BMW 2シリーズクーペ▲前身モデルにあたる1シリーズクーペに対し、前後トレッドが大幅に拡幅され、スポーティなハンドリングをより楽しめるようになった2シリーズクーペ

平均価格が300万円を切ったBMW最小のFRクーペ

BMW 2シリーズクーペは、今や希少なプレミアムコンパクトFRクーペ。FRの走りの楽しさにこだわる同社のラインナップの中で、最も小さなクーペだ。

同じ「2シリーズ」のハッチバックや、より小さな「1シリーズ」はすでにFF化されているため、その希少価値は増していると言って良い。

初代のデビューは2014年2月だが、すでに本国では次期型が登場し、日本にも間もなく導入される予定だ。

そんなモデルチェンジ直前だというのに、初代の中古車平均価格はここ1年で40万円近くダウンし、一気に手が届きやすくなっている。その理由とともに、今ならどんな物件が狙い目なのか見ていこう。
 

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BMW 2シリーズクーペ(初代)×全国 ※価格昇順

中古車台数が増え、平均価格が下落に転じている今が狙い目

2シリーズクーペの延べ掲載台数は、昨年3月以降減り続けていたのだが、10月には一転して増加に転じ、今年6月にはここ3年間で最も多い174台の掲載があった。そして、その後も150~170台程度で推移している。

一方で、中古車の平均価格は昨年11月に330万円近くまで上昇した。本来台数が増えれば中古車価格に下落圧力が加わるのだが、それでも平均価格が高くなったのは、高年式車や少走行車などが市場に流通したことによるものだと考えられる。

しかし、そうした中古車がすぐに売れていったことや、今年に入ってもさらに中古車台数が増え続けたことで、今年6月には下落に転じ、以降順調に下がり続けた結果、平均価格はついに300万円を切るようになった。
 

BMW 2シリーズクーペの平均価格グラフ▲今年7月に初めて300万円を切り、以降200万円台後半で推移している

実際、現在流通している中古車の年式を見ると、2014年式~2018年式が中心で2019年式以降の高年式車は少なく、また走行距離でも2万~5万kmの中古車が中心だ。

そして今年10月の平均価格は、1年前よりも40万円近く安い289.4万円となっている。

新型2シリーズクーペは間もなく日本に登場する予定だ。それによって乗り替えが進めば、中古車価格がさらに下がることも予想できる。

しかし、高年式&少走行車は現時点でも台数が少なく、今後増える物件は最も販売台数の多いデビュー年式の2014年式だろうから、来年には8年落ちになる中古車が増えることにもなる。

一概にすべてがそうだとは言い切れないが、8年落ちともなると物件のコンディションにも気を使う必要が出てくる。

つまり、初代2シリーズをコンディション重視で選びたいなら、新型が導入される今のタイミングでチェックしておいた方が良いかも?ということなのだ。

では、具体的にどんな物件がオススメなのか、車両概要を振り返りつつ見ていこう。
 

直4ターボの他、M社による直6ターボモデルが設定された

BMW2シリーズクーペ(現行型)▲フロントエプロン両端のエアインテークから取り込まれる空気を使って、フロントホイールの側面をカーテンのように覆い、乱気流を抑える「エアカーテン」技術が採用されている

名車「02シリーズ」の系譜を受け継ぐモデルとして、2014年2月に日本へ投入された2シリーズクーペ。全長4.5mを切るボディと、同社こだわりの前後重量配分約50:50によってスポーティなハンドリングが楽しめる、希少なプレミアムコンパクトFRクーペだ。

デビュー時に搭載されたエンジンは2L直4ターボ(220i)と、3L 直6ターボ(M235i)。トランスミッションは両車8速ATと、直6モデルには6速MTも用意された。

M235iは同社のモータースポーツ部門であるM社が手がけた「Mパフォーマンスモデル」と呼ばれるもので、ノーマル以上Mモデル未満という位置付けになる。M社がチューニングした3L 直6ターボは最高出力326ps/最大トルク450N・mを発揮、0-100km/h加速は4.8秒を誇る。

