【新型車】メルセデス・ベンツ EQシリーズ初のミッドサイズセダン「EQE」登場
カテゴリー: メルセデス・ベンツのニュース
タグ: メルセデス・ベンツ
2022/12/16
EQSより短いセダンタイプの電気自動車
メルセデス・ベンツ日本は、メルセデスEQ初のミッドサイズセダンであるEQEを発表した。設定グレードと税込み価格は次のとおりである。
・EQE 350+ 1248万円
・メルセデスAMG EQE 53 4MATIC+ 1922万円
外観は、弓をモチーフにしたキャブフォワードのシルエットによるスポーティなデザインが特徴だ。EQSよりもホイールベースは短く、ボディ側面の絞り込みは強い。
エンジンやトランスミッションが必要なく、前方に配置されたAピラーと短い前後オーバーハングによって広いキャビンを確保。リアにはトランクスポイラーが採用され、筋肉質なショルダーラインと相まって力強さが演出されている。
フロントマスクにはブラックパネルを配置。ここには超音波センサーやカメラ、レーダーなど運転支援機構のデバイスが組み込まれている。サービス工場でのみ開けられるボンネットフードは左右フェンダーまで回り込み、左フェンダーにはウォッシャー液補充のためのリッドが設けられている。また、ドアミラーは空力特性と風切り音の低減に配慮したデザインで、ドアハンドルは格納式に仕上がっている。
サイドではサッシュレスドアとアーチ状に走るウエストラインが独自のデザイン要素に挙げられる。
バックカメラは、スリーポインテッドスターの裏側に格納されていて汚れがつきにくい。そして、LEDリアコンビランプの内部は螺旋構造に設計されていて点灯時に立体的に見える工夫が施されている。リアビューを印象づける光の帯がメルセデスEQのモデルであることをアピールする。
空力特性を向上させる取り組みは目に見えない部分にも徹底的に行われている。開発過程で実施された演算は数千回に達した。その成果はタイヤやホイール、フロントまわりのシール、Aピラーのデザイン、トランクスポイラーなどに表れている。
EQE 53にオプション設定されているMBUXハイパースクリーンは、3枚のスクリーンが1枚のガラスで覆われてワイドな画面を構成。ガラスはキズがつきにくく、掃除しやすいようコーティングされている。また、経年劣化による焼きつきを防ぐ技術も織り込まれている。
3枚のスクリーンとはメーターパネル(12.3インチ)、中央の有機ELディスプレイ(17.7インチ)、助手席側の有機ELディスプレイ(12.3インチ)のこと。合わせると幅は141cmに達する。
その周囲は、シルバーのフレームと空調ダクト内蔵のルーバー状トリムで囲われている。左右の空調ダクトはジェットエンジンのタービンをモチーフにしたデザインで、エアコンの空気を効率よく配分する機能を有する。
空調パネルは、中央ディスプレイの下部に設置されていて常時表示されるため、左右席から温度や風力を変えることができる。
中央ディスプレイと助手席側ディスプレイは有機ELのため、見る角度や周囲の光に関係なく高い輝度で発色してクッキリとしたコントラストが生み出される。また、触感フィードバック機能が採用されているため、物理スイッチと同じように押したことがわかる。力覚フィードバックも搭載されているので、ガラス面を押す力に応じて応答が変化する。
助手席側ディスプレイでは走行中も動画コンテンツが楽しめる。もしドライバーが見るとカメラによるブロック機能が作動し、減光して見えなくなる。なお、助手席が空席のときはグラフィックが表示される。
このMBUXハイパースクリーンは、アルミ製ブラケットでマグネシウム製の支持部に接続されている。ブラケットはハニカム構造に設定されており、衝突時には変形して衝撃を吸収する。また、側面衝突時を考慮し、ドアには達しないデザインに仕立てられた。
対話式音声認識機能のMBUXは「充電ステーションを探して」「出発時刻を8時に設定して」など、EV固有の機能にも対応している。
