日産 ジューク▲2009年のジュネーブモーターショーで発表されたコンセプトカー「カザーナ」をベースに開発されたジューク。日本では2010年6月にデビューし、同年10月からヨーロッパでも販売された

絶版からもうすぐ2年

日産のグローバル戦略車として開発されたコンパクトSUVがジュークで、日本では2010年2月から販売された。

2019年9月にはヨーロッパでは2代目ジュークに切り替わったが、残念ながら日本には導入されず、2019年12月の販売終了。

つまり、もうすぐ絶版となって2年が経つわけだが、中古車市場が独特の動きを見せている。

結論から延べると、良コンディションのものを納得できる価格で手に入れるのは、今がラストチャンスなのでは!? という話なのだが、ここではカーセンサーの独自データを用いて紹介する。
 

▼検索条件

日産 ジューク×全国 ※本体価格昇順

台数減少、平均価格は横ばい

下記グラフのとおり、一時は増加した掲載台数が今年3月以降減り続けている。

これは「コンパクトSUVが欲しい」ではなく「ジュークが欲しい」という人が一定数いるからではないかと考えられる。

日産 ジュークのグラフ

SUVブームで様々なデザインやコンセプトのモデルが誕生した現在でも、やはりジュークは他にない独特な雰囲気をもつ唯一無二のモデルだ。

きっと「ジュークが欲しい」という指名買いの人たちは一定数いる。そしてその中には「新車で欲しい」と思っていた人たちがいるのだろう。次の平均価格のグラフが、それを思わせる動きを見せている。

日産 ジュークのグラフ

生産終了後の流通量は約1500台~2000台の間で上下を繰り返している。需要と供給のバランスで価格が決まる中古車の場合、本来は台数が減れば価格の上昇圧力が強まり、逆に台数が増えれば価格の下げ圧力が強くなるのだが、平均価格は絶版直後から今までほとんど変わらず、80万円台でずっと推移。

つまり、中古車台数は上下を繰り返しているのに、平均価格はずっと横這いという状態だ。

その理由はまず、相場を作るボリュームゾーンがしっかりとあることが上げられる。ジュークのボリュームゾーンは走行距離でいえば5万~7万km、年式なら2010年~2014年式あたり。このボリュームゾーンを基準に年式や走行距離等に応じた価格がある程度固まっているようだ。

もしジュークの人気があまりないなら、このボリュームゾーンの価格も下がってくるはずだが、今のところその気配は相場からは見えない。やはりジュークが欲しいという人が一定数いるようだ。

加えて、2019年12月に新車の販売が終了した後に「新車で買っておけばよかったな」という人が、コンディション重視で高価格帯のものが市場に出るとすぐに購入している、つまり高い中古車をあっという間にさらっていくため、平均価格が上記のボリュームゾーンでのみ形成される。だから平均価格が上がらないのだろう。

今のところ、そんな絶妙な需要と供給のバランスが、ジュークの中古車平均価格の横這い状態を支えていると考えられる。しかし、このままジューク需要が尽きない場合、遠くない将来、全体の相場が上がってくる可能性もある。

なぜなら、既に生産が終了しているため、高年式・低走行距離車も減るのは確実だからだ。そうなるとプレ値というほど高騰することはないかもしれないが、「コンディションはそこそこなのに値段はけっこうする」みたいな物件が増えることが多いにありえる。

ということで、「良コンディションのジュークを納得できる価格で買いたい」と考えている人がいるならば、「いつか」とか「数年後」とかではなく、今検討しておいた方がよいのでは? というのが今回の提案なのだ。

コンパクトSUVの先駆け的モデルで、強烈な個性の持ち主

コンパクトなスポーツカーの俊敏さと、SUVの力強さを併せもったフォルムで、2010年6月に登場したジューク。

搭載された1.5Lエンジンは、最高出力114ps/最大トルク150N・mを発揮する。トランスミッションはCVTが組み合わされ、当初は2WDのみという設定で、JC08モード燃費は17.2km/Lであった。

