今なぜかフォルクスワーゲン ザ・ビートルの流通量が増加中。ならば、そのお得な選び方を考えてみたい!
2021/09/28
「いかつい車」が増えたことで、ザ・ビートルの価値が再び増した?
世界中の人々から愛されまくったフォルクスワーゲン ビートル(正式な車名はタイプ1)の末裔として2012年に登場した「ザ・ビートル」は、残念ながら2019年7月10日にメキシコで生産終了となりました。
しかしなぜか今、日本では再びフォルクスワーゲン ザ・ビートルの流通量が微妙に増加中で、平均価格もじわじわ上がってきています。下記のフラフをご覧ください。
流通量が増え、平均価格が上がり気味となっている正確な理由は不明ですが、推測するに、「この世にビートルが存在しないという事実に、人々があらためて寂しさを覚えはじめたから」なのかもしれません。
ザ・ビートルが新車として販売されていた頃は、「そこにあって当たり前」ぐらいに思われていたのでしょう。
しかし、いざ「ビートル」というピースフルでスマイリーなブランドが完全に消滅し、いかつくてゴツい車だらけの世の中になってみると、人々は「……やっぱり世の中にはビートル的な車もないとツラいよね」ということに気づいたのです。
そのため、ここへきてザ・ビートルの流通量が増加し、その平均価格もじりじりと上昇しはじめたのです。
……なーんて断言してみましたが、これは筆者の推測(妄想)にすぎないため、実際のところはわかりません。
しかし、「いかつい車だらけになった世の中で、ザ・ビートルの存在はけっこう重要!」ということにほぼ間違いはないと思われますので、本稿ではあらためて「中古のフォルクスワーゲン ザ・ビートルの選び方」について考えてみたいと思います。
▼検索条件
フォルクスワーゲン ザ・ビートル(初代)×全国 ※本体価格昇順約7年間にわたるザ・ビートルの歴史を軽くおさらい
まずは、フォルクスワーゲン ザ・ビートルという車の概要をさっとおさらいしておきましょう。
初代ビートル(タイプ1)のオマージュ系モデルとして誕生した「フォルクスワーゲン ニュービートル」の後を受け、2世代目のオマージュモデルである「フォルクスワーゲン ザ・ビートル」が日本で発売されたのは2012年4月。
当初のパワートレインは最高出力105psの1.2L直4ターボ+7速DCT(DSG)で、導入されたグレードは「デザイン」と「デザイン レザーパッケージ」でした。
翌2013年9月には最高出力211psの2L直4ターボ+6速DSGの「ザ・ビートル ターボ」が追加され、同年10月にはデザイン レザーパッケージに「パークディスタンスコントロール」と純正カーナビを標準装備。
その後、何種類かの限定車をリリースしつつ、2015年6月にはエントリーグレードの「ザ・ビートル ベース」を追加。これは、内外装の各所にシンプルなブラックを採用し、ホイールもキャップ付きのスチールタイプとしたグレードです。
そして、2016年9月にはマイナーチェンジが行われて後期型となりました。
このマイナーチェンジでは、前後バンパーのデザインを変更することでスポーティなイメージとし、インテリアも最大32通りのカラーコンビネーションが選べるように。
また、ドライバー疲労検知システムを全車に標準装備するとともに、「ブラインドスポットディテクション」や「リアトラフィックアラート」を用意し、純正カーナビも機能も大幅に向上しています。
マイナーチェンジ直後のグレードラインナップは「ザ・ビートル ベース」「ザ・ビートル デザイン」「ザ・ビートル 2.0 R-Line」の3種類で、ザ・ビートル 2.0 R-Lineは、これまでの「ザ・ビートル ターボ」が改称されたもの。他2モデルを含め、エンジンやトランスミッションに変更はありませんでした。
しかし同年11月には、1.2Lターボを積む「ベース」「デザイン」と、2Lターボを搭載する「2.0 R-Line」の中間に位置するグレードとして、1.4Lの直4ターボを積む「R-Line」も追加しました。
このR-Lineはフロントバンパーにクロームストリップがあしらわれ、リアには黒塗装のディフューザーやスポイラーを装着。さらに、サイドスカートやホイールハウスの縁も黒く塗装されています。
そして、翌2017年7月には純正インフォテイメントシステムが強化された他、「 ベース」「デザイン」でも「ブラインドスポットディテクション」と「リアトラフィックアラート」が標準装備になるなどの変更を実施。
で、さらにいくつかの限定モデルをリリースしたうえで、前述したとおり2019年7月10日にメキシコで「最後の1台」を生産したというのが、フォルクスワーゲン ザ・ビートルのざっくりとしたヒストリーです。