エレクトリック・インテリジェンス・ナビは地図データから得た勾配情報や充電ステーションの位置情報、車両の充電状況や気温などを総合的に判断し、充電場所も含めて最適なルートを案内する。
前部がインパネに連続しているセンターコンソールは宙に浮いた構造に設計されている。これは、EV専用プラットフォームによって従来のセンタートンネルが不要になったことを視覚的に示している。
ドアトリムには周囲の暗さに反応して自動的に点灯するアンビエント照明が組み込まれており、アームレストやドアグリップ、ポケットなどを美しく演出する。
EQE 350+には造形美にこだわったシンプルなシートを起用。サイドサポートと中央部のコントラストが立体感を生み出している。
オプションのAMGラインを選択するとスポーツシートが装備される。一体型の形状が特徴で、表面は本革のカバーを掛けたようなデザインに仕立てられる。また、シートの輪郭には照明付きパイピングが施されている。
コックピットの機能と操作は基本的にSクラスと同じだが、EVならではの演出としてグラフィックはすべてブルーにデザインされている。
ディスプレイの表示は複数のスタイルから選んでカスタマイズできる。EQE 350+は「スポーティ」「クラシック」「ジェントル」「ナビ」「アシスト」「サービス」の6パターンから、EQE 53は「トラック・ペース」「スーパースポーツ」の2種類を加えた8パターンから選択できる。
それぞれのモードでの特徴は下記のとおりとなる。
「スポーティ」:加減速や充電の状況が躍動的かつ、わかりやすく表示される
「ジェントル」:キャビンの静かな雰囲気を高める狙いで表示内容が絞り込まれる
「アシスト」:車線変更や車間制御、道路標識、検知した自動車やオートバイを表示
EVでは風切り音が耳につきやすいため、静粛性も重要なポイントである。低周波ノイズを防ぐため、ボディの空洞部分には多くの防音発泡材が充填されている。
高周波のノイズに対してはドアとウインドウのシールに防音対策を実施。格納式ドアハンドルやドアミラーも最適化されてノイズを低減。
Aピラーではフロントウインドウとの境目に特殊なゴム製トリムを取り付けることでノイズが抑えられている。
好みに応じて音を楽しめる機能も設定されている。複数のサウンドから好きなメニューを選ぶと、ドライブモードに応じて音が変化する。
最大10度の舵角を誇る後輪ステアリング機能
EQE 350+は、後輪アクスルに最高出力292psのパワートレインを搭載。航続可能距離は624km。電気モーターには永久磁石同期モーターが用いられているため、ローターには通電の必要がない。リチウムイオン電池の容量は90.6kWh。
EQE 53では前後輪にパワートレインが搭載されており、最高出力は625ps(レーススタート使用時は687ps)で、航続可能距離は526km。前後モーターは独立して制御できるため、駆動トルクは連続して可変配分される。こちらのリチウムイオン電池の容量も90.6kWhだ。
サスペンションは前輪が4リンク式、後輪がマルチリンク式。連続可変ダンピングシステムとエアサスペンションが組み合わされたAIRMATICが標準装備されている。
AIRMATICのセルフレベリング機構は乗員や荷物に関係なく地上高を一定に保つが、必要に応じて変化する。例えばコンフォートモードでは120km/h以上で10mm、160km/h以上でさらに10mm車高を下げて空気抵抗を低減。車速が80km/hを下回ると元の車高に戻る。
車速が40km/h以下であればボタン操作で車高を25mm上げることもできるが、50km/hを上回ると自動的に戻る。
小回り性能を向上させるため、後輪にはステアリング機能が採用されている。最大舵角はEQE 350+が10度、EQE 53は3.6度。
パワートレインやサスペンション、ステアリングの特性はドライバーの好みに合わせて変えられる。EQE 350+には「コンフォート」「スポーツ」「エコ」「インディビジュアル」の4モードを、EQE 53には「コンフォート」「スリップ」「スポーツ」「スポーツ+」「インディビジュアル」の5モードを用意。
