパーSD」|こちらのエンジンもトランスミッションも、3ドアの「クーパーSD」と同じです。
【中古車選びのポイント】中古車購入時は「オプション装備の有無」に注意を
現行ミニ前期型の各種機能装備や安全装備は「普通に充実している」と言えますが、注意したいのは「それらの装備はパッケージオプションに含まれている場合が多い」ということです。
つまりパッケージオプションがあまり付いていなかったり、もしくはまったく装着されていない中古車の装備は――中古車価格が安めである代わりに――意外と貧弱な場合もあります。そのため、購入時は内外装のコンディションや整備履歴だけでなく「各種装備の有無」も確認するようにしてください。
一例を挙げますと、衝突回避・被害軽減ブレーキアシストと前車接近警告機能(歩行者検知機能付き)、アクティブクルーズコントロール(ACC)は現行ミニ前期型に当然ながら用意されましたが、これらは「ドライビングアシスト」という11万4000円のパッケージオプションに含まれていました。
また純正ナビゲーションは、「クーパーS」と「クーパーSD」には標準装備されていましたが、「ワン」と「クーパー」、「クーパーD」の場合は「ナビゲーションパッケージ」という17万8000円のパッケージオプションを選択する必要がありました。
この他にも本当に様々な機能装備が「オプションとして」用意されているのがミニという車で、機能装備の有無は中古車価格の高低とおおむねリンクしています。そのため「安い!」と思って飛びついたものの、後になって「機能装備があまり付いてなくて不満を覚える……」みたいなこともあり得るでしょう。
ただ、機能装備や運転支援システムというのは「たくさん付いていればいるほど良い」というものでもなく、人によっては「こんな機能、自分にとっては無駄でしかない」と感じるケースもあるものです。 そのため中古車を選ぶ際は「他の誰でもなく“自分”にとって必要な機能装備」が付いているかどうかを、重点的に確認してみることをオススメします。
【オススメの中古車】狙い目は総額100万円台半ばの「クーパー」と後半の「クーパーS」か
以上のとおり、現行ミニ前期型の全貌(?)がおおむね判明しましたので、ここから先は「具体的なオススメグレード」を、ニーズ別に考えてまいりましょう。
■できるだけ手頃な予算で現行ミニ前期型が欲しいなら
→オススメは総額100万~170万円付近の「クーパー 3ドア」または「クーパー 5ドア」
新車でミニを買う場合はベーシックで安価な「ワン」のコスパが非常に高いのですが、中古車になると「ワン」と「クーパー」の価格はさほど大きくは変わらなくなります。であるならば、1.2Lではなく1.5Lの直3ターボエンジンを搭載していて、なおかつ「ワン」よりも装備が充実している「クーパー」を選んだ方が、後々の満足度は上がるはずです。
いちばん安い部類では総額70万円程度から前期型クーパーを探すことができるのですが、コンディションの良さと価格の手頃さのバランスを考えると、注目すべきプライスゾーンは「総額100万~170万円ぐらい」ということになるはずです。
このゾーンの中でなるべく内外装がキレイで、水回り(サーモスタットなど)の交換歴が確認できて、なおかつオプション装備が充実している1台を見つけることができたら、きっとなかなか幸せな“ミニライフ”が送れることでしょう。
■ミニならではのパンチのある走りを、比較的安価に楽しみたいなら
→オススメは総額150万~200万円の「クーパーS 3ドア」または「クーパーS 5ドア」
1.5L 直3ターボのクーパーでも十分以上に活発な走りを堪能できますが、やはり2L 直4ターボである「クーパーS」のパンチ力はちょっと別格であり、また「3気筒エンジン特有のバイブレーションがない」という意味でも、純粋にミニならではの味わいを堪能できるはずです。
現行ミニ前期型の「クーパーS」を探す場合のプライスゾーンは、総額150万~200万円ぐらいというのがひとつの目安になるでしょう。これよりもっとお安い物件もありますし、逆に総額300万円を超えるものもあるのですが、「手頃な価格であること」が大きな魅力である中古車としての特性を重視するなら、150万~200万円あたりが「ちょうどいい頃合い」だと考えられます。
こちらも前述した「クーパー」同様、このゾーンの中でなるべく内外装がキレイで、水回り(サーモスタットなど)の交換歴が確認できて、なおかつオプション装備が充実している1台を探してみてください。
この他、総額200万円台前半の予算で強力なディーゼルターボの「クーパーSD」を選ぶのも素敵ですし、同じく総額200万円台前半で「なるべくオプション装備が充実しているクーパーを探す」というのも、結果として良い買い物になりそうです。
そのあたりは個々人の予算感や価値観、または家庭状況などによっていろいろ変わってくると思いますが、いずれにせよ本稿で提示した“基本線”を参考に、なるべくポップでなるべく素敵なあなた好みのミニを、手頃な予算で探し出していただけましたら幸いです。
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。