ウイングロード▲日産最後のステーションワゴンとなったウイングロード。積載力の高さと手頃なボディサイズが魅力だ

日産 ウイングロードの中古車は今

趣味の道具をガンガン積載できる機能性と、5ナンバーサイズボディによる取り回しの良さに軽快な走り。そして、経済性の高さという唯一無二のキャラクターで、中古車としての人気も高い日産 ウイングロード。

3世代にわたって生産され2018年3月に販売終了となったが、国産ステーションワゴンが少なくなった今では、希少な存在でもある。

初代は、サニー譲りのノスタルジックな外観が魅力のモデル。ただ、生産期間が短かったために中古車市場ではほとんど流通していない。紛れもない希少車だけに、もしも出色の物件を見つけられたら即決しよう。

2代目はマイナーチェンジで大胆にデザインが変わり、一躍人気のステーションワゴンとなったモデル。ただし、こちらも販売終了から既に15年以上たっており、中古車市場での流通量は少ない。

3代目はアクティブなイメージを前面に打ち出して成功を収めたモデル。2018年まで生産されていたので、200台程度の流通量があり選択肢は比較的豊富。総額50万円以下で狙える物件もあり、かなりお得な状況だ。

ここではウイングロードの特徴や中古車を選ぶ際のポイント、現在の中古車相場について世代ごとに分け解説していく。
 

ウイングロード(初代)の特徴と中古車相場

■ウイングロード(初代) DATA
生産期間:1996年5月~1999年4月
中古車流通量:5台以下
中古車価格帯:10万~20万円
 

ウイングロード ▲前から見ると、サニーカリフォルニアと見分けるのが難しい初代ウイングロード。生産期間はわずか3年!

■ウイングロード(初代)の特徴
サニーのステーションワゴン版であるサニーカリフォルニアと、商用車ADバンの乗用車版ADワゴンを統合した新しい車種として、1996年に登場した初代ウイングロード。

それまでのサニーカリフォルニアからリアオーバーハングを100mm延長、積載能力を大幅にアップした他、ヘッドライトやフロントグリルなどのデザインも変更された。

ただし、全幅は1665mmと現在の日産 ノートよりコンパクトで、居住空間は決して広くない。

搭載されるエンジンは1.5L 直列4気筒ガソリンと1.8L 直列4気筒ガソリン、2L 直列4気筒ディーゼルの3種類。トランスミッションは5速MTと4速AT が設定された。

駆動方式ではFF(フロントエンジン・前輪駆動)の他、ビスカスカップリング式フルタイム4WDもある。さらに、1.8L車には電子制御で駆動力を配分するアテーサが搭載されるなど、ビジネスバンとは異なる贅沢な仕様となっていた。
 

ウイングロード ▲ルーフレールやルーフ後端のウイング、ツートーンのボディカラーなどで、商用車との違いをアピール

デビュー1年後の1997年5月に小変更。外観にメッシュタイプのグリルを採用した他、内装でもセンタークラスターのデザインが変更された。

また、安全装備においてもデュアルSRSエアバッグ(それまでの年式でエアバッグが装備されていたのは運転席側のみ)やABSが一部のグレードを除き標準化された。
 

ウイングロード ▲初代のインパネは7代目サニーと共有するシンプルなもの。シート表皮などには遊び心も

■ウイングロード(初代)の中古車相場
デビューから四半世紀が経過しており、さらに初代は販売が振るわなかったこともあって中古車市場での流通はごくごくわずかで5台に満たないという状況だ。超のつく希少車種だが、幸いにしてプレミアは付いていない。

今あえて初代が欲しいという人は、ある程度のメンテナンスは前提としたうえで、エンジンやトランスミッション、ボディカラーなどの仕様が希望にかなった物件が出るまで待つしかないだろう。
 

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ウイングロード(2代目)の特徴と中古車相場

■ウイングロード(2代目) DATA
生産期間:1999年5月~2005年10月
中古車流通量:約10台
中古車価格帯:10万~60万円
 

ウイングロード ▲2001年MC前の外観は、極めてオーソドックスなもの。今見ると少々レトロな感じがするが、今はそれが逆に魅力かも

■ウイングロード(2代目)の特徴
1999年のモデルチェンジで基本設計を一新。2代目へとバトンタッチしたウイングロード。

新しいMSプラットフォームとなったことで、全長も全幅も大幅に拡大している(それでも現行型ノートと同じ全幅)。

「エアロシリーズ」と「ベーシックシリーズ」に分けられ、エンジンも一新。新開発の1.5L & 1.8L 直列4気筒ガソリンと、「NEO VVL」を採用した2L 直列4気筒ガソリンの、3種類が用意された。

FF(前置きエンジン・前輪駆動)と4WDがあり、ベーシックのFFは1.5Lのみ、エアロ、ベーシックの4WDモデルは1.8Lのみ、エアロのFFでは上記3種類のエンジンすべてが選べる設定だった。

また2L車は、1.5L & 1.8L車のリアサスペンションがトーションビーム式であるのに対して、マルチリンク式を採用。トランスミッションも6速MTモード付きCVTを採用(それ以外のグレードは4速ATまたは5速MT)するなど、スポーツ仕様と言える位置付けになっている。
 