EQEには、回生ブレーキが備わっていてアクセルペダルを戻したときやブレーキペダルを踏むとバッテリーが充電される。ステアリングホイールのシフトパドルを使えば減速度を3段階に切り替えられる他、コースティング(空走)機能も選べる。また、前走車との車間距離や道路の勾配を加味して最適な強さの回生ブレーキが働くオートモードも用意されている。
ECOアシストでは効率のいい運転が行えるよう、回生ブレーキの強弱が自動的に調整される。
EQEは全車が6.0kWまでの普通充電と150kWまでの急速充電(CHAdeMO規格)に対応している。急速充電での充電時間は以下のとおりである。
50kW:10%→80%まで105分。30分間での充電量(10%から開始)は29%
90kW:10%→80%まで54分。30分間での充電量(10%から開始)は49%
150kW:10%→80%まで49分。30分間での充電量(10%から開始)は57%
バッテリーはEQケアによって10年もしくは25万km(残容量70%)が保証されている。ちなみに、リチウムイオン電池はニッケル・マンガン・コバルトの使用比率が8:1:1で、コバルトの含有量は10%以下に抑えられている。メルセデス・ベンツは将来的にはコバルトの使用を全面廃止できることをめざしている。
高電圧システムは多段保護方式で、危険が発生すると自動的に電源がOFFになってバッテリーとの接続が遮断される。しかも残留電圧による傷害を防ぐため、数秒以内に放電されるよう対策が施されている。
バッテリーはボディシェル構造内に組み込まれて保護されている。また、パワートレイン用モジュールはフロントとサイドのエネルギー吸収構造と高剛性の二重壁ベースプレートで構成されたハウジング内に収納されている。
日本仕様の特別な機能として、車外に電力を供給できる双方向充電が可能だ。家庭の太陽光発電システムが発電した電気を貯蔵でき、停電時には家庭に電気を送ることが可能だ。給電はMBUX設定画面からバッテリー残容量の10%から50%まで10%単位で設定できる。
オンラインストアでは好きなタイミングで以下の機能およびサービスを追加できる。
ビギナードライバーモード:ドライブモード「スポーツ」とESPオフが使用不可で、最高速は約120km/hに制限される。
バレーサービスモード:最高速が80km/hに制限され、個人データにアクセスできないよう保護される。
EQEにはA2用紙とほぼ同じ大きさ、A4サイズの約4倍にあたる新開発の大型HEPAフィルターが標準装備されている。約600gの活性炭が使われており、不快な臭いを低減。
サッカー場約150面に相当する微細粉塵フィルターも備わっていて、PM2.5~PM0.3などの粒子状物質を最大99.65%取り除く。
ウイルス対策として、大型HEPAフィルターのウイルス捕集性能は86%以上(劣化後は80%以上)を確保。バクテリアの捕集性能は90%以上(劣化後は88%以上)。
低速時に歩行者が気づきやすいよう、車両接近通報サウンドが標準装備されている。車速が約30km/h以下のときに専用の音が発せられ、車速が上がるにつれて音量が大きく&周波数が高くなる。
ユーザーの不安を取り除くプログラムも用意されている。新車購入から5年もしくは10万kmの早い方まで一般保証修理や定期メンテナンス、24時間ツーリングサポートが無償で提供されるEQケアを適用。
車載されている専用の充電カードを使えば全国約2万基の充電器が利用できる。申し込み時から1年間は月額基本料と充電料金は無料だ。
テレマティクスのメルセデスmeコネクトには以下のサービスが含まれる。
3年間無料、以降7年間自動継続されるサービスは24時間緊急通報サービス、24時間故障通報サービス、リモート車両ステータス確認、スマホからナビの目的地が遠隔設定できるSend2Car。
3年間無料で、以降は有料で継続できるサービスはリモートウインドウ&サンルーフ、リモードドアロック、駐車位置検索、空車情報も見られる駐車場情報。
