日産 スカイラインクロスオーバー(初代)▲スカイラインのセダンやクーペよりもラグジュアリーな位置づけがされたクロスオーバー。中古車台数は少ないが比較的価格がお手頃のため、機能や走行性能等は高級SUVそのものゆえ、知る人ぞ知るおいしい中古車だ

機能や装備が充実した高級SUV

日産スカイラインクロスオーバーは、海外ではインフィニティEXとして販売されていたSUV。

レクサス RXをはじめ、輸入車も含む高級SUVがライバルになるモデルだ。

日本ではスカイラインシリーズの1台として2009年7月から販売され、残念ながら2016年6月に生産が終了し、1代きりのモデルとなってしまった。

そんなこともあり、他のライバルモデルに比べるとイマイチ知名度は低く、知る人ぞ知るモデルとなっている。

しかし、高級SUVゆえ機能や装備は今見ても充実していると言って良いだろう。

そんなスカイラインクロスオーバーも生産終了から約6年が経つため、中古車の平均価格は順調に値を下げ、かなりお手頃感が出てきている。

以下、詳しい相場状況を見るとともに、どんなモデルだったのかを振り返ってみよう。

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日産 スカイラインクロスオーバー(初代)×全国
 

平均価格が100万円前半とお手頃だが、同時に走行距離は増えてきた

残念ながらヒットしたとは言い難いため、流通台数は2ケタと少ない。

この2年間は、月間の延べ掲載台数が70~100台程度を行ったり来たりしているものの、確実に減少している状況だ。

一方の平均価格は、緩やかながら下落傾向がはっきりとしている。

ここ1年間の推移を見てみると、2021年4月にはピークとなる130.1万円だったが、2022年2月には112.8万円と20万円近く落ちている。

また、原稿執筆時点(2022年3月16日)では106.7万円とさらに安くなっており、100万円を切るのもそう遠くはなさそうだ。

日産 スカイラインクロスオーバーの中古車平均価格推移グラフ▲直近2月には若干上昇したものの、確実に下落傾向を見せている

ちなみに、2009年1月に登場したライバルのレクサス RX(初代)を見てみると、原稿執筆時点では185.1万円。

新車時の販売価格はほぼ同じだっただけに、スカイラインクロスオーバーのお買い得度がよくわかる。

このまま100万円切りを待つのも一興だが、先述のとおり中古車台数は確実に減っている。

また、原稿執筆時点での平均走行距離は約7万7000kmと年式相応に増えているのも事実。

デビューから約13年、生産終了から約7年経った今こそ、価格と程度のバランスを考えると狙い時! と言えそうだ。

では、スカイラインクロスオーバーは「高級SUV」と呼ぶにふさわしいモデルだったのか? 以下、その詳細を見ていこう。

 

衝突被害軽減ブレーキや前席電動シート、純正カーナビも標準装備など装備が充実

日産 スカイラインクロスオーバー(絶版)▲プラットフォームはV36型スカイラインセダンやクーペと同じだが、ホイールベースは50mm短くなっている。スカイラインらしいスポーティなハンドリングと、ラグジュアリーSUVらしいしっとりとした乗り心地が味わえる

2009年7月に登場したスカイラインクロスオーバー。

搭載されたエンジンは同時期のV36型スカイラインセダン(後期型)/クーペと同じ3.7L V6で、これに7速ATが組み合わされる。

2WD(FR)と4WDがあり、4WDシステムは走行状況に応じて前後輪の駆動力を最適に配分してくれるアテーサE-TSが採用されている。

スカイラインシリーズの中では最もラグジュアリーなモデルとして位置づけられ、相応の装備が与えられているのがこの車の大きな特徴だ。

全車に標準装備されている装備だけを取り上げてみても、前席電動シート、メーカー純正カーナビゲーション、ETC車載器、電動ガラスサンルーフ、バック&サイドビューモニター、左右独立式・プラズマクラスター搭載フルオートエアコン……などといった充実っぷり。

グレード展開はベースグレードと、上級装備が備わるタイプPというシンプルな構成で、どちらにも2WDと4WDが用意されている。

なお、タイプPにはアラウンドビューモニターや本革シートが標準で備わる。

また、全車に衝突被害軽減ブレーキ(インテリジェントブレーキアシスト)やアダプティブクルーズコントロール、車線逸脱防止支援システムなどがオプションで用意された。

これらの先進安全運転支援機能は、2012年10月に370GTタイプPと370GT FOURタイプPには標準装備されている。

新車時の車両本体価格は420万~499万8000円だった。

日産 スカイラインクロスオーバー(初代)▲クーペのように大きく傾斜したリアゲート。ルーフレールは全車標準で備わる。また、キーを持って近づくと、ドアミラー内蔵のランプが足元を照らして夜間時の乗り降りをサポートしてくれる
日産 スカイラインクロスオーバー(初代)▲写真のブラウン本革×本木目フィニッシャーがタイプPにオプションで用意されていた。標準仕様のタイプPはブラック本革×アルミ&ブラッククォーツ、ベースグレードはモケットシート地×アルミ&ブラッククォーツとなる
日産 スカイラインクロスオーバー(初代)▲リアシートの背もたれは全車リモコン可倒式。ラゲージ側か運転席のスイッチで倒したり引き起こすことができる
 

オススメは2WDの370GTタイプP

同社のエクストレイルなどが搭載するオールモード4x4-iと異なり、スカイラインクロスオーバーが採用した4WDシステムは、舗装路をより速く走ることに向いているアテーサE-TS。

スカイラインセダン/クーペのように、スポーティな走りを目指した同車らしい採用理由だが、見方を変えればアウトドアでガシガシ使えるSUVではないということ。

同じアテーサE-TSを搭載するスポーツ4WDの最高峰にはGT-Rがあるのだし、だったらFRのままで楽しもうと考える人が多いのも当然で、実際中古車の7割以上がFR車だ。

そこで、狙い目となるのは2WDの370GT。もちろんベースグレードでも装備は十分なのだが、スカイラインシリーズの中で最もラグジュアリーなモデルとして位置づけられていた同車を手に入れるなら、やはりそれが最も表れている上級グレードのタイプPを狙いたい。

日産 スカイラインクロスオーバー(初代)▲タイプPには本革シートの他、電動チルトテレスコピックステアリング、運転席格納式コートハンガー、さらに2012年12月以降は衝突被害軽減ブレーキやアダプティブクルーズコントロールなどが標準で備わる

原稿執筆時点でのベースグレードとタイプPの割合はほぼ同数。

そして、当然新車時価格はタイプPの方が高かったのだが、中古車を見ると価格の差は走行距離や年式の違いが大きな要因となっており、グレードによる差はほとんどなさそうだ。

とはいえ、そもそもの掲載台数が少ないモデルゆえ、グレードを絞ると台数はかなり少なくなる。

今回オススメする「370GT タイプP 2WD」をベースに探しつつ、他の物件も合わせてチェックするようにしてほしい。

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日産 スカイラインクロスオーバー(初代)×「370GT タイプP 2WD」×全国

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文/ぴえいる、写真/日産

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。