ウイングロード ▲MCによってフロントまわりを大胆にイメージチェンジ。MC前とは別のモデルのよう

2代目デビュー当初は初代のデザインを踏襲したオーソドックスなものだったが、2001年10月のマイナーチェンジでフロントデザインを大胆に変更した。

立体的な造形のヘッドライト、シンプルかつシャープな面構成のフロントグリル&バンパーデザインとなっている。これは3代目プリメーラと同様の手法だ。

インテリアも、インパネやセンタークラスターをメタル調に変更。2LエンジンをSR20VE型からQR20DE型に変更するなど、2代目のモデルライフ中、最も大きな変更となっている。

初代から2代目前期までいまひとつ販売が振るわなかったウイングロードだが、この変更で一気に人気が上昇。アクティブな遊びを楽しむ若者向けのステーションワゴンというイメージが定着した。
 

ウイングロード ▲2代目ではライダーなどエアロパーツをまとった仕様が人気に。明るいボディカラーも多く設定された

■ウイングロード(2代目)の中古車相場
大規模マイナーチェンジによって人気が急上昇した2代目だが、それも約20年前のことであり、現存する物件はわずか。中古車流通量は20台以下にとどまっている。

流通する物件のほとんどがマイナーチェンジ以降のモデルで、エアロもしくはライダーなどの特別仕様車だ。

マイナーチェンジ前の前期型の物件は、初代同様にほとんどない。あえて狙うなら、流通状況をこまめにチェックして、条件に合致する物件が出たら即決というのがいいだろう。

2代目ウイングロードの中の本命は、スポーティな走りが自慢だった2Lエンジン搭載車だが、こちらも流通量が少なく選べる余地はほとんどない。

コンディションを見極めたうえで、早めのアクションがオススメである。
 

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ウイングロード(3代目)の特徴と中古車相場

■ウイングロード(3代目) DATA
生産期間:2005年11月~2018年3月
中古車流通量:約180台
中古車価格帯:10万~110万円
 

ウイングロード ▲新プラットフォームとなって居住空間が広くなり、走行性能も格段に進化した3代目。12年以上にわたって生産されたロングセラーモデルだ

■ウイングロード(3代目)の特徴
新たに、初代ティーダなどと共通のBプラットフォームへと変わった3代目。ボディサイズは全長4415mm×全幅1695mm×全高1495~1505mmと歴代最大となった。

デザインは好評だった2代目の切れ長ヘッドライトを踏襲しながら、やや厚みが増した、というところ。ボンネット上端がベルトライン(横から見たときのドア上端が描く線)よりも高い位置になっているのは、居住空間をエンジンルームぎりぎりまで寄せるキャビンフォワード設計、そして2004年から採用された「歩行者頭部保護基準」の影響だ。

室内長は従来型から115mmも拡大された。その恩恵は主に後席に反映され、120mmのスライド量と10段階のリクライニングを可能としている。荷室後端に後ろ向きに腰掛けられるイージーラゲッジベンチもユニークな仕掛けだ。

搭載されるエンジンは、ともに直列4気筒ガソリンの1.5Lおよび 1.8L。トランスミッションは4速ATとCVT、6速MTモード付きのCVT-M6が用意された。

グレードは「ベーシックシリーズ」と「エアロシリーズ」に分けられ、デビュー当初のグレード展開は「15RS」「15RX」「15RXエアロ」「18RX」「18RXエアロ」の5種類。

1.5L車にはFF(前置きエンジン・前輪駆動)の他、後輪をモーターで駆動するe-4WD(電動4WD)も設定された。
 

ウイングロード ▲ガングリップ・タイプのシフトレバーが特徴的な3代目ウイングロードのインパネ。1.8L車は6速MTモード付きのCVTが搭載されていた

2008年1月の一部改良ではグレード体系が見直され、エアロパーツ装着車を基本とする「15S」「15M」「18G」に整理。「15M」「18G」のエアロパーツ未装着車については「オーセンティック」という名称が新たに付け加えられた。

2008年10月にはプライバシーガラスとインテリジェントキーが標準装備(「15S」を除く)に。2010年8月にシート生地を変更、2012年6月に後席中央シートベルトを3点式に変更、2014年9月にVDC(横滑り防止装置)を全車に標準装備し、従来の4速ATをCVTに変更、さらに1.5LのFF仕様のみにグレードを集約するなど、細かな変更が随時行われた。

ウイングロード ▲リアゲートを開けると荷台がベンチシートになる、ユニークな機構も搭載

■ウイングロード(3代目)の中古車相場
中古車平均価格は35万円前後、流通量も約180台とまずまずの選択肢がある。

年式ではデビュー翌年の2006年式が最も多く流通しているが、それ以外はモデル後半の年式まで比較的満遍なく分布しているのが3代目ウイングロードの特徴だ。

年式と走行距離の相関関係はあまり見られず、古い年式で走行距離が少ない物件もあれば、新しい年式で走行距離が進んでいる物件もある。

さて、肝心のモデル選びだが、上述したように改良やマイナーチェンジは数多く実施されたものの、外観やエンジンが大きく変わることはなかった。

そのため、古い物件でも走行距離が少なく、程度が良いならOKという考え方で臨むのがいいだろう。

燃費を重視するなら、1.5L車のCVT仕様(「15RX」、「15M」などの上級グレード、廉価グレードなら全車にCVTが採用された2014年式以降)がオススメ。

パワーで選ぶなら1.8L車だが、2014年までしか設定されなかったのが残念なところ。古い年式でも、走行距離が少なければ良し、としたいところだ。
 

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※記事内の情報は2021年7月3日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/日産
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。