次章では、以上のとおり様々なグレードと年代に分かれているザ・ビートルの中から「どれ」を選べばシアワセになれるのか、ケース別に考えてみたいと思います。
とにかくお安くザ・ビートルに乗ってみたい
→2012~2014年式のデザインまたはデザイン レザーパッケージ
予算目安:総額100万~140万円
あまり細かいことにはこだわらず、「とにかくあのカタチを手に入れたい!」と思うのであれば、オススメは総額100万~140万円ぐらいのゾーンにある「デザイン」、つまり前期型のファブリックシート仕様です(ただ、数は少なめですがデザイン レザーパッケージもこのゾーンで見つけることは可能です)。
初期モノの廉価グレードってどうなんだ? と思うかもしれませんが、総額100万円以上を見ておけば走行5万km台までの物件が探せますし(もちろん中古車のコンディションというのは距離だけでは測れないのですが)、排気量わずか1.2Lのターボエンジンも、実は十分以上のパワーとトルクを発生します。
安めの価格帯ですので、整備履歴を確認しながら十分に吟味する必要はありますが、あせらずじっくり探せば、なかなか悪くない1台が見つかる可能性は高いでしょう。
▼検索条件
フォルクスワーゲン ザ・ビートル(初代)×総額160万~180万円×デザイン/デザインレザーパッケージ×全国予算もコンディションも「ちょうどいい感じ」でいきたい
→2014~2015年式のデザインまたはデザイン レザーパッケージ
予算目安:総額160万~180万円
こちらも上記と同じ「前期型のデザインまたはデザイン レザーパッケージ」なわけですが、総額で160万~180万円あたりの予算を用意すれば、「とりあえず」ではなく「けっこういい感じ」といえる1台が探せるようになります。
走行距離だけで判断するわけではないのですが、まぁ距離でいいますと2万km台から3万km台が中心となるのが、この価格帯です。
▼検索条件
フォルクスワーゲン ザ・ビートル(初代)×総額100万~140万円×デザイン/デザインレザーパッケージ×全国やはり何かと充実している「後期型」を、程よく手頃な値段で買いたい
→2016~2017年式のデザインまたはベース
予算目安:総額220万~260万円
シュッとした外観デザインへと微妙に変わり、「デザイン」の場合はエクステリアと同色のインテリアパネルが与えられた2016年9月21日以降の後期型は、やはり何かと魅力的です。
同じ後期型でも総額280万円以上出せば1.4Lターボの「R-Line」も狙えるのですが、中古車というのは「程よく安い値段で買う」というのも重要です。
そのため、あくまで個人的な感覚ではあるのですが、ザ・ビートルの中古車は「総額220万円から、せいぜい260万円ぐらいまでの範囲で狙う」というのが正解であるような気がします。
またそもそも、1.2Lターボの「デザイン」または「ベース」であっても走行時の力感は普通に十分だから――という理由もあります。
装備が充実していて、選べるボディカラーが多いのが「デザイン」ですので、基本的には「ベース」ではなく「デザイン」が、この価格帯におけるオススメにはなります。
しかし、「ベース」のチープシックな感じもかなりステキではありますので、そのあたりは展示場で実車を見ながら「好みの問題」で決めていただきたいところです。
▼検索条件
フォルクスワーゲン ザ・ビートル(初代)×総額220万~260万円×デザイン/ベース×全国この他、総額290万円以上を出すつもりがあるなら1.4Lターボの「R-Line」や、かなり速い2Lターボの「2.0 R-Line」、あるいは超最終の特別仕様車である「マイスター」などが選びたい放題となります。
筆者個人としては総額200万円台半ばまでの1.2Lターボで十分と思っていますが、もちろんそうは思わない人も多いでしょう。その場合は総額290万~350万円あたりのゾーンで、各種の魅力的なザ・ビートルを探してみてください。
いずれにしましてもフォルクスワーゲン ザ・ビートルは、とってもよく走る、ファニーなデザインの割には実用性もかなり高い、素晴らしい実用車です。
そして、いかついデザインの車ばかりになってしまった今、「世の中にほんわかした空気を与える」といった役割も、もしかしたらザ・ビートルは担っているのかもしれません。
相場もじりじり上がっているようですので、高くなってしまう前に、ちょうどいい感じの1台を手に入れていただけたら幸いです。
▼検索条件
フォルクスワーゲン ザ・ビートル(初代)×全国※記事内の情報は2021年9月21日時点のものです。
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。