エンジン以外にも電子制御式サスペンションやスポーツステアリング、ブレーキにもM社が手を加えている。

「プレミアム」と自らうたうだけあり、装備も充実。衝突被害軽減ブレーキやブレーキ機能付きクルーズコントロール、iDriveナビゲーションシステムは全車に標準装備となる。
 

BMW2シリーズクーペ▲トランク容量は390L。エコプロモードを選択すると、コースティング(惰性走行)機能が働き、高速走行時の燃料を節約できる
BMW2シリーズクーペ▲写真は本国仕様だが、日本仕様はすべて右ハンドル仕様。全車前席電動パワーシートとなり、ボタンひとつで前席が自動で前方にスライドして後席にアクセスしやすくなる

2016年9月にはM235iがM240iに切り替わった。心臓部は新世代の3L直6ターボとなり、最高出力は340psへ、最大トルクは500N・mにまで向上。それに伴い、0-100km/h加速は4.6秒に縮まった。

一方で、JC08モード燃費はM235iより約10%向上の13.4km/L(8速AT。6速MTは12.7km/L)となっている。

2017年8月にマイナーチェンジが行われたが、動力面の変更はなく、デザインや快適装備の小変更にとどまっている。以降、改良などのアナウンスはないまま現在に至っている。

デビュー時の車両本体価格は444万~598万円だった。
 

BMW2シリーズクーペ▲2017年8月のマイナーチェンジで、ヘッドライトがLED化され、キドニーグリルが少し幅広になった。フロントのエアインテークも大型化され、リアライトもLED化されている
BMW2シリーズクーペ▲マイナーチェンジではインテリアのデザインが変更されている。また、ディスプレイがタッチパネルになるなど、利便性が向上している

お手頃な220i Mスポーツか、刺激的なM235iか

前述のとおり、2シリーズクーペは2L直4ターボの220i系と、M社がチューンした3L直6ターボのM235iまたはM240iという2種類に大別できる。しかも、原稿執筆時点では両者の台数はほぼ50:50。まずは直4か直6、どちらを選ぶかがポイントになる。

BMWのFRらしい素直なハンドリングは直4でも十分楽しめる。美しいこのフォルムを手頃な価格で手に入れたいなら、迷わず直4の220iが正解だろう。

中でも約9割と圧倒的に台数が多いのが、M社製のエアロパーツやサスペンションを備えた「220i Mスポーツ」で、2シリーズクーペのスポーティな性格からいっても、このグレードをオススメしたい。

走行距離5万km未満で探しても台数が多く、平均価格よりも安い支払総額260万円あたりから狙うことができる。なお、標準モデルとなる220iスポーツの方が価格は安いものの、台数が少ないためハードルは高い。
 

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BMW 2シリーズクーペ(初代)×220i Mスポーツ×全国

一方、Mパフォーマンスモデルの動力性能をコンパクトなサイズで楽しんでみたいなら、直6のM235iまたはM240iのどちらかとなる。ちなみに、さらに上のMモデル、M2クーペの中古車平均価格は500万円超。それと比べたら、お手頃な支払総額約220万円から手に入れることができる。

ではM235iかM240i、どちらにするか。今回はM235iを推したい。まず、両車とも走行距離5万km未満が圧倒的に多い一方で、台数は2:1でM235iの方が多い。

そのうえで走行距離5万km未満の価格を見ると、M235iが支払総額約270万円から、M240iは360万円からと大きな価格差がある。

確かにM240iの方が高年式だし、エンジンのスペックも上だから高いのは仕方ない。

しかし、前述のとおりM235iでも「駆けぬける歓び」を味わうには十分すぎるほどのスペックを誇り、お買い得感は高いと言えるだろう。
 

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BMW 2シリーズクーペ(初代)×M235i×全国

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BMW 2シリーズクーペ(初代)×全国
文/ぴえいる、写真/BMW

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。