メルセデス・ベンツ GLA▲BMW X1、アウディ Q3を追撃するべくプレミアムコンパクトSUV市場に投入されたGLA。衝突被害軽減ブレーキを全車に標準装備するなど安全性の高さで人気を得た

フルモデルチェンジから約半年が経ち、ようやく値落ちが鮮明に

メルセデス・ベンツの末っ子SUVがGLAクラス。その名が示すとおり、コンパクトハッチバックのAクラスのSUV版だ。

2014年5月に登場すると、日本でも乗りやすいサイズの「ベンツのSUV」として一気に人気モデルになった。

2020年6月に2代目となる現行型へフルモデルチェンジしたが、旧型の中古車価格はしばらくほぼ横ばいで、時に上昇したこともあった。

しかし、2021年に入ってようやく下落傾向が鮮明となり、2021年8月の中古車平均価格は240.4万円と、1年前と比べて約50万円も値落ちしお手頃感が出ている。

以下、その詳細を見ていこう。

メルセデス・ベンツGLA▲GLAクラスの最低地上高はAクラスの110mmより高められている。標準モデルは最低地上高が150mm、「スポーツ」が付くモデルは140mm、「オフロード」が付くモデルは180mmとモデルによって異なる

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メルセデス・ベンツ GLAクラス×全国 ※車両本体価格昇順

低年式車が増加したため平均価格が下落したが、走行距離はそう多くない

フルモデルチェンジした2020年6月以降は、しばらく平均価格が横ばいで推移した旧型GLAクラス。

それだけ中古車の人気が高く、簡単に値落ちしないモデルであることがうかがえる。

しかし、2021年に入ると様子は一転し、一気に下落が始まった。

考えられる要因のひとつは、旧型をデビュー直後の2014年度に購入した人が、7年目(3回目)の車検をきっかけにようやく手放したのではないかということ。

メルセデス・ベンツ GLAクラスのグラフ▲今年1月に比べ、8月は36.4万円も安くなっている

それを示すかのように、原稿執筆時(2021年9月15日)の中古車の掲載物件を見ると、2014年式が実に1/3以上を占めている。

初期型の比較的走行距離が多めな中古車が増えたことで、全体の平均価格を押し下げたというわけだ。

しかも、初代には設定がなく、かつ日本で人気の高まっているディーゼルエンジンを搭載した現行モデルの中古車が、すでに市場に出回っている。

こうなると、さらに旧型に下げ圧力が加わってもおかしくないだろう。

ここで気になってくるのが、7年落ちの物件コンディションは果たしてどういった感じなのだろうか? ということだ。

ひとつの目安として、掲載されている物件の走行距離を見てみると、5万km未満のものが7割以上を占めており、3万km以下で絞っても5割近くヒットする。

GLAクラスのユーザーは他のモデルのユーザーに比べ、さほど遠出をしなかったのだろうか?

いずれにせよ、初代GLAクラスはアウトドアでガンガン使われてきたというより、街乗り中心のキャラクターであることがここからハッキリ見える。そのため、手荒に扱われた物件は比較的少なく、程度が良いものも多そうだ。

とはいえ、今後は年式がかさみ、走行距離の多い物件が増えてくるのは自明の理。コンディション重視で初代GLAクラスを狙うなら、今のうちに探した方が賢明と言えそうだ。

ちなみに、同時期に登場したハイパフォーマンス版のメルセデスAMG GLAクラスの価格を見ても、同様に今年に入ってから急激に下落している。

メルセデスAMG GLAクラスのグラフ▲今年に入り急激に平均価格を下げている

2021年1月の平均価格が555.5万円だったのに対し8月にはなんと402.8万円と、実に150万円以上の値落ちである。

新車時価格が700万円を超えてていた高級モデルゆえ、値落ちが大きいとはいえ絶対的な中古車価格は標準のGLAクラスよりだいぶ高く、なかなか同時検討しにくいかもしれないが、一見の価値はあるだろう。

以下、改めて初代GLAクラスについて振り返ってみよう。

衝突被害軽減ブレーキを全車標準装備するなど安全性能が高い

AクラスのSUV版として、2014年5月に日本デビューした初代GLAクラス。

搭載されたエンジンは最高出力122ps/最大トルク200N・mの1.6ターボと、同211ps/350N・mの2Lターボで、どちらも7G-DCT(7速デュアルクラッチ式2ペダルMT)が組み合わされた。

