トヨタ ハリアー▲レクサス RXとは別に、新たに国内専用ラグジュアリーSUVとして誕生した3代目ハリアー。昨年6月にフルモデルチェンジを受け旧型となったが、中古車市場での人気は依然高い

フルモデルチェンジを機に底堅い相場に変化が!

スポーツユーティリティと高級車を融合させた、ラグジュアリーSUVのトヨタ ハリアー。

初代および2代目はレクサス RXという名で海外展開でも販売されていたが、この3代目は日本国内専売モデルとして登場。ボディがダウンサイズされたことで、より扱いやすくなったのが特徴だ。

レクサスブランドの日本国内販売開始に伴い、一度は消滅しかけるなど紆余曲折あったものの、2013年12月に販売されると約1ヵ月で2万台も売れるという大ヒットモデルとなった。

そして、2020年6月にはフルモデルチェンジを実施し、現行型である4代目が登場。

この現行型への乗り替えが進んだためか、旧型となる3代目の中古車が増加。台数が増えたことで中古車価格の値落ちに拍車がかかり始めている。

以下、詳細を見ていこう。

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トヨタ ハリアー(3代目)×全国 ※車両平均価格昇順

新型への乗り替えが、平均価格下落の要因か?

新車で大ヒットした3代目ハリアーだが、中古車市場でもまた人気が高い。それゆえ大きな値落ちをしにくいモデルのひとつだ。

実際、2019年と2020年半ばまでは、「値落ちが進んだと思ったらまた上がる」という状況を繰り返してきた。

しかし、2020年6月にフルモデルチェンジが行われるとその様子が少しずつ変わってきた。

2020年10月以降、車両平均価格の下落が進み、2021年3月以降は過去最安値を毎月更新し続け、直近7月は245.7万円とかなりお得感が出てきている状況だ。

トヨタ ハリアーの平均価格グラフ▲フルモデルチェンジを受けた4ヵ月後となる2020年10月を境に、平均価格は下落傾向に

これらの状況は、需要と供給のバランス、つまり中古車の台数が増える(供給が増える)ほど値落ち圧力が加わり価格が下落していくということに起因しているのだろう。

先述のとおり、恐らくは旧型から新型への乗り替えにより、下取りされた旧型の中古車が増えていると予想できる。その証拠に、フルモデルチェンジを受けた直後に、旧型ハリアーの流通台数、つまり手放された台数が一気に増え、一時は5000台を超えるまでになっているのだ。

トヨタ ハリアーの流通台数グラフ▲フルモデルチェンジ後、一気に流通台数が上昇。最近は減少傾向にあるが、それでも4000台を超える状況だ

さらに、現行型もデビューから1年が経ち、1000台近くの中古車が流通するようになった。そのため、新旧での競合関係が生まれ、値落ち圧力がさらに加わったと考えられる。

ただし、今後は時間の経過とともにゆっくり平均価格は下がっていくだろうが、まだまだ人気モデルであることに変わりはないため、今回のように大きく値崩れするようなことは当分ないだろう。

フルモデルチェンジ直後というきっかけで値落ちが進み、かつ豊富な選択肢があるこのタイミングで、コンディションの良い3代目ハリアーを狙ってみてはどうだろうか。

3代目は高級感を引き継ぎながら、日本にジャストサイズで復活

では、3代目ハリアーとはどんな車だったのか、改めて振り返ってみよう。

2代目までは、海外でレクサス RXとして販売されていたラグジュアリーSUVのハリアー。

ところが、レクサスの国内販売開始に伴い2009年1月に国内でRXが登場しても、ハリアーは2代目がそのまま販売され、このまま消滅するのでは? と思われていた。実際、海外では2013年7月に2代目ハリアーの販売が終了している。

しかし、市場からの高い要望もあり、2013年11月に約10年ぶりとなるフルモデルチェンジを受け3代目が登場した。

ただし、当時のRXとはプラットフォームが分けられ、RXは従来のRX/ハリアー同様カムリなどと同じプラットフォームを使うのに対し、3代目ハリアーはRAV4(旧型・日本未導入)のものが使用された。