デビュー時の車両本体価格は169万500~179万250円と、比較的リーズナブルな価格であったことも、人気の理由だろう。
 

日産 ジューク▲バンパーの端に配置された大きな丸型ヘッドランプと、その上のボンネットの横にブーメラン型のコンビランプ(ターンランプとポジショニングランプ)が特徴の、個性的なデザインが人気の一因だ
日産 ジューク▲全長は4135mm、全高も多くの立体駐車場に収まる1565mm。4WDがないことからも、街乗り中心の個性的なスタイルを備えたコンパクトカーというポジションだったことがわかる。リアドアのハンドルは、窓枠のブラックアウトされた部分に隠れるように配置されている
日産 ジューク▲バイクのタンクをイメージさせるセンターコンソールのデザインが採用された。インテリジェントコントロールディスプレイが用意され、エアコンの操作の他、「ノーマル/スポーツ/エコ」の3種類のドライブモードの切り替えができた

2010年11月には最高出力190ps/最大トルク240N・mを発揮する1.6Lターボエンジンを搭載した「16GT」と、16GTに日産独自の4WD技術「オールモード4×4i(トルクベクトル付き)」を搭載した「16GT FOUR」が追加された。

この4WDは雪道など滑りやすい路面はもちろん、コーナリング時など後輪左右の駆動力を適切に制御する、スポーツ走行も支援してくれるシステムだ。

2013年1月には、16GT FOUR Type Vをベースに最高出力が200psに高められた1.6Lターボエンジンを積む、ハイパフォーマンスモデルの「ニスモ」が追加された。高出力のエンジンに合わせて、専用サスペンションや専用チューンされたCVTを装備。エクステリアもスポーティな専用品が多数備えられた。

2013年8月のマイナーチェンジで、1.5Lエンジンにアイドリングストップが備わり、JC08モード燃費は18.0km/Lに向上。

2014年7月に行われたマイナーチェンジではエクステリアデザインの改良が行われ、1.6Lターボエンジンの燃費向上も図られた。
 

日産 ジューク▲2014年7月のマイナーチェンジ時の写真。サイドミラーにターンランプが組み込まれたことで、ボンネット横はポジションランプのみとなったが、形状は従来とほぼ同じだ

2014年11月には、ニスモの運動性能をさらに高めた「ニスモRS」が追加された。最高出力214ps/最大トルク250N・mまで高められた専用の1.6Lターボエンジンを搭載。また、16GT FOURが7速のところ、8速CVTを搭載している。
 

日産 ジューク▲ニスモRS。高出力エンジンに合わせたサスペンションのチューニングやオールモード4×4iの制御、専用ブレーキの採用などが行われた。また、シートには専用のレカロ社製シートが備わる

2015年11月には、ニスモとニスモRSを除く全車に衝突被害軽減ブレーキと車線逸脱警報が標準装備された。同時に「ニスモ」が改めて追加されたが、最高出力は190psと16GT FOURと同じとなった。

2018年5月に一部改良が行われ、一部グレードを除いてハイ/ロービーム自動切替機能が標準装備された。

ロングセラーモデルゆえ、上記のとおり数々の改良やグレード追加などがあったこともジュークの特徴だ。
 

オススメは装備の充実した2015年11月以降の「RX Vセレクション」

全体の7割以上を占め、圧倒的に選びやすいグレードが「15RX」。任意の走行モードを選べるインテリジェントコントロールディスプレイやオートエアコン、オートライトシステムなど基本的な装備が標準で備わっているので、使い勝手に不満はないだろう。

初期型で走行距離5万km超であれば、支払総額50万円から狙うことができるというお手軽さも魅力だ。

その中でも特に今回オススメしたいのが、衝突被害軽減ブレーキが標準装備となった2015年11月以降の15RX、中でも「15RX Vセレクション」だ。

原稿執筆時点で200台以上の掲載があるので、好みに合わせたボディカラーを選べるのも嬉しいポイント。

そして、後期型ゆえ走行距離が短いものも多く、走行距離5万km以下の物件が支払総額100万円以内で十分狙える

RX VセレクションはノーマルのRXの装備に加えて、フォグランプ、インテリジェントキー、プッシュエンジンスターター、17インチアルミホイールなど、さらに充実している。

それが、支払総額100万円程度で狙えるのであれば、お買い得感はあるのではないだろうか。
 

▼検索条件

日産 ジューク(初代)×「15RX Vセレクション」×全国

▼検索条件

日産 ジューク(初代)×全国
文/ぴえいる、写真/日産

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。