マツダCX-30▲コンパクトミニバンの中で、2代目トヨタ シエンタと人気を二分する2代目ホンダ フリード

シエンタ VS フリード! 気になる7つのポイントで比べてみた

スライドドアと3列目シートを備える、トヨタ シエンタ(2代目)とホンダ フリード(2代目)。ちょうど良いサイズ感と優れた使い勝手で、子育て世帯を中心に老若男女問わず人気を集めている。

ただし、両車は類似点が多いこともあってか「いったいどちらを買うべき?」と悩む人も少なくない。そこで、購入時に気になる7つのポイントを比較。その違いに焦点を当て、両車の特徴を紹介する。ぜひ購入のヒントにしてほしい。
 

 

▼検索条件

トヨタ シエンタ(2代目)×全国

▼検索条件

ホンダ フリード(2代目)×全国

【サイズ】大きさはほとんど同じだが、室内の広さは違いアリ

「コンパクトで取り回しがしやすいのに、室内は広々」というのが両車のウリ。まずはボディサイズと室内の広さをチェックしてみよう。3列仕様の2WDの場合、ボディサイズは以下のような違いがある。

■シエンタ
3列&2列仕様:全長4260mm×全幅1695mm×全高1675mm

■フリード
3列仕様:全長4265mm×全幅1695mm×全高1710~1735mm
2列仕様:全長4265~4295mm×全幅1695mm×全高1710~1735mm

わすかだがフリードの方が高身長となっている。ただ、最小回転半径はどちらも5.2mであることを考えると、取り回しのしやすさはほぼ同等と言えるだろう。
 

トヨタ シエンタ(2代目)▲シエンタはFFと4WDが同サイズ。3列仕様と、2列仕様の「ファンベース」でもサイズが変わらない
ホンダ フリード(2代目)▲フリードの3列仕様は全グレードで全長が4265mm。2列仕様の「フリード+」はFFで4295mm、4WDで4265mmと異なる。全高は3列と2列問わずFFなら1710mm、4WDなら1735mmになる

しかし、室内のサイズ感には大きな差がある。

■シエンタ
3列仕様:室内長2535mm×室内幅1470mm×室内高1280mm
2列仕様:室内長1900mm×室内幅1490mm×室内高1280mm

■フリード
3列仕様:室内長3045mm×室内幅1455mm×室内高1275~1285mm
2列仕様:室内長2310mm×室内幅1455mm×室内高1275~1285mm

車内長はフリードの方が3列仕様で500mm、2列仕様で410mmも長くなっている。室内幅はわずかにシエンタに分があるが、全体的の広さはフリードの方が上回っている。もちろんシエンタも十分に広いが、車内のゆとりを優先したいならフリードを選ぶのがベターだ。
 

 

【ドア】開口部の広さと低さをチェック

シエンタとフリードを検討している理由に「スライドドアを備えていること」を挙げる人は少なくない。子育て世帯にとって両側スライドドアは大きな魅力と言える。

両車は装備自体には特段の差はないものの、ドアの仕様には差異がある。シエンタのドア開口部は幅665mm×高さ1145mmだが、フリードはスライドドア開口部:幅665mm×高さ1165mm。車高の関係からフリードはシエンタより開口部が広くなっている。

ただ、最も注目すべき点は乗り込み口の高さだろう。シエンタは330mmだが、フリード390mm。実はシエンタの方が60mm低床となっている。
 

トヨタ シエンタ(2代目)のスライドドア▲グレードによってパワースライドの有無が異なる。エントリーグレードには片側しか装備されてないので注意が必要だ
ホンダ フリード(2代目)のスライドドア▲フリードもグレードにはパワースライドは片側のみ。ちなみにフリードにはグレードによって、2列目のサイドウインドウにロールサンシェードが用意されている

大人なら開口部が広い方が好ましいかもしれないが、子供や高齢の方にとっては段差が低い方が乗り降りしやすい。乗降性を気にするなら、シエンタを選ぶのが良いだろう。
 

 

【内装】デザイン性だけでなく機能性にも個性が出ている

普段から目に付くインパネはこだわる人が多いだろう。シエンタとフリードでは、デザインだけでなく機能性も大きく異なる。

シエンタはエクステリアと同様、インパネも個性的。オレンジの差し色が目立つし、アシンメトリーを強調したデザイン性も面白い。黒一色のブラックインテリアは、シックな装いとなっている。
 

