従来の“ふんわり・いなし”から“硬・しなやか”に味付けが変わった

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カローラは、同一車名として世界で一番売れているモデルだ。その美点はどこにあるのか。逆説的に聞こえるかもしれないが、それは“取りたてて際立っていない”というところだろう。

際立たない。すなわち飽きがこなく、古くならず、故に長く保有できる。おそらくトヨタの車種で最も開発が難しい車である。だが開発陣に奇をてらうそぶりはない。表面的な部分ではなく、保守的とも言える設計=壊れにくいメカニズムを重視する。だからこそ半世紀近く大衆車の頂点に君臨できるのだろう。

ダイレクトなフィールダー適度にきりっとしたアクシオ

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11代目となる新型は、日本市場を一番に考え小ぶりになった。座った時のポジションは、見えにくい四隅を想像させるアイポイントが生まれる。アクシオ とフィールダーともに、着座位置より後方の長さを感じさせない。こんなところからも、技術力の高さを知ることができる。

アクシオの1.3Gとフィールダーの1.8Sに試乗したが、それぞれエンジン特性とキャラクターにCVTがマッチしている。CVT特有の減速時の違和感がなく乗りやすい。乗り味は10代目までの“ふんわり・いなし”志向から“硬・しなやか”に変更された。その方向性の中で、アクシオとフィールダーは味付けが異なる。フィールダーはダイレクト。ここまでサスペンションがしっかり踏ん張れるのはシャーシ剛性が大幅に向上している証だ。開口部が大きいハッチバックといえども段差を乗り越えた時の耳に伝わる不快な振動はない。アクシオはマイルドだが、適度にきりっとした乗り心地だ。ロールを抑えボディが水平に保たれるため、乗員は安心感を感じる。こちらのほうが長距離向きだ。

初めて乗っても昔から乗っているように迎える。これがカローラの伝統。“大衆車”の王道として一本筋が通ったカローラを自家用で乗ることに気骨を感じる。そう思わせてくれる1台だ。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード アクシオ1.3X Gエディション アクシオ1.5G フィールダー1.5X フィールダー1.8S エアロツアラー
全長×全幅×全高(mm) 4360×1695×1460 4360×1695×1500 4360×1695×1465
車両重量(kg) 1050 1090 1200 1160
総排気量(cc) 1329 1496 1797
最高出力[ps/rpm] 70(95)/6000 80(109)/6000 76(103)/6000 103(140)/6200
最大トルク[ Nm/rpm] 121(12.3)/4000 136(13.9)/4800 132(13.5)/4400 172(17.5)/4000
Tester/松本英雄  Photo/尾形和美