▲「ひと昔前の排気量●●Lに相当」という考え方でモデル名をつけているライバル2メーカーに対し、“ハダカ”の数値をそのまま表示しているアウディ。同社の先進性を明確に示すエピソードだが、この考え方に共感できる人たちにこそ新型A6はオススメといえる ▲「ひと昔前の排気量●●Lに相当」という考え方でモデル名をつけているライバル2メーカーに対し、“ハダカ”の数値をそのまま表示しているアウディ。同社の先進性を明確に示すエピソードだが、この考え方に共感できる人たちにこそ新型A6はオススメといえる

スペックではなく実力で選んでほしい新世代

省エネ・エンジンの決定版で、ドイツ・プレミアムブランドではもはや当たり前のように採用されている直噴ターボ・ダウンサイジング・エンジン。ただし、この分野でも技術は日進月歩で、ダウンサイジングだったら何でもいいという時代はとっくに終わっている。どのメーカーも2世代目、3世代目に移行するとともに、パフォーマンスと省燃費性をより高い次元で両立する努力を続けている。その先頭を突っ走っているのが、世界に先駆けてダウンサイジング・コンセプトを商品化したアウディだ。長い開発の歴史は間違いなくその製品に反映されているようで、先日取材した某日本メーカーのエンジニアもこの事実をはっきりと認めていた。そのことは特にトルクの太さ、レスポンスのよさに表れているという。

ビッグマイナーチェンジを受けたアウディの中核セダン、A6に新たに搭載された2.0 TFSIエンジンは、まさにその代表例といえる。従来の自然吸気型2.8 FSIの後継モデルとして登場したこのエンジンは、排気量が800cc小さくなったのにパワーは23%、トルクは32%も向上。にも関わらずJC08モード燃費は4%改善と、まさにダウンサイジング・コンセプトを絵に描いたような性能を実現している。

実際に試乗してみると、2Lであることが信られないくらいよく走る。ターボエンジンの弱点だったトルクの立ち上がりが遅れる傾向もすっかり消え、大排気量NAエンジンのような素直な走りが楽しめる。エンジン音が小さくなったのも、その恩恵の一つ。しかも遮音性の高いウインドウガラスを採用したことで、キャビンはいっそう静寂になった。足回りがやや硬めに変わったのは残念ながら、機敏な走りは健在。新時代の到来を実感させてくれる1台だった。

▲グリルやバンパー、サイドシルなどを変更し外観をリファイン。マトリクスLEDヘッドライトも用意された ▲グリルやバンパー、サイドシルなどを変更し外観をリファイン。マトリクスLEDヘッドライトも用意された
▲ネットと接続し各種検索やWi-Fiスポットとして活用できるアウディコネクトや、MMIを備える ▲ネットと接続し各種検索やWi-Fiスポットとして活用できるアウディコネクトや、MMIを備える
▲エンジンは1.8L直4ターボ、2L直4ターボ、3L V6スーパーチャージャーを用意。高性能モデルには4L V8ターボを搭載 ▲エンジンは1.8L直4ターボ、2L直4ターボ、3L V6スーパーチャージャーを用意。高性能モデルには4L V8ターボを搭載

【SPECIFICATIONS】
■グレード:AVANT 3.0TFSI quattro ■乗車定員:5名
■エンジン種類:V6DOHCスーパーチャージャー ■総排気量:2994cc
■最高出力:333/5500-6500[ps/rpm]
■最大トルク:440/2900-5300[N・m/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:7DCT
■全長×全幅×全高:4995×1875×1465(mm) ■ホイールベース:2910mm
■車両重量:1840kg
■車両本体価格:926万円(税込)

text/大谷達也 photo/向後一宏