BMW M5▲5シリーズをベースにBMW M社が手がけたM ハイ・パフォーマンスモデル。7代目となる新型は、Mモデル史上最強パワーのM専用プラグインハイブリッドを搭載する

M5初のプラグインハイブリッドモデル

M5というモデルの本質は何か。BMWはG90型となる新型M5の国際試乗会を地元ミュンヘンで開催するにあたり、参加するジャーナリストにそのことを再確認させる機会を用意してくれていた。それは初代E28型セダン、2代目E34型セダン&ツーリング、3代目E39型セダン、そして4代目E60型セダンという歴代M5の“ちょい乗り”だ。

そして再確認したことはというと、M5は自分の記憶よりもいっそう“洗練された高性能サルーン”であったことだった。もちろん歴代M ハイ・パフォーマンスモデルのパワートレイン、特にエンジンには圧倒的な存在感があった。その記憶だけでいえば、過激なモデルというイメージが残って当然だったのかもしれない。けれども改めて乗ってみて、車全体としては5シリーズにふさわしいライドコンフォートを備えつつ、高性能にもフォーカスしたモデルであることが確認できたのだった。

そして、新型M5は“そんなスーパーサルーン”の極めて真っ当な後継モデルであったと言っていい。

モデルの詳細は別記事に詳しいので差し控えるけれど、試乗に当たって注目しておくべきポイントはやはりパワートレインだろう。M5では初となるプラグインハイブリッドシステム“M HYBRID”を搭載。585psの4.4L V8ツインターボ+プリ・ギアリングステージ付き電気モーター+22.1kWhバッテリーによるシステム統合スペックはなんと最高出力727ps(535kW)/最大トルク1000N・m。2023年に発表されたXM レーベル・レッドと基本的には同じシステム構成である。もう一つの注目ポイントは、これもまたMモデルならいつものことだけれども、最先端をいくサスペンションの制御統合システムで、M5としては初めてインテグレーテッド・アクティブ・ステアリング(四輪操舵システム)を装備した。
 

BMW M5▲Mモデル専用4WD(M xDrive)を搭載しており、DSC(ダイナミックスタビリティコントロール)オフ時には後輪駆動モードもセレクト可能となっている
BMW M5▲エンジン単体で最高出力585ps/最大トルク750N・m発揮。モーターが作り出すトルクはプリ・ギアリングによって450N・mまで増強される。なお、約70kmのEV走行も可能となっている

アウトバーンではあっという間に280㎞/h超え!

ミュンヘン空港近くのとあるBMW施設を出発し、最寄りのアウトバーン入口へと急ぎ始めたとき、助手席と後席に陣取ったジャーナリストの仲間たちから驚嘆の声が上がった。乗り心地がよいらしいのだ。確かに運転席でも悪くはないと思っていたが、驚くほどよいとも思わなかっただけにかえって驚いた。運転席ではソリッド感がしっかりあって、それなりにガッチリと走っているように思える。そんなふうに感じるときの運転席以外はというと、たいてい“心地悪い”ものだからだ。ちなみに後ほど後席に座ってみたが、他のジャーナリストがテストドライブする間、ほとんど居眠りできてしまった!

上質なドライブフィールという印象は、街中からアウトバーン、そしてカントリーロードまで一貫していた。前述したように、それがM5の伝統なのだ。グランドツアラーとして上等であることが何よりも重要であり、同時にステアリングフィールも正確無比で心地よい。つまりBMWらしさを時代の極限まで磨き上げることがM ハイ・パフォーマンスモデルの役割であると言っていい。

とにかくすべてが高次元でバランスされている。1000N・mもの最大トルク(しかも2000回転以下からエンジン単体でも大きなトルクを発揮する)をうたうセダンとなれば、それなりのモンスターフィール=手に負えない感じ、があってもおかしくないはずが、すべてをしっかりとコントロールできているという感覚がドライバーには常にあった。踏んでいても、だ。確かにスリリングさには欠ける。けれどもこれはリアルスポーツカーではない。リアルスポーツカーのようにも走ることのできる「サルーン」なのだ。

野太いMサウンドエフェクトを切っても、V8ノートは耳に心地よい。BMWの極上グレードらしく、ハンドリングの正確さはピカイチだ。ハンドリングマシーンだと言ってもいい。前輪をドライバーの手で直接操作できる感覚こそBMWらしさだが、M5ではその上をいく。前輪がすでに進むべき道を知っていて、ドライバーのほんのわずかな意思表示を敏感に察知して、曲がる準備をしてくれているかのようだ。さりとて、忙しくは決してない。あくまでもドライバーの気持ちに忠実なニンブルさを発揮する。

さらに高速コーナーでの姿勢が最高だった。車体の傾き(ロール)と乗り手の握るハンドルの位置関係がすこぶるつきに気持ち良い。旋回姿勢の良さは極めつきである。セダンゆえ、この姿勢を作り出すことは重要で、BMWもまた重い車体のコントロールに長けてきたというわけだ。

