スバル インプレッサハッチバックSTI▲写真は2007年デビューのインプレッサWRX STI。国内市場のライバル・三菱 ランサーエボリューションXが280psだったのに対し、308psで登場(ランエボはその後のマイナーチェンジで300psに)。2008年にWRCにも参戦したが、結局この年でスバルはWRCから撤退した。現状、同社のWRC参戦モデルのベース車としても最後のモデルだ

ひと昔前は考えられないハイパワーハッチバック

プロ野球のトリプルスリーになぞらえ、「最高出力300ps以上・最大トルク300N・m以上・中古車価格300万円以下」を紹介するこの企画。

今回はハッチバック編をお届けしよう。


日産 スカイラインGT-R(R32型)が280psだった時代に、「ホットハッチ」と呼ばれたフォルクスワーゲン ゴルフGTi(ゴルフIII)でも145ps。

それから見れば、コンパクトなハッチバックにその2倍以上のパワーのエンジンが載るなんて夢のようだが、今やホンダ シビックタイプRやフォルクスワーゲン ゴルフRなど、最高出力300psオーバーのハッチバックがいくつも登場している。

こうした車は中古車でも人気が高く、300万円以上するモデルばかり。

そんな中で、なんとかトリプルスリーを達成する300万円以下から見つかるモデルはないものかと探したところ、2つのハッチバックモデルがヒット!

どちらもすでに新型が登場している型落ちモデルだが、まだまだ人気の高いモデルだ。

中古車の状態の良い今のうちに、大パワーハッチバックに乗ってみてほしい。

EJ20型を搭載した最初で最後のハッチバックWRX STI
スバル インプレッサハッチバックSTI(初代)

スバル インプレッサハッチバックSTI▲安定して旋回できるように前後オーバーハングを短縮したり、エンジン搭載位置を2代目よりも22mm下げて低重心化するなど戦闘能力を高めた。一方で開発陣が「自分たちの家族からも文句が出ないように」と取り組んだ結果、乗り心地が劇的にしなやかさに
スバル インプレッサハッチバックSTI▲フロントシートはアルカンターラ/本革のバケットタイプ。オプションでレカロ社と共同開発した専用シートも用意された。今やスバル車には定番のSI=DRIVEも標準装備。坂道発進をラクにしてくれるヒルスタートアシストも備えられた

もともと4ドアセダンで始まったWRX STIシリーズ。

2007年に登場したこの3代目では、ラリー参戦のベース車でもあったため、WRX STIとして初めてハッチバックスタイルが採用された。

セダンボディより旋回能力が高く、ラリーに向いているがその理由だ。

当時のWRCではライバルたちがすでにハッチバックを採用していて、スバルはその後塵を拝していたのだ。

搭載されたEJ20型水平対向4気筒2Lターボは308ps/422N・mを発生。組み合わされたミッションは6速MT。

センターデフにマルチモードDCCDを備え、ドライバーの好みで前後トルク配分を選べる。

同車は特別仕様車や追加モデルも多い。ざっとまとめるとこんな感じだ。

・2008年10月_「匠のハンドリング」にこだわった「20th アニバーサリー」(限定300台)
・2009年2月_300ps/350N・mを発揮する2.5L水平対向4気筒ターボ×5速ATの「Aライン」追加
・2009年7月_ベース車と数値は同じながらエンジンレスポンスを高め、シャシー性能の強化や車体の軽量化が図られた「スペックC」追加
・2010年1月_専用シートなどが奢られたAラインの特別仕様車「Aライン タイプS」追加

さらに2010年7月は一部改良が施され、車高を5mm下げるなど足回りが改良された。

以降このモデルをベースにした「スペックC」や「Aライン タイプS」、「Aライン タイプSパッケージ」が追加されている。

デビュー時の車両本体価格は365万4000円。

支払総額300万円以内だと、後期型も含めほとんどが射程圏内で、走行距離10万km前後なら支払総額100万円以下も見つかる。

名機の呼び声高いEJ20型エンジンは先日生産終了となった。また、WRX STI唯一のハッチバックという希少性もある。

一度は乗っておきたい名車ではないだろうか。

▼検索条件

スバル インプレッサハッチバックSTI(初代)×総額300万円以内×全国

M社謹製の直6ターボを載せた唯一のFRハッチバック
BMW 1シリーズ(2代目)M135/M140

BMW M135i▲タイヤ&ホイールは前225/40R18、後245/35R18とスポーツカーらしく前後でサイズが異なる。2015年5月のマイナーチェンジで衝突被害軽減ブレーキやLEDヘッドライトが標準装備された
BMW M135i▲各種操作を一元化したiDriveはもちろん、HiFiスピーカーシステムやUSB対応のオーディオ、フロント電動スポーツシートを標準装備するなど、1シリーズのトップグレードゆえ装備は充実している

昨年FFの現行型へフルモデルチェンジした1シリーズ。

このクラス唯一のFRだった旧型は、今後希少価値が増しそうだが、さらに同社のハイパフォーマンスモデルを手がけるBMW M社がチューニングした、直列6気筒ターボを搭載するM135やM140は一層価値を高めるのではないだろうか。

2011年にデビューした旧型1シリーズ。

2012年8月にM社が手を加えた320ps/450N・mの直列6気筒ターボを搭載するM135iが追加された。

M3やM5といったMモデルとは別に、Mパフォーマンスモデルなる新シリーズが設定されたのは、このM135iが初となる。組み合わされるミッションは8速ATのみ。

エンジンだけでなく、専用セッティングされたアダプティブMサスペンション(走行モード選択可能)や、制動力を高めたMスポーツブレーキなどを備える。

2015年8月のマイナーチェンジでは326ps/450N・mとさらにパワーアップ。そして2016年9月には+14ps/+50N・mのM140i(340ps/500N・m)に切り替わった。

デビュー時のM135iでも0-100km/hは4.9秒と、並みのスポーツカーなら簡単に抜き去れる性能を備える。

その一方でコンーナリング時のFRらしい素直なハンドリングや後ろから押されるような気持ちいい加速感は、M社によってさらに増幅されている。

また、これほどのハイスペックでも乗り心地が快適であることも大きな魅力だ。

デビュー時の車両本体価格は549万円。

原稿執筆時点で300万円以下の中古車は、2015年のマイナーチェンジ前の前期型となり、走行距離5万kmくらいなら支払総額200万円以下でも見つかる。

ただし、マイナーチェンジ後のM135iは台数がほとんどなく、M140になると支払総額は約380万円からとやや高くなる。

ぜひ一度希少なFRのハッチバックで、M社が手がけた直6ターボを堪能してみてほしい。

▼検索条件

BMW 1シリーズ(2代目)×M135i/M140i×総額300万円以内×全国
文/ぴえいる、写真/スバル、BMW

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はルノーのアヴァンタイムと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。