新技術と軽量化を組み合わせ28.8km/Lを実現

  • スズキ ワゴンR / ワゴンRスティングレー |ニューモデル試乗
  • スズキ ワゴンR / ワゴンRスティングレー インパネ |ニューモデル試乗
デザインはキープコンセプトに見えるが、ドアは初代に使われた“ワンプレスドア”を再び採用している
初代ワゴンRが登場して19年を迎え、モデルチェンジの5年周期を1年早めて5代目が登場した。最大の売りは「エネチャージ」と呼ばれる発電システムだ。アクセルペダルを離した瞬間から回生システムで発電し、リチウムイオンバッテリーに蓄えられた電気によりエンジンの電気的負担を軽減させ、燃費向上へつなげる機構である。100万円台の軽自動車でこのシステムを導入したのはすごい。

もうひとつの売りが「エコクール」。空調ユニット内に蓄冷材を内蔵し、アイドリングストップ時でも冷風を保つ仕組みだ。アイドリングストップは細やかで、エンジン再始動の振動もほぼ気にならない。13km/h以下でエンジンが停止するが、制御は自然で再始動も早い。最も驚きなのは、これら新機構を採用しボディ剛性を向上させながら、軽量化を実現したことだ。またプラットフォームを刷新することで、旧型とほぼ同ディメンジョンにもかかわらず、ホイールベースを25mm延長。室内長は115mmも延び、後部席が驚くほど広い。

エンジンとトランスミッションの統合制御は良好だ。発進時など大トルクが必要なときでも、減速機能をもつトランスミッションの恩恵で不快感はない。ワゴンR(標準車)は軽量化のためにスタビライザーを装着していないが、程良くロールを抑制する。これには想像を絶する手間ひまがかけられたことだろう。

吹け上がりスムーズなスティングレーのターボ

  • スズキ ワゴンR / ワゴンRスティングレー リチウムイオンバッテリー|ニューモデル試乗
  • スズキ ワゴンR / ワゴンRスティングレー 高出力オルタネーター|ニューモデル試乗
「エネチャージ」の要となるリチウムイオンバッテリーと高出力オルタネーター
スポーティなフロントマスクのスティングレーにはターボ仕様(Tグレード)がある。NA仕様とはタイヤが異なり、スタビライザーが追加される。エンジンの吹け上がりはターボラグを感じさせないほどスムーズ。加速感はリッターカー以上だ。アイドリングストップもNA同様に立ちあがりが素早い。スポーティなキャラクターだけにこちらはロールをしっかり抑え込み、硬めだが乗り心地は良好だ。

SPECIFICATIONS

グレード ワゴンR FX ワゴンR FXリミテッド ワゴンRスティングレー X ワゴンRスティングレー T
駆動方式 FF 4WD FF 4WD
トランスミッション CVT
全長×全幅×全高(mm) 3395×1475×1640 3395×1475×1660
ホイールベース(mm) 2425
車両重量(kg) 780 840 800 870
乗車定員(人) 4
エンジン種類 直3DOHC 直3DOHC+ターボ
総排気量(cc) 658
最高出力[kW(ps)rpm] 38(52)/6000 47(64)/6000
最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 63(6.4)/4000 95(9.7)/3000
JC08モード燃費(km/L) 28.8 27.8 28.8 25.0
ガソリン種類/容量(L) レギュラー/27
車両本体価格(万円) 110.985 136.71 133.35 161.385
Tester/松本英雄  Photo/尾形和美