2度目のマイナーチェンジで、さらなる質の高さを手に入れたトヨタ ヴィッツ(試乗レポート)
2017/04/05

2度目のマイナーチェンジで、待望のハイブリッドモデルを追加
2010年に登場した3代目ヴィッツは、発売から4年で1度目のマイナーチェンジを実施し、このたび2017年1月に2度目のマイナーチェンジを実施した。トヨタのアイデンティティを前後のデザインに取り入れたエクステリアとなり、ラインナップにハイブリッド仕様も追加となった。さらにはボディの見直しも行われたという。マイナーチェンジのデザインはとても上手だ。存在感を表しながら見た感じの質感を高めたデザインだ。今回は、アップダウンが程よくある木更津の丘陵地帯で試す機会を得たのでお伝えしたい。

旧世代のプラットフォームの限界と、それを補う工夫
昨今、旧世代の改良されたプラットフォームに、さらに改良を重ねただけではもはや追いつかない状況であり、重量増加も免れない。そういった状況で、今回試乗した「ヴィッツ・ハイブリッド」はリアシート下部にバッテリーを搭載しており、その辺りの補強も行われている。重量がガソリンモデルよりも130kgほど増加しているが、性能的にどのような変化があるのだろうか。現在、ヴィッツはフランスと日本だけで生産しているモデルだけに、組み付け精度の向上も見込まれる状況だ。
内装の質感向上とドライバーが安心感を得ることができる操作系
会場のかずさアカデミアホールはとても車の素性がわかる会場だ。自動車メーカーのエンジニアも泣けてくることもあるだろう。発着所から均質のベルジアンロード(石畳の道)を数百メートル走らせるが、これがボディとサスペンションの性能を試すにはすこぶる良い。ここでボディのどの部分からバイブレーションが発生するのかを耳と体で感じとることで、公道で走らせたときにも発生するノイズやバイブレーションを知ることができる。乗り心地という観点では細かな振動は不愉快である。また大きな段差をどれだけスムーズに吸収させるかが作り手の腕の見せどころだ。
運転席に座るとシートはとても良くなった。たっぷりとしてホールド性も良好だ。身体の揺れを抑えつつもソフトである。フランス車的とでもいえよう。内装の質感が向上し、色使いもより深くなった印象だ。使い勝手も良くなった。発進はEV走行でエンジンは始動しない。とても静かだ。一気に石畳を時速30kmほどで走り出す。静かだけにこもり音がBピラー後方から聞こえてくる。ステアリング系からのバイブレーションは全く気にならず、重量感も確保されている。この部分に重量感を感じるとドライバーは安心感を得ることができる。

強化された車体前方がもたらす快適性
2度目のマイナーチェンジのヴィッツはBピラーから前方が強化してある。もちろんバッテリー部分も強化されており、ねじり剛性も向上しているようだが、静粛性には大きく繋がっていない。しかし運転席と助手席の快適性はかなり向上している。急なハンドル操作でも車の動きが重みに対して過剰な動きをすることもない。また電動パワーステアリングのセッティングも良い。限られたコストで最大限のマイナーチェンジを果たしたヴィッツハイブリッドは軽んじていたエントリーモデルに質の良さをデザインで醸し出した。小型で質の高さを表すのが流行の兆しだが、これを機に新たな小型モデルへのリロードは始まった。

【SPECIFICATIONS】
■グレード:1.5ハイブリッド ジュエラ
■乗車定員:5名 ■総排気量:1496cc
■エンジン種類:直列4気筒DOHC+モーター
■使用燃料:レギュラー ■駆動方式:2WD ■トランスミッション:CVT
■最高出力:54(74)/4800[kW(ps)/rpm]
■最大トルク:111(11.3)/3600~4400[N・m(kgf・m)/rpm]
■モーター最高出力:45(61)[kW(ps)]
■モーター最大トルク:169(17.2)[N・m(kgf-m)]
■全長×全幅×全高:3945×1695×1500mm ■ホイールベース:2510mm
■車両重量:1110kg
■燃料消費率(JC08モード):34.4km/L
■車両価格:198万3960円(税込)
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