トヨタ シエンタ(2代目)のインパネ▲曲線が印象的なシエンタのインパネ。助手席側に買い物フックが付いているのもユニーク

対するフリードのインパネは水平基調で木目パネルを使用し、落ち着いた雰囲気。機能性を重視しており、収納の数が多いのも特徴だ。運転席のインパネアッパーボックスや助手席のインパネトレイに加えて、センターテーブルが備わっている。
 

ホンダ フリード(2代目)のインパネ▲直線的なフリードのインパネ。なお、インストルメントパネル内蔵のセンターテーブルはガソリン車のエントリーグレードには用意されていない

2列目以降を比べると、ユーティリティは同様に高レベル。シートのデザインやカラーリングは異なるが、そこは好みによるところが大きいだろう。ただし、シートの座り心地、特に3列目は両者の個性が色濃く出る。

シエンタは座面位置が高く、膝の折りたたみが少ない分、座りやすい。対するフリードは座面が厚く、クッションが効いている。室内が長い分、膝まわりのスペースにも余裕がある。

内装のどこを重視するかは人によるが、快適性を求める人にはフリードが一歩リードしているだろう。
 

トヨタ シエンタ(2代目)の内装▲シエンタは2列目がベンチシートでもキャプテンシートでも、3列目にウォークスルーができない。2列仕様のファンベースも同様だ
ホンダ フリード(2代目)の内装▲フリードは6人乗りのキャプテンシートになら3列目までウォークスルー可能。2列仕様のフリード+は、2列目がベンチシートなので荷室まで行くことはできない
 

【乗車人数】3列目シートの使い勝手に要注目

シエンタとフリードといえば、シートのバリエーションが豊富なのも特徴だ。どちらも3列仕様車では2列目がキャプテンシートの6人乗りと、ベンチシートの7人乗りを用意。さらに、5人乗りにして荷室を広げた2列仕様車も設定されている。

設定は似ているのだが、大きく異なるのは3列シートの使い勝手だ。シエンタの3列目シートは、2列シートの下に格納する「ダイブダウン式」を採用。一方で、フリードの3列目は左右への「跳ね上げ式」となっている。

この両方式は一長一短だ。シエンタは3列シートを格納する際に2列目シートを浮かせる必要があり、手間がかかる。ただ、シートを完全にしまえるので、スペース効率に優れている。
 

トヨタ シエンタ(2代目)の荷室▲3列シートを格納した状態のシエンタ。なお、2列シートの格納法は3列仕様と2列仕様で異なる。3列仕様は前方に跳ね上げるタンブル式で、2列仕様はチルトダウン式

フリードは跳ね上げるだけでよいので、格納が手軽。ただ、サイド上部にシートが収めるので、後方視界がやや遮られるのが難点だ。
 

ホンダ フリード(2代目)の荷室▲フリードは2列シートがベンチシートの場合はタンブル式。キャプテンシートの場合はスライドさせることかできず、格納できない

この方式の違いは、荷室にも大きな影響を与える。荷室の長さはほぼ同じだが、シエンタの方がフリードより幅が広く、フリードの方が高さに勝る。しかし、フリードの強みである高さがシートを跳ね上げたときには足を引っ張る。背の高い物を置きたいときにジャマになるのだ。

他のミニバンでなく、両車を望むなら常時3列シートを使う人は少ないはず。基本的には+αで誰かを乗せる必要ができた際の緊急用だろう。そうなると普段は3列シートを格納し、荷室を広く使うケースが多くなる。だとしたら、荷室の使い勝手に勝るシエンタが有利だ。
 

 

【燃費】エンジンの種類によって燃費の優劣が変わる

燃費の違いも見逃せない。両車とも設定されているのは、1.5Lのガソリン車と、1.5Lエンジン+モーターのハイブリッド車。WLTCモード燃費が直近のマイナーチェンジ後モデルで比べると下記のとおりだ。

■シエンタ
ガソリン:14.0~17.0km/L
ハイブリッド:22.8km/L
 

▼検索条件

トヨタ シエンタ(2代目)×ガソリン×全国

▼検索条件

トヨタ シエンタ(2代目)×ハイブリット×全国
■フリード
ガソリン:15.6~17.0km/L
ハイブリッド:19.8~20.8km/L
 

▼検索条件

ホンダ フリード(2代目)×ガソリン×全国

▼検索条件

ホンダ フリード(2代目)×ハイブリット×全国
ガソリン車は2WDモデルだと17.0km/Lと同じだが、4WDモデルを選ぶとフリードの方が好燃費だ。ハイブリッド車はシエンタは4WDモデルを設定していないが、2WDではシエンタが燃費に優っている。
 

 