ステレオカメラとレーダーセンサーが周囲の状況を検知する安全運転支援システムの詳細は次のとおりだ。
【アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック】
高速道路などで走行時に先行車を認識し、速度に応じて車間距離を制御。減速が必要な場合にはブレーキが自動調整され、先行車が停止した場合には自車も停止。停止している先行車も検知可能になり、先行車との距離が突然縮まった場合には警告灯と警告音でドライバーに注意を促す。
また、自動再発進機能も備わっており、停止後30秒以内に先行車が発進した場合にはアクセルペダルを踏まなくても自動で再発進してくれる。停止時間が30秒を超えた場合はアクセルペダルを踏むかステアリングスイッチを操作すれば再発進できる。
【アクティブステアリングアシスト】
車線のカーブと先行車を、車線が不明瞭な道ではガードレールなどを認識して、ステアリング操作をアシストしてくれる。
【渋滞時緊急ブレーキ機能】
先行車と左右の車線を監視し、渋滞の最後尾が現れたときに前走車との衝突の危険を検知する。左右に回避スペースがない場合は即座に自動ブレーキが作動、回避スペースがある場合はドライバーの回避操作が優先される。
ただし、ドライバーが反応しない、もしくは回避操作が遅れてしまったときには即座に自動ブレーキが作動する。
【アクティブレーンチェンジングアシスト】
高速道路でアクティブステアリングアシストを起動させるとき、ウインカーを点滅させると3秒後に他車との衝突の危険がないことを確認し、安全な場合に自動で車線を変更する。
【アクティブエマージェンシーストップアシスト】
ドライバーが一定時間ステアリング操作を行わないと警告灯&警告音によって操作を促す。それでも反応がない場合には緩やかに減速して停止する。停止後にはパーキングブレーキが自動的に作動して後突による二次災害を防止。
【アクティブブレーキアシスト】
先行車や前を横切る車両、歩行者、路上の物体などとの衝突の危険性を感知すると、表示や音でドライバーに警告。必要に応じて強い制動力が発揮できるようブレーキ圧が高まる。ドライバーの反応がない場合には自動緊急ブレーキが作動する。右折時の対向車にも反応する。
【緊急回避補助システム】
歩行者などとの衝突の危険を検知すると、回避できるようドライバーのステアリング操作をアシスト。回避後の車線復帰もサポートする。
【トラフィックサインアシスト】
一般道や高速道路を走行中、制限速度などの標識を読み取ってディスプレイに表示する。制限速度を超えた際、警告音でドライバーに注意を促す機能も含まれている。
【アクティブレーンキーピングアシスト】
前輪が走行車線から逸脱した場合にステアリングが断続的に震えてドライバーに警告。ドライバーの反応がない場合には自動補正ブレーキで車線内に戻るチカラが生じる。
【アクティブブラインドスポットアシスト】
リアバンパー左右のレーザーセンサーが死角エリアにいる車両や自転車を検知。30km/h以上で走行時に接触する危険があるときには、ブレーキの自動制御によって危険回避をサポート。また、イグニッションOFF後3分間は後方から障害物が近づくとドアミラー内の警告灯が点灯し、さらにドアを開けようとすると警告音が鳴る降車時警告機能も備わっている。
【ドライブアウェイアシスト】
前方もしくは後方1m以内に障害物があるにもかかわらず、その方向に進もうとしてアクセルペダルを強く踏んでも速度は2km/hに抑えられ、警告音がドライバーに誤操作の可能性を知らせる。
【360度カメラ】
フロントパネル、左右ドアミラー、リアの4ヵ所に広角カメラが設置されており、合成処理された周囲の状況がモニター画面に表示される。自車を真上から見ているかのようなトップビューも選べる。
【メモリーパーキングアシスト】
所定の2地点(例えば自宅駐車場と乗降場所)を結ぶルートを記憶させると、車両が区間内の移動と駐車を行う。ただし、ドライバーは運転席に残る必要がある。ルート上に障害物を検知した場合には停止する。