大幅改良された新型デリカD:5に試乗。マイナーチェンジの域を超えた進化に驚いた!
2019/02/06

流行り廃りとは無縁。色あせぬ個性的なデザインが魅力
デリカは、三菱自動車の歴史を継承する大切なモデルである。
特に2代目で登場したワンボックスとして初めての4WDモデルは、タフなイメージを植え付けて新たなスタイルを確立した。
4代目のスペースギアまで、FRプラットフォームをベースとしていた。
2007年に5代目として登場した『デリカD:5』では、最強の横置きモノコックをワンボックスに適合させた。
これは、アウトランダーやランサーエボリューションX、横置きエンジンのジープにも採用されているFFベースのプラットフォームを進化させたものだ。
その『デリカD:5』も、登場から11年以上が経過。
特に静粛性。正直いって時代に取り残されている感は否めなかった。
しかし、デザインは時代に取り残されることなく、個性と飽きのこない素晴らしい意匠だ。
あらゆる部分が時代遅れに感じたこれまでのデリカD:5

最後にデリカD:5を試乗したのはアウトランダーPHEVのプロトタイプのときであるから、もう6年は経過している。
その時は正直いって古いと感じた。
ディーゼルの音も振動も乗り心地も、インテリアのデザインもこの時代には難しいのでは? と思った。
そのイメージは身体に残っている。
そしてこのたび、フロントと内装を大幅にリニューアルした『デリカD:5』ではあるが、期待は薄かった。
乗るまでは……。
乗り心地も静粛性も以前とは段違いに進化した新型デリカD:5

今回は、フロントデザインを大幅に変更した新型『デリカD:5』を、クローズドのアスファルトとオフロードで体験したのでお伝えしたい。
デザイン的に言うと、まず頭が大きく見える。
フロントがあまりにも強くボリュームがあるので、キャリーオーバーのサイドパネルの造形が薄っぺらくなっているのだ。
しかし、インテリアは高級感を上手に演出してエクリプスクロスよりも成熟した印象だ。
シートの感じもゆったりとした。
これは前に乗ったときと全く違うイメージである。よくここまで変更したと思う。
日産ではできない、三菱がもっているこのモデルに合った高級感をすべてを投入した感じが伝わる。
エンジンを始動する。以前とは比べものにならない静粛性だ。
フリクション低減などもあるが、燃料を噴射するインジェクションシステムやエンジンと車体をつなぐエンジンマウントの見直しが大きい。
走り出しても、その静粛性は素晴らしい。
しかも、乗り心地も以前よりもずっと良くなっている。
今回は、大幅改良されたいわゆるビッグマイナーチェンジだが、最新モデルと言っても遜色ないレベルだ。
各部の取り付け剛性が高くなっているように感じる。
これは、ダンパーとスプリング、ブッシュ類のチューニングが適切であるということだ。
クローズドコースなので少しオーバーなステアリング操作でポテンシャルも確かめてみる。
適度なロールをもちつつ、ぐっと堪える車体の動きはセダンからワンボックスまでを網羅するモノコックプラットフォームとしては今でも最高のフレームである。
驚くほど抜群のオフロード性能

次にオフロードコースで性能を確かめる。
エクリプスクロスのときも書いたが、三菱は横置きエンジン4WDとしてのシステムは最高である。
期待をもって片輪が浮くような、メリハリのあるコースを走ってみる。
とにかく素晴らしい性能だ。なんにも問題はない。
片輪が浮いてもボディはミシリともしない。
以前に酷評を書いたのが信じられない。
それほど良いのだ。
ただ、下り坂でエンジンブレーキが利きにくいのが少々残念である。
パワステの具合も最新のモデルのような、ねっとりとした質の高さが備わると最高だ。
日産の傘下のようなかたちになっても、三菱にしかできない技術力を生かしてほしい。
いつこの素晴らしいプラットフォームがなくなるのか心配でたまらない。
なぜならば、エクストレイルで使われているプラットフォームに比べると、比較にならないほど性能が良い。
コスト削減があっても基本を忠実に守って、さらに良いモデルを作る三菱であってほしいと切に願う。



【SPECIFICATIONS】
■グレード:DELICA D:5 G-Power Package ■乗車定員:7、8名
■エンジン種類:直4DOHC+ターボ ■総排気量:2267cc
■最高出力:107(145)/3500 [kW(ps)/rpm]
■最大トルク:380(38.7)/2000[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:8AT
■全長x全幅x全高:4800 x 1795 x 1875(mm) ■ホイールベース:2850mm
■ガソリン種類/容量:軽油/64(L)
■JC08モード燃費:13.6(㎞/L)
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