1.6Lターボモデル(GLA180)はすべて2WD(FF)、2Lターボモデル(GLA250)は4WDとなる。

メルセデス・ベンツ GLA▲4WD車には急勾配時に一定速度で下ることでステアリング操作に集中できるヒルディセントコントロール機能が備わる
メルセデス・ベンツ GLA▲シフトレバーはステアリングの根本から伸びるタイプ。4WD車はディスプレイにステアリング蛇角や登坂角、車両傾斜角を表示してくれる

一方、同時に発表されたハイパフォーマンスモデルのGLA 45 AMGは、GLA250同様2Lターボを搭載するが、同社のスポーツ部門を担当するAMG社によって手が加えられ、最高出力360ps/最大トルク450N・mを発揮。当時世界一パワフルな直列4気筒ターボとうたわれた。

これに、AMGスピードシフトDCT(7速デュアルクラッチ式2ペダルMT)と4WDシステムが組み合わされている。

4マチックと呼ばれる同社の4WDシステムは、通常には前輪のみで走り、状況に応じて後輪にもトルクを配分するというもの。雪道などで車両を安定させてくれるだけでなく、コーナリング時にも積極的に後輪を動かしてスムーズな走りを実現している。

メルセデス・ベンツ GLA▲GLA 45 AMG。エクステリアデザインも専用のものが採用されている
メルセデス・ベンツ GLA▲GLA 45 AMGはシフトレバーがセンターコンソールに備わる。写真はデビュー時に限定600台で販売された特別仕様車の「エディション1」。オプションのAMGパフォーマンスシートなどが備えられた

衝突被害軽減ブレーキは全車標準装備。さらに、渋滞時の停止も含むアダプティブクルーズコントロールや、死角に他車がいる場合に点灯して知らせる機能などを含んだ「レーダーセーフティパッケージ」もオプションで用意されていた。

2017年4月のマイナーチェンジでは内外装デザインが変更されるとともに、動力性能と燃費の両立を狙って改良された2Lターボ(最高出力184ps/最大トルク300N・m)を搭載したGLA220が加えられた。

一方で、ラインナップが整理されて、グレード名の後ろに「スポーツ」と「オフロード」が付くモデルが廃止となった(ただし、2018年10月にGLA220 4マチック オフロードエディションが60台限定で販売されている)。

また、同時期にハイパフォーマンスモデルのGLA 45 AMGはさらにパワーアップ。最高出力は381psに、最大トルクは475N・mまで高められ、走行性能を5モードから選べるAMGダイナミックセレクトが標準装備された。

デビュー時の車両本体価格は344万~499万円、GLA 45 AMG 4マチックは730万2000円。

メルセデス・ベンツ GLA▲ラゲージ容量は通常で421L、後席を倒すと1235Lまで拡大できる。2017年4月のマイナーチェンジで、バンパー下で足をふるとテールゲートを開閉できる機能が標準装備された

街乗り中心ならGLA180系の前期型のお手頃感が高い

オススメは台数が多くて、予算や好みに応じて選びやすい1.6Lターボを搭載したGLA180系の前期型だ。原稿執筆時点で、掲載台数の5割近くを占めており、走行距離5万km未満の物件でも支払総額180万円程度で狙うことができる。

この価格帯では2014~2015年が中心だが、2017年4月のマイナーチェンジでGLA180系は動力関係に変更はないため、どうしても後期型のデザインが欲しいという人以外は、お得感の高い前期型を積極的に探してみよう。

同じGLA180でもベースグレード/スポーツ/オフロードによって、最低地上高や装備が若干異なるが、台数が多いのはベースグレード。

街乗り中心なら衝突被害軽減ブレーキやルーフレール、アルミホイールなどもしっかり標準で装備されているベースグレードで問題はないはずだ。

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メルセデス・ベンツ GLAクラス(初代)×180系グレード×全国

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メルセデス・ベンツ GLA(初代)×全国

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メルセデスAMG GLAクラス(初代)×全国
文/ぴえいる、写真/向後一宏、メルセデス・ベンツ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。