フォード マスタング|ニューモデル試乗

オイルの焼けた臭いが漂ってきそうなオタクっぽいスポーツカーは勘弁。洒落た大人のためのモデルでありながら、FRスポーツとして本物志向を求める人向け。昔はさんざん車で遊んできたけど、大人だからカッコもつけたいという要望に応えてくれる

86より乗りやすい!? ハイパワーFRの醍醐味

想像以上に楽しめる

シェルビーGT500風のフロントマスクとなり、V8エンジンや装備のアップデートを受けたとはいえ、デビューは2005年の6代目。設計年次が古めのハイパワーFRでサーキットは不安もあったが、これが想像以上に楽しめたのだった。

懸念していたトリッキーさがまるでなく、むしろ挙動変化のスムーズさや、いい意味での穏やかさに驚いたぐらいだ。

本気度の高いスポーツドライビングを堪能

V8で245/45R19、V6で235/50R18というタイヤサイズは、どちらもワイドで大径なわりに扁平率はさほど低くないのでエアボリュームがたっぷりとあって路面をしなやかに捉えていく。また、ボディの大きさによるワイドトレッドやロングホイールベースが、ハイパワーと大トルクを過剰には感じさせない懐の深さを提供しているのだ。

だから、自信をもってアクセルを踏み込んでいける。コーナー立ち上がりでドンッと全開にすれば、リアタイヤが悲鳴をあげるのだが、グリップ変化が穏やかで落ち着いて対処できるから心配はいらない。86なんかよりよほどコントローラブルなのだ。大きなボディサイズが手に余ることなく、実際よりはコンパクトに感じられるほど。

V6は、サスペンションがちょっとソフトで安定志向だが、V8はそれなりに引き締まっていて素早くノーズを引き込めるなど姿勢づくりの自由度が高まっている。

いずれにせよ、イメージするよりもずっと本気度の高いスポーツドライビングを堪能させてくれることは間違いない。「アメ車なんて…」とナメてる人もいるだろうが、マスタングの50年近くに及ぶ歴史は侮れないのだ。

リアバンパーのデザインも変更。リアコンビランプには、ヘッドライトのスモールランプ同様にLEDが用いられた

リアバンパーのデザインも変更。リアコンビランプには、ヘッドライトのスモールランプ同様にLEDが用いられた

メーター中央部に4.2インチカラーディスプレイを配置。Gやタイムの計測ができるトラック・アップが備わった

メーター中央部に4.2インチカラーディスプレイを配置。Gやタイムの計測ができるトラック・アップが備わった

V8エンジンは最高出力を8ps向上。独自の車両安定化装置(アドバンストラック)を標準装備している

V8エンジンは最高出力を8ps向上。独自の車両安定化装置(アドバンストラック)を標準装備している

SPECIFICATIONS

グレード V8 GT COUPE PREMIUM
駆動方式 FR
トランスミッション 6AT
全長×全幅×全高(mm) 4815×1880×1415
ホイールベース(mm) 2815
車両重量(kg) 1680
乗車定員(人) 4
エンジン種類 V8DOHC
総排気量(cc) 4951
最高出力[ps/rpm] 426/6500
最大トルク[N・m/rpm] 529/4250
車両本体価格(万円) 500
Tester/石井昌道 Photo/向後一宏