そのため、2代目と比べてホイールベースが55mm短く、ボディサイズも若干小さくなった。とはいえ、日本の街乗りを考えればこの方が扱いやすい。

トヨタ ハリアー▲2代目と比べてボディサイズがやや小さくなったとはいえ、前後席間の距離は+12mm。2列目の膝前の空間だけ見れば+47mmと拡大されている
トヨタ ハリアー▲揺れやショックの少ないFADショックアブソーバーが採用された。国内とトヨタ車としては初めてパワーバックドアがグレード「プレミアム」「プレミアムアドバンスドパッケージ」に標準装備された。2Lガソリン車のJC08モード燃費は16.0km/L(2WD)、ハイブリッド車は21.8km/L

といっても、歴代ハリアーが掲げてきたラグジュアリーSUV志向は継続され、内外装のデザインや質感、静粛性はそれにふさわしい仕様となっている。また、駐車時などで自車を真俯瞰から見られるパノラミックビューモニターも用意された。

デビュー時に用意されたパワートレインは2Lエンジンと、2.5Lエンジン+モーターのハイブリッドシステム。2L車はCVTと組み合わされ、2WDと4WDが用意された。ハイブリッドは無段階変速の4WDのみとなる。

ちなみに、両車に搭載される4WDはシステムが異なる。

ガソリン車は通常2WD(FF)で走り、走行状況に応じて後輪を駆動させるタイプで、コーナリング時も駆動配分をコントロールすることで狙いどおりのラインを走行できる。

一方、ハイブリッド車は後輪をモーターで駆動させ、走行状況に応じて前後輪に駆動力を配分し、車両をコントロールする。

トヨタ ハリアー▲インテリアカラーにはブラック、アイボリーの他、ディープボルドーが用意された。木目調パネルも明るめのエボニーストライプと暗めのウッド&メタルが用意された
トヨタ ハリアー▲ラゲージ容量は通常時で456L。リアシートを倒せば992Lに拡大できる。ラゲージ床下にも収納スペースが備わる

2014年12月には、スポーティモデルの「エレガンスG's」が追加された。パワートレインはガソリン車と同じだが、ボディ剛性が高められ、車高も35mmダウンしている。

2017年6月のマイナーチェンジでは、2Lターボエンジン×6速ATモデルが追加された。同時に衝突被害軽減ブレーキを含む「トヨタセーフティセンスP」が全車に標準装備された。

デビュー時の新車時販売価格は2Lガソリン車が272万~378万9000円、ハイブリッド車が361万~447万円、エレガンスG'sは329万1055~348万5455円、2Lターボ車は338万400~457万4880円だった。

狙い目はガソリンのFFモデル

流通台数が豊富な3代目ハリアーは、ボディカラーやグレードなど、まさに選び放題といった状況。

その中での筆者のオススメは、選択肢が多く100万円台後半から狙える2Lガソリンモデル、その中でも全体の4割以上を占める上級グレード「プレミアム」だ。

台数が多くて選びやすいのをはじめ、他グレードが17インチのところ18インチアルミホイールを履き、クルーズコントロールや自動防眩ミラーが標準装備されるなど、プレミアムSUVらしく装備が充実している。

例えば、2015年式でFF、走行距離5万km台の物件が、総額180万円程度から見つけることができる。

さらに装備を充実させたいなら、「プレミアム」の中でも「プレミアムアドバンスドパッケージ」もオススメだ。全体の約1割程度になるものの、十分選びやすいだろう。

こちらは、衝突被害軽減ブレーキ(プリクラッシュシステム)やアダプティブクルーズコントロール、パノラミックビューモニターが標準装備となる。

2017年6月のマイナーチェンジで全車に「トヨタセーフティセンスP」が標準装備されるが、価格の安い前期型の「プレミアムアドバンスドパッケージ」でも衝突被害軽減ブレーキが備わるので、お買い得感がある。

デビュー時に360万円(2WD)した同グレードが、「プレミアム」よりもやや高くはなるものの、前期型の走行距離5万km未満が総額約200万円から狙うことができる。

ただし、衝突被害軽減ブレーキ等の先進安全機能は日進月歩の技術のため、高年式ほど精度は高い。前期型を購入する場合はその辺を留意し、安全運転を心がけよう。

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トヨタ ハリアー(3代目)×プレミアム×全国

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トヨタ ハリアー(3代目)×プレミアムアドバンスドパッケージ×全国

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トヨタ ハリアー×全国
文/ぴえいる、写真/トヨタ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。