もちろん、1000N・mの加速フィールには驚愕されることだろう。中間加速は文字どおり“ぶっ飛ぶ”感覚だ。それでいて速度感覚は低め。これじゃ免許が何枚あっても足りない。アウトバーンでは軽く280km/hを超えていった。
 

BMW M5▲フェンダーはベースモデルよりフロント75mm、リア48mmワイドに仕立てられた。日本仕様には軽量なカーボンルーフが標準装備される
BMW M5▲M専用エアロバンパーやガーニッシュを装着。ブラック・キドニーグリルをライトアップするBMWアイコニック・グローを備えた
BMW M5▲ディフューザーを備えた専用デザインのリアバンパー、カーボンスポイラーやMスポーツ・エグゾーストを採用
BMW M5▲カーブド・ディスプレイを備え、スイッチ類を大幅に減らした最新ブランドデザインを採用。M専用パーツを多数採用しスポーティ感を高めている
BMW M5▲スイッチ式のシフトを採用、スイッチ類もタッチ式となりすっきりした印象とされた
BMW M5▲Mモデル専用のマルチ・ファンクション・シートを標準装備
BMW M5▲後席はベーシックな5シリーズ同様にゆったりと快適。日本仕様はBMW Individual レザー・メリノ・シートが標準となる
文/西川淳 写真/ビー・エム・ダブリュー

自動車評論家

西川淳

大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。

BMW M5(先代)の中古車市場は?

BMW M5 コンペティション

2017年に登場したF90型となるM5は、先代5シリーズ(G30型)をベースにBMW M社が手がけたハイパフォーマンスセダン。サーキットでの高い運動性能と、ラグジュアリーなスポーツセダンの資質を併せ持つ。最高出力600ps/最大トルク750N・mの4.4L V8ターボを搭載し、Mモデルのセダンで初めて4WD(M xDrive)を採用した。2019年にはよりサーキット走行を重視した、最高出力625psのコンペティションが追加設定されている。

2024年10月下旬時点で、中古車市場にはM5が20台程度、M5 コンペティション が10台程度流通。支払総額の価格帯はそれぞれ560万~920万円、850万~1450万円となる。
 

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文/編集部、写真/篠原晃一

【試乗車 諸元・スペック表】
●4.4 4WD

型式 3LA-82FK44 最小回転半径 5.9m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 5.1m×1.97m×1.51m
ドア数 4 ホイールベース 3.01m
ミッション 8AT 前トレッド/後トレッド 1.69m/1.66m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS 車両重量 2400kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 2675kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.12m
マニュアルモード    
標準色

アルピン・ホワイト、ブラック・サファイアメタリック、ソフィストグレーブリリアントエフェクト、ファイヤー・レッドメタリック、カーボン・ブラックメタリック、マリナ・ベイ・ブルーメタリック、アイル・オブ・マン・グリーンメタリック、ブルックリン・グレーメタリック

オプション色

フローズン・ディープ・グレーメタリック、ストーム・ベイメタリック

掲載コメント

※充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ)WLTCモード 75km
※EV走行換算距離(等価EVレンジ WLTCモード) 70km
※交流電力量消費率 WLTCモード 310Wh/km 市街地モードWLTC-L 291Wh/km 郊外モードWLTC-M 164Wh/km 高速道路モードWLTC-H 216Wh/km
※一充電消費電力量(WLTCモード)21.3kWh/回

型式 3LA-82FK44
駆動方式 4WD
ドア数 4
ミッション 8AT
AI-SHIFT -
4WS
標準色 アルピン・ホワイト、ブラック・サファイアメタリック、ソフィストグレーブリリアントエフェクト、ファイヤー・レッドメタリック、カーボン・ブラックメタリック、マリナ・ベイ・ブルーメタリック、アイル・オブ・マン・グリーンメタリック、ブルックリン・グレーメタリック
オプション色 フローズン・ディープ・グレーメタリック、ストーム・ベイメタリック
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.9m
全長×全幅×
全高
5.1m×1.97m×1.51m
ホイール
ベース
3.01m
前トレッド/
後トレッド
1.69m/1.66m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 2400kg
最大積載量 -kg
車両総重量 2675kg
最低地上高 0.12m
掲載用コメント ※充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ)WLTCモード 75km
※EV走行換算距離(等価EVレンジ WLTCモード) 70km
※交流電力量消費率 WLTCモード 310Wh/km 市街地モードWLTC-L 291Wh/km 郊外モードWLTC-M 164Wh/km 高速道路モードWLTC-H 216Wh/km
※一充電消費電力量(WLTCモード)21.3kWh/回
エンジン型式 S68B44A 環境対策エンジン -
種類 V型8気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 60リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 4394cc 燃費(WLTCモード) 9.6km/L
└市街地:6.1km/L
└郊外:11.7km/L
└高速:11km/L
燃費基準達成 -
最高出力 585ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
750(76.5)/5400
エンジン型式 S68B44A
種類 V型8気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 4394cc
最高出力 585ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
750(76.5)/5400
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 60リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 9.6km/L
└市街地:6.1km/L
└郊外: 11.7km/L
└高速: 11km/L
燃費基準達成 -
※本国仕様は国内仕様とは一部異なります