日本の“発信力”を問う貴重な一台

  • レクサスGSプロトタイプ 走り|ニューモデル試乗
  • レクサスGSプロトタイプ サイドスタイル|ニューモデル試乗
プロトタイプを見る限り、新型は従来までの3.5L V6、これにモーターを組み合わせたハイブリッド、そして新たに2.5Lが追加された。これはより価格レンジを拡大することで欧州車などへの移行を食い止める策の一つだろう。一方、世の中のダウンサイジングトレンドに乗ってV8は廃止。とはいえ、メインマーケットである北米ではハイブリッドをトップレンジに置くとのことで、まあこれは時代の流れということで納得できる
2012年初頭には発売される新型レクサスGS、先の東京モーターショーでその姿を見られた方も多いと思う。初代はレクサススタート時にIS、SCとともにブランド牽引という役目を負っていたわけだが、SCは終了、ISはしばらく継続という中で、2代目としての継承権を得たのはデビュー時の“花の3人組(40代以上ならわかるはず)”の中ではGSのみとなった。

新型にバトンタッチするにあたり、何よりも変わったのがその“中身”。シャーシやサスペンションはすべて新規設計、クラウン系を流用した初代とは正直大違いである。その気合の入りようは初代での反省、次世代へのレクサスブランドのあるべき姿を具現化したものと言える。

そして何よりも“スピンドルグリル”と呼ばれるレクサスの新しい“顔”はインパクト大。自己主張の強いマスクはそれなりに好き嫌いが分かれそう。もちろんそんなことはレクサス側も“確信犯”としてやっているのだろう。

LDHは欧州勢にどれだけインパクトを与えられるか

  •  レクサスGSプロトタイプ リア|ニューモデル試乗
  • レクサスGSプロトタイプ インパネ|ニューモデル試乗
困った(笑)のが、常にLDH(レクサス・ダイナミック・ハンドリングシステム)は作動しているのでその“ありがたみ”がわかりづらいこと。ベース自体の完成度は旧型より数段レベルアップしているが、やはりLDH装着車は「ひと味違う」。本来であれば全グレード標準装備が望ましいのだが・・・
試乗は3.5Lとハイブリッド。その中でも新しいレクサスのキーコンセプトとも言える「LDH(レクサス・ダイナミック・ハンドリングシステム)」を搭載する「F SPORT」は傑出している。簡単に言えば、昔懐かしい4WS(4輪操舵)を電子的に行うものだが、昔とは制御の細かさも違えば操舵する角度も最大で2度と微少、それが常にセンサー類で管理されることで路面に影響されない安定したハンドリングと、攻めるべき時にはアクティブに足回りを動かす工夫が施されている。

実際レクサス側も相当自信があったのだろう。用意された左右の摩擦係数が異なる路面やダブルレーンチェンジでも、とにかく車両の動きは安定。最高速までの到達時間ならばモーターアシストの効果が大きいハイブリッドだが、コーナーを含めたダイレクトなハンドリング感ならばギアの付いた3.5Lのほうが望ましく、かつわかりやすい。

またサーキット上での高速走行時の安定感はもちろんコーナリング時の切れ味の鋭さは従来の欧州車とは少し路線が異なる。これが「ジャパンオリジナル」と言えるのだろうか。欧州勢だけでなく、日本の車がもつ新しい魅力を世界に発信する重要な役目を担っていると言っても過言ではない。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード GS450h Fスポーツ
全長×全幅×全高(mm) 4850×1840×1455
車両重量(kg) ---
エンジン種類 V6DOHC+モーター
総排気量(cc) 3500
最高出力[ps/rpm] 295/6000+200
最大トルク[Nm/rpm] 356/4500+275
車両本体価格 ---万円
Tester/高山正寛 Photo/レクサス