トヨタ シエンタ(2代目)の走行シーン▲シエンタのハイブリッドはトヨタ謹製だけあって高性能。しかし、ガソリン車の燃費性能はイーブンで、4WDとなるとフリードの方が低燃費となる
ホンダ フリード(2代目)の走行シーン▲ハイブリッドの4WDが設定されているのはフリードのみ。しかも19.8 km/Lと、両車のガソリン車を上回る好燃費だ

単純に燃費の良さを求めるならハイブリッド車がベター。もちろん、降雪が多い地域に住む人など4WDを望むかどうかで判断が変わるが、燃費で選ぶならシエンタの2WDモデルがオススメだ。
 

 

【安全装備】どちらも優秀だが、装備差は明確

事前に事故を防いでくれる先進安全装備。その内容も、購入時には気になるところだろう。

シエンタは「Toyota Safety Sense」を採用。衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑制制御、先行車発進告知など、必要十分な内容となっている。エントリーグレード「X」ではオプションだが、中間グレード「G」と上級グレード「G Cuero」では標準装備されている。
 

トヨタ シエンタ(2代目)の安全装備▲「Toyota Safety Sense」はマイナーチェンジ前のモデルだとは全車オプション。中古車で購入する際は要チェックだ

一方で、フリードは「Honda SENSING」を全車に標準装備。しかも、シエンタにはない車線維持支援システム「LKAS」や、先行車との距離を一定に維持して追従する「アダプティブ・クルーズコントロール」を備えている。
 

ホンダ フリード(2代目)の安全装備▲標識認識機能は最高速度、はみ出し通行禁止、一時停止、車両進入禁止の標識を認識し、ディスプレイに表示。ただ、一時停止と車両進入禁止は約60km/h以上だと作動しない

シエンタも先進安全装備を少なからず装備しているが、フリードはそれを上回る充実ぶり。全車に搭載されているので、中古車で購入する場合に装備内容を細かくチェックする必要がないのも利点だ。
 

 

【中古車価格】乗車人数によって掲載物件数が大きく異なる

価格で比べるとシエンタの方がお手頃だ。両車の新車時価格と、カーセンサー掲載物件の中古車平均価格は以下のとおりだ(2022年2月22日現在)。

■シエンタ
新車時価格:169万~264.6万円
中古車平均価格:159万円

■フリード
新車時価格:188万~327.8万円
中古車平均価格:194.6万円

さらに詳細に見るとシエンタは2015年7月~2018年8月生産モデルだと、中古車平均価格が141.6万円。安全装備が拡充された2018年9月~2019年9月生産モデルでも171.4万円となっている。

対するフリードは最も安価な2016年9月~2019年9月生産モデルでも193万円。シエンタの方がリーズナブルなことは間違いない。
 

トヨタ シエンタ(2代目)の最初期モデル▲シエンタで、最も安価な2015年7月~2018年8月生産モデル。以降のモデルとは、フロントバンパーやフロントグリルなどのデザインが異なる

ただし、選択肢の多さも考慮すると状況は一変。甲乙つけ難くなる。シエンタのカーセンサー掲載台数は2630台だが、フリードは3492台(別車種扱いのフリード+を含む)。一見するとフリードの方が勝っているが、乗員定数別に比べると両車の違いが明確になる。

■シエンタ
5人乗り305台/6人乗り352台/7人乗り1950台

■フリード
5人乗り586台/6人乗り2163台/7人乗り724台

シエンタは2列目がベンチシートの7人乗り、フリードは2列目がキャプテンシートの6人乗りが主流。そうなると7人乗りを望むなら、安くて物件数が多いシエンタが狙いやすい。

5人乗りと6人乗りが欲しい場合は、価格差と選択肢の多さを天秤にかける必要がある。価格を優先するならシエンタ選択肢の多さを優先するならフリードがオススメだ。なお、4WDは基本的には両車ともに6人乗りにしか用意されていないので要注意だ。
 

▼検索条件

トヨタ シエンタ(2代目)×5人乗り×全国

▼検索条件

トヨタ シエンタ(2代目)×6人乗り×全国

▼検索条件

トヨタ シエンタ(2代目)×7人乗り×全国
ホンダ フリード(2代目)の6人乗り仕様▲フリードは6人乗りが基本。3列目までのウォークスルーを備える分、6人乗り仕様の使い勝手はシエンタよりも上だろう

▼検索条件

ホンダ フリード(2代目)×5人乗り×全国

▼検索条件

ホンダ フリード(2代目)×6人乗り×全国

▼検索条件

ホンダ フリード(2代目)×7人乗り×全国
文/綱島剛(DOCUMENT)、写真/トヨタ、ホンダ、尾形和美、篠原晃一、寺坂Johney!