トヨタ ist ▲ヴィッツベースながら、どっしりとしたクロスオーバーSUV風のボディをもった2代目イスト

今見直すとオシャレ? 平均価格が底値で推移する2代目ist

ヴィッツのプラットフォームをベースとし、大径タイヤとSUVテイストの5ドアハッチバックボディを組み合わせたクロスオーバーSUV風コンパクトカーのトヨタ ist(イスト)。

初代モデルは2002年に登場し、コンパクトでリーズナブルな価格でありながら、当時人気になりつつあったクロスオーバーSUVスタイルという部分が受け、かなりのヒット作となりました。

そして、その2代目が登場したのが2007年7月のことで、初代モデルは当初日本専売車として開発されていましたが(モデル途中で輸出がスタートした)、2代目モデルは当初から海外でも販売することを念頭に置いて開発された結果、3ナンバーサイズのボディへと大型化。

今でこそコンパクトクラスの車両が3ナンバー幅というのも珍しいことではありませんが、当時はまだ3ナンバーサイズに抵抗がある人も少なくなく、初代ほどのヒットとはなりませんでした。

しかし、時間が経った今、改めて見てみると意外にもオシャレな雰囲気で大いにアリと言えるのではないでしょうか?

そんな2代目イストですが、登場から10年以上が経ち、中古車相場はほぼ底値となっており、非常に狙いやすい状況と言えそうです。

以降、詳細を見てみましょう。

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トヨタ ist(2代目) × 全国 ※本体価格昇順

価格は横ばいだが、掲載台数は減少中

前述のとおり、やや時代を先取りしすぎた感のある2代目istですが、現在のところはまだその魅力に気づいていないユーザーが多いのか、中古車相場は下げ止まりといった状況です。

2020年1月あたりは平均価格が50万円を超えていましたが3月には40万円台となり、以降45万円前後で安定。まさに今が底値といった状態です。

トヨタ ist ▲こちらは2代目istの中古車平均価格の推移。45万円付近でほぼ横ばいの状況

決して目立つモデルではなく、次々に新たなコンパクトSUVが登場している現在の状況を考えると、今後も大きく変動することは考えにくいでしょう。

じゃあ、いつ選んでも問題ないか……。確かに価格だけを見ればそうかもしれません。続いて、掲載台数の推移を見てみましょう。

トヨタ ist ▲波はあるものの、確実に掲載台数は減少に向かっています

ただでさえ掲載台数が多くない2代目istですが、昨年の同時期(2020年7月)にくらべて約40台、実に30%以上も減少しているのです。

これも、人気薄だったモデルの定めかもしれませんが……絶滅に向けてのカウントダウンが始まっていると言えそうです。

つまり、この底値のタイミングでコンデイションの良い物件を見つけるためには、早めに行動に移した方がいいかもしれません! ということなのです。

2代目istはどんな車?

それでは、ここで2代目istとはどんな車だったのか、改めて振り返ってみましょう。

先代よりも大型化されたボディに伴って、エンジンラインナップも1.5Lと1.8Lへと拡大(先代は1.3Lと1.5L)。

同社のコンパクトカーであるヴィッツベースですから、本格的な悪路走行には不向きですが、大径タイヤと高めの最低地上高、そして3ナンバーサイズに拡大されたボディによって、SUVらしい頼もしさがプラスされています。

一方、内装はSUVのような無骨なものではなく、スピードメーターとタコメーターを同心円状に配置するという斬新な「コンセントリックメーター」を採用。

三次元的なセンターインストルメントパネルとするなど、「ヘビービューティー」というキャッチコピーに恥じない、斬新なものとなっています。

トヨタ ist ▲ひとつの円の中にスピードメーターとタコメーターを配置した「コンセントリックメーター」

使い勝手の面では豊富な収納スペースや、リアシートがチルトダウン格納できるようにすることで、フラットな荷室スペースを実現。このあたりはさすがトヨタといったところです。

さらに、当時のコンパクトクラスの車両としては珍しく、チルト&テレスコピックステアリングが採用されていた点も特筆すべきポイントでしょう。

トヨタ ist ▲リアシートはチルトダウン格納が可能で、ほぼフラットで広い荷室にすることが可能

グレード構成は、上級グレードの「G」と量販グレードの「X」、そして途中で追加された廉価グレードの「X Cパッケージ」の3グレード。

1.8LモデルはGグレードのみに設定されていましたが、2010年8月の改良時に廃止されてしまっています。

トヨタist ▲上級グレードのGではアルミホイールも標準となり買い得度は高い

現在の相場状態と狙い目の仕様は?

では、どんな物件を狙うのがいいのか? という人のために、中古車の流通状況を踏まえつつ、独断と偏見でいくつかピックアップしてみましょう。

■走行距離5万km以下×車両本体価格50万円以下

2016年の販売終了から5年が経過しているistですが、物件数が比較的多いのはデビュー当初の2007~2008年式あたりとなっています。

しかし、探せば低走行の物件も結構見つかり、例えばですが「走行距離5万km以下かつ車両本体価格50万円以下」というワガママな条件でも13台(執筆時点)がヒットしました。

さらに、ヒットした物件の半数以上が上級グレードのGグレードであり、非常にお買い得感の高い条件と言えるのではないでしょうか。

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トヨタ ist(2代目) ×走行距離5万km以下×車両価格50万円以下×全国

■1.8Lエンジン搭載の180G

クロスオーバーSUV風のistだけに、見た目だけではなく実際にアクティブにガンガン使いたい! と考える人もいらっしゃるでしょう。そんな方には、+300ccの余裕をもった1.8Lエンジンを搭載したモデルをオススメしたいところ。

トヨタ ist ▲1.5Lエンジンに対して余裕の動力性能を見せてくれる1.8Lエンジンは前期型のみの設定となる

1.5Lエンジンに対し、+17kW/+34N・mが上乗せされる1.8Lエンジンは、多人数乗車をしたときや高速道路などで遠出をしたときの余裕に大きく差が出ることでしょう。また、上級グレードのGのみに設定されていたという点も満足度が高いポイントです。

日本国内ではデビューからおよそ2年間しか存在しなかったため、物件数は少なめ(執筆時点で6台)ですが、総額50万~60万円程度で狙える物件が中心で、新車時にあった1.5Lエンジン車との価格差はほぼなくなっています。

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トヨタ ist(2代目) ×180G×全国

現在、世界的に人気となっているクロスオーバーSUVではありますが、人とはちょっと違った車種に乗りたいと考えている人や、ある程度予算が限られている人にとってもistはオススメできる1台。

状態の良い物件が減ってしまう前に検討してみてはいかがでしょうか。

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トヨタ ist(2代目) × 全国
文/小鮒康一 写真